ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが作・演出するナイロン100℃の新作です。ケラさんは新作続きで、また12月も新作ですよね?すごいな・・・。補助席もずらりと出ていました。当日券はあるみたいです。
ダブルキャスト2本立てで、私が拝見したのはブラックチームです。上演時間は約2時間45分(休憩なし)。「長い!」と言うのには、もう飽きました(笑)。
⇒CoRich舞台芸術!『シャープさんフラットさん』
≪あらすじ≫
1990年代初頭の景気のいい日本。辻煙(つじ・けむり:大倉孝二)は東京から車で3時間ほど離れた、豪華サナトリウムに滞在している。彼の職業は脚本家。ある事情があって、誰からも連絡がつかないように1人でこもっているのだ。
≪ここまで≫
両方とも豪華キャストですね。大倉孝二さんと三宅弘城さん以外は全員どちらかのバージョンにしか出演されませんので、全く違う作品になってそうです。
映像と舞台を融合させた演出がまた進化していて、わくわくしました。
自分が可笑しいと思うことが、必ずしも誰にでもウケるわけではない。これは仕方がないですよね。他人と笑いを分かち合えたら嬉しいし、そもそもウケなければ売れません。これにも納得できます。でもウケを狙って自分の好きな笑いとお別れしてしまうと、それは人生が面白くなくなる気がします。
何事も追及していくと、時と場所をわきまえるとか他人を思いやるといった、自分と周囲とをなめらかにつなぐための何かを、自ずと放棄せざるを得なくなる気がします。タガをはずすというのかしら。このお芝居の場合だと、笑いが他人を傷つけたり・・・。何が正しいとか間違っているとかじゃなく、自分がどう戦っていくのかを考える時間になりました。
サナトリウムの従業員を演じていた坂井真紀さんは、まゆを太い目にメイクされていたのではないでしょうか。パっと見た時に大阪の「くいだおれ人形」に見えて、そう見えた自分が可笑しくて笑ってしまいました。坂井さんは弱々しげなのに、時々妙~に強くなったり、誰かのために必死にどたばたしても、かえって失礼なことをしでかすのが、とても面白かったです。
ここからネタバレします。
辻煙(大倉孝二)が赤坂弥生(峯村リエ)と、劇団の過去作品のタイトルやその内容を楽しそうにしゃべるところが、可笑しくて、悲しくて、泣けてきました。後から何度もこのネタを思い出して一人で笑ってしまいました。カフカとか。
あとは「日体大の教師(なぜか背むし)」が可笑しかった。
NYLON100℃ 32nd SESSION 15years Anniversary -ダブルキャスト2本立て興行-
出演【ブラックチーム】(ホワイトチーム):大倉孝二(三宅弘城) 犬山イヌコ(村岡希美) みのすけ(清水宏) 峯村リエ(松永玲子) 長田奈麻(安澤千草) 植木夏十(六角慎司) 喜安浩平(藤田秀世) 大山鎬則(皆戸麻衣) 廻飛雄(吉増裕士) 柚木幹斗(眼鏡太郎) 水野顕子(杉山薫) 三宅弘城(大倉孝二) 小池栄子(新谷真弓) 坂井真紀(佐藤江梨子) 住田隆(廣川三憲) マギー(河原雅彦)
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 美術:BOKETA 照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN) 音響:水越佳一(モックサウンド) 音楽:三浦俊一 映像:上田大樹(&FICTION!) イラスト(切り絵):古屋あき 衣裳:松本夏記(ミシンロックス) ヘアメイク:武井優子 演出助手:山田美紀(至福団)・相田剛志 舞台監督:山矢源(ダイ・レクト) 記録スチール:引地信彦 宣伝美術:雨堤千砂子(wagon) 宣伝美術コーディネート:モリタダシ(Homesize) 宣伝写真:江隈麗志 宣伝衣裳:堀口健一(フロムアップ) 宣伝ヘアメイク:山本絵里子、浅沼靖 宣伝イラスト:野中和美、おがわまさひろ、山本浩子 宣伝CG協力:BOKETA プロデューサー:北牧裕幸、高橋典子 制作:北里美織子、太斎志保、佐々木悠 制作協力:馬場順子、花澤理恵 高比良理恵 広報:米田律子 制作:キューブ 企画・製作:シリーウォーク
【発売日】2008/08/09 6,800円(全席指定・税込) ※バージョンセット券 12,000円(全席指定・税込)《cubit clubのみの期間限定取扱い》 cubit clubでの予約には会員登録(無料)が必要です。http://www.sillywalk.com/nylon/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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