ご縁があって旗揚げ公演から拝見しているDULL-COLORED POPは、谷賢一さんが作・演出される劇団です。
毎日2ステージ、金曜日の夜に25時開演の回があるというのに驚きです。大丈夫なのかな~、若いからできることだと思いますが(笑)。上演時間は約2時間弱。
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≪あらすじ≫
父親に16年間監禁されて育った少女マリー。外の世界に出て知ったことは・・・。
≪ここまで≫
何も無い白いひし形のステージ。奥には真っ白の壁。劇場の黒い壁がそのまま露出しています。白と黒しか知らないマリーの部屋です。タイニイアリスは装置を建て込むよりもこんな風に使われるのが好き。
伝えたい(のであろう)ことがシンプルでわかりやすかったし、色んな場面がひし形のステージで同時に交錯する演出も効果的だったと思います。美術の仕掛けは大胆でがんばってて、面白かった。ただ、演技の方法については良い選択をしたとは思えませんでした。マリーの話し方がアングラ劇みたいで引いてしまいました。全体的に、役者さんは気持ちを作るための時間をとりすぎている気もしました。
2005年の旗揚げ公演から拝見していますので、毎回進歩しているのを感じるのは一観客として楽しいです。作風は毎回変わっていますので、まだまだ試行錯誤中なんだろうと思います。次回はジャニス・ジョップリンの評伝劇だそうです。どこまで飛ぶんでしょうか(笑)。
終演後に朗読劇『ソヴァージュばあさん』の無料上演あり。6/5ソワレのみ。
脚本:谷賢一 (DULL-COLORED POP) 演出:黒澤世莉
出演:上野友之(劇団競泳水着) / 菊池美里(トリコ劇場) / 坂口辰平(ハイバイ) / 酒巻誉洋(elePHANTMoon)
ここからネタバレします。
白い壁に赤、青、黄色、緑、オレンジなどのカラフルな絵の具でラインブペインティング。白と黒しか知らなかったマリーが七色に触れていくのが、照明でもうまく表現されていました。
父親(日替わりゲスト)が警察につかまって保護されたマリー(清水那保)は、病院でまた軟禁状態になります。素晴らしい研究材料を手に入れた医者たちがこぞってマリーを取り合いますが、マリーは若い研究者・安城(千葉淳)だけになつくようになります。安城が見せてくれた人間の生々しい感情が、マリーには面白くてたまらなかったから。彼女には感情に色がついているように見えるのです。
欲望に忠実に生きたマリーは、色とりどりの“素晴らしい世界”を手に入れますが、同時に世界の素晴らしくない部分も知ってしまい、無邪気さを失って、自分がついた嘘のせいで罪も背負ってしまいます。美大を目指して大きな壁画をペイントするマリーは、複雑で、理不尽で、不可解な世界を知った顔をしていたように見えました。"What a Wonderful World"の歌詞(英語・日本語とも)がパンフレットに掲載されていて親切。
弁護士役の小林タクシーさんが軽やかで遊びがあり、自然な存在感。“都合のいい彼女”役の堀奈津美さんも可愛かった。
露骨なセックシーンがあって男が女(堀奈津美)にある行為をさせるんですが、まあ、普通に不快ですね、私は。風刺とかギャグとか(例えば⇒1、2)だと別なんですが。
サディスティック演劇的思考実験による人間模様白黒はっきり劇
出演:堀奈津美(DULL-COLOREDPOP)、小櫃川桃郎太(小櫃川桃郎太一座)、菅野貴夫、久保亜津子(向陽舎)、小林タクシー(ZOKKY)、滝井麻美、田中のり子、千葉淳、清水那保(DULL-COLOREDPOP)
日替わりゲスト:中田顕史郎・原田紀行・齋藤豊・岩☆ロック 私が観た回は齋藤豊さん。
脚本・演出:谷賢一(DULL-COLOREDPOP) 舞台監督:吉川悦子 照明:松本大介(enjin-light) 音響:長谷川ふな蔵、余田崇徳 舞台美術:鮫島あゆ&グラマラスキャッツ(鮫島あゆ、小林慧輔) 宣伝美術:鮫島あゆ 役者顔写真撮影:堀奈津美 予告編監督・制作:長谷川剛 制作:塩田友克(クロムモリブデン)、鮫島あゆ&クレイジービーンズ
【発売日】2008/04/26 前売: 2500円 当日: 2800円 学割: 大学生500円引き、高校生以下1000円引き(要証明書) リピーター割引料金:1000円(要半券提示) 昼ギャザ: 平日昼・10名動員ごとに100円、最大500円キャッシュバック。
http://www.dcpop.org
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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