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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年06月07日

プリエールプロデュース『おしるし』06/03-08赤坂RED/THEATER

 ONEOR8の田村孝裕さんの作・演出作品です。チラシのビジュアルが私の得意方面ではなかったので躊躇していたのですが、CoRich舞台芸術!の評判が良かったので観に行きました。

 「出産」というキーワードから思い浮かぶ様々なテーマにシビアに迫ります。一筋縄ではいかない展開に、笑いもいっぱいでとても面白かったです。どなたにでも安心してお薦めできるお芝居でした。大きな劇場でも上演できるのではないでしょうか。上演時間は・・・失念。2時間弱だったような。

 ⇒CoRich舞台芸術!『おしるし

 ≪あらすじ≫
 東京ではないどこか田舎の街の産婦人科。夫婦ともども産婦人科医の菊地夫妻が経営している。ある日、突然やってきた院長の姉・多喜子(49歳)が言った。「私、妊娠したの」。
 ≪ここまで≫

 ある産婦人科の談話室のような部屋が舞台。登場人物の性格やバックグラウンドを示すヒントが、セリフの中に最小限に納められています。セリフの無いシーンにも厚みが感じられました。じんわりと照明の変化で観客に想像させる時間がちょっと長い目で、それが良かったです。
 院長役の井之上隆志さんのしつこい、しつこいネタに、どう抵抗しようとも(抵抗しなくていいんだけど・笑)笑ってしまいます。

 パンフレットによると田村さんは独身でお子さんもいらっしゃらないとのこと。「こうあるべき」「こうするべき」「これが理想だ」というような個人的な思い込みに縛られず、ありのままを遠くから眺める視点があるからこそ書けるのかな~と想像しました。

 ここからネタバレします。

 2人目の子供を生むベテラン妊婦(加藤亜矢子)、超高齢出産をする多喜子(重田千穂子)、学校の先生との間に望んでいない子供を妊娠した若い女(上脇結友)、子供が生めない産婦人科医(小林美江)らが登場します。院長が院内で浮気をしているというハードな設定もあり、「幸せの見本」のような人はいません。出産という人生の一大イベントを前にして、誰もがそれぞれの問題に向き合わざるを得ず、本音を垂れ流して、ドタバタ・四苦八苦する姿が愛らしい。

 私も「子供はお母さんを選んで生まれてくる」と考えています。受精したら生まれるという簡単なメカニズムじゃない気がするんですよね。命ってそんなに単純じゃないはず。そう信じられれば多喜子のように幸せな母親になれるし、そうじゃなきゃやってられないんじゃないかな(笑)。

 とうとう生まれた多喜子の子供の父親が、20年以上つき合っていた妻子持ちの男(小林大介)ではなかったという結末は痛快。女は強い。

出演:重田千穂子(49歳の初産妊婦) 井之上隆志(産婦人科医) 小林美江(女医) 上脇結友(若い初産妊婦) 江原里実(産婦人科医の浮気相手) 小林大介(花組芝居:ヨガの先生)  恩田隆一(ONEOR8:コック) 加藤亜矢子(コックの妻) 不二子 和泉麻子 目次菜伸子 有川加南子
脚本・演出:田村孝裕(ONEOR8) 美術:上田淳子 照明:稲葉直人(ASG) 音響:藤平美保子(T.E.S) 衣裳:下村由香 舞台監督:松下清永+鴉屋 舞台監督助手:青木規雄 宣伝写真:塩谷安弘 宣伝美術:鈴木勝(FORM) 票券:橋本あすか 制作:津田はつ恵 プロデューサー:有本佳子 企画・製作:プリエール
【発売日】2008/04/23 前売:4,500円 当日:4,700円
http://priere.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年06月07日 11:47 | TrackBack (0)