2008年12月31日
東京デスロック『その人を知らず』12/26-01/05こまばアゴラ劇場
多田淳之介さんが構成・演出される東京デスロックの、東京公演休止前・最終東京公演です(⇒東京公演休止にあたり)。1/5(月)までですのでお見逃しなく!
三好十郎の重厚な戯曲(過去レビュー⇒1、2、3、4)を改訂せずに上演する約3時間(途中10分の休憩を含む)。無論“重厚”ではありましたが堅苦しさはなく、むしろ現代劇として素直に楽しめてしまうことに驚きました。
⇒CoRich舞台芸術!『その人を知らず』
≪あらすじ≫ 当日パンフレットより。(役者名)を追加。
キリスト教信者となった片倉友吉(夏目慎也)は、太平洋戦争のさなか、「殺すなかれ」という聖書の教えを守って出征を拒否し続けます。友吉に洗礼をほどこした人見牧師(佐藤誠)も翻意をうながしますが効きめがありません。非国民を出したとその家族にまで迫害は及びます。そして敗戦……友吉は反戦の英雄として迎えられます。人見牧師は教会を再興し、人見の妹治子(山田裕子)は信仰を捨て、そして友吉は…
≪ここまで≫
戦中戦後の日本人が、今の日本人に見えてしまうことが、面白くもあり、恐ろしくもあり。
ポップな選曲と意外なセリフの読み方など、あっけに取られる演出は東京デスロックならでは。それでも、戯曲の伝えんとするところをしっかり掴んでいるのが凄いといつも思います。
ここからネタバレします。
チラシの白と赤はもちろん日本国旗。日の丸の中央に描かれているのは十字架に掛けられたイエス・キリストです。
白い床、壁には白い布。舞台奥の壁の中央上部に照明によって照らし出される日の丸。その直下に友吉(夏目慎也)が立っています。肩に乗せた竹刀に両腕にしばりつけたその姿は、はりつけにされたイエスそのもの。
勉強机に乗ったままセリフを言っていたのは、なんと1時間あったそうで(終演後のトークより)。私には“学校という牢獄”にも見えました。
山口百恵、尾崎豊、ハイロウズなどの日本の歌謡曲とともにアメリカの国歌、日本の国歌が流れるのは、違和感がありながらもなんだか楽しい。国歌といっても音楽には変わりないのに、これほどまでに政治的な意味づけがされていることに、いつもながら胸が傷みます。それを生かした演出は効果的。
空襲のシーンでミラーボールが輝き、赤玉(運動会の玉入れに使うもの)とキットカットチョコレートが2階席から投げ込まれます(そういえばSPAC『ハムレット』でも最後にハーシーズ・チョコレートが箱ごと落ちてきました)。
「きよしこの夜」のハーモニーがどんどんとノイズになっていって、照明が赤、ピンク、青などぐるぐる変化して、クリスマスの教会はとんだカオスへと変化。
果たして友吉は英雄なのか、ただの純粋バカなのか。どちらでもないと思ったけれど、私はあの純粋さに希望を持ちたい気もしました。
東京デスロック REBIRTH#3 東京公演休止前最終東京公演
出演:夏目慎也、佐山和泉、山村崇子(青年団)、猪股俊明、佐藤誠(青年団)、村上聡一(中野成樹+フランケンズ)、坂本絢、征矢かおる(文学座)、桜町元(青年団)、山田裕子(第七劇場)、笠井里美(ひょっとこ乱舞)、折原アキラ
作:三好十郎 演出:多田淳之介 照明:岩城保 舞台美術アドバイザー:濱崎賢二 宣伝美術:宇野モンド 制作:服部悦子 企画制作:東京デスロック (有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【休演日】2009年1月1日 予約 3000円 当日 3300円 特別公演 1000円
※2008年12月31日23:00より三好十郎著作公共化記念特別公演を開催します。2009年1月1日1:00頃に終演予定です。上演中に公共化を迎える、平たく言うと著作権が切れる、日本演劇史の歴史的瞬間を味わう年越し公演となります。終演後には新年会も開催します。
http://deathlock.specters.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月30日
【寄稿】wonderland『年末回顧特集「振り返る私の2008-今年の3本」』
“wonderland”の年末回顧特集「振り返る私の2008-今年の3本」に参加させていただきました。⇒2007年、2006年
■しのぶの小劇場ベスト3(上演順)
ジェットラグ・プロデュース「投げられやす~い石」(作・演出:岩井秀人)
HAMMER-FISH「パイドラの愛」(演出:松井周)
韓国演出家協会・アジア演出家展「ロミオとジュリエット」(構成・演出:多田淳之介)
※メルマガ週刊「マガジン・ワンダーランド」へのご登録はこちら。
第101号から高橋楓さんが連載されている【レクチャー三昧】は、すっごく貴重で便利な情報が満載ですよ!
感動で体がシビれて、涙がとめどなく流れた公演を選んだ。選んでみてわかった共通点は、プロデュース公演であることと、演出家が青年団演出部所属で、俳優としても活躍していること。
劇団の脆弱化が指摘されて久しいが、東京では今もその状況が続いている。力不足の役者が容易に舞台に立てる環境がある限り、プロデュース公演の当たり外れの差が激しいことは改善されないだろう。来年2月末に開幕する「フェスティバル・トーキョー09春」の演目の多くが平田オリザ氏とつながりを持つことからも、東京の芸術志向の演劇シーンは今や青年団なしには語れない。老舗劇場の閉鎖と新劇場の開館が相次ぎ、劇場地図は大きく変わる。その流れに乗って、勢力地図をも塗り替え得る何かが現れて欲しい。野田秀樹氏が芸術監督に就任した東京芸術劇場の動向に注目したい。
(注)今年の3本は小劇場公演(客席数300席以下の劇場での自主製作/劇場プロデュースを含む)の中で、私が観た作品から選出。3作品の並びは上演順。2008年の観劇本数は299本の予定(2008/12/07時点)。
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月27日
【お知らせ】「CoRich舞台芸術アワード!2008」開催!(2009年1/6(火)投票〆切・1/9(金)結果発表)
昨年に引き続き、CoRich舞台芸術!にて「CoRich舞台芸術アワード!2008」が開催されます。⇒投票に参加したメンバー
「観たい!」「観てきた!」のクチコミ件数等が一定条件を満たすCoRichメンバーの投票で、2008年の舞台作品ベストテンを決定し、その作品の作り手を多いに讃えよう!というイベントです。⇒昨年の結果
第一位に輝いた団体にはを次回公演バナー表示権をプレゼント! ⇒fringe TOPIC
クチコミをしている作品に投票ができますので、この機会に2008年に出会った素敵な舞台について、みんなで語り合いましょう!芸術団体の皆さんは、観客が投票しやすいように公演情報をCoRich舞台芸術!に登録しておいていただけると嬉しいです♪
2008年12月26日
コロブチカ『proof』12/25-29 王子小劇場
柿喰う客に所属する女優コロさんがプロデュースするユニット、コロブチカの旗揚げ公演です。演目はデイヴィッド・オーバーンの『proof』。私はこれで4度目になります(過去レビュー⇒1、2、3)。あぁ、今回もすごく面白かった♪
初日は割引価格で前売2800円のところ2000円でした。「こんなに上質の芝居を観られるなんて、2000円では申し訳ない」とおっしゃるお客様もいらっしゃいました。そんな作品に出会えるから、王子小劇場は魅力的。上演時間は約2時間半(途中休憩10分を含む)。
⇒CoRich舞台芸術!『proof』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
シカゴのとある寒い冬、天才数学者・ロバート(鈴木浩司)は、彼にとって二度目の世紀の大発見である偉大な「証明」をノートに書き続けていた。それほどの「証明」を、彼は誰にも見せようとしなかったし、誰もそれを見ようともしなかった。なぜなら彼は、気が狂っていたから。
たった一人で彼の身の回りの世話をしていたロバートの次女・キャサリン(コロ)は、遺稿の整理に訪れた若い数学者・ハル(小谷真一)と、ノートの持ち出しを巡って激しく争う。父の書斎をそのままにしておきたいキャサリンと、埋もれているかもしれない新たな業績を発掘したいハル。
やがてキャサリンは、彼女にとって最も重要な一冊のノートを父の書斎から持ち出し、ハルに託す。なぜなら彼女は、……。
≪ここまで≫
舞台上で心を開放して、嘘のないコミュニケーションをしている俳優たちを観られて、戯曲を深く味わうことができて、とても充実した幸せな観劇になりました。最初のシーンはちょっと固さを感じましたが(初日ですしね)、キャサリン(コロ)とキャサリンの姉クレア(こいけけいこ)ののびのびとした会話のあたりから、私も生き生き、のびのびと味わえるようになりました。ほんと、この戯曲、ステキ♪
