『大恋愛』に出演されていて気になった森田匠さんの作・演出で、脚本が第13回劇作家協会新人戯曲賞一次選考通過作品です(今回が初めての上演だそうです)。バラエティに富んだ若手出演者の面々にも惹かれて、久しぶりに中野の小さな劇場に伺いました。
タイトルは『おわりがはらであいましょう』と読むのだと思います。タイトルのロゴがかっこいいな~。上演時間は約1時間30分。
⇒CoRich舞台芸術!『終焉ヶ原で逢いませう』
≪あらすじ・作品紹介≫ 劇場サイトより
東京郊外の大学――。
解体間近のサークル会館から引っ越しに追われる学生たち。
その最中に見つかった数葉の写真。
そこには数年前に事故で亡くなった学生が写っていた。
雪国の言い伝えをもとに描かれる青春群像。
少し冷たい春のお話。
第13回劇作家協会新人戯曲賞一次選考通過作品。
≪ここまで≫
舞台はサークル会館の談話室・・・なのかしら。旅行研究部の部室は下手のドアの向こうにあるようだったので、おそらくそうだと思います(ちょっとわからなかった)。
幕開けで「“決して上手いわけではない静かな演劇”ってこういう状態なのね?!」という恐怖をちょっぴり味わいました(苦笑)。表情なく、声の起伏もなく、ただ静かに、機械的に話すだけではコミュニケーションは生まれないんですよね。
「あぁ青年団ってやっぱり凄いんだなぁ」とか思いつつ、こわごわ眺めていたところ、登場する度にどうしても笑ってしまうキャラ(大学の職員役:植村宏司)が出てきたんです(笑)。「ダメだ、面白すぎるっ!!」と苦笑・失笑しまくってる内に、なんとなく演出の意図が読み取れてきました。
これもまた「静かな演劇」を土台に新しく生まれてきた、次の世代の演劇なんでしょうね(例えば田上パルとか)。日常の一場面のように自然な会話が生まれているように見えても、そこかしこに演劇的で不条理な遊びが組み込まれています。森田さんは桜美林大学卒で、出演者もその周辺の方々が数名いらっしゃいますね。今後が楽しみです。
セリフは語尾が「・・・て」で終わることが多く感じて、それが気になりました(演出のせいかもしれませんが)。人の名前を何度も(意図的に)間違える、ことば遊びが面白かった。
ここからネタバレします。
事故で亡くなった男子学生の双子の弟が、兄が写っている写真を受け取りにやってきます。でも実は亡くなった本人の幽霊だったんです。また、関係ないのにずっとうろちょろしている体格の良い留年生(ギリコツカサ)も、学内で亡くなった学生の幽霊だったことがわかります。照明や音響で「幽霊ですよ」などと説明しないのが良いですね。“静かな演劇”ならではの味わいがありました。自称留年生の幽霊が清掃員の女性を連れ去ってしまうのも、ちょっと怖くて良かったです。
パラドックス定数でいつも難しいセリフをきびきびと流暢に語っている植村宏司さんが、ギャグ担当(と言っていい気がする)になってたことが衝撃的(笑)。パラドックス定数ならではの渋い味が、こんなに滑稽になるんて破壊的な可笑しさですよっ!はじめの「歌舞伎役者みたいな顔でいい声なのに・・・」という紹介からして可笑しかった。
出演:平岩久資 田代尚子 鶴川春男(タテヨコ企画) 齊藤庸介 高橋智子(青年団) ミギタ明日香(東京タンバリン) 下薗琢磨 堀内真奈美 植村宏司(パラドックス定数) 飯島蕗 ギリコツカサ(野獣会JAPAN) 森田匠
作・演出:森田匠 舞台意匠:濱崎賢ニ(青年団) 音響:泉田雄太×森田匠 照明:富山貴之 舞台監督:木村光晴(劇団GO AHEAD) 宣伝意匠:家常善光(かげわたり) 宣伝文句:古崎篤 制作:遠山亜希子(雑貨団)
一般前売り 2,500円 一般当日 2,900円 学生・シニア 2,300円(要証明書) ※アマネクーポン 2,300円 ※リピーター割引 1,200円
http://actre.hp.infoseek.co.jp/actre6.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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