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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年03月16日

ホリプロ/メジャーリーグ『身毒丸 復活』03/07-04/10彩の国さいたま芸術劇場 大ホール

 藤原竜也さんのデビュー作としても有名な『身毒丸』は、これまでに何度も再演されたのに私はずっと見逃しておりまして(涙)、「復活」してくださったおかげでやっと観られました。アメリカ公演が大絶賛だったようです。
 上演時間は2時間強。2002年版の公式サイトが充実しています。

 ⇒CoRich舞台芸術!『身毒丸

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 母を売る店で買い求められた女・撫子(白石加代子)と、死んだ実母を慕い続ける義理の息子・身毒丸(藤原竜也)。
 “家”という呪縛の中で、憎しみあい、愛しあい、拒絶しあい、求めあう二人の、宿命の出会いと禁断の恋。
 ≪ここまで≫

 1978年初演の寺山修司さんの戯曲を1995年に蜷川幸雄さんが新しく演出されて(主演:武田真治・白石加代子)、1997年版で藤原竜也さんが身毒丸役に抜擢されたんですね。いわば藤原さんの原点となる作品なわけで、やっと観られたことがまず嬉しいです。

 電動工具から飛び散る火花、ちょうちんを持った白無垢の花嫁、赤ん坊を背負った新聞配達、自転車に乗った紙芝居屋、裸電球がともる電信柱・・・これでもか、これでもかと迫ってくる昭和のモチーフ。

 音楽の鳴るタイミングと種類、そして歌詞が強烈でした。演歌なのかポップスなのかロックなのか、メロディーもリズムもひとつのジャンルに納まらない破天荒さで、音が鳴る度にどぎまぎさせられました。どちらかというと私の好みのタイプの音ではないのですが、そんな好き嫌いのレベルなど飛び越えた、圧倒的な強さのある演出だったと思います。
 ただのわがままなのですが、できれば音楽は生演奏で聴きたかったですね。せめて歌だけでもライブだったらな~♪

 セリフはドキっとするような奇抜な単語がよく出てきて、詩的です。次々に繰り出されてくるダイナミックな演出に、口をポカーンと空けて圧倒されるがままになることが多かったかも(笑)。結局ストーリーはよくわからなかったんですが(汗)、生で観られただけでも充実していました。

 白石さんと藤原さんが2人で居るだけで、舞台全体がすっかり彼らの世界に染め上げられました。それだけ大きな存在感のある母子(恋人?)でした。

 ここからネタバレします。

 仮面売りからもらった持ち運び用の“穴”に堕ちて、身毒丸が地下世界(彼の空想の世界?)へと入り込む場面が面白かったです。ろうそくの火がたくさん灯った山車がステージをぐるぐる回るのが、きれいなんだか怖いんだか。

 卒塔婆に藁人形をくくり付け、呪いの釘を打ち込む“母”が大勢!戦慄ですよっ。その釘で身毒丸の目がつぶされるんだから、さらに恐ろし・面白い。
 撫子(白石加代子)が「これが私の家」と言って指差した“家”の模型を、さっと一蹴して壊してしまったのがかっこ良かったです。
 家族が崩壊してすっかり気を落としてしまった父(品川徹)が、乳母車で運ばれます。その後に家族を象徴する“ハンコ”が踊り狂うのも凄かった。

 作品を良くご存知の方が「(この作品は)もう歌舞伎みたいなものだから」とおっしゃっていたのに納得でした。

≪海外、愛知、大阪、東京≫
出演:藤原竜也 白石加代子 品川徹 蘭妖子 石井愃一 中曽根康太(せんさく役ダブルキャスト) 渡部駿太(せんさく役ダブルキャスト) 日野利彦 マメ山田 飯田邦博 福田潔 桜山優 澤魁士 本山里夢 秋山拓也 羽子田洋子 山口詩史 村中玲子 妻鹿有利花 中島陽子 太田馨子 難波真奈美 星野園美
脚本:寺山修司、岸田理生 演出:蜷川幸雄 照明:吉井澄雄 作曲:宮川彬良 美術:小竹信節 衣裳:小峰リリー 音響:井上正弘 振付:前田清実/花柳錦之輔 ヘアメイク:高橋功宣 演出助手:井上尊晶 舞台監督:明石伸一 技術監督:堀内真人 主催:財団法人埼玉県芸術文化振興財団 ホリプロ メジャーリーグ 企画制作:ホリプロ メジャーリーグ
【発売日】2007/11/10 S席 9,000円 A席 7,000円 B席 5,000円
http://hori.e-get.jp/99.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年03月16日 20:57 | TrackBack (0)