柿喰う客は中屋敷法仁さんが作・演出(出演も)される劇団です。新作『俺を縛れ!』は王子小劇場が主催する佐藤佐吉演劇祭2008のトップバッター(⇒ラインアップ)です。
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※腱鞘炎で執筆をお休み中だったため後日加筆(2008/07/22)。
≪あらすじ≫
時は江戸時代中期(あいまい)。幕府からキャラ令が発令されて、大名は与えられたキャラを演じなければならなくなる(例:ラーメン大名、インポ大王、ものまね大名など)。「裏切り大名」を命ぜられた切羽詰丸(堀越涼)は、お上に忠実であろうとして実際に謀反を起こすことになり・・・。
≪ここまで≫
黒い抽象舞台。2階部分もステージ周辺もうまく使って、大人数の(といっても柿喰う客にとってはほどほどな)出演者が、飛んで走って叫んで、空間全体が躍動感いっぱい。技術が高いわけではないでしょうが、殺陣には迫力も見ごたえもありました。
ここからネタバレします。
時代ものですが、誰かから与えられたキャラを演じることに不自由さを感じつつも、簡単に受け入れてそのまま実践するというのは、現代人に当てはまることです。誰かにそそのかされて主人公が天下を取ろうとするのは、シェイクスピアの『マクベス』から来ているのでしょう。悪ふざけをしているようで、しっかり風刺・引用を効かせるのが中屋敷さんの戯曲の面白いところです。
ストーリーが大変面白かったため、途中で物語を放棄したのはもったいない気がしました。起承転結のある作品にすることを重要視していないのでしょう。でも、ここまでしっかり作ったなら最後までやっても良かったんじゃないかな。
モーニング娘。の歌をフルコーラスで歌うシーンは、観客にとっても出演者にとっても、ある意味、拷問(笑)。盛り上がろうにも盛り上がれない演出になっています(意図的に)。この乱暴さが劇団の持ち味だと思いますし、常に何らかの境界線を越えようとする姿勢は好きですね。でも上演時間が2時間以上(たしか2時間15分ぐらい)でラストにひっくり返るのは、バランスが良くない気がします。切羽詰丸ばかりに焦点が当たりすぎていたようにも思います。
「人間は“縛り”が全くないと生きづらい。だったら“抱きしめる”ぐらいがちょうどいい」といった主張が最後にあったように記憶しています。素敵なアイデアだと思いますが、中屋敷さんが登場してセリフで説明してしまうのは残念。
佐藤佐吉演劇祭2008参加公演
出演:高木エルム、七味まゆ味、コロ、玉置玲央、本郷剛史、村上誠基、石橋宙男、浅見臣樹、梨澤慧以子、佐野功、花戸祐介、森桃子、川畑舞香、佐藤みゆき(こゆび侍)、こいけけいこ(リュカ.)、堀越涼(花組芝居)、丸川敬之(花組芝居)、中屋敷法仁
脚本・演出:中屋敷法仁 舞台監督:藤本志穂(うなぎ計画) 舞台美術:世多九三 音響プラン:上野雅(SoundCube) 音響オペレーション:平井隆史 照明:富山貴之 殺陣:佐野功 衣装:浅利ねこ(劇団銀石) 演出助手:加藤槙梨子 野田裕貴 映像:高橋希望 記録写真:渡辺佳代 記録映像:山川亨平 宣伝美術:山下浩介 制作:田中沙織 制作補佐:清水建志 吉澤和泉
【休演日】23日(月)【発売日】2008/05/12 ※日時指定・全席自由 前売券2,500円 当日券2,800円 学生券2,300円(要予約・要学生証提示) 団体券6,300円(要予約・3名様でご来場のお客様対象) 中高生券1,500円(要予約・各回10枚限定・要学生証提示)
http://kaki-kuu-kyaku.com/
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※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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