仮チラシを目にした時から「演劇大宮エリー・・・って、何かしら?」と気になっていたんです。
大宮エリーさんはCMプランナー、放送作家、エッセイスト、ラジオのパーソナリティー、映画監督などなど、多彩に活動されている注目のクリエイター。3月に初のエッセイ集「生きるコント」を出版されたばかりです。
ひょんなご縁でお会いして、大宮さんが初めて作・演出される演劇公演『GOD DOCTOR』の稽古場にお邪魔することになり、インタビューもさせていただきました!
●演劇大宮エリー第一回公演『GOD DOCTOR』
05/04-18新国立劇場 小劇場 ※東京公演の後に兵庫公演あり。
⇒CoRich舞台芸術!『GOD DOCTOR』
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
--いま、しあわせですか?と聞かれ何人のひとがしあわせですと即答できるでしょうか。
ずっとずっと未来のはなし。天には神様が、地上には人間がいる。そして天と地上の間に、「ハザマ」、とよばれる空間があった。天上界でも人間界でもなく、中途半端なハザマ。このお話は、そこに住む、これまた人間でも神様でもない中途半端な存在である、研修医(ポストドクター)のお話です。
その人間でも神様でもない中途半端な五人の研修医は、それぞれの専門を駆使して、人間をしあわせにする、という使命を神様から与えられていた。彼らの病院は、世界初の「人間をしあわせにする病院」。人間をしあわせにする治療を見事、施す事ができたポストドクターは天へ召され、ゴッドドクター(神の医者)になることができるというシステム。そう、彼らは、ゴッドドクターになるべく日々鍛錬する仲間でありながらライバルでもあるというわけです。
ある日、その噂を聞きつけて、不幸に悩む「人間」がハザマにやってきた。初めての患者さん!五人の医者は、いざ我こそはと、早速治療にあたるのであった!
≪ここまで≫
初日まであと約2週間、広い体育館には実物大のセットが組まれており、春の暖かい日差しとさわやかな風のおかげもあってか、稽古場はほんわかリラックス・ムードでした。
舞台にいるのは石田ひかりさん、山下真司さんら、テレビや映画でよくお見かけする有名人ばかり。さすがにキラッキラしてる!
第2幕の舞台稽古が始まったとたん、不躾ながら私、声を殺して爆笑してしまいました・・・!石田ひかりさんのことは舞台で何度も拝見していますが、こんな石田さん、観たことない(笑)。
大宮「石田さんには『クリーミー・マミとかキャンディ・キャンディとか、顔の横に巻き髪が付いてるイメージでやってください』ってお伝えしてるんです。『“石田ひかり”じゃだめなんです。“石田ひかり”は置いといてください』って。」
なるほど確かにあの演技は、顔に巻き髪が付いてそうだっ(笑)。
大宮「片桐さんって普段は結構、引っ掻き回しキャラじゃないですか。だから今回はみんなに引っ掻き回されて、翻弄されてもらいます。松村雄基さんはちょっとエロティックな役。ホストっぽい感じ。」
大宮「舞台はテレビみたいに“ながら見”はできないし、ビデオみたいにいつでも見られるわけじゃなくて、いわばお客さんを拘束するわけじゃないですか。それを考えるととことんサービスしなきゃなって。テレビに出ている俳優を生で見るだけじゃなくて、舞台でしか見られない俳優の姿を見せたい。だから出演者の方々には今までやったことがないことをやってもらいます(笑)。」
板尾創路さんに演出をつける大宮さん↓
大宮「大人計画が企画した『おじいさん先生』というドラマを演出したんですが、その時に私の演出方法が舞台に向いているかもよって、大人計画の社長に言われて。その一言が(演劇の作・演出をすることを)勝手に大きく後押ししてくれました。」
大宮「例えば2人が話すシーンでは『キキララみたいに仲良くして!』って言って、役者さんが『・・・え?キキララ?』って戸惑った状態のまま、『はい、スタート!』と撮影開始(笑)。そういうライブ感を大事に演出しています。だから今も、いつものままやってる感じですね。」
“キキララみたいな仲良し”ってどんなやねんっ!どう見てもあの2人は無表情(笑)。んー、実物を見てみたい!
大宮「演劇ってものづくりの原点のような気がするんですよ。後から編集できないしカメラマンもいないから、演出家と役者とで作りあげていく、本当にプリミティブな作業だと思います。」
大宮「役者さんがわくわくして演技してくれたら絶対いいものができるから、そういう球を投げるようにしてるんです。その人が言われたことないことを言ってやろうと思って。俳優がやる気になるような。そうすると現場も沸くでしょう?稽古場の空気は舞台に伝わると思うんです。」
大宮さんは自ら“新参者”と名乗りながら、さらりと舞台の勘所をとらえられている気がします。
エッセイ集「生きるコント」は、大宮さんご自身の爆笑必至の人生経験オンパレード(笑)。関西人ならではの自虐ネタが、むしろプチ自慢へとゆるやかにシフトしていくところに、軽やかながらストンと地に足のついた、大宮エリー独特の存在感が表れているように感じました。
でも、何より私の心をつかんだのは、ほんわかハッピースマイル(てゆーか爆笑)を浮かべつつ、その裏では、くにゃっと首とかしげてしんみりしている(ように見える)こと。
『GOD DOCTOR』はわかりやすいギャグが満載で人懐っこい、心温まるコメディーに仕上がるようです。でも笑いだけではなくて、大宮さんの穏やかなかなしみも、こっそりとしたためられているのではないでしょうか。今度は演劇で“大宮エリーの世界”に触れて、それを確かめたいと思います。
≪東京、兵庫≫ ※大宮エリーさん個人写真は大宮エリー事務所より提供
出演:片桐仁/石田ひかり/松村雄基/遠山景織子/山下真司/板尾創路
作・演出:大宮エリー 音楽:近田春夫 舞台監督:原田譲二 美術:二村周作 照明:佐藤啓 衣裳:伊賀大介 音響:山本能久 演出助手:豊田めぐみ 宣伝美術:秋山具義 宣伝写真:久家靖秀 ヘアメイク:大和田一美 制作:笠原健一 制作補:市川恵子 田口孝子 保坂綾子 宣伝:る・ひまわり 宣伝ムービー:ダンスノットアクト アシスタントプロデューサー:白石久美 プロデューサー:熊谷信也
休憩お芝居協賛:株式会社ロッテ / 読売新聞 / サントリー株式会社/ ソニー・ミュージックエンタテインメント パンフレット・キャッチコピー協賛エンジンフィルム / 螢光TOKYO / Spoon./ 谷山広告 / ダンスノットアクト / Demand / PICTURES INC. / マザース 企画:大宮エリー事務所 制作:TBS / ハウフルス 制作協力:イープラス 後援:TBSラジオ 主催:TBS(東京公演)/兵庫県、兵庫県立芸術文化センター(兵庫公演)
発売日:2月16日(土)10:00~ ¥6,900(税込/全席指定) ※未就学児童のご入場はご遠慮ください。
http://sp.eplus.jp/god/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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