東京デスロックの看板俳優である夏目慎也さんが主役の“愛”のイベント。『演劇LOVE2008』公演の中日の15:00~21:00(休憩1時間含む)に開催されました。
私は前半のワークショップのみ鑑賞。平日昼間からこんなに大勢が原宿の小さなギャラリーに集まるなんて(笑)。出演者も客席も豪華でビックリ。
⇒CoRich舞台芸術!『演劇LOVE2008~愛の行方3本立て~』
■15 : 00~16 : 00「夏目一人芝居『HERE I AM-ドン・キホーテがやってくる-』公演期間中公開ダメ出し稽古」
愛の演出:多田淳之介 出演:夏目慎也
【発情期】の一人芝居が出来るまでの過程を紹介。はじめは人形劇だったんですね。ドン・キホーテ以外の登場人物のセリフも全部覚えていたとは。
その後は本番のための稽古。夏目さんが演技をするのは多田さんがじーーーーっと静かに見つめて、だいぶん長い時間演じてから、ダメ出し。体力的にハードな演技を何度も繰り返して演じさせるのは、自他共に認める多田さんの「ドS(エス)」度が発揮されているところ。やればやるほど夏目さんがかっこ良く見えてくるのが面白い。
■16 : 00~18 : 00「愛の夏目の為の公開ワークショップ」
【1】「お誕生日エチュード」
愛の講師:岩井秀人(ハイバイ) 出演:夏目慎也 金子岳憲 坂口辰平(夏目さん以外はハイバイ所属)
それほど親しくない男性が3人集まって、部屋で1人の誕生日を祝うという設定。セリフはいっさい決まってなくて、即興で演じます。
例えば「初対面の人に対して自分がどのように振舞うか」という、現代人の社会性を保ったまま演技をするところが、このエチュードのポイントのようでした。
2時間遅刻してきたのに謝らない男(夏目慎也)に対して、部屋の主(金子岳憲)が怒り、誕生日の男(坂口辰平)はその間でおろおろ。次々とよどみなくふてぶてしい言葉が出てくる夏目さんがすごい。その場にいて素直に反応する金子さんは優しいお人柄が感じられました。
【2】「近代能楽集『班女』演出特訓」
愛の講師:関美能留(三条会) 出演:夏目慎也 大川潤子 立崎真紀子 橋口久男 中村岳人(夏目さん以外は三条会所属)
なんと夏目さんに三条会の役者さんの演出をやってもらうというワークショップ。扱うテキストは近代能楽集『班女』です(⇒近代能楽集 (新潮文庫))。最初に関さんが夏目さんにも役者として参加してもらい、演出を披露。
近代能楽集の登場人物はどう考えても実在しないような人間ばかり。台本を読む役者には、「こういう人、いる!」と思わせる説得力が必要になります。関さんの夏目さんへのダメ出しの言葉がものすごく面白い。戯曲の意味を伝えること、人物像をありありと立ち上がらせること等の他に、目に見える具体的なものに嘘をつかないこと、稽古場の雰囲気、さらには観客の反応まで視野に入れてらっしゃいます。
夏目さんが演出する番になり、最初はおどおどしていたのが徐々にえらそうに(笑)なっていきます。役者は演出家のひとことにすぐ反応して動くので、演出家の責任は重大です。作品の演出をするのはもちろん、稽古場の空気も演出家の居住まいで作られていきます。まずは演出家が堂々としていないと始まらないんですね。
役者さんは演出家に従順で受動的に見えますが、指示をふまえて自由に動き出すと、なんともわがままでクリエイティブ(笑)。大川潤子さんの臨機応変な行動力が凄かった。
≪感想≫
「夏目さんって演技上手いんだねー」と今さら納得。
演出家ってすごい。見ているところが普通の人とは全然違います。
18 : 00~19 : 00 「愛の休憩時間」※私はここで敗退~・・・(残念)。
19 : 00~21 : 00 「愛の夏目バンドLIVE-歌え、夏目、気の済むまで一」「愛の夏目秘蔵映像上映会-前頭部毛髪の歴史-」「夏目愛の恩返し」(プログラムは予告なく変更する場合がございます)
東京デスロックREBIRTH#2 こまばアゴラ劇場国際演劇月間 キスは何回?フェスティバル参加作品
ワークショップ講師:多田淳之介 関美能留(三条会) 岩井秀人(ハイバイ)
構成・演出:多田淳之介 宣伝美術:宇野モンド チケット・当日パンフレットデザイン:京 制作:服部悦子 企画制作:東京死錠 リトルモア地下 主催:東京デスロック (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 共催:リトルモア地下 協力:にしすがも創造舎 東京都
【休演日】9/16【発売日】2008/07/19 予約¥2000 当日¥2500 LOVEセット券¥5000 夏目LOVE¥2000(予約・当日共 LOVEセット券ご購入の方¥1000)
http://deathlock.specters.net/
http://www.komaba-agora.com/line_up/2008_09/deathlock.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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