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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2008年11月21日

パラドックス定数『怪人21面相』11/21-24 space EDGE

 野木萌葱さんが作・演出されるパラドックス定数が、2006年初演の『怪人21面相』を同じ会場で再演します。いわばあの空間ありきとも言える作品で、チラシにあるとおり「開演時刻を過ぎたら入場できません」ので、会場へはどうぞお早めに。特設サイトに「事件概要」が載っています。読んでからご覧になっても良いと思います。

 上演時間は約2時間。開演前の前説でもおっしゃっていましたが、会場の都合上少し寒いですので、暖かい目の服装をされることをお勧めします。私は最前列で拝見しました。タバコの煙が気になる方は後方の席が良いかも。

 ⇒CoRich舞台芸術!『怪人21面相

 初演を観ていますので少しはストーリーを覚えていましたが、男たちの丁々発止の言葉の戦いにやっぱり魅せられました。演技の熱がぐっと上がってくるわくわく感があり、個人的には初演よりも楽しんで拝見できました。
 観終わった後に偶然ご一緒した知り合いと「あそこは~~だったよね」「あの人物は~~だよね」など、わいわい語り合えたのも嬉しかった。鑑賞後も味わいが持続する脚本です。

 終演後に野木さんが、今回は出演していないもう1人の劇団員(井内勇希さん)について、彼の出演している公演の宣伝をされていました(遠慮がちに)。劇団っていいな~としみじみ思いました。数年前から野木さんの作品を拝見していますが、今では自分はパラドックス定数という劇団のファンになっていると思います。役者さん目当てで伺う気持ちもありますしね。今回も、見慣れた役者さんが登場しただけで楽しくなったりしました(メガネとか髪型とか・笑)。

 ・・・と言いながら同時に、野木さんの戯曲がパラドックス定数だけでしか観られないのはもったいない気もします。たとえば(何度もつぶやいていますけど)新劇の老舗劇団とかで上演されたら嬉しいな~。年配の渋い男優さんが出ても面白いと思います。

 ここからネタバレします。

 江崎グリコの役員・蓮見(植村宏司)、朝日新聞の記者・鳥羽(小野ゆたか)、元公安刑事・白砂(西原誠吾)、元KCIAの暴力団員・幸村(十枝大介)の4人が、グリコ・森永事件の犯人グループだったという架空の物語です。事件の裏側を見せていくのが面白いのはもちろん、長年の怨恨や人種差別にもつながっていくから目が離せません。

 ただ、今回も白砂と幸村の関係が腑に落ちなかったですね・・・。白砂は元部下(大阪府警の警視)にあからさまにケンカを売るような姿勢を取っていたけれど、実は彼に深い親しみを抱いていたんですよね。幸村はその代わりだったわけですから。“可愛さ余って憎さ百倍”という感情なのかしら。そのあたりが私にはよく見えてきませんでした。

“日本を敵にまわした四人の男”
出演: 植村宏司 十枝大介 西原誠吾 小野ゆたか
脚本・演出:野木萌葱 照明:伊藤泰行 舞台監督:渡辺陽一 宣伝美術:成川知也 写真:渡辺竜太 販促:副島千尋 制作統括:赤沼かがみ(G-up) 企画・製作:パラドックス定数研究所
(日時指定・全席自由)前売り2800円 当日3000円
http://www.pdx-c.com

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年11月21日 23:36 | TrackBack (0)