キャサリンが父ロバート(鈴木浩司)の介護をしていた約4~5年間が、会話の断片や回想シーンから少しずつ明らかになっていきます。人間ドラマとしてはもちろん、推理小説を読み進めるような楽しみもあると思います。私のようにてん末を知っている者にとっては、1つの事実が見る者によって幾通りにも解釈(誤解)できることを、緻密に例証してくれているようにも見えました。
衣裳がおしゃれでした。いかにもアメリカ人なコーディネートも良かったし、何度も着替えて時間の経過を表してくれたのもわかりやすかったです。
ムードのある美術でしたが(ブランコって動きがあっていいですよね)、柱のせいでせっかくの表情が見えないのと、何かと手狭そうだったのは残念。
翻訳をされたのは谷賢一さん(DULL-COLORED POP)。前回よりも私自身にとってなじみのある言葉が多かったように感じました(正確にはわかりませんが)。最後の方のあのセリフ、良かったな~。
ここからネタバレします。
『proof』といえば、やっぱりキャサリンとハルのキスシーン。何度もキスするのですが、その1つ1つがとても大切に演じられていました。ハルがキャサリンの魅力(引力)に吸い込まれていく表情が可愛いです。仏頂面のキャサリンが、少しずつハルに心を開いていくのがつぶさに感じ取れました。
キャサリン、クレア、ハルはそれぞれに熱いケンカをします。誰もが本気だし必死だし、良かれと思って発言・行動しているけれど、すれ違ってしまうんですよね。それも絶望的なほどに。そんな様子にいらいらしたり、共感したり、かわいいな~と温かい気持ちになって眺めたり。
人間は1人1人があまりに違いますよね。だからお互いに共感したり、共鳴した時、幸せを感じるんだと思います。キャサリンが、自分が成し遂げたノート40ページ分の“証明”について、ハルに説明をし始めたところで終幕します。あれは彼女に初めて友達ができたことの証明だし、人間の幸せって、自分のことを認めてくれる(愛してくれる)誰かと一緒にいること、それだけだよねってことの証明にもなるんじゃないかと思いました。ロバートもただキャサリンと一緒にいたかった。それだけなんですよね。
カットアウトの暗転は効果的だったと思います。ただ、最後は私の気分的にフェードアウトが好みかも。
シカゴの冬は恐ろしく寒いんですよね。細かいことですが、父ロバートが、寒いと自覚するまで震えもしていないのが少々気になりました。“パスタ”の話題で笑いが生まれたのはすごく良かったです。
※“最後の方のあのセリフ”とは、ハルの「(この証明は)ナウい!」です。
柿喰う客コロのやったるで企画、「コロブチカ」旗揚げ公演
ピュリッツァー賞、トニー賞の受賞歴を持つ、デイヴィッド・オーバーンの傑作戯曲。
出演:コロ、こいけけいこ(リュカ.)、鈴木浩司、小谷真一
脚本:デイヴィッド・オーバーン 翻訳:谷賢一(DULL-COLORED POP) 演出:黒澤世莉(時間堂) 舞台美術:近藤麗子 照明:富山貴之 音響:角田里枝 宣伝美術:立花和政 宣伝写真:立花和政 チラシヘアメイク:増田加奈 写真モデル:コロ 演出助手:佐伯風土 原田優理子 制作:塩田友克
日時指定・全席自由 前売 2800円 当日 3000円 学生券 2500円(学生証の提示を願います。要予約) 団体券 6900円(3名でご来場のお客様対象。要予約) クリスマス割引 2000円(初日の25日は前売当日共に2000円!)
http://korobuchika.blogspot.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月23日
【掲載情報】プチクリvol.27「東京エンゲキの明日はどっちだ?」でインタビューされました

プチクリvol.27
フリーペーパー“読むステージ・パフォーマンス プチクリ”のvol.27に、私のインタビュー記事(プチクリの編集者さんにインタビューされました)が掲載されています。号全体のタイトルは「東京エンゲキの明日はどっちだ?」。
劇場ロビーなどで配布されていますので、よかったら手にとってご覧ください。
⇒プチクリオンライン
青年団『サンタクロース会議(子ども参加型演劇)&(アダルト編)』12/13-23こまばアゴラ劇場
平田オリザさんが作・演出される青年団の新作、『サンタクロース会議』。子ども参加型演劇とアダルト編の2本立て公演です。どちらも上演時間は1時間ほどで、1日で2本続けて拝見しました。全ステージがほぼ満席という人気公演だったようです。
子ども参加型は対象年齢がおそらく幼稚園から小学校4年生ぐらいまで。“会議”でどんな意見が飛び出すかわからないので、非常にスリリングでした(笑)
⇒CoRich舞台芸術!『サンタクロース会議』
≪あらすじ≫
クリスマス・イブが差し迫ったある夜。大人と子供が一緒になって、サンタクロースについての会議を始めます。さて今年の議題は?
≪ここまで≫

受付の壁かざり
ロビーがツリーなどでかわいく飾り付けられており、会場に着くなりハッピーなクリスマス気分。イブ前々日に行ってムード満点で良かったかも。
子ども用、大人用のパンフレットが違う内容になっていて、チケットも付属のぬり絵が違うデザインだし、子供と親の両方への心遣いが行き届いています。
舞台美術は両バージョンともおそらく同じ。参加するお子さんの席は緑色のシートが敷かれたふわふわの桟敷席。“会議のルール”を読んだら、チケットについたぬり絵をしながら開演まで待つなど、子供を退屈させずに行儀良くしておいてもらう工夫に感心しました。
サンタといえばこの疑問、クリスマスといえばのお約束など、今どきの日本人が12/24について思いつくことが網羅されているように感じ、何かとクスクス、にやにやほくそ笑む、楽しい1時間でした。
ガミガミ博士(工藤倫子)のがんばりに脱帽です。風船が破裂するトラブルに爆笑(笑)。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
サンタにはしょっちゅう会っているという“魔女”(木崎友紀子)が登場するのがうまい仕掛けになっていました。魔女自体が架空の存在ですから、サンタについてどんなに具体的な(現実離れした)答えが出てきても無理を感じません。また、魔女の姿がいかにも“これは変装です”といわんばかりなので、演劇的な“嘘”を楽しむこともできます。
子ども参加型では、「サンタについての疑問は、大人だけでは解決できません。だから子どもの皆さんでしっかり考えて、お父さん、お母さんに教えてあげて下さい」と締めくくられました。感動。
アダルト編は子ども参加型に比べるとブラックな内容で、続けて観たからこそ違いがよくわかって楽しめたように思います。不倫をしている50代男性へのアンケートが可笑しかった。
出演:木崎友紀子(魔女) 川隅奈保子(優美ちゃんのお母さん:やぎ) 兵藤公美(恵ちゃんのおかあさん) 島田曜蔵(安岡さん・ぶーぶー) 工藤倫子(ガミガミ博士) 鈴木智香子(子どもA・バイク) 田原礼子(太郎くんのお母さん:イヌ) 村井まどか(議長) 安倍健太郎(子どもC・サッカーボール) 小林亮子(子どもB・お父さん) 立蔵葉子(ガリガリ博士) 山本裕子(浜口先生) 畑中友仁(弘幸くんのお父さん:えんとつを立てた人)
脚本・演出:平田オリザ 舞台美術:杉山至 照明:岩城保 舞台監督 :中西隆雄 衣裳:有賀千鶴 衣裳製作:藤木智美 演出助手:大久保亜美 宣伝美術:京 チラシイラスト:木野聡子 制作:林有布子 宮永琢生 企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
「子ども参加型演劇」:前売・予約・当日共子ども席 1,000円 大人席(高校生以上) 2,000円 親子セット券(子ども席+大人席) 2,500円 *親子セット券は、青年団電話申込のみの取り扱いです。*未就学児童は、保護者同伴でご入場ください。
「サンタクロース会議 アダルト編」※サンタクロースの存在を信じている子どもは見てはいけません。前売・予約・当日共一般 2,000円 学生 1,500円 *未就学児童はご入場いただけません。
http://www.seinendan.org/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月18日
わらび座『ミュージカル「天草四郎-四つの夢の物語-」』12/14群馬県民会館
わらび座のミュージカルを拝見するのは『小野小町』『火の鳥~鳳凰編』につづいて3作目になります。
島原の乱(Wikipedia)で3万7千の軍を導いた天草四郎について、史実をもとに大胆な解釈を加えたオリジナル・ミュージカルでした。上演時間は約1時間55分。
命の尊さ、生きる喜びを、てらいなく真っすぐに歌い上げます。タイトル・ロールの四郎を演じる碓井涼子さんの、繊細だけれど力強くて伸びのある歌声を堪能。⇒『火の鳥』稽古場レポートに碓井さんの写真あり!
