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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年03月17日

JACROW『斑点シャドー』03/12-19 OFF OFFシアター

 JACROWは中村暢明さんが作・演出される劇団です。劇団といっても所属俳優は女優さんお1人だけで、毎回ほぼプロデュース形式ですね。
 トリッキーな進み方をする愛憎劇。上演時間は約1時間45分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『斑点シャドー

 ≪あらすじ≫
 古びた団地。別居することになった夫婦(今里真&蒻崎今日子)の部屋に、夫の妹(木村美月)が訪ねてきた。昨日から兄(=夫)と連絡がつかなくて心配だからやってきたと言う。妻の方は「いつものことだ」と気にしていない様子だが、妹の態度はちょっとおかしい。何やら隠し事があるような・・・。
 ≪ここまで≫

 下手が古びた団地の入口付近、上手が建物の中のある部屋という風に、舞台はおおまかに言うと2つのスペースに分かれています。部屋は3階以上なので、ベランダから下を覗く演技と1階の入口から見上げる演技とで、舞台に高さが生まれるのが面白いです。

 ミステリーだとかハードボイルドだとかはあまり思わなかったですね。2組の夫婦に傷害事件がからんでくる、いわば男女の愛憎ドラマですが、見どころは物語の進み方です(ネタバレになるので後ほど)。
 イレギュラーな場面構成であるがゆえに、「いったいこの先はどうなるんだろう?」と引き込まれます。だから、たっぷりとやる思わせぶりな演技が少々気になりました。おおげさにしなくても、そのシーンで起こることをそのまま演じるだけでドラマティックになる、うまい仕組みになっていると思います。

 ここからネタバレします。

 妻と義理の妹が出会った台風の日から、転換する度に過去にさかのぼっていきます。3~4回さかのぼった後に現在に戻ってきて、そして4年前が描かれて終幕という凝った構成です。
 また、夫婦の住んでいる部屋の真上に、夫の部下夫婦(加藤敦&菊地未来)が住んでいるという設定で、1つの部屋を2組の夫婦が同時に使うのが面白かったです。

 妻が夫の浮気を疑って私立探偵(三浦知之)を雇い、1階上の部下夫婦の部屋に盗聴器をとりつけたおかげで、傷害事件の真相が暴かれるという展開にはスカっとしました。なので、最後のシーンで妻の嫉妬および懐疑心がクローズアップされるのには共感できず。スムーズに離婚できたとしても、その後が泥沼だろうな~と思ったり。

 妹(本当は夫の部下で、愛人)がつぶやく「真っ赤なトマトになっちゃいな」の引用元はやはり漫画「童夢」だったようで、個人的にツボでした(笑)。

 他に笑ったのは↓
 新米刑事(三浦英蔵)が「アオシマっす!」と上機嫌で「踊る大捜査線」の青島のマネをするところ。
 夫(今里真)「できれば韓流みたいなメロドラマがしたい」と言って、「~~~ハムニダ」と無理やり「ハムニダ」を付けたところ。

出演:今里真、仗桐安、成川知也、木村美月、三浦知之、加藤敦、菊地未来、三浦英蔵、蒻崎今日子、黒田朋子(声のみの出演)
【作・演出】中村暢明 【舞台美術】吉川悦子 【照明】シミズトモヒサ 【音響プラン】筧良太 【音響操作】佐藤春平 【衣装】中西瑞美 【小道具】湯田商店 【撮影編集】TRICKSTAR FILM 【宣伝美術】川本裕之 【舞台監督】吉田慎一 【舞台監督補】横川奈保子 【制作】黒田朋子 【制作補】塩田友克 【企画】JACROW
【発売日】2008/02/02 前売2500円、当日2800円
▼初日&平日マチネ割引…12日(水)20:00/14日(金)14:30/18日(火)14:30の回は前売2000円 当日2300円 ▼先行予約割引…1月31日(木)24:00までに予約申込した場合、全公演とも前売料金から500円割引。
http://www.jacrow.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年03月17日 23:23 | TrackBack (0)