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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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2008年03月24日

【稽古場レポート】the company『バーム・イン・ギリヤド』03/23都内某所

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ボブさん(左)とシュレイさん

 演出家ロバート・アラン・アッカーマンさん(通称:ボブさん)らが立ち上げたthe companyが、4月4日に開幕する『バーム・イン・ギリヤド』で本格始動します。
 ⇒ワークショップ・レポート
 ⇒the company関連作レビュー:

 初日まであと2週間を切った稽古場にお邪魔いたしました。通し稽古を繰り返していく最終仕上げの段階に入ったようです。
 ⇒チケット購入ページ
 ⇒【学生限定!当日劇場で2,000円のキャッシュバック!】最後列ベンチシートのみ・要予約
 ⇒CoRich舞台芸術!『バーム・イン・ギリヤド

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 マンハッタンのアッパー・ウエスト・サイドに位置するオールナイト営業のダイナー。そこにはいつも、ドラッグディーラーやジャンキー、娼婦やギャングといったニューヨークの底辺で生きる負け犬たちがたむろしている。
 昨日と同じ笑い話、他愛のない無駄話、麻薬取引の駆け引きや叶わない夢物語を語り合う常連客たち。そんな中で出会ったジョーとダーリーン。二人は、互いの人生を変えるきっかけとなりうるのか──。
 30名にも及ぶキャストが織りなす群像劇『バーム・イン・ギリヤド』。
 にぎやか、なのに孤独。
 居場所を探している、でも身動きが出来ない。
 そんな若者たちが懸命に生きようとする姿を真正面から見つめた、アメリカ現代戯曲の傑作がいよいよ本邦初上陸!
 ≪ここまで≫

 本番と同じサイズの舞台と小道具がしっかり揃った稽古場で、第1幕の後半を拝見しました。
 『バーム・イン・ギリヤド』の舞台はニューヨークにある24時間営業のダイナー。娼婦やジャンキーらの“吹き溜まり”です。小さな店の中で落ち着くでもなく立ち去るでもなく、それぞれにその場に居つづける人々。知った者同士も知らない者同士も、はたと出会ったりサラリとすれ違ったりを繰り返して、その場所の空気がざわざわ、わさわさと絶え間なくうごめいています。
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 総勢30名の出演者の中には小劇場で活躍する若手俳優と、大きな舞台でよく拝見するべテラン俳優さんも名を連ねています。この座組みを新宿シアターモリエール(客席数200席以下)で観られるなんて・・・! 
 ボブさんと動きを確認する中川安奈さん(右)↓ 
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 演技について話し合うパク・ソヒさん(左)とボブさん↓
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 最初は1対1で会話をしているカップルを観ていました。会話の端々から彼らのこれまでの人生、現在の生活環境がわかってきます。同じシーンをもう一度繰り返して観ることになった時、そのカップル以外の人々に自然と目が行きました。カウンター席でじっと座っている女、キッチンでかいがいしく働く店員、奥の方の席でなにやらもめている人々、店の外でぶるぶると震える若者・・・。会話中のカップルの周りで沢山のドラマが同時に生まれていたんですね。
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 それに気づいてからは、この舞台で起こることをできるだけ多く知りたい、見逃したくないと思い、必死で目を凝らして、耳を澄まして集中しました。すると、なんだか楽しくなってきてしまったんです、私(笑)。誰も止まらず、動き(生き)続けるお芝居。それを支える大勢の俳優の緊張感が空間全体にみなぎっています。登場人物は人生のどん底にいる人ばかりで、みんな見るからに悲惨な佇まいなのに、なぜかわくわくする気持ちが沸いてきて、笑いさえ込み上げてきました。
 水野顕子さん(左)とチョウソンハさん(中央)。水野さんの右横奥は玉置孝匡さん
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 役者さんは舞台上で膨大なきっかけ(歩く、立つ、セリフを話すなどの動作の決まり)を守りながら、自分が演じる役柄そのものとして存在していなければなりません。これって俳優にとってすごく大変なことなんじゃないでしょうか?
 ボブさん「そうなんだ、この作品は舞台の上でやるべきことがとんでもなく多いからね(笑)。若い俳優にはとても良い訓練になると思うよ。この戯曲は登場人物の大半が20代前半の若者で、その意味でも今回のキャストにはぴったりだしね。」

 出演者の方にちょっぴり今の気持ちを聞いてみました↓
 「めちゃくちゃ緊張します・・・1人が間違えたらみんなが止まっちゃうから。」
 「キャスト全員で手をつないで崖から飛び降りる!みたいな感じ(笑)。」

 全身全霊をかけた集中力で常に舞台全体を見渡し、一緒に舞台に立っている仲間の意識を感じながら、演じる役柄としてたった1人で舞台に居ること。それを全員同時にやるってことなんですね。その日のお稽古の最後のシーンでは、大勢の俳優がそれぞれに徘徊しながら1つのうねりを生み出す瞬間を観られたような気がしました。
 新宿の小さな小さな劇場で、どん底の奇跡に出会えるのが楽しみです。

出演:青山みその/今村洋一/江前陽平/遠藤典史/岡野真那美/カトウシンスケ/香里菜知子/倉本朋幸/斉藤直樹/眞藤ヒロシ/鈴木剛生/鈴木信二/瀬川亮/玉置孝匡/チョウソンハ/中川安奈/中嶋しゅう/野口卓磨/パク・ソヒ/羽田昌義/浜田学/深貝大輔/前田剛/町田マリー/松田愛子/水野顕子/宮光真理子/矢内文章/有希九美/呂美
作:ランフォード・ウィルソン 翻訳:薛珠麗 演出:ロバート・アラン・アッカーマン 美術:加藤ちか 照明:沢田祐二 音響:高橋厳 衣裳:伊賀大介 ヘア&メイク:鎌田直樹 舞台監督:小川亘 プロデューサー:伊藤達哉
2008年2月23日[土]10:00一般発売開始 前売:6,000円/当日:6,500円/学割:4,000円(全指・税込)※未就学児童の入場はお断りいたします。
http://www.thecompany-t.com/
http://balm.thecompany-t.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年03月24日 20:31 | TrackBack (0)