⇒東京公演は2009年1/27~2/1@東京芸術劇場 中ホール
⇒(株)わらび座 代表取締役・小島克昭氏インタビュー
⇒CoRich舞台芸術!『天草四郎-四つの夢の物語- 』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
すべては家康のキリシタン弾圧により
天草から追放された外国人神父の予言から始まった。
「今から26年後、この地に善き人現れるだろう。
その幼き子は、習わざるに諸事をきわめ
やがては野山に白旗をたて
諸人の頭に十字架(クルス)をたてるだろう」
そして26年後、島原と天草でキリシタンの農民たちがいっせいに蜂起。
その先頭に立つ鎧姿の美少年こそが
天草四郎時貞と名を変え、男の姿になった16歳の志乃だった…
≪ここまで≫
『火の鳥~鳳凰編』と同様に、オープニングの大合唱で落涙。わらび座ミュージカルは世界観にブレがないなと思いました。日本の歴史を題材に、民族舞踊をアレンジしたダンスや和太鼓の生演奏など、劇団独自のスタイルを大切にされています。
島原藩に税を納めれば餓死、拒否すれば処刑されるという、どちらを選択しても死ぬしかない状況に追い込まれたキリシタンの農民たちが、四郎とともに武装蜂起します。
四郎が説く“四つの夢”とは、自由、平等、平和、愛。死んだら天国に行けると信じる農民たちは、「こんなつらい世とおさらばして、早く死にたい(自殺はできないので戦死したい)」と願っていますが、それらの“夢”を信じて生活する内に「もっと生きたい、死にたくない」という感情が生まれてきます。
人間の喜びは、生きること。身分・性別に関係なく、人々がともに命を謳歌している瞬間こそが“はらいそ(天国)”でした。飾らず、ひたむきに歌う声が人の心の中に宿った“神”を表しているように感じ、ほろほろと涙が流れました。
東京で話題になる大型ミュージカルと比べると、華やかさや演出の洗練度について少々見劣りするかもしれません。でもチケット代が5500円~6000円(東京公演)ですから、S席1万円を超える公演のほぼ半額だと考えると、不満は全く感じないですね。
ここからネタバレします。
天草四郎は女だったという架空の設定は、少々スキャンダラスな印象を与えるかもしれません。でも実のところは、この作品の重要なポイントを伝えるためのうまい仕掛けになっていました。
四郎を演じなければならない志乃の息苦しさと罪悪感を表すことで、ありのままの自分でいることの幸せがわかります。そして身分・性別・外見がどうあろうと、心にある信念は確かに誰かに伝わって、時を越えて生き続けていくことも示されました。もちろん、その信念が歪められて間違った意味で語り継がれる可能性もあるでしょう。でも、数百年前の私たちの祖先の思いが、今の私たちに届き、未来へとつながっていくのだと信じるのは大切なことだと思います。
予言に示された“善き人”とは四郎のことではなく、本当に人の心が読める惣吉(森下彰夫)のことだったと、四郎は気づきます。旗に描かれた2人の天使(中央の聖杯に手を合わせている)が四郎と惣吉だとわかった時は、背筋がゾクっとしましたね。
農民役の方々が、ちょっとしたドタバタ喜劇のようなシーンで、型にはまった“喜劇らしい演技”をされているように感じました。演技の演出は全体的に古い気がします。
※群馬公演は、芸術文化NPO法人スピリットネットワークぐんま(027-251-4455)の方々が運営されていました。私は前橋駅からバスで県民会館に伺ったのですが、バスを利用されている観客はあまりいないようでした。自家用車や自転車、徒歩で劇場に来る、その地域の観客が大多数だったのでしょうね。客席は盛況でした。
【出演】天草四郎:碓井涼子 徳川家光:安倍幸太郎(劇団M.M.C) 柳生宗矩:太田貢(フリー) 柳生十兵衛:和田覚(ヴォーカル株式会社) 山田右衛門作:岡村雄三 渡辺藤兵衛 荒川洋 キヌ:黒田ふみ 伊助:宮本昌明 惣吉:森下彰夫 平太:青木良太(オフィスPAC) ミネ:神谷あすみ トヨ:権田奈穂 ハツ:田郷真友
作:長谷川康夫 演出:井上思 作曲・音楽監督:甲斐正人 作詞:竜真知子 振付:田井中智子 美術:土屋茂昭 照明:大島祐夫 衣裳:出川淳子 音響:押久保豊 小道具:平野忍 声楽指導:矢部玲司 演出助手:小沢瞳 舞台監督:三重野一朗
【群馬公演】指定席4500円 自由席3000円 高校生以下2000円
【東京公演】指定席 S6000円 A5500円 ユース席3000円(高校生以下)
http://www.warabi.jp/amakusa/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月17日
【オーディション】五反田団2009年10月公演『生きてるものはいないのか』@東京芸術劇場 小ホール1※2009年1/12郵送必着
前田司郎さんが作・演出される五反田団の、2009年10月公演(予定)の出演者オーディション情報です。東京芸術劇場平成21年芸術発信事業として上演されます。⇒『生きてるものはいないのか』オーディション情報ブログ
『生きてるものはいないのか』は、オーディションで選ばれた京都の俳優たちと前田さんが足掛け2年がかりで創作された作品で、戯曲は第52回岸田國士戯曲賞を受賞しました。
⇒演劇計画2007『生きてるものはいないのか』稽古場の記録
⇒京都芸術センター公演の舞台写真
■公演日程・会場
東京芸術劇場提携公演
五反田団『生きてるものはいないのか』
作・演出:前田司郎
日程:2009年10月13日~11月1日(予定)
会場:東京芸術劇場 小ホール1
■応募・審査スケジュール
・書類応募締切:2009年1/12(月・祝)必着 ※郵送のみ
・1次審査(書類選考)
・2次審査(ワークショップ形式)
1/17(土)、1/18(日)、1/19日(月)の内の1回に参加。
・3次審査(ワークショップ形式)
2/18、2/19を予定。
詳細は下記をどうぞ。
■五反田団公演『生きてるものはいないのか』出演者オーディション
「生きてるものはいないのか」は、京都の俳優さんたちと作ったお芝居です。
今度はそれを東京の俳優さんたちと作りたいと思いました。
僕はオーディションは苦手です。あまり上手くないかも知れません。
ちょっと芝居を見たくらいではあんまりちゃんと選べません。
だけどまあ、なんとか好きな俳優を選びますが、絶対、取りこぼしがあるんだろうなあといつも後悔するのです。
そんなわけで、このオーディションには何かを賭けて挑んだりしないでください。
軽い気持ちで受けていただけると一番ありがたいです。
この芝居は人が死んでいくだけの芝居ですが、実はこの世も人が死んでいくだけの世のような気がします。
生まれたとたん死にはじめ、死ぬまで生きるだけの生なのに、こんなに必死に生きているのがなんだか凄いように感じ、この戯曲を書きました。
ご応募お待ちしております! (五反田団 前田司郎)
● 募集内容
・10代後半から20代前半に見える男女:12名
・20代後半から30代前半に見える男性:4名~5名
・45歳~50歳くらいに見える女性:1名
・40代~50代くらいに見える男性:1名
●応募条件
・下記のオーディション、9月上旬~の稽古、2009年10/13~11/01(予定)の本番に参加できる方。
・『生きてるものはいないのか』を観劇した事がある、または戯曲を読んだ事がある方。
※2次審査・3次審査は、指定したシーンのセリフを覚えてきていただきます。(白水社刊行版より参照)
●応募方法
所定のオーディション申込用紙に必要事項を記入の上、写真2枚(全身・上半身各1枚)を同封して、下記宛先にご郵送下さい。
※申込用紙は http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/ からダウンロード(PDF)してください。
●応募宛先
〒141-0022東京都品川区東五反田2-21-17
アトリエヘリコプター
五反田団『生きてるものはいないのか』オーディション係
●書類応募締切
2009年1月12日(月・祝)必着
● オーディション日程
<1次審査・・・書類選考>
書類選考の合否は1月14日(水)までにメールにてご連絡致します。
*14日までに連絡がない場合は、翌15日12時~18時にお問い合わせ下さい。
五反田団:03-3441-4633
<2次審査・・・ワークショップ形式>
1月17日(土)・18日(日)・19日(月)
【各回12時~17時】
*上記3回の内の1回に参加していただきます。
ご希望の回を第2希望までお選び下さい。
<3次審査・・・ワークショップ形式>
