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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年06月03日

エムキチビート『Laputa Fall(ラピュータフォール)』05/27-06/02萬劇場

 八遣庸靖さんが作・演出されるエムキチビートは、明治大学内サークルから2005年に旗揚げした若手劇団です。第6回公演に伺いました。私は初見。

 作風は90年代によくあった小劇場演劇のよう。私は楽しめませんでした。まだまだこれから伸びる劇団なのでしょうね。上演時間は2時間弱。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ラピュータフォール

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 太平洋戦争時の日本のとある飛行機工場。
 そこには訳ありの技術者達が集められ、秘密裏に兵器開発を行っていた。
 技術者イズモは空に住むという影の無い者たちと幻想の中で出会い、そしてその工場にB-29を上回る大型爆撃機「富嶽」の開発依頼が舞い込む。
 帝国軍と技術者達と、影達と、それを巻き込む時代の波。
 エムキチビート独自の視点で太平洋戦争末期の世界を不可思議に描いていく。
 ≪ここまで≫

 マチネの終わり時間がちゃんと認識できてなくて、開演に10分ほど遅刻してしまいました(ごめんなさい)。そのためオープニングが見られず(映像と演技のコラボだったそうです。それも昔っぽい)。

 役者さんは客席に向かって元気な声で、青春真っ只中!みたいに熱くセリフを言います。表面は盛り上がってそうですが、地に足が着いていない感じ。
 ストーリーについては何を描きたいのか、何を伝えたいのかがまだ決まってないんだろうなと思いました。色んなアイディアを積み重ねて 好きなシーンやネタを組み合わせたような仕上がり。

 「千秋楽特別バージョン!」って大声で言っちゃう、アドリブのネタがいっぱい。こういうの苦手なんです。だからなるべく千秋楽には行かないようにしてるんですけど。あぁ、自分が学生劇団をやってた頃とそっくり(笑)。懐かしいな~と眺めました。

 受付やロビーにスタッフが大勢。遅れ客(私だ・・・)の誘導も丁寧で、安心して席につけました。物販も充実していて、照明、音響、美術、衣裳などのスタッフワークもしっかりしています。活動を続けていく内に作品も進化していかれることと思います。

 ここからネタバレします。

 空の上であの世とこの世を結ぶ坂を登ろうとする若者達。実は広島の原爆で一瞬にして殺された、知的障害を持つ若者たちでした。彼らは影と引き離されて成仏できないまま空をさまよっています。彼らの影たちが独自に幻の世界を作り、平和に暮らしているのが飛行機工場。敗戦を目前に敵国から攻撃を受ける影たちと、自分たちがなぜここにいるのかの原因を突き止めようとする死者たちの時間が、昭和20年8月6日で一致します。

 死者がさまよう空と、影が暮らす工場がないまぜになる物語ですが、色々と腑に落ちないエピソードやシーンがありました。意味がわからない状態を楽しめたり、舞台上の役者を観てるだけで退屈しなかったり、何らかの突き抜けた魅力があれば物語の破綻は気にならないこともあります。でもそういう瞬間は感じ取れず。

出演:田中裕二/山元文雄/若宮亮/瀬戸千夏/伊藤航/伊藤雅典(劇団ガンダム)/太田守信(劇団ギリギリエリンギ)/加藤朋子(JOKO AS)/杉山未央(少年社中)/梨本翠子(DOGADOGA+)/橋本雄介(夢のミルクこうじょう)/原田康正(JOKO AS)/フクダケンジ/松本恵子/吉岡源訓(えん突)/渡辺慎平(劇団昴)/NIY(SHAZNA)
◆脚本・演出:八遣庸靖 ◆舞台監督:辻嘉信 ◆照明:河上賢一(La sence) ◆映像:田倉紗代美 ◆音響:はらことり ◆美術:泉真 ◆衣裳:鷺典子(グレイスデザインオフィス) ◆ヘアメイク:ヤマダイサオ◆宣伝美術:小林直樹・高橋陽子(デザイン・クリーチャーズ) ◆Web:Ryu(ILLUSIONS)・ナカヤマミチコ(アロッタファジャイナ) ◆制作:伊藤静香・松島瑞江
全自由席 前売 / 2,800円 当日 / 3,000円 学生割引 / 2,000円(要学生証・要予約) 平日昼割 / 2,500円(5月30日14時、6月2日14時の回・要予約) リピーター / 1,500円(チケットの半券を受付にてご提示ください)※学生割引・平日昼割引チケットはエムキチビート予約のみ取り扱い。
http://www.emukichi-beat.com

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年06月03日 19:59 | TrackBack (0)