蜷川幸雄さんが彩の国さいたま芸術劇場でシェイクスピア作品を演出するシリーズ第20弾は「から騒ぎ」。出演者全員が男優というオールメール・シリーズの第4弾です(過去レビュー⇒1、2、3)。上演時間は約3時間(休憩15分含む)。
昔も今も、人は恋をするし、罪を犯すし、つまらないことに一喜一憂して、あっという間に心変わりをします。観客と舞台上の役者さんとが一緒になって、思いっきり楽しい時間を過ごす、幸せな観劇になりました。
⇒CoRich舞台芸術!『から騒ぎ』
レビューは2009年1/21に加筆。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
パデュアの若き貴族ベネディック(小出恵介)とメッシーナ知事レオナート(瑳川哲朗)の養女ビアトリス(高橋一生)は、会えば口論ばかりしている仲だった。ある時、ベネディックの主君ドン・ペドロ(大川浩樹)が異母弟ドン・ジョン(長谷川博己)との争いに勝利し、凱旋の途中で一行を連れてメッシーナに立ち寄るが、そこでベネディックの親友でこの度の戦で戦功を挙げたフローレンスの若き貴族クローディオ(長谷川博己)が、知事の跡取り娘ヒアロー(月川悠貴)に恋をしてしまう。ベネディックには勇猛果敢なクローディオの変心を理解できないが、ドン・ペドロは朴訥な彼に代わってこの恋をとりまとめ、ついでにベネディックとビアトリスをもくっつけてしまおうと考える。しかし一行に恨みを持つドン・ジョンがクローディオとヒアローの縁談を壊そうと企んだことから事態は意外な展開をみせ・・・
≪ここまで≫
初舞台の小出恵介さんをはじめ、役者さんの個性を生かし、舞台でのびのびと楽しく生きることを優先した演出だったのではないかと思います。ドレスや軍服に身を包んだ男優さんたちは、自由に跳ねて、踊って、とにかく楽しそう。そのおかげで私もずっと楽しかったです。
恋をして、天にも昇るほどの喜びに震えて、でもやがて悩み、怒り、心変わりして・・・という人間の裸の感情を、役者さんがひたすら正直に、熱心に、全身で表現してくださっていたように思います。だから演技が上手いとか下手とかは全然気にならなかったですね。恋に一喜一憂する姿がとにかく可愛らしくて、微笑みながらじ~んと感動していました。
乳母役の方と神父役の方のセリフがわかりやすくて、意味も感情も伝わってきてとても良かったです。シェイクスピアの長いセリフはこうやって話してくださると嬉しいなと思いました。演じた方の名前は失念。ごめんなさい。
ここからネタバレします。
たくさんの石像の顔それぞれに照明が当たり、昔から人間は“から騒ぎ”してきたのだよと言ってくれているみたいでした。
若いキャスト(小出恵介/高橋一生/長谷川博己/月川悠貴)とともに、無邪気に大暴れ(笑)してらした吉田鋼太郎さんが素敵でした。
≪東京、新潟、愛知、大阪≫ "Much ado about nothing"
出演:小出恵介/高橋一生/長谷川博己/月川悠貴/吉田鋼太郎/瑳川哲朗/手塚秀彰/青山達三/井手らっきょ/妹尾正文/岡田正/大川浩樹/高瀬哲朗/鈴木豊/清家栄一/高橋広司/今村俊一/福田潔/宮田幸輝/石田佳央/石井則仁/千田真司/下塚恭平/宮内克也
生演奏:サックス・クラリネット(松延耕資)、チュ―バ(木村仁哉)、パーカッション(古川玄一郎)
脚本:W.シェイクスピア 翻訳:松岡和子 演出:蜷川幸雄 美術:中越司 照明:大島祐夫 衣裳:宮本宣子 音響:井上正弘 ヘアメイク:佐藤裕子 音楽:阿部海太郎 振付:広崎うらん 演出補:井上尊晶 演出助手:桐山知也 舞台監督:小林清隆 主催:財団法人埼玉県芸術文化振興財団 朝日新聞社 テレビ朝日 制作:財団法人埼玉県芸術文化振興財団/ホリプロ 企画:彩の国さいたま芸術劇場シェイクスピア企画委員会
【休演日】10/9, 16 (木)【発売日】2008/06/21 S席 9,000円 A席 7,000円 B席 5,000円 学生席 2,000円
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2008/p1007.html
http://shakespeare.eplus2.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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