2月18日・19日予定
*詳細は2次審査合格者に通知
●参加費用
2,000円(2次審査当日会場にてお支払いいただきます)
●オーディション会場
2次審査・3次審査共にアトリエヘリコプター
〒141-0022 東京都品川区東五反田2-21-17
●その他備考
・稽古開始は9月上旬を予定しております。
・出演に際してチケットノルマなど金銭的な負担を俳優に要求することはございません。出演料をお支払いいたします。
※詳細に関しては3次審査終了後にお伝えします。
・応募された書類の返却は致しません。記載された内容についてはオーディション以外の目的で利用することはありません。
●お問い合わせ
五反田団 TEL:03-3441-4633
E-mail:gotanndadan(アットマーク)yahoo.co.jp
どうぞよろしくお願いいたします。
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【稽古場レポート】冨士山アネット『不憫(FUBIN!)』11/13都内某所
長谷川寧さん
長谷川寧さんが作・演出・振付される冨士山アネットの稽古場にお邪魔いたしました(⇒その日の長谷川さんのブログ)。
冨士山アネット(過去の関連レビュー⇒1、2、3、4、5)の作品は、全体がダンス的な動きで構成された“パフォーマンス”に見えますが、実はすべてが戯曲をもとに作られた“演劇”でもあるんですね。その創作過程を少しばかり覗かせていただきました。
【公演情報】
冨士山アネット『不憫(FUBIN!)』
期間:2008年12/26(金)~12/29(月)
会場:ザ・スズナリ
⇒CoRich舞台芸術!『不憫』

本チラシ
※『不憫』本チラシ(ビニール袋状)には野田秀樹さん、乗越たかおさん(12/29(月) 14:00の回のトークゲスト)からの推薦コメントあり。長谷川さんは来年1月開幕のNODA・MAP『パイパー』に出演されます。
★12/28(日)19:30の回のシークレット・トークゲストは、カンパニーデラシネラの小野寺修二さんです。12/18(木)より『ある女の家』がシアタートラムで開幕しますね。※12/21(日)まで上演。
≪『不憫』作品紹介≫ 公式サイトより
冨士山アネットが送る新作本公演!
病院という施設内、其処に居る数々の不憫な人間が、その肉体を必要に駆られて変えて行く様は、まるで人類の進化。
冨士山アネットが送る新作は「進化する身体」がテーマ。
人は、まだまだ進化する。
≪ここまで≫
舞台の実寸が取れる稽古場で、役者さんはそれぞれにウォーム・アップを開始。誰も発声練習をしないので演劇の稽古とは少々印象が違います。
まとまった人数が集まると、格闘技の経験者である山本伸一さん(BQMAP)がリーダーになって、イス取りゲームや2人組のエクササイズなど、冨士山アネットらしい(?)準備運動が始まりました。体操には違いないのですが、必ずと言っていいほど勝ち負けがあるのです。↓立っているのが山本さん。
例えば2人1組のゲーム「ひっくり返し」は、一方がうつぶせに床に寝て、一方がそれをひっくり返して仰向けにできたら終了というゲームです。山本さんは取っ組み合う2人を見守りつつ、試合に勝つためのテクニックを教えます。
山本「相手がどこで踏ん張っているのかがわかれば、ひっくり返せるよ。」
始まって15分で皆さんが息切れされていました。けっこうハードなんですね。この他にもいくつか(「フットタッチ」「エビ(←これが結構難しい)」等)のゲームが続き、稽古場が開いてから1時間以上はウォーム・アップに割かれていました。
10分の休憩を挟んで、長谷川さん(左)が持参した舞台模型の披露と説明↓
出ハケや小道具の移動などについて、役者さんから意見が多数出ました。どうやら冨士山アネットにとって新しい試みにチャレンジされるようです。
その後、新しく追加された台本(数ページ)の読み合わせが始まりました↓
配役はすでに決まっており、演劇のお稽古と同様に読み進めていきます。出演者は全員が演劇の役者なのではなく、ダンサーやパフォーマーなどさまざまですので、特にセリフ回しが上手というわけではありません。でも、言葉を間違えないことはあまり重要ではないようでした。
長谷川「掃除婦役はスローにやるんじゃなくて、マイペースをイメージして。」
長谷川「若者ことばでしゃべるより、他の人よりも(体感している)時間を早くして欲しい。他の人と時間をずらしてください。そうすれば時間軸が変わった体が出てきて、言葉にもそれが出てくるはずだから。」
長谷川「“多分”というセリフは韻を踏むイメージで。(音楽で言うと)Aメロが続くみたいに、体を、心を乗せていくところに保ってて。」
読みあわせを3度くらいしたら、すぐに立ち稽古が始まりました。台本は持ったままです。役者さんはお互いに台本に沿ってセリフをしゃべり、体に触れ合い、積極的に関わっていきます。
セリフを言いながら動く役者さんに対して、言葉よりも動きに重点を置いた演出がついていきます。
長谷川「この人物って、もっと“しゃべりたい人”じゃない?体が『しゃべろう!』としている体になってないよ」
長谷川「軸がない体にして“うっとおしさ”を表現してください。ねっとり、のしかかるように。」
長谷川「どういう体でいるのかを意識して。人と人との間に立ち上がってくるものを、位置関係であらわして欲しい。」
大きくジャンプしたり逆立ちをしたり、相手を持ち上げたり放り投げたり、大掛かりな組み技も次々と繰り出されてきます。
長谷川「このセリフは、峰不二子(Wikipedia)のモデルになったある映画のシーンをイメージしてるから(笑)、“刺さって”欲しいんだよね。刺さる体を見せて欲しい。シンボリックな体を。」
簡単な読み合わせから始まって、セリフについてはほぼ何の指示もないまま、動きや位置などの体の関係性に集中した稽古が繰り返されます。走る役者さんが起こす疾風や、アクロバティックな動作にハっと驚かされつつ、じわじわと目に見えてきたのは、演劇の一場面でした。それぞれにはっきりとした目的意識を持った人間たちが、ぶつかり、交差していきます。
長谷川「まずはセリフにあるものを体に出すんです。セリフから、人物から、欲求を拾っていく。役者が自ら出してきたものを拾っていきます。振り抜いたり、分散させたり、突き抜けたりする動きを採用して、タガをはずしていきたい。生っぽさを見せたいんですよね。」
長谷川「例えばパントマイムは、(敢えて体を)止める動きだと思います。僕がやりたいのはむしろ、振り切る動き。振り切って、つなげていく体です。そこにダンスのテクニックや演劇を混ぜて、舞台で見せる表現になるよう馴染ませる。」
『不憫』の舞台は病院。患者と医者、看護士、見舞いに来た患者の家族などが登場します。片足を引きずっていたり、常に腰を曲げている“不憫”な人物とともに、松葉杖やモップなどの小道具も大活躍します。
長谷川「人間の体は、怪我している部分が動かなくても、他の部分は元気です。使わない部分が体の他の場所に影響する。そこが面白いと思います。」
アップを除く約2時間の稽古で具体的な形が見えてきたシーンはおそらく1つ。それも分数にすると約2~3分にしか満たないようです。
長谷川「気が遠くなりますね(苦笑)。」
困ったような笑顔の裏側に、絶対に妥協はしないという固い気持ちが伺えました。演劇であり、ダンスであり、パフォーマンスであり、もしかすると格闘技でもある、凝縮された舞台が味わえそうです。
振付・出演: 山本伸一(BQMAP) 石川正義 大石丈太郎 石本華江(妄人文明/Co.山田うん) 石山優太(APE) 上ノ空はなび(toRmansion) 大西玲子 草光純太 玉置玲央(柿喰う客) 深井順子(FUKAI PRODUCE羽衣) 長谷川寧
作/演出/振付:長谷川寧 衣裳パフォーマ-:山下和美 音楽監督:吉田隆弘 音響:高橋秀雄(Sound Cube) 佐藤春平 照明:奥田賢太(colore) 映像:浦島啓(PUREDUST) 美術:原田愛 池田那緒美 宣伝美術:太田創(01 Ga Graphics) 制作:高市由香里 田中真実 岩間麻衣子+冨士山家
(日時・全席指定) 早割 2,500円 振込/11月20日迄 一般前売 2,800円 一般当日3,000円 学生前売 2,500円 学生当日2,500円 要学生証提示 団体前売 7,800円 3名様・要予約
http://fanette.fc2web.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【ご報告・御礼】「まぐまぐ大賞2008」が発表されました!
