劇26.25団(ゲキ・ニジュウロク・テン・ニーゴー・ダン)は、杉田鮎味さんが作・演出される劇団です。王子小劇場が主催する佐藤佐吉演劇祭2008参加作品。
上演時間は約1時間40分。前に観た『博愛』がかなり好きだったので、それよりはパワーダウンだったかも。『博愛』はNot in serviceという劇団で10月上旬に上演予定(@早稲田大学学生会館B202)です。
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≪あらすじ≫
へんぴな場所にある、とある企業の工場。社員たちは外界からはほぼ切り離された生活を送っており、ある種の隔離されたコミュニティーが成立しているようだ。
≪ここまで≫
劇場に入って右側が客席、左側が舞台になっていました。劇場備え付けのロフトも組み込んだ大掛かりな美術は、建物の屋上や喫茶店なども上手に表現していて、天井が高いブラックボックスである王子小劇場の利点を生かしていました。
設定を説明して、物語の核となる部分の外枠を埋めていく時間が長かった気がします。核心に触れる事件が起きたところで終わってしまったような印象でした。
ここからネタバレします。
ワールド・フレーバーの工場で働いて3ヶ月もすれば、日に焼けるわけでなくとも皮膚が黒くなるという設定でした。工場ではカラス肉の加工をしながら、実は人体実験(人肉を食肉用に加工?)をしていることがほのめかされます。また、工場で働く社員には鬱患者を躁状態にする効用がある(?)薬がこっそり投与されており、皆が工場を楽園だと思って暮らしています。
ワールド・フレーバーで暮らしている孤児(林佳代・親泊義朗)が、どうしても子供には見えず。子供らが舞台を走り回るシーンはもっと少なくてもいいんじゃないかしら。工場が幸せな居場所であることを表そうとしたのかもしれませんが、それは伝わって来なかったですね。
所長のアザミ(赤荻純瞬)は婚約が破談になったショックで(?)家族と疎遠になり、3年間ずっと実家には帰らずワールド・フレーバーで働いていました。妹のすみれ(須藤真澄)が何度も工場を訪れますが、アザミは外に出ようとしまえん。アザミは社員が薬漬けになっていることを知りながらも、工場を守ろうとします。彼女がそこまでする理由がわからなかったな~。
外部からやって来る体操のお兄さん(長尾長幸)が、拡声器で「工場で働く人間の目が死んでいるのは、何らかの薬を飲まされているからだ」と暴露するあたりから、ようやく空気が動いたようでした。アザミとその妹すみれが口論する、最後のシーンが見どころだったかも。
奥さんのお腹にいる赤ん坊に胎教をしているという幸福そうな男性社員が、医者の「この薬を飲んだら何もかもどーでもいい!ってなれるよ」という言葉にそそのかされて、わはわは笑いながら薬を受け取ります。そうはしないだろうと思っちゃいましたね。男性社員は子供のことを本当に大切にしているように見えたので。
佐藤佐吉演劇祭2008参加作品
出演:赤荻純瞬、渡邉香林、田島冴香(東京タンバリン)、林佳代、親泊義朗(ファンカスキャンパーズ009)、柏村信(安全品)、杉元秀透、須藤真澄、上松頼子(風花水月)、駒木根隆介(赤堤ビンケ)、長尾長幸
脚本・演出:杉田鮎味 舞台監督:弘光哲也 舞台美術:袴田長武+鴉屋 音響 :島貫聡 / 内野智子 照明 :井関直美 演出助手:メトロ=サスケ (ポリタン煉瓦亭) 宣伝美術:小向美実 宣伝写真・舞台撮影:鵜戸庚司 宣伝写真オブジェ製作:征矢杏子 衣装:杉田鮎味 制作 :つがわん 企画製作:劇26.25団
【発売日】2008/07/05 日時指定・全席自由 前売 2,500円 当日 2,625円 中高生割引(前売・当日共) 1,800円 要学生証 平日昼割引(前売・当日共) 2,000円
http://25dan.com
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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