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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2008年03月08日

東京国際芸術祭2008・TIFパフォーマンス『溺れる男』03/06-09にしすがも創造舎 特設劇場

 TIF2008が招聘する海外のカンパニーの作品です。アルゼンチンの演出家ダニエル・ベネロッセさんによる『溺れる男』は、チェーホフ『三人姉妹』の男女入れ替え版。イリーナ、マーシャ、オーリガが男3人兄弟になっているんです。

 めっちゃくちゃ面白かった!!メルマガ号外を出せないのは、原作を知っていないと理解が難しそうだから。上演時間が約1時間20分ですから大幅にカットされていますしね。『三人姉妹』がお好きな方は、必見!

 残すは3/8(土)14:00/19:30、3/9(日)15:00の3ステージ。千秋楽は完売間近。3/8(土)はマチネとソワレの間にベネロッセさんのレクチャーがあります(16:00~)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『溺れる男
 レビューはアップできないかも(涙)。ごめんなさい。ポスト・パフォーマンス・トークの覚え書きのみアップしています。
 レビューを少しだけですがアップしました(2008/03/18)。

 開演前から役者さんは舞台上でリラックスしています。ものすごく自然な、優雅な、自由な、時間。そのままの雰囲気で本番へ。

 ここからネタバレします。

 みんなが去ってしまって、残された三人兄弟。オリガが最後の長いセリフを語る時、ズラリと横一列に並んだイスに全出演者が腰掛けています。1人1人の人生がしっかり独立して並んでる・・・『リハーサルルーム』でも感じた感覚でした。でもセリフが語られている時に伝わってきたことは、『リハーサルルーム』とは全く違うものでした。
 死者が、今を生きている観客に向かって、語りかけているようだったんです。死んでいった人々の魂が、目の前にあって、彼らが生きてきた人生の全てについて、私たちに語ってくれていた。涙が溢れて出て止まらなくなりました。これが俳優の仕事なんじゃないかと思いました。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 出演:ダニエル・ベロネッセ(演出)/クラウディオ・トルカチール(イリーナ)/ルシアーノ・スアルディ(マーシャ)/クラウディオ・ダ・パッサーノ(オリガ)/マルタ・ルボス(チェブトゥイキン)/通訳/司会

 役者A「(登場するのは)幸せになるために何をやるべきかわかっているのに、やらない人々。」
 役者B「不幸、つらさ、孤独、苦しみというのは、誰でも感じることで、国籍も男女も関係ない。」
 役者C「夢、痛み、苦しみなどは、全人類が感じるものだと理解できた。そうして役柄の深みに触れることができるようになったと思う。みんなと一緒に、同時に深みに辿りついていけたように思う。」

 ベロネッセ「私は直感を大事にしています。直感に流されれば、何らかの可能性が出てくるのではないかと思っているのです。何かはわからないけれど、常に何かを生み出していこうという気持ちでやってきた。」
 ベロネッセ「チェーホフを純粋に、そのままやるのが好きな人には、あまりわかってもらえないかもしれないけれど、違う形でも上演できることの証明になったと思う。」
 ベロネッセ「作品を観た観客が、新鮮な気持ちで劇場を出られればいいと思う。」

 観客「俳優の生理と演出意図とは、どうやって折り合いをつけているのか?例えば開演前に舞台上に役者がいて、まるで稽古場にいるような自然な状態だったことについて。」
 ベロネッセ「役者が何らかの動きをした時、『なぜ、そうなるのか?』と聞くことにしている。先入観(原作『三人姉妹』のイメージなど)をもってやることに危機感がある。例えば新しい“オリガ”を発見できなくなるから。今までの持ち物を捨て去って、新しく作っていくことが大切。」
 ベロネッセ「戯曲を掘下げていくと文学になってしまう。私が作るのは文学ではなく舞台。舞台は何かを発見していく場だから。」

 ベロネッセ「役者には、観客と向かい合う危険性と喜びの両方を味わって欲しいと思っている。まずは(役者の)安心材料を取り除くこと。例えば役者にとって幕は、自分を守ってくれる毛布だったり、救命用の浮き輪だったりする。それを取り除きたい。」
 ベロネッセ「リハーサル(稽古)を友達に観てもらいながら作って、それが良かったので、そのような上演形式にした。ステージ衣裳もありません(役者は私服で舞台に立っている)。」

Un hombre que se ahoga【スペイン語上演/日本語字幕付き】2004年初演。
出演:クラウディオ・トルカチール、ルチアーノ・スアルディ、クラウディオ・ダ・パサーノ、アナ・ガリバルディ、パブロ・メシエス、フェルナンド・ジョサ、マルタ・ルボス、マレーナ・フィーゴ、シルビナ・サバテール、エルビラ・オネット、マラ・ベステッリ、アドリアナ・フェレール
原作:Anton Chejov <アントン・チェーホフ>『三人姉妹』 演出:Daniel Veronese <ダニエル・ベロネッセ> 舞台監督:Diego Curatella <ディエゴ・クラテージャ> 制作:Sebastian Blutrach <セバスチャン・ブルトラッチ>  舞台監督:寅川英司+鴉屋 照明:佐々木真喜子(ファクター) 音響:内田伸(サウンド・ウィーズ) 字幕制作:幕内覚(Zimakuプラス) 翻訳・監修:寺尾隆吉(フェリス女学院大学准教授) 翻訳:浜田和範 通訳:川口隆夫 佐藤空子 TIFクルー:柴田智子 中野三希子 三井果苗 米山淳一 インターン冨地菜緒子 制作アシスタント:早川卓亜 中山大輔 制作:及位友美(ANJ) 制作統括:相馬千秋(ANJ) 主催:NPO法人アートネットワーク・ジャパン(ANJ)
【発売日】2008/01/18 一般4,000円/学生2,000円(当日要学生証提示)(全席自由・日時指定・税込)
http://tif.anj.or.jp/hombre/index.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年03月08日 00:24 | TrackBack (0)