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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年06月05日

乞局『杭抗(コックリ)』06/04-15こまばアゴラ劇場

 下西啓正さんが作・演出(出演も)される乞局(こつぼね)の新作です。

 劇団の魅力のひとつとして「オリジナリティがあること」なんて、よく言われるんですけど、「こんなの下西さんにしか出来ないよ!」って断言できる空気感。アー気持ち悪かった。あー面白かった。笑っちゃったな~(笑)。

 私は笑って楽しんでしまうんですが、お好みではない方もいらっしゃると思います。万人受けでないのは確かなので(笑)、これからご覧になる方はそれなりの覚悟とわくわく感を持ってどうぞ劇場へ。

 上演時間は約1時間40分。劇場ロビーにはお馴染みのオブジェが夏の爽やかなムードでディスプレイされています(笑)。外から眺められますのでぜひご確認を。

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 レビューは途中までアップ(2008/06/05)。

 終演後のトークのゲストが豪華なので、そちらもどうぞチェックしてください。私は短編『グレムリンの行程』を観たかったので公演前半に伺いました。

 劇場に入るなり目に入ったのは、金属の格子戸で閉ざされた小部屋が並んだ、地下室っぽい不気味な空間。上手には男子用の便器が思いっきり露出して設置されています。それだけで笑いが込み上げてきてしまいました。「あぁ、あの牢屋と便器で何をやらかしてくれるんだろう」って。重症ですね、乞局の毒にヤられてます(笑)。

 ある場所の3つの時代を、照明の切り替えできれいに行き来しながら描きます。壁に縦に貼り付けられた蛍光灯が効果的。転換が鮮やかでタイミングもかっこ良かったです。選曲には驚かされるし、奇妙に気持ちが盛り上がるし。

 役者さんは各々の役柄としてはとても自然な存在感で、声は小さいし早口です。聞き取れないセリフもありましたが、不気味な人たちがかもし出す気持ち悪~い空気を味わうだけで満腹。激昂することが多いんです。それが真剣で、リアルであればあるほど滑稽なんですよね。「なぜにそこまで大声で、なりふりかまわず!?」と笑ってしまいます。
 登場人物の個性がそれぞれに・・・強烈(笑)。「こんな人いないよね!?」って思うけど、“こんな人”としての存在がとてもリアル。そこが役者さんの演技の見せどころですよね。堪能しました。

 意地悪だし、皮肉だし、表面的には呆れて笑うしかないほどお下劣なんだけど(笑)、後からゆっくり思い返してみると、実は世代を越えた心温まるお話なんですね。同じ回を観たお知り合いが「大河ドラマのよう」とおっしゃっていて、なるほど納得でした。
 人間は場所(土地)に染み付くように、そこから逃れられずに(そこに守られて)生きているという考えに、私は共感します。この作品でも、ある小さな部屋に息づいた魂のようなものが感じられました。

 ここからネタバレします。レビューは途中です。

■『グレムリンの行程』(約20分)
 作・演出:下西啓正 出演:岩本えり・三橋良平 日替わりゲスト:池田ヒロユキ(リュカ.) 声の出演:佐野陽一・ 西尾佳織・大塚秀記=監視員

 3人でくじ引きをして加害者、被害者、中立の立場を決める。
 安い時間給で働いて、姿が見えない声に命じられた上下関係に従って、偉そうになったり従順になったり。中立者が行うのは柿の種をピーナッツと柿(の種型のおかき)に分けるという無駄な作業。最後には、分けたピーナッツと柿も自分達で食べるという究極の無駄。まるでシベリアで抑留されていた日本兵士たちの労働のよう。現代日本の労働環境を暗示してるようにも。

出演:岩本えり、下西啓正、西尾佳織、三橋良平、池田ヒロユキ(リュカ.)、大塚秀記、數間優一(スロウライダー)、佐野陽一(サスペンデッズ)、村岡正喜(Not in service)、木引優子(青年団)、玄覺悠子、墨井鯨子、野津あおい
【脚本・演出】下西啓正 【舞台美術】袴田長武+鴉屋【照明】吉村愛子(Fantasista?ish.)【音響効果】平井隆史(末広寿司)【演出助手】田中元一(田中兄弟)【舞台監督】谷澤拓巳+至福団【衣装】中西瑞美【スチール】鏡田伸幸【撮影】テアトルプラトー【宣伝美術】サノアヤコ【WEB】柴田洋佑(劇団リキマルサンシャイン)【制作】西岡よどみ 小山与枝乃(猫ノ手)【企画制作】乞局(コツボネ)/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場【主催】(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【発売日】2008/05/02 【日時指定・全席自由】 前売り・予約:2,800円 当日:3,200円 学生割引:2,300円(要学生証提示) 喪服割引:2,300円(劇団予約のみ・予約は前日まで受け付けています) (喪服もしくは喪服に準ずる服装でお越し下さい)(4(水)~8(日)は2,000円になります) ※15歳未満入場不可
http://kotubone.hp.infoseek.co.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年06月05日 00:00 | TrackBack (0)