11月より宣伝および応援のお願いをしておりました「まぐまぐ大賞2008」が発表されました!
残念ながらエンタメ部門の3位までに入ることはできませんでしたが、ノミネートされただけでも名誉なことだと思っております(エンタメ部門約3000本中の15本に選出!)。投票してくださった皆様、本当にありがとうございました!
奥の深~いメルマガ業界。ちょっと興味が沸いたメルマガがあったら、軽い気持ちで登録してみてくださいね。自分にとって新しい世界が開けるかも♪
私は今回のノミネートで初めて出会った【1日1曲!名曲紹介!】に登録してみました。毎日届くことに驚愕(笑)。動画へのリンクがあるのが嬉しいです。
2008年12月16日
【つぶやき】朝日新聞夕刊コラム「井川遥のてんや椀や」が連載終了
毎週(火)の夕刊に連載されていた「井川遥のてんや椀や」を楽しみにしていたのですが、今日で終わってしまいました(涙)。
井川遥さんを舞台で初めて拝見したのは、2002年のパルコ劇場での『HAKANA』。その後『見よ、飛行機の高く飛べるを』、『うら騒ぎ/ノイゼズ・オフ』と拝見して、ステキな女優さんだな~と思い、邦画の出演者に井川さんの名前があると観たくなります。特に「tokyo.sora」「暗いところで待ち合わせ」「チームバチスタの栄光」での演技が印象に残っています。
KERA・MAP #005『あれから』12/13-28世田谷パブリックシアター
ケラリーノ・サンドロヴィッチさんが作・演出を手がけるプロデュース企画KERA・MAP(ケラ・マップ)の第5弾。KERA・MAP関連レビュー⇒1、2、3、4、5、6
今年5本目のメルマガ号外を発行しました♪
上演時間:約3時間(途中休憩15分を含む)
⇒朝日新聞『新作「あれから」上演中 熟年夫婦 ケラ流に』
⇒CoRich舞台芸術!『あれから』
出演:余貴美子 高橋ひとみ 萩原聖人 岩佐真悠子 柄本佑 金井勇太 赤堀雅秋(THE SHAMPOO HAT) 村上大樹(拙者ムニエル) 三上真史(D-BOYS) 植木夏十(ナイロン100℃) 山西惇 渡辺いっけい 高橋克実 猪岐英人 伊与顕二 菊地明香 斉木茉奈 白石遥 田仲祐希 田村健太郎 野部友視 水野顕子
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ 美術:BOKETA 音響:水越佳一(モックサウンド) 照明:関口裕二(balance,inc.DESIGN) 音楽:三浦俊一 映像:上田大樹(&FICTION!) 衣裳:堀口健一(フロムアップ) ヘアメイク:武井優子 演出助手:坂本聖子 相田剛志 舞台監督:福澤論志 演出部:本田康広 高橋大輔 佐藤久美子 照明操作:瀬戸あずさ 柳館弘子 申政悦 音響操作:大野正美 矢島理江 映像操作:登米裕一 衣裳部:畑久美子、松本夏記 ヘアメイク進行:綿貫尚美 大道具:唐崎修〔smile stage〕 映像助手:荒川浩輝(&FICTION!) レコーディングエンジニア:福原正博 記録スチール:引地信彦 ステージング:長田奈麻 横町慶子 殺陣指導:明樂哲典 大道具製作:C-COM舞台装置 くれよん 小道具:高津映画装飾 特殊効果:特効 衣裳助手:長谷部妙子 衣裳製作:菊地真澄(ミニドール) 運搬:マイド 宣伝美倚:坂村健次、鈴木健朗(C2design) 宣伝写真:江隈麗志 宣伝イラスト:菊池浩司 宣伝衣裳:堀口健一(フロムアップ) 宣伝ヘアメイク:西本恵子(フロムアップ)、市ノ渡友恵 宣伝衣裳協力:タカキュー、ヒロ・コーポレーション ボイス協力:高橋直己 フランス語指導:福永淑子 プロデューサー:北牧裕幸 高橋典子 制作::北里美織子 佐々木悠 高比良理恵 制作助手:本中野しのぶ 制作協力:花澤理恵 公演進行協力:登米裕一 広報宣伝:米田律子 制作:キューブ 企画・製作:シリーウォーク
【休演日】12/17(水) 24(水)【発売日】2009/10/19 S席8,500円 A席6,500円(全席指定・税込)
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/arekara.html
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/12/post_133.html
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メルマガ号外 KERA・MAP #005『あれから』
KERA・MAP #005『あれから』
12/13-28 世田谷パブリックシアター
※公演詳細はこちら。
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“しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.37 2008.12.16 1,382部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎KERA・MAP #005『あれから』
12/13-28世田谷パブリックシアター
☆出演:余貴美子 高橋ひとみ 萩原聖人 岩佐真悠子 柄本佑
金井勇太 赤堀雅秋 村上大樹 三上真史 植木夏十 山西惇
渡辺いっけい 高橋克実 他
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
S席8,500円 A席6,500円
http://www.cubeinc.co.jp/stage/info/arekara.html
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/12/post_133.html
新作続きのケラさんがまた新作を自ら演出する、豪華キャスト公演。
朝日新聞↓『新作「あれから」上演中 熟年夫婦 ケラ流に』
http://www.asahi.com/showbiz/stage/theater/TKY200812150149.html
◎観劇後のコメント◎
高校で親友同士だった2人の主婦(余貴美子&高橋ひとみ)が、
30年ぶりに偶然再会する。縁が切れたのはある事件のせいだった。
甘酸っぱい恋や将来の夢に胸振るわせた青春時代を振り返りつつ、
夫や子供との間に深刻な悩みを抱えた、彼女らの現在を描きます。
風刺が効いた悲惨な設定ですが、ナンセンスでキレのある笑いを交え、
物語の進行は軽やか。達者な俳優たちの演技も愛嬌たっぷりです。
高さのある抽象舞台を縦横無尽に使い、大胆な照明効果も生きています。
地上から星を仰ぎ見るように、あるいは宇宙から地球を見つめるように
時と空間を超えて、愚かで愛らしい現代人が照らし出されました。
封印していた過去との対話から、空白の30年が少しずつ埋められ、
無数に散りばめられたピースが見事につながった時、
「これから」が始まります。
こんなに共感して、癒されて、元気をもらえたのは、
私自身が年をとったからなのかもしれません(笑)。
大人が大笑いして、たわいない言葉の意味をかみ締めて、
しみじみと涙する、ファンタジックな人間ドラマ。
年の瀬に人生を振り返る贅沢なお芝居だと思います。
上演時間:約3時間(途中休憩15分を含む)
【チケット情報】
S席8,500円 A席6,500円(全席指定)
※当日券あり
・世田谷パブリックシアターチケットセンター
http://setagaya-pt.jp(PC)
http://setagaya-pt.jp/m/(携帯)
・電子チケットぴあ
http://pia.jp/t/
・ローソンチケット
http://l-tike.com (PC・携帯共通)
・イープラス http://eplus.jp(PC・携帯共通)
【お問い合わせ】
キューブ
TEL:03-5485-8886(平日12:00~18:00)
http://www.cubeinc.co.jp/
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◆ 【編集後記】
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◎今年10月4日以来のメルマガ号外です。前回はこちら↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1004014001.html
◎当メルマガが「まぐまぐ大賞2008」にノミネートされました!
