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2008年11月26日

【写真レポート】「フェスティバル/トーキョー~F/T09春~記者発表」11/25東京芸術劇場5階

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「F/T09春」記者発表

 2009年2/26~3/29の約1ヶ月にわたって開催される、舞台芸術の国際フェスティバル「フェスティバル/トーキョー(F/T09春)」の記者発表に伺いました。

 上演されるのは19演目(内、外部参加は5作品)。海外で話題のあの演出家が、静岡やさいたまで大好評だったあの作品が、トーキョーに集まります。3月は「F/T」通いの日々になるかも・・・!

 チケットは2008年12月18日より発売開始。価格は一般3000円~4500円。学生は全演目3000円で、高校生以下はなんと全演目一律1000円!
 メイン会場は東京都豊島区の東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎です。

 フェスティバル・ディレクターの相馬千秋さんの司会のもと、8人のアーティストが作品およびフェスティバルへの思いを語りました。
 相馬「舞台芸術には、多様なものを単純化せずに伝えていく可能性があります。多様で刺激的な対話によって、フェスティバルを満たしてくれると信じます。」

 ■イ・ユンテクさん(「オセロー」)
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 イ・ユンテク「1980年、1997年につづいて3度目の日本公演になります。今回上演する『オセロー』は、もともとは宮城さんの作品『夢幻能 オセロー』です。日本の能をそのままに、尊重して上演したい。能役者にも出演してもらいます。日本人の俳優と2週間生活をともにしながら稽古をする予定です。私の演出作品の中で一番面白い作品だと思います。」
 イ・ユンテク「東京は色んなものを受容する都市であって欲しい。東京的、日本的というよりも、今ここで、地球の文化が混ざっている場所であって欲しい。」

 ■蜷川幸雄さん(さいたまゴールド・シアター『95kgと97kgのあいだ』)
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 蜷川「『95kgと・・・』は私自身の演劇を相対化する作品。強い文化的発信力のある舞台を作って、海外から訪れてもらう東京にしたい。」
 蜷川「こういった会見に出ると、いつも自分が最年長(という年齢)になってしまった。このように若いアーティストと並ぶと戦慄的な恐怖心が起こります。初めて行ったエジンバラ・フェスティバルでの会見を思い出しました。この若い方々と一緒に私もがんばります。」

 ■宮城聰さん(『転校生』)
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 宮城「私が芸術総監督をつとめる静岡芸術劇場では、自分が刺激を受けて、いわばライバルとしても意識していたアーティストに作品を作ってもらいたいと考えた。そこで平田オリザ氏と飴屋法水氏をお呼びした。平田さんの戯曲『転校生』はいわば現代口語劇の極北。同時多発会話という手法も最高に磨かれた状態で実現されている作品。飴屋さんに演出を依頼した際、キャスティングも全ておまかせしようと思っていた。飴屋さんのお返事は『女子高生のプロに出てもらいたい』、つまり現役の女子高生をキャスティングしたいとのことだった。」

 ■飴屋法水さん(『転校生』)
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 飴屋「『舞台上に女子高生』というト書きがある。そこ(“本物の女子高生”と“女子高生を演じる俳優”)には簡単には超えられないものがある。人間は動物だけれど、他の動物にはない特別に革新的な部分がある。しかし同時に、やはり人間はどこまでいっても動物である。その間に緊張感がある。そこを探っていくのが僕にとっての演劇です。」

 ■松田正隆さん(マレビトの会『声紋都市-父への手紙』)
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 松田「身近に従軍した、戦争を体験した人(つまり松田さんの父)がいた。加害者的な立場にいた身近な人に話を聞きたいと思った。映像で取材してインタビューからテキストを作り、俳優と一緒に演劇にしていきます。国家・天皇がどうやって人間の心に内包していったのかを、作品を作りながら考えたい。」

 ■高山明さん(Port B『サンシャイン63』『雲。家。』)
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 高山「サンシャイン60がある場所には巣鴨プリズンがあった。60人の戦犯が処刑された場所に、今は60階建てのビルが建っている。まるで墓石のように見えてきた。『雲。家。』は「わたしたちは・・・」が300回以上連呼されるモノローグで出来た作品。3年間のフィールドワークの成果を、新たにバージョンアップして見せたい。」

