『生きてるものはいないのか』で岸田國士戯曲賞を受賞したばかりの前田司郎さんの新作は、ご自身の小説「グレート生活アドベンチャー」の舞台版です。
ゲッラゲラ笑って、素朴に感動しました。前売・当日ともに1500円で約1時間30分の演劇です。「あぁ、五反田団というのは演劇のジャンルのひとつだな」と思いました。
⇒CoRich舞台芸術!『偉大なる生活の冒険』
≪あらすじ≫
元彼女カナコ(内田慈)の家に転がり込んだムラカミ(前田司郎)は、毎日だらだらとファミコンばかりやっている。
≪ここまで≫
ちらかった部屋。布団はしきっぱなり。ゴミは転がりっぱなし。劇場の床にそのまま道具が置いてある、五反田団のスタンダードなスタイルです。
ここからネタバレします。
4年前に死んでしまったムラカミの妹(石橋亜希子)が登場して、布団の中で言ったセリフがすごく良かったです。「なんで生きてるんだろう?」だったかしら。涙が出そうになりました。
報われない不倫の恋をしているカナコのために、ムラカミが大切なカメラを売ってカニ缶を買ってきたのにプチ感動(あぁ、なんて簡単に感動するんだよ、私ったら)。ぎゃーぎゃー泣きわめきながら「うまい~っ!」とカニを食べるカナコに爆笑。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:前田司郎/内田慈/石橋亜希子
前田さんのトークはいつもすごく楽しいです。率直に、いっぱい話してくれるから。もちろん意図的にサービスされてるのもあるでしょうけど、ここまで話してくれるならトークのある日に行かなきゃ損!って思えます。案の定、客席は超満員でした。私は開演ギリギリに到着したので最前列のはじっこ桟敷席でした。でも大満足。
前田「年収3000万円以上の人も、そうじゃない人(たとえばこの芝居の主人公)も、生まれた時から死に続けているという点で差はない。」
前田「いつ死んでもいい人生なのに人は生き続けている。それだけで偉大だと思った。」
前田「(日常で思いついた)ネタを書きとめておいて、それを使おうとすると、作家に都合のいい脚本になっちゃう。それだとつまらない作品になる気がする。」
前田「自分が役者をやる時は、本番中にどんどん演技を変えていくので、たとえば安倍健太郎さんのようにしっかり安定した演技をされる役者さんに出演してもらうことにしています。アンカー(碇)になってもらうために。」
出演:安倍健太郎(青年団)、石橋亜希子(青年団)、内田慈、中川幸子、前田司郎
作・演出:前田司郎 照明:山口久隆(S-B-S) 宣伝美術:吉田悠軌 制作:榎戸源胤 票券管理:三橋由佳 制作補:清水建志 主催:五反田団
【発売日】2008/02/01 予約・当日とも1500円(日時指定・全席ほぼ自由席・整理番号付)
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_03/gotannda.html
http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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