畑澤聖悟さん作『修学旅行』は、2005年全国高等学校演劇発表会にて最優秀賞を受賞した作品です。加筆して約1時間30分になった作品を秋田雨雀・土方与志記念 青年劇場が全国で上演しています。
中学生がなんと1週間で作った無料マチネ公演と、渡辺源四郎商店(なべげん)メンバーによるソワレ公演を拝見しました。上演時間は約65分。
⇒『修学旅行』鑑賞ツアーの写真レポート①、写真レポート②
⇒CoRich舞台芸術!『修学旅行』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
舞台は沖縄県内のとある旅館。青森の県立高等学校の一行が、平和学習も兼ねて沖縄に修学旅行にやって来たが……。
≪ここまで≫
■中学生演劇ワークショップ版
「ココロとカラダの平和教育・中学生演劇ワークショップ ~7日で作る『修学旅行』」という夏休みの企画で、青森の中学生が演劇創作・発表に取り組みました。7日といっても最初の2日間はオーディションやディスカッションなので、実質の稽古期間は5日間なんですよね。
中学生のワークショップ発表会はこれまでに2度拝見していまして(⇒1、2)、今作は驚愕の完成度でした。セリフも完璧ですし(プロンプ無し)、何より観客に見せる姿勢が堂々としていることに驚かされました。実はなべげん版の俳優が同じ役を演じる中学生に、マン・ツー・マンで指導したそうです。なんて贅沢なワークショップ!
「戦争とはなにか?」を問いかけるこの作品に取り組むに当たり、参加者は脚本に出てくる言葉について調査・発表をしています。戦争について語るセリフが軽々しくなかったのはこの成果なのでしょうね。あぁうらやましい。私が中学生だったら絶対受けたかった・・・。会場ロビーに展示された中学生のレポート↓
会場にはテレビカメラが入っていました。なんと5つのテレビ局から取材されたそうです。10月中旬以降に全国ネットで放送されるそうですので、ぜひご覧ください(詳細は劇団ウェブサイトで発表)。
【お芝居の感想】ネタバレあり。
たたみの部屋に5つの布団。修学旅行中の女子中学生たちのケンカが、地球上で起こっている戦争に重なります。ソフトボール部のカキザキが振り回すバットはテポドンであり、大量破壊兵器であり。布団をばらばらに離して妥協案を出し合うのは国連の会議みたい。
国の名前をひとつずつ言っていくシーンでやはり落涙。
■渡辺源四郎商店版
青年劇場版、中学生版につづき3種類目の『修学旅行』。中学生版は部分的にセリフがカットされていることがわかりました。
キャラクターがはっきりと際立っていて、人物の背景もわかりやすかったです。ただ、マチネの中学生のパワーに比べるとおとなしめだったかも。
工藤由佳子さんの殺気だったお色気テロにクギづけ(笑)。
終演後に主宰・作・演出(出演も)の畑澤さんにお話を伺いました。
畑澤「マン・ツー・マンの指導は、いわば生徒一人ずつに師匠ができた状態でした。この方法じゃなきゃ5日間ではできなかったでしょう。」
畑澤「青森に劇団アトリエを構えたということは、青森に根付いて活動していくという意思表明。地元の方々と演劇体験をいかに分かちあえるかが勝負だと思っています。目指すのは地域密着の姿の体現ですね。」
≪青森県内3箇所≫
中学生版出演:千鳥杏美 中島愛佳 浦実奈子 上打田内恵美 鹿内千由紀 古川里奈 大阪果夢 宮川彩音 岡田真実 津島有香 渡邊太朗 山口知美 坂本有美華 石田子聖 小笠原七海
渡辺源四郎商店版出演:工藤由佳子 高坂明生 工藤静香 三上晴佳 山上由美子 工藤良平 葛西大志(劇団夢遊病社) 柿崎彩香 工藤貴樹 秋庭里美 寺田雅代 畑澤聖悟
脚本・演出:畑澤聖悟 照明:浅沼昌弘 音響協力:藤平美保子 舞台美術:畑澤聖悟 装置:萱森由介 プロデュース:佐藤誠 ドラマターグ・演出助手:工藤千夏 宣伝美術:木村正幸 制作:渡辺源四郎商店 制作補:西後知春 おりゅう 主催・企画制作:渡辺源四郎商店 共催:NPO法人アートコアあおもり
※=8月16日(土)~8月18日(月)の15:00開演の回は、「中学生演劇ワークショップ ~7日で作る『修学旅行』」の発表公演となります。(入場無料)
全席自由・日時指定・税込 前売・予約 一般 2,200円/学生(高校生以下も含む) 1,000円 当日 一般 2,500円/学生(高校生以下も含む) 1,200円
http://xbb.jp/wgs
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。