 ■井手茂太さん(『コウカシタ』)
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 相馬「『コウカシタ』には日本人とタイ人のダンサーが出演します。76人の応募者から6人のタイ人ダンサーを選出されました。不安と期待が入り混じるお心もちでいらっしゃることと思います。」
 井手「そうですね、期待と不安ですね・・・いえ、不安はないですね(笑)、期待です!タイ人の方々はすごく面白くて、あえてダンサー然としていない人を選びました。タイトルは“高架下”ですから日陰っぽいですが、でも活気があって笑い声が聞こえるイメージもあります。」

 ■松井周さん(『火の顔』)
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 松井「『火の顔』に登場する家族はそれぞれが、自分が作る物語にがんじがらめになっており、それがディスコミュニケーションを生んでいる。例えば俳優はテキスト(脚本に書かれたこと)を自分の物語だと信じて動いているが、それには根拠がないのではないか。また、自分が何かを信じている場合、それは自分から進んで信じているのではなく、何かによってそうさせられているのではないか。」
 松井「(いつもは作・演出の両方をしているが)既成の戯曲に取り組むことで、物語と俳優との距離に注目したい。ゾンビのような主体性のなさを舞台上に乗せることで、それを積極的に言う(肯定する)ことができないかと思っている。」

 ■ビデオメッセージ:ダニエル・ヴェツェルさん(『カール・マルクス:資本論、第一巻』)
 ↓ヴェツェルさん(左)&ハウグさん(c)Rimini Protokoll / Hanna Lippmann
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 「フェスティバル・トーキョー2009春」のオープニングを飾るのは、2008年のTIFで大評判だった『ムネモパーク』に続いて、早くも再来日するリミニ・プロトコル(ドイツ)。本物の経済学者、革命家、労働者らが登場するドキュメンタリー演劇です。

 ■ビデオメッセージ:ロメオ・カステルッチさん(『Hey Girl!』)
 ↓『Hey Girl!』(c)HG Raffaeli
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 イタリアの演出家カステルッチさんは、秋に予定されている「F/T09秋」にも大作をひっさげて来日されるそうです。『Hey Girl!』は“生”の深淵に触れる象徴演劇。紹介された舞台映像はとても刺激的でした。

 ■ビデオメッセージ:平田オリザさん(『ユートピア?』)
 ↓3人の演出家(c)Fred Kihn
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 平田さんの新作『クリスマス・イン・テヘラン』と、その舞台裏と、その劇の演出家の妄想を描くメタ・メタ演劇。日本、イラン、フランスの共同製作です。

 その他のプログラムも充実!
 ⇒山海塾『金柑少年』、白井剛『blue Lion』、『演劇/大学09春』 

 写真↓左から飴屋、宮城、イ・ユンテク、蜷川、松田、高山、松井
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フェスティバル/トーキョー組織委員(五十音順):池田弘一 扇田昭彦 永井多恵子 蜷川幸雄 野村萬 林省吾 福原義春
フェスティバル/トーキョー主催:東京都/財団法人東京都歴史文化財団/フェスティバル/トーキョー実行委員会(豊島区、財団法人としま未来文化財団、NPO法人アートネットワーク・ジャパン)
【フェスティバル/トーキョー実行委員会事務局】プログラム・ディレクター:相馬千秋 事務局長:蓮池奈緒子 事務局長補佐:宮崎あかり 広報:及位友美、ハッセル、タラ・石塚 制作:植松侑子、クラウトハイム・ウルリケ、武田知也、辻奈都子 インターン:三井亜久里、堀江紗恵 技術監督:寅川英司 アートディレクション:アジール ウェブディレクションデザイン:(株)Synchronicity 編集:大堀久美子 票券:(有)ぷれいす PR:(株)コミュニケーションデザイン 顧問弁護士:福井健策
フェスティバル/トーキョー:http://festival-tokyo.jp/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2008年11月26日 16:28 | TrackBack (0)