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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年08月17日

タカハ劇団『ボクコネ ボクはテクノカットよりコネチカット』08/14-17駅前劇場

 高羽彩さんが作・演出されるタカハ劇団。早稲田の学生会館を拠点にしていたかと思ったら、もう駅前劇場へ。

 旗揚げ公演の再演だそうです。上演時間は約1時間45分。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ボクコネ

 ≪あらすじ≫ 少々ネタバレしています。
 ボケはじめた大家さん(田中沙織)が管理するオンボロアパートの住人たちは、自称ひきこもりの男(西尾友樹)の部屋にたむろして今日も今日とて貧乏談義。突然見知らぬスーツの男女(川島潤哉&鈴木麻美)が入り込んできて叫んだことには、「皆さんに、宇宙旅行が当たりました!」・・・。
 ≪ここまで≫

 学生会館でやってそうなお芝居だな~というのが第一の感想でしたね。緊張感が増すシーンのすぐ後に、笑いのアクセントが効く演出が面白いなと思います。

 高羽さんと同じ20代前半の劇作家・黒川陽子さんの『ハルメリ』との共通点を感じました。キーワードは周囲の評判、多数決などでしょうか。ネット社会の今を敏感にとらえてらっしゃるのだと思います。 

 ここからネタバレします。

 アパートごと宇宙へと飛び出した後に地球が真っ二つになって崩壊したため、アパートの住人たちと旅行会社社員らが最後に残された人類ということになります。

 宇宙人と仲良くなるための準備では、好感度を高める(と予想される)案が採用されます。なるべく多くの人に好かれようと頑張る姿は、明らかに空回りしていて滑稽です。

 長く生き延びるための冷凍睡眠に入るには、その装置の外で冷凍開始のスイッチを押す人が必要です。ただしその人は、装置の中に入れないため死ぬことになります。
 誰がスイッチを押すのかを議論した結果、全員がボケた大家さんにその役目を果たしてもらうことに同意します(大家さん不在の会議で)。「みんなで幸せに」「我々は仲間です」などと声高に言っておきながら、仲間を1人殺すことは「仕方ない」「やむをえない」「理性的に考えたら妥当」と考えるんですね。この矛盾は実社会でもよく目にすることだと思います。

 大家さんと、仲良しの宇宙人(酒井杏菜)が、宇宙の闇の中で星を眺めるラストシーンが美しかったです。客席にも星の明かりをつけてくださいました。

納涼番外企画公演
出演:異儀田夏葉 川島潤哉(コマツ企画) 酒井杏菜(メタリック農家) 鈴木麻美(北京蝶々) 田中沙織(柿喰う客) 西尾友樹 森戸宏明(動物電気)
脚本・演出 高羽彩/舞台監督 藤田有紀彦/舞台美術 稲田美智子/照明 吉村愛子(Fantasista?ish.)/音響 角張正雄(SoundCube)/小道具 田畑美穂/衣装 佐藤愛/作詩・作曲 高羽彩/編曲 松谷友香/フライヤーデザイン サノアヤコ/運営 安田裕美/制作協力 赤沼かがみ(G-up)/企画協力 嶌津信勝(krei.inc)/製作 タカハ劇団/
【発売日】2008/07/07 前売 2500円/ペアチケット4600円(要予約) 当日 2800円
http://takaha-gekidan.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年08月17日 16:59 | TrackBack (0)