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/ent.html
エンタメ部門約3000本中の15本に選ばれたことになります。
応援してくださって本当にありがとうございます。大賞発表は12/17です!
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/
◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
感想も書き込めますよ♪
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◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています↓
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◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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今回の配信は“号外”です。
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
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2008年12月14日
Habaneraプロデュース『ロゼット』12/11-14シアターグリーン BASE THEATER
稽古場レポートを書かせていただいたHabaneraプロデュース『ロゼット』を拝見しました。上演時間は約1時間30分。
東京で暮らす、ある平凡な人々の冬の数日間を描くドラマです。優しさが体に染み渡りました。誰にでもお薦めできるウェルメイドのストレート・プレイですね。早船聡さんの脚本・演出の確かさをまた実感!
⇒CoRich舞台芸術!『ロゼット』
≪あらすじ≫
会社員だった典子(田口朋子)は、植木の通信販売を手がけるベンチャー企業を立ち上げた。気のいい植木職人の加賀(各務立基)と、幼なじみの主婦・真樹(中島佳子)を雇い、やりたい仕事に全力で取り組んでいる。しかし事業はいつも順風満帆に進むものではなく、幼い息子を持つ真樹との考え方の相違もあり、明るいオフィスで意見がぶつかり合うこともしばしば。そこに真樹と同じく高校の同級生だった祐二(芹沢秀明)がやってくる。
≪ここまで≫
自然な会話から登場人物1人ひとりが丁寧に描かれ、それぞれの生きる世界が折り重なっていきます。キャストが女3人、男2人の計5人しかいないとは思えない厚みがありました。決して明るい話ではないのですが、常に人の温かさ、優しさ、可愛らしさが満ちています。
よく出来た群像劇として味わっていたら、最後はチラシのビジュアルのとおり“女たち”にギュっと焦点が当たり、空気の密度が上がりました・・・これがすごかった!試練にぶつかり、人知れず静かにもがきながら、変化していく人間も描かれていたように思います。
ここからネタバレします。
登場人物はそれぞれに深刻な問題を抱えています。典子は不倫相手との関係がまだ続いており、乳がんをわずらったことが判明します、真樹は夫と夫側の家族とうまくいっておらず、できれば息子を引き取って離婚したいと考えています。祐二は歌舞伎町で風俗関連のヤバい商売をしており、その会社の経営が危うい状況にあります。後からわかることですが、典子には中絶の、真樹には流産の経験があります。祐二には離婚した妻との間に子供がいるのですが、会わせてもらえません。
加賀は父の遺言を堅く守り、ひきこもり中の妹・美晴(加古みなみ)の世話をしているのですが、美晴はそれを迷惑に感じています。というのも、加賀は美晴の彼氏が気に入らず、2人の仲を無理やり引き離したからです。加賀は典子に恋心を抱いていますが、気弱ゆえにずっと告白できない状態。美晴は中学時代にひどいいじめに合っていたため、兄と別居したくとも昔の同級生が怖くて実家に帰れません。
不倫の恋に破れ中絶の経験もある典子と、夫と子供がいる主婦の真樹は、考え方がかなり違うので仕事においても意見が大きく食い違います。とうとう真樹は退職を決意し、典子もバイトの美晴に仕事をまかせて、真樹のことは引き止めないのですが、典子が過労と風邪で倒れたことで事態は大きく変化します。
そもそも、中学時代にいじめられていた真樹を典子が助けたことで、2人は親友になりました。今度は乳がんになった典子を真樹が支えるのです。
こうやってストーリーだけを文章にすると、いやに簡単なことのように見えるかもしれません。でも舞台上で実際に役者さんが見せてくれたのは、何かが起こった時に、それに対して素直に反応すること、そしてその結果、心が変化して、新しい行動が生まれることです。人間が変化することって、実はすごく大変ですよね。ほんの小さな出来事や、たったひとことの言葉で世界の色ががらりと変わるような、そんな奇跡を見せてもらえたように思います。
Habaneraプロデユース[女優のための芝居企画①]『ロゼット』
出演:中島佳子 加古みなみ 田口朋子 各務立基(花組芝居) 芹沢秀明
作・演出:早船聡 演出助手:佐藤亜美 美術:近藤麗子 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 音響:平井隆史(末広寿司) 舞台監督:大友圭一郎 チラシイラスト:鹿又広佑 企画製作]:Habanera
[チケット発売日] 11月10日 [チケット] (全席自由/整理番号付) 前売 ¥2800 当日¥2500 ※ 平日マチネ¥2500(前売・当日共)
[チケット取扱い]Habanera 電話 03-5489-3740(平日11:00~18:00)
http://www.habanera-pr.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月13日
サバダミカンダ『スタンレーの魔女』12/11-23赤坂RED/THEATER

チラシ
松本零士さん原作の短編漫画の舞台化です(⇒公式サイト)。原作の絵が使用されたチラシが凄い迫力!
作・演出はspacenoidの御笠ノ忠次さん。サバダミカンダとは、*pnish*の土屋裕一さんと御笠ノさんの2人ユニットの名称です。お2人は去年の『絢爛とか爛漫とか』で一緒にお仕事をされたんですね。
⇒赤坂経済新聞「気鋭ユニットが赤坂で旗揚げ公演」
2006年のspacenoidによる初演よりグンと完成度が上がっていました。自分の隣りにいる若い男の子が、ゼロ戦に乗っている。それを目の前で観て、肌で実感して、またもや涙ボロボロ・・・!上演時間は約1時間40分。
小学館
売り上げランキング: 575111
↑上記は品切れのようですが、絵がかっこいいから載せちゃう(笑)。↓下記は在庫あり。
⇒CoRich舞台芸術!『スタンレーの魔女』
↓トレイラームービーです(2008/12/16)。短くスマートにまとまっていますね。
≪あらすじ≫
若い日本兵たちが南の島で暇をもてあましている。ゼロ戦乗りのエリートたちは次々と戦場へと飛び立つが、彼らは落ちこぼれチームなので出番がもらえないのだ。だが、とうとう彼らにもチャンスがやってきた。
≪ここまで≫

客席配布の紙飛行機型パンフレット
今の日本で、自分自身が戦争に参加するとしたら・・・なんて、簡単には想像できないと思います。日本には徴兵制がありませんし、今のところ私の周りの若い男性は、誰も兵隊にはなりそうにありません。ありったけの想像力を駆使した素晴らしい演技で、戦時中の日本人の気持ちを表してくれるお芝居もありますが(私はそんな作品も大好きです)、この作品は、今を生きる現代人の体と心をそのままに示すことによって、自分が戦争に行くとはどういうことなのかを想像させてくれます。
「深刻な状況下だからこそ、人は笑ってフザけるものだ」という主張を感じました。みんなで神妙な面持ちになって同じ方向を向くのは、安泰だけどかっこ悪いですよね。そして危険でもあります。社会に対してはっきりと意思表示をしていることが、御笠ノさんの演劇の魅力のひとつだと思います。
ここからネタバレします。
組み立て式の戦闘機、回るプロペラ、ドラム缶のゼロ戦など、初演と同様にシンプルな美術が素晴らしいですね。
落ちこぼれたちが「飛びたい」とつぶやいたところで、グっとこみあげてくるものを感じました。とうとう出発することが決まり、全員が戦闘服を身に着けていくシーンで、もう涙が止まらなくなっちゃいました(涙)。あんなに普通にだべっていた男の子たちが、死にに行くんですから。
