アメリカのNPO団体“ヤングアメリカンズ”の、アジアの子供たち向けのワークショップ・プログラムの発表会に伺いました。前半に40分ほどヤングアメリカンズのショーがあり、後半は子供たちも一緒のパフォーマンスが披露されました。
アメリカ文化が手放しに大好きで、運動好きな方は楽しめるかもしれません。私個人としては、“子供向けの教育プログラム”としては誰にもお勧めしたくない企画でした。
前半の“ヤングアメリカンズ”のショーはアメリカの音楽・娯楽文化(モータウン/賛美歌/ポップス/ミュージカル/ディズニー/等)のざっくりとした紹介です。驚いたことに、開幕前に暗転するやいなや、舞台間近の席に座った子供たちが歓声を上げ始めました。はじまる前からいきなりノリノリ。私はドン引きでした。
参加者から聞いたところによると、上演プログラムは毎回ほぼ同じだそうです。中には「今回が6回目」という常連の子供たちもいて、ヤングアメリカンズのメンバーとも親しい様子。
“ヤングアメリカンズ”は本格的なプロのダンサーやシンガーではないようで、踊りや歌がブロードウェイ・ミュージカルの出演者のように見事なわけではありません。でも無料のショーとしては不満なく鑑賞できました。約40人もの若者が一生懸命歌って踊るんですから、それだけで圧巻です。
でも、アメリカ人お得意の「カモン、ジョインナス!」な態度には、私は慣れることができませんでした。演技も感極まった振りをして、悦に入っているように見えてしまって・・・。
後半の子供たちのパフォーマンスはダンスも歌も凝ったもので、初心者がたった2日で覚えるのは大変だろうなと思いました。案の定、“デキない子”たちは大きくまとめられてガヤ状態。でも“デキる子”はクラシックバレエのソロを踊ったり、ピアノを弾いたり、朗々とソウルフルに歌い上げたり、どんどん中央に出てきて技を披露する時間をもらえます。まさにショウ・ビジネスの弱肉強食の世界でした。※プロのパフォーマーを目指す方にとっては良い体験になるかもしれません。
ソロで歌っている最中に個人的に誰かへの感謝の気持ちを英語で述べて、勝手に涙する子がいました。まるで何かの賞を受賞したかのような一人感無量状態(汗)。その後でヤングアメリカンズのメンバーと抱き合ったりして、心底げんなりでした。アメリカ文化を間違った方向から真似してしまっているんじゃないかと、おこがましいとは思いつつ心配になります。
舞台を鑑賞する前の段階から私が大きくつまづいたのは、日本人、中国人、韓国人の子供が参加しているのに、言葉は全て英語で、通訳がないことでした。英語がわからない子供たちは置いてきぼり。観ていてその差が明らかにわかりました。常連およびバイリンガルの子たちは自分から飛び込んで楽しんでいますが、そうじゃない子たちは無理やりやらされてる感が満面に。痛々しかったです。しかも子供に英語で「We are one」とか歌わせて・・・(涙)。パフォーマンス中に観客に語りかけるのも英語のみですから、英語がわからない保護者も置いてきぼりでした。
パフォーマンスの最後に主催者の挨拶がありまして、男性が「英語が下手なので申し訳ないんですが、日本語で」とおっしゃったことに驚愕しました。ここは日本だし、観客は大半が日本人です。韓国人、中国人にとっては日本語と英語ばかりが飛び交うわけで、とても失礼だと思いました。募集パンフレットに、参加者も観客も英語が理解できる人が対象だと明記していただきたいです。
※ただ、これも参加者(日本人)から聞いたことですが、中国人と韓国人の子供たちはほとんどが英語がわかるバイリンガルだったそうです。客席を見渡したところ、ブランドもののお洋服やアクセサリーに身を包んだ保護者が多数。つまり富裕層ですね。
「The Young Americans Meets Asian Kids 2008」 8/25~27の3日間。3日目のお昼に発表会。帰宅は8/28午前中。
アジアと日本の子どもたちとの交流を深める、宿泊付きの特別プログラム
NPO法人じぶん未来クラブ アジアンキッズ交流プロジェクト実行委員会
http://www.jibunmirai.com/ya/asian/index.html
http://www.youngamericans.org/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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