『踊る大走査線』シリーズでも有名な映画監督の本広克行さんが舞台演出を手がけるプロジェクトの第3弾。脚本は3作とも高井浩子さん(東京タンバリン)です。上演時間は約1時間50分。
多田淳之介さん(東京デスロック)と演出の本広さんのトークの日に伺いました。「そんなにざっくばらんに、正直に話していいのかしら?!(笑)」と不安になるぐらいのぶっちゃけトークで、これはトークのある日がかなりお得なのではないかと思いました。
MoPiXインタビュー⇒1、2、3
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レビューをアップしました(2008/09/21)。
第1弾しか観ていませんでしたが、問題なく楽しませていただきました。というか、予想していたよりも脚本も演出もとても面白かったです。多くの方が気軽に楽しめるエンターテインメントと、演劇ならではの演出の妙とが、良いバランスでミックスされていたように思いました。
≪あらすじ≫
ある劇団の公演初日。劇場入りしたスタッフ・役者たちはそれぞれに本番に向け準備をしている。ゲネプロ(本番同様に上演するリハーサル)を観た脚本家(川田希)は衝撃を受けた。脚本が大幅に変更されていたのだ。
≪ここまで≫
舞台上と舞台裏(楽屋も)を見せながら、人間の表の顔と裏の顔をあばいていきます。回転舞台(お盆)の仕掛けはこの規模の小劇場では嬉しい、豪華な装置でした。実際の舞台裏のドアも、客席も調光室も使って、メタ芝居の要素をあちこちに生かしています。
演技についても、スポットライトを浴びた独白あり、現代口語演劇あり、ネタものエンタメ芝居ありで、さまざまな手法を盛り込んで楽しませてくださいました。
役者さん同士のコミュニケーションにはプロデュース公演ならではのバラバラ感がないわけではなく、少々信憑性に欠ける対話シーンもありましたが、描かれているのもプロデュース公演の現場ですし、そういった溶け合わないものが混在した状態も含めて、演出として受け取れました。
可愛い顔して仲良くしておきながら、裏ではお互いの悪口を思いっきりしゃべってる女優さんたちのキャラクターに、女性作家ならではの厳しさが出てる気がしました。
ここからネタバレします。
舞台で上演される戯曲は「三人姉妹」をモチーフにしたものでした。家をビルに建て替えることにしたため、亡き母が愛した庭をつぶすことになります。自分たちで決めたことだけれど、なくなってしまうことを人間は悲しみます。でも「新しい庭を造ろう」と前向きに未来を見つめることもできるんですよね。“庭”のイメージを窓の外にある庭以外にもちりばめた装置が良かったです。
舞台監督(辰巳智秋)がペンライトで蓄光テープに光を当てる演技をしたり、事故死してしまった俳優(永野宗典)が、スケッチブックを舞台に出す役割を果たしていたことが本番中にわかるなどは、舞台製作に関わる人ならではの細かいエピソードだと思いました。
気取ってえらそうにしていた若い演出家(近藤智行)が、独白で方言になるのが笑えます。亡くなった俳優の代役をすることになり、舞台上でテンパった時にも思わず方言が出てしまうのが、さらに可笑しい。
終演後のトークで多田さんも指摘されていましたが、実はお盆をまわしているスタッフ(舞台監督?演出部?)の姿も観客に見えており、それもまたメタ構造を感じさせて面白かった。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:本広克行/多田淳之介
本広「舞台と客席の境を無くしたいと思った。これは映画やテレビでは絶対に出来ないことなので。たとえば開演前に最初からスタッフが舞台上にいる(見切れている)とか。」
本広「これは公言していることですが、この舞台(の演出)は映画『フランス軍中尉の女』に非常に大きな影響を受けています。」
本広「不謹慎な笑いがものすごく好き。実は『踊る大捜査線』はそんな笑いばかりの脚本なんです。」
本広「実はゴダールが大好きです(笑)。」
本広「多田くんは『わかる人だけわかってくれたらいい』っていう芝居を本気でやっていて、超うらやましい!」
多田「いや、僕だって誰にでも楽しんでもらえると思って作ってるんですよ(笑)。」
本広「青年団の稽古場を見学させていただいたんですが、平田オリザさんの演出はオーケストラを指揮するみたい。」
出演:安藤聖、石原竜也、川田希、近藤智行、白神美央、辰巳智秋、永野宗典、平田裕香、古山憲太郎、ミギタ明日香 声の出演:瓜生和成 弘中麻紀
脚本:高井浩子 演出:本広克行 企画・製作:ROBOT ラインプロデューサー:高田雅士 企画プロデューサー:川田希 コンテンツプロデューサー:羽田文彦 音楽:菅野祐悟 美術:杉山至 舞台監督:谷澤拓巳 照明:伊藤孝(ART CORE design) 音響:中村嘉宏 衣裳:松竹衣裳・能澤宏明 演出助手:石内エイコ 大道具製作:六尺堂 宣伝美術:金松滋(metamo) 冨岡祥雄(metamo) 桐原紘太郎(metamo) 宣伝コメント協力:木俣冬 スチール:百束尚浩 票券:サンラインズプロモーション東京
【発売日】2008/08/02・前売開始日:2008年8月2日(土) ・料金:前売3,500円、当日3,800円(全席指定・税込)※早割前売2,500円、当日2,800円(9/13~15の4ステージ)
http://movies.robot.co.jp/fabrica
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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