だらだらとしていたシーンが本当にくだらなくて静かだったからこそ、飛行機で飛び立って、戦場へと飛び込んだ時のあの爆音が効果的です。
ゼロ戦の後藤(日比大介)が爆撃機の7人に「高度を上げろ」としきりにジェスチャーで伝えるシーンが、しつこくってすごく面白かった~(笑)。「油圧の関係で高度が上げられないから、スタンレー山脈を越えられない」ことへの上手いつなぎにもなっていました。
最後の映像はなくても良かったんじゃないかな~と思いました。バサっと白い布の幕が下りて「スタンレーの魔女」というロゴが出たところで、個人的にはもう、感極まった状態でしたので(苦笑)、その熱をそのままに保ってカーテンコールに進んで欲しかったですね。白い幕にうつる兵士たちの影がかっこ良かったです。
出演:土屋裕一、日比大介、津村知与支、富岡晃一郎、諸岡立身、ゆかわたかし、鈴木啓文、深澤和明、加藤忠可
原作:松本零士 脚本・演出:御笠ノ忠次 美術:小林岳郎 照明:津村裕子(アートブレーンカンパニー) 音響:前田真宏 衣裳:佐藤明子 舞台監督:伊東龍彦 桑原淳 WEB:新藤健 票券:西川悦代 制作助手:井手江夢 制作:佐々木康志 音楽協力:SeanNorth 協力:零時社 小学館 主催・製作:ゴーチ・ブラザーズ
【発売日】2008/11/08 全席指定5,000円
http://www.stanley-no-majo.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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俳優座劇場プロデュース『空(ソラ)の定義』12/11-21俳優座劇場
グリングの青木豪さんが俳優座劇場プロデュースに新作を書き下ろされました。演出は青年座の黒岩亮さんです。俳優座劇場プロデュースならではの手堅そうなキャスティングで、仮チラシの情報をゲットした時から期待しておりました。
すごい脚本でした・・・。私が自分の親の世代について感じていることと、自分の今の生き方について考えて(迷って)いることを、そのまま言葉にしてくださったように思いました。上演時間は約1時間45分。
⇒CoRich舞台芸術!『空の定義』
あらすじなどをアップしています。
≪あらすじ≫ チラシより。(役者名)を追加。
父娘(名取幸政&松永玲子)で経営している画廊喫茶に、ある男(中嶋しゅう)が訪ねてきた。
「あの絵を売ってくれないか」それは失踪していた母が描いたものだった。
「その絵はお売りできないんです」娘の暁子は応える。
男は「この絵は昔の友人が描いたものだ」と語り始める。
広がる波紋と、折り重なってゆく人間関係。
そして謎は、あの闘争の時代へと遡る・・・。
≪ここまで≫
今を生きる平凡な人々の生活の一風景を眺めている内に、思考は広く宇宙へ飛んで、言葉では表せないどこか(何か)まで、連れて行ってくださいました。
ここからネタバレします。
≪詳しいあらすじ≫
小児科の女医・暁子(松永玲子)は3つ年下の医師・長浜宏一(浅野雅博)と結婚している。暁子は38歳にして妊娠したが、米国に数年間留学して免疫の研究をしたいと思っている。宏一は、妻が一人で外国で出産して、子育てをすることには反対だ。
暁子の父親(名取幸政)は東京から離れた田舎町で一人、喫茶店を経営している。母親は暁子が2歳の頃に夫と娘を捨てて家を出た。父は母が描いた浜辺の絵を喫茶店に飾り、彼女の帰りを待っているのだが、実は今、母は何らかの犯罪をおかして服役中のようだ。
舞台は父が経営する喫茶店。近所で不動産屋を営む君恵(津田真澄)が小学5年生になる息子の中学受験のため、自分が数学の勉強をしている。「集合」の問題について宏一に質問しているところ、暁子の幼なじみの服部(杉山文雄)がイスラエルから帰ってきた。なんとイスラエルの女性と結婚するらしい。昔ながらの知人同士で気の置けない会話をしていたところ、君恵が「暁子の父が、この喫茶店の2階で恋人と一緒に暮らしているのではないか」と言い出した。一方、服部は、喫茶店の2階へと侵入する不審な男性客(中嶋しゅう)をつかまえて・・・。
≪ここまで≫
俳優座劇場プロデュースNo.79
出演:松永玲子、名取幸政、中嶋しゅう、浅野雅博、杉山文雄、津田真澄、塩屋洋子
脚本:青木豪 演出:黒岩亮 美術=柴田禿子 照明=中川隆一 音響=小山田昭 衣裳=竹原典子 舞台監督=伊達一成 演出助手=河田園子 イラスト=横尾智子 宣伝美術=ミネマツムツミ 企画制作=俳優座劇場
【発売日】2008/11/04 一般 5600円 ハーフチケット(11日・12日) 2800円 グリーンチケット(学生) 2800円※ ※グリーンチケットは俳優座劇場のみ扱い ※要学生証提示
http://www.haiyuzagekijou.co.jp/produce/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月12日
Studio Life『死の泉』11/28-14天王洲 銀河劇場
『パサジェルカ~女船客~』(1、2)と2本立ての『死の泉』に伺いました。再演希望の多い作品の7年ぶりの再演ということですが、私は初見。ダブルキャストのワルキューレチームを拝見いたしました。上演時間は約3時間強(途中休憩10分を含む)。
『パサ・・・』同様に舞台はナチス政権下のドイツですが、こちらは派手なアクションも見せ場になっている、ミステリー色の濃いエンターテインメント作品でした。原作は皆川博子さんの吉川英治文学賞受賞小説です。劇場ロビーで文庫本が販売されていました。あ~買っておけば良かったかも。すごく面白いストーリーでした。
⇒CoRich舞台芸術!『死の泉』
レビューはアップできるかどうか未定。
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
夢と現実が交錯する壮大で美しい悲劇――
直木賞作家皆川博子の代表作、吉川英治文学賞受賞の傑作ミステリー!
ナチの狂気が生んだ美と悪と愛の物語が、再びよみがえる。
私生児をみごもりナチの施設(レーベンズボルン)の産院に身を置くマルガレーテ(三上俊)は、不老不死を研究し芸術を偏愛する医師クラウス(山﨑康一)の求婚を承諾した。しかし、激化する戦火の中、次第に狂気をおびていくクラウスの言動に怯えながら、やがてこの世の地獄を見ることに…。
≪ここまで≫
≪東京、兵庫≫
出演(Walküre:ワルキューレ版):三上俊 曽世海司 山﨑康一 奥田努 小野健太郎 深山洋貴 青木隆敏 船戸慎士 舟見和利 荒木健太朗 前田一世(青年座映画放送) 高根研一 倉本徹 藤原啓児 関戸博一 仲原裕之 牧島進一 篠田仁志 大沼亮吉 吉田隆太 ※河内喜一朗休演につき代わって大沼亮吉が出演。
原作:皆川博子(早川書房刊) 脚本・演出:倉田淳 美術:松野潤 照明:森田三郎・森ll敬子 舞台監督:本田和男[ニケステージワークス] 清水浩志 音響:竹下亮[office my on] 衣裳:竹原典子 ヘアメイク:角田和子 アクション:渥美博 振付:TAKASHI 美術助手:渡辺景子 演出助手:平河夏・荒川真寿恵 宣伝美衛:田代祐子 宣伝写真:申村路人 小道具:高津映画装飾 大道具:俳優座劇場 デスク:大野純也・大谷吉弘・熊田美波・山崎みれい 制作:稲田佳雄・揖斐圭子・麻場優美・小山智子・瀬津丸砂織・若松美香 制作協力:東容子・縄志津絵・小泉裕子・ハ木美穂子 協力:舞台屋・ニケステージワークス 主催:テレビ朝日 Studio Life
【発売日】2008/10/12◇前売 S席¥5,900/A席¥4,900◇当日 S席¥6,300/A席¥5,000◇学割(前売・当日) A席¥3,000(要学生証・劇団取扱いのみ)◇「死の泉」+「パサジェルカ」セット券 (前売S席限定・劇団取扱いのみ) ¥11,200
http://www.studio-life.com/stage/si_pasa/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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ブラジル『軋み』12/10-14 THEATER/TOPS
ブラジリィー・アン・山田さんが作・演出される劇団ブラジルの初THEATER/TOPS公演。KAKUTA、MCR、メタリック農家という小劇場劇団の作・演出・主宰が客演されています。
上演時間は約2時間。レビューはほぼ記録のみです。
⇒CoRich舞台芸術!『軋み』
≪あらすじ≫
人気漫画家・高井由美子(桑原裕子)の仕事場。ある女がソファに倒れている。そこに買い物から帰った由美子の夫(櫻井智也)が入ってきて・・・。
≪ここまで≫
出演:桑原裕子(KAKUTA) 辰巳智秋 櫻井智也(MCR) 西山聡 諌山幸治 中川智明 葛木英(メタリック農家) 山本真由美 声の出演:津留崎夏子(世界名作小劇場)
脚本・演出:ブラジリィー・アン・山田 舞台監督 掛樋亮太 舞台美術:仁平祐也 照明:シバタユキエ 音響:島貫聡 衣装:中西瑞美 宣伝美術:川本裕之 チラシ写真:名鹿祥史 チラシモデル:山本真由美 演出助手:津留崎夏子(世界名作小劇場) 友寄総市浪(国道五十八号戦線) 票券管理:スギヤマヨウ(QuarterNote) 当日運営:B-PLANT 制作:恒川稔英・池田智哉(feblabo) 企画制作:ブラジル事務局
【発売日】2008/11/08 前売3000円 当日3500円(全席指定/税込み)☆12日14時の回のみ 平日マチネ割引 前売・当日共に2500円
http://www.bra-brazil.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月11日
Studio Life『パサジェルカ~女船客~』2回目12/02-13天王洲 銀河劇場
『パサジェルカ~女船客~』Siegfriedチーム初日に続いて、Götterdämmerung(ゲッターデメルング)チームを拝見。終演後にトークショーがある日でした。役者さんが自分で選んできた詩を朗読するというイベントで、これがとても充実の内容でした。
⇒CoRich舞台芸術!『パサジェルカ~女船客~』
配役はリーザ(曽世海司)とワルター(前田一世)が同じで、マルタ、タデウシュ、ブラッドレイが変更になります⇒キャスト表参照。
マルタ役、タデウシュ役の役者さんは、チーム違いで強制収容所の囚人と看守を演じ分けることになるんですね。Siegfriedチームでマルタだった舟見さんが、凶暴な犬の飼い主である看守ハウゼとして登場したのが刺激的でした。
ここからネタバレします。
終演後はメインの役を演じた役者さんが、持参の詩を朗読しました。Mr. Children、中島みゆき、谷川俊太郎、ドリアン助川など、作品と関連づけられるものも多く、かなりグっと来ましたね。
関戸さんが朗読されたのはMr. Childrenの歌で、「マルタを演じる前に必ずこの曲を聴いてます」とおっしゃっていました。
≪東京、兵庫≫
出演(Götterdämmerung:ゲッターデメルング版):曽世海司 前田一世(青年座映画放送) 青木隆敏 舟見和利 高根研一 奥田努 小野健太郎 深山洋貴 倉本徹 藤原啓児 山崎康一 関戸博一 山本芳樹 荒木健太朗 三上俊 仲原裕之 船戸慎士 牧島進一 篠田仁志 大沼亮吉 吉田隆太 ※河内喜一朗休演につき代わって大沼亮吉が出演。
原作:ゾフィア・ポスムイシ 脚本・演出:倉田淳 美術:松野潤 照明:森田三郎・森ll敬子 舞台監督:本田和男[ニケステージワークス] 清水浩志 音響:竹下亮[office my on] 衣裳:竹原典子 ヘアメイク:角田和子 アクション:渥美博 振付:TAKASHI 美術助手:渡辺景子 演出助手:平河夏・荒川真寿恵 宣伝美衛:田代祐子 宣伝写真:申村路人 小道具:高津映画装飾 大道具:俳優座劇場 デスク:大野純也・大谷吉弘・熊田美波・山崎みれい 制作:稲田佳雄・揖斐圭子・麻場優美・小山智子・瀬津丸砂織・若松美香 制作協力:東容子・縄志津絵・小泉裕子・ハ木美穂子 協力:舞台屋・ニケステージワークス 主催:テレビ朝日 Studio Life
【発売日】2008/10/12◇前売 S席¥5,900/A席¥4,900◇当日 S席¥6,300/A席¥5,000◇学割(前売・当日) A席¥3,000(要学生証・劇団取扱いのみ)◇「死の泉」+「パサジェルカ」セット券 (前売S席限定・劇団取扱いのみ) ¥11,200
http://www.studio-life.com/stage/si_pasa/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月10日
梅田芸術劇場『箱の中の女』12/10-25 Bunkamuraシアターコクーン
岩松了さんが作・演出される音楽劇、主演は一青窈(ひとと・よう)さんです。
一青さんが作詩した曲が脚本の題材になっており、作曲はJ-POP業界で有名な小林武史さん。約9曲の未発表曲が披露されました。一青さんは初舞台なんですね。上演時間は約2時間50分(休憩15分を含む)。
⇒毎日新聞ウェブサイトに舞台写真がいっぱい!
⇒こちらで劇中歌「冬めく」が聴けます。
⇒CoRich舞台芸術!『箱の中の女』
レビューを最後までアップしました(2008/12/11)。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
男(柏原収史)は孤独な生活をしていた。波止場で荷物の積み下ろしの仕事についていたが、友達とてなく、倉庫ともつかぬ男の住居には、船から降ろされた荷物、これから出荷される荷物が山積みされている。男は妻が欲しかった。愛する者と暮らせる日々を夢見ていたのだ。それがかなわぬ中、男は一人の密輸業者(杉本哲太)に密輸を加担するように持ちかけられ、それを受け入れた。或る夜、眠ろうとした時に、山積みされている箱の中から奇妙な音がする。不思議な音に誘われるようにその箱に近づく。中から一人の女(一青窈)が出てきた。箱は、あの密輸業者から預かったものだ。男は女に、密輸業者との関係を問いただそうとするが、言葉を話さぬ。おそらくは何か不幸な身の上にあるのに違いない。秘密の生活をつづけるうちに、男はこの女こそ運命の女だと思いはじめる。が、女の周辺にはにわかに不穏な空気が・・・
≪ここまで≫
色々と初めてづくしのプロデュース公演は、演劇とJ-POP(歌謡曲)が混ざったような混ざっていないような、不思議な仕上がりでした。でも岩松作品ならではの後味が残り、帰り道はしみじみと幸せ。
人は孤独です。その寂しさゆえに必死で誰かを求めたとして、その願いが一時叶ったとしても、時間が経てばすれ違っていきます。ひたすら1つの方向に疾走していく命は、孤独なまま生まれて死んでいきます。不器用な命が、そのままに描かれていたように感じました。
ただ、音楽とお芝居とのアンバランスは歌が始まる度に感じました。イレギュラーというのかな。意図的なのかもしれませんが。一青さんの歌い方はポップスでありながら演歌や民謡なども思い起こさせるので、言葉(セリフ)とシームレスにつながる気配を感じます。でもシンセサイザーや軽い目のドラムの音など、いわゆるJ-POPらしい音楽とともにあるので、岩松さんの劇世界をぷっつりと切ってしまうこともあったように思います。特に前奏の時間が過ごしづらかったな~。
一青さんの衣裳だけが他の人とは毛色が違っていて、それは役柄を表すためのものだったのかな~とも思いましたが、う~ん、どうなんだろう。私は最初にお召しだったのが好みです。足が細い!
ベストを着た男チートイを演じた山中聡さんがとても面白かったです。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
ストーリーも私個人が受け取ったものなので、間違っている可能性があります。
レンファ(一青窈)が愛する男は、ある敵対するヤクザの組同士の闘争の真っ只中にいる人物でした。レンファと男はともに逃げようと、どこか遠くの街で落ち合う約束をします。レンファは用心のために飛行機には替え玉(自分の片腕の女性)を乗せて、自分は箱に入り貨物としてある港町に到着しました。飛行機は墜落し乗客の生存は絶望的。レンファを狙った組の仕業のようです。
箱に入っていたレンファは作業員のロクに発見されて、彼の家で恋人を待つことにしました。ところがロクはレンファに恋をし、レンファもまんざらではない様子。そこに恋人の弟ブランコ(水橋研二)がやってきてレンファに伝えたのは、「兄は死んだ」という知らせでした。※本当は死んでいなかったのですが。
ロクは、ブランコがレンファの恋人だと信じ込み、バーのオーナー・ヤン(村杉蝉之介)が組の人間から預かっていた銃で、ブランコを銃殺してしまいます。レンファとロクを中心に進んでいた物語でしたが、語り部役でもあったブランコに急に焦点が当たりました。常に立派な兄の影になっていたブランコですが、ロクにレンファの恋人だ勘違いされ、猛烈な嫉妬を受けて殺されました。大量の血を体から吹き出しながら、ブランコは本当にレンファの恋人になって、兄を超えられたような気がしてきます。
ブランコ「生きているときに見つけられなかったものを、死んでから見つけられるなら、死ぬのもいい。」
そういえばブランコは、最初の方のシーンで洋服のボタンがなくなって探す演技をしