上田誠さんが作・演出されるヨーロッパ企画の“やったね10周年ツアー”です。
東京公演は早々と前売り完売でしたが、当日券が出ています。上演時間は約1時間50分。
公演パンフレット“ヨロッパ通信”第5号の記事「10周年記念パーティー」は、重みのある内容でした。劇団が存続して10年経つのは凄いことですね。
⇒CoRich舞台芸術!『あんなに優しかったゴーレム』
≪あらすじ≫
あるプロ野球選手のドキュメンタリー撮影現場。選手が出身地にある思い出の空き地で、土でできた大きな像をさわりながら「このゴーレムとキャッチボールをしたのが僕のルーツです」と言い出す。変な妄想を放送するわけにいかないと困り果てる撮影スタッフは、なんとか“ゴーレム”から話題をそらそうとするが、選手は“ゴーレム”にこだわり続ける。“ゴーレム”って本当にいるの?
≪ここまで≫
2階立てになったセットは、土の像“ゴーレム”も含めリアルな作りです。地上のドタバタが地下とがつながっていくのが楽しいですね。
ヨーロッパ企画を観に行く時は、脚本や演出、出演者を楽しみにするというより、“ヨーロッパ企画に会いに行く”気持ちが大きいです。前回も幸せでしたが、今回も観ている最中から嬉しさがこみ上げてきました。劇団全体の空気感やコンビネーションが魅力なんですよね。ヨーロッパ企画のように劇団員だけで全国的に活躍している小劇場団体って、他にあまり思い浮かばないです。
ここからネタバレします。
空き地の地下はゴーレムに育てられているみなしごの家でした。ゴーレムは土と一体化した生き物なので、壁がゴーレムそのものであり、少女と一緒に暮らしていることになります。ゴーレムが土に埋めたスーパー・ファミコンのコントローラーで“ぷよぷよ”をプレイするのが可笑しい。
テレビ・クルーが徐々にゴーレムの存在を信じ始めた頃、音声担当スタッフがペガサスを目撃します。必死でペガサスの存在をアピールする音声担当に向かって、他のメンバーがぶつけるセリフが滑稽です。
「ペガサスは架空だよ」「ゴーレムと同じにしないで欲しい」「ゴーレムまでは本当。何だ、その線引き!?」
とうとうゴーレムと選手のキャッチボールの撮影に成功したクルーですが、ペガサスを追って撮影した時、誤ってキャッチボールの映像を上書きしてしまいます。全員であれだけ「ゴーレムはいる」と確認しあったものの、証拠はなくなってしまいました。この瞬間の無力感が良かったな~(笑)。何が本当か嘘か。曖昧なものですね。
~やったね10周年ツアー~
≪滋賀、京都、愛知、大阪、広島、福岡、東京≫
出演:石田剛太、酒井善史、諏訪雅、角田貴志、土佐和成、中川晴樹、永野宗典、西村直子、本多力 松田暢子・山脇唯が体調不良により降板。
脚本・演出:上田誠 美術:長田佳代子 照明:葛西健一(GEKKEN staff room) 音響:小早川保隆(GEKKEN staff room) 衣裳:中嶋祐一(artburt) 舞台監督=筒井昭善×大鹿展明 脚本協力:松居大悟 大歳倫弘 演出部・演出助手:柳原暁子 演出部・小道具製作:中川有子 小道具:酒井善史 松田直樹 大道具:俳優座劇場舞台美術部 ゲーム音源製作:伊藤忠之(ロボピッチャー) 宣伝美術:井上能之 宣伝写真:成田直茂 舞台写真:清水俊洋 映像収録:ドットオフィス 宣伝映像:大見康裕 山口淳太 WEB:樫木由子 柏敏行 片岡二郎 中路まり絵 制作:井神拓也 諏訪雅 本多力 吉田和睦 吉永祐子 東京公演制作協力:サンライズプロモーション東京 ゴーチ・ブラザーズ 共催:(財)としま未来文化財団 ニッポン放送 企画・製作:ヨーロッパ企画
【発売日】2008/05/31前売3,300円/当日3,500円(全席指定・未就学児入場不可)
★8/20 14:00の回、8/21 14:00の回 終演後、ヨーロッパ企画メンバーによる「おまけトークショー」あり。
http://www.europe-kikaku.com/projects/e26/main.htm
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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