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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年04月28日

ニッポン放送『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ』04/04-05/06新宿FACE

 山本耕史さん の『ヘドウィグ・アンド・アングリー・イインチ』(関連レビュー⇒)の再演は、イツァーク役にソムン・タクさんを迎え、初演より超~グレードアップしていました!

 初演はノリきれなかった私ですが、今回はオープニングの歌からガツンと感動!『ヘドウィグ・・・』の物語としてもロック・ミュージックのライブとしても楽しめました。上演時間は約1時間45分(休憩なし)。
 
 ⇒当日券予約:0570-00-3337(サンライズプロモーション東京)
 ⇒6/14(土)、15(日)に東京厚生年金会館 大ホールでツアーファイナル公演あり!
 ⇒CoRich舞台芸術!『ヘドウィグ・アンド・アングリー・インチ

 歌詞は英語のままで日本語の説明は特にありませんので、前知識はある方が良いでしょう。初めての方は映画を観てから行くと、より楽しめるのではないでしょうか。映画もサイコーですよ♪(ただしR18ぐらいだと思う)
 公式サイトで「日本語歌詞ミュージカルナンバー」が公開されています。

 ≪あらすじ≫ パルコ劇場サイトより。
 東ドイツに生まれた少年ハンセルは自由を得て、ロックシンガーになる夢を叶えるため、アメリカ兵との結婚を決意。性転換手術を受ける。ところが股間には手術ミスで「怒りの1インチ(アングリーインチ)」が残ってしまう。渡米を果すも離婚、しがないロックバンドを組み、ベビーシッターなどをして暮らす。やがて17歳の少年トミーに出逢い、愛情を注ぐが、トミーはヘドウィグの曲を盗んでビルボードNo.1のロックスターに上り詰める。裏切られたヘドウィグは自らのバンド「アングリーインチ」を率いて、ストーカーのようにトミーの全米コンサート会場を追う…。
 ≪ここまで≫

 まず、ソムン・タクさんの歌が大迫力!!冒頭の"Ladies and Gentlemen, whether you like it or not……, Hedwig!"の声で既にシビれちゃいました。タクさんは韓国でもイツァークを演じられています。

 そして、山本耕史さんもとっても魅力的でした~っ。セリフと歌に感情がしっかり織り込まれており、山本さんならではのヘドウィグ(&トミー)がそこに存在していました。さんざんお下品なことをしゃべっても、自虐ギャグを交えながらキュートにまとめるので、気まずい空気が停滞しません。ヘドウィグがトミーとの蜜月について1人2役で語るシーンは本当にそこに2人の人間がいるようで、切ない愛の対話に落涙。

 照明がライブハウスならではの臨場感をさらに盛り上げ、物語についても雄弁にサポートしていました。ダイナミックな進化だと思います。ステージと客席が同じ色に染まる瞬間は鳥肌モノ!ムービング照明も大胆でかっこ良かったです。

 あ~、誰かヘドウィグ好きの友達とツアーファイナルを観に行きたいな~っっ。

 ここからネタバレします。

 ヘドウィグを演じていた山本さんは終盤でトミー・ノーシスとして登場し、"Wicked Little Town"を歌います。それはトミーのヘドウィグに対する愛を語る歌ですが、イツァークが隣にいることで、彼がトミーなのかヘドウィグなのかがはっきりしない状態になります。この曖昧・不思議な感覚は演劇ならではの効果ですよね。

 最後はイツァークが白いドレスの女性のスタイルで登場し、黒のホットパンツ一丁になって上半身も足も露出したヘドウィグ(=トミー?)と一緒に歌います。向かい合う2人はヘドウィグとイツァーク、ヘドウィグとトミー、そしてとうとう出会った“カタワレ”同士にも見えました。作品が『ヘドウィグ・・・』の物語の外側へと広がり、国籍、人種、性別を超えた愛が2人の姿に象徴されているように感じました。

 上手からの白い明かりに照らされ、光を見つめながら立ち尽くしすヘドウィグ(=トミー)。カットアウトの暗転で幕。これもかっこ良かった。

ROCK MUSICAL "Hedwig and the angry inch"
≪東京、新潟、大阪、仙台、札幌、名古屋、神戸、東京ツアーファイナル≫
出演:山本耕史 ソムン・タク(Seo Moon Tak) バンド“ザ・アングリー・インチ”:前嶋康明(音楽監督) 中村康彦 朝井泰生 渡辺大 加藤直史
脚本:ジョン・キャメロン・ミッチェル 作詞・作曲:スティーヴン・トラスク  翻訳:北丸雄二 演出:鈴木勝秀 美術:二村周作 照明:原田保 音響:山本浩一 映像:大窪マサヒロ 衣裳:三浦将起 ヘアメイク:西岡和彦 演出助手:長町多寿子 舞台監督:篠崎彰宏 制作:神戸丈志 竹葉有紀 企画:松村吉洋 近藤久晴 制作協力:クオーレ 主催・企画・製作:ニッポン放送
一般:7800円 立見席5000円
公式:http://www.hedwig.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年04月28日 10:39 | TrackBack (0)