本谷有希子さんがパルコ劇場に初進出。永作博美さんをはじめ豪華キャストの話題の公演です。
予想のつかないセリフのやりとりにいっぱい笑わせていただき、最後は本谷節にシビれました。上演時間は約2時間(休憩なし)。
⇒CoRich舞台芸術!『幸せ最高ありがとうマジで! 』
≪あらすじ≫ 公式サイトより (役者名)を追加。
舞台は「エリートが書いたもんをヤクザが売る」とからかわれる、とある町の新聞販売所。
慎太郎(梶原善)の留守中に、彼の愛人を名乗る得体の知れない女・明里(永作博美)が突然現れる。もともと慎太郎の女癖の悪さは病的とも言えたため、妻(広岡由里子)と子供たち(近藤公園&前田亜季)はその話を信じ込んでしまう。が、家族は一丸となって明里の存在を無かったことにしようとする。嫉妬でおかしくなったように家に上がりこもうとする明里を、妻と息子と娘は協力して阻止。
明里は道に放り出されるが、住み込みバイト・えいみ(吉本菜穂子)の手引きによって、なぜか敷地内のプレハブ小屋に密かにかくまわれることに。
こうして、誰にも予想できない復讐劇の幕は上がった・・・。
≪ここまで≫
すさんだ新聞販売所で、家族および従業員らが揃ってひた隠しにしていたドロドロの人間関係が、正体不明の女・明里(永作博美)によって暴かれていきます。修羅場を面白がる彼女によってどんどんヒートアップ。
大掛かりな装置に、ノリノリの音楽も面白かったです。
初日でまだ演技の硬さが気になりましたが、すぐ盛り上がっていくでしょうね。追加公演もあるようです。
ここからネタバレします。
「大声で叫んだことが本当になる」、「人気がある方が勝つ」など、明里の分析は明快で、「精神病になる確固とした理由があるのは幸せだ(自慢できる)」という考えも面白いです。
「人間が起こす行動に意味なんて、理由なんてない!」という主張にスカっとしました。予想なんてできないのが人生ですし、無意味な行動が人を、世界を形作っていると思います。だから永作博美さん演じる謎の女(=モンスター)が無差別に、ある家族を興味本位で(愉快犯として)本当にぐちゃぐちゃにしちゃうのが痛快。「明るい人格障害」ってサイコー(笑)。
現代社会(特に東京かも)は、今ある全てをぶち壊してくれるモンスターを求めていると、私も思います。でも、新聞配達員のところに届けるべき夕刊が納品されたら、彼らはまずその仕事をこなすことが最優先なんですよね。そうやって私たちはご飯を食べて生きているから。明里と一緒に一瞬はじけて、ブっ飛んでも、すぐに日常へと戻っていきます。
最後はパウンドケーキにささったみじめなろうそくに、明里がチャッカマンで火をつけて自分の40歳のバースデーを祝おうとしますが、火がつかないで終幕。思う通りにならない、全然うまくいかない、この世界バンザイ。
パルコ劇団外、本谷有希子 第一回作・演出作品
≪東京、倉敷、大阪≫
出演:永作博美、近藤公園、前田亜季、吉本菜穂子、広岡由里子、梶原善
脚本・演出:本谷有希子 美術:中根聡子 照明:倉本泰史 音楽:渡邊琢磨 音響:藤森直樹 衣裳:伊藤早苗 ヘアメイク:二宮ミハル 演出助手:則岡正昭 舞台監督:宇野圭一+至福団 宣伝美術:榎本太郎 宣伝写真: 忠之 宣伝:る・ひまわり 制作協力:寺本真美+ヴィレッヂ 制作:高石由紀子 プロデューサー:佐藤玄 製作:山崎浩一 企画・製作:株式会社パルコ 後援 ニッポン放送
【休演日】10/27(金)、11/4(火)【発売日】2008/08/03 7,000円 ※未就学児の入場はご遠慮下さい。
http://www.parco-play.com/web/play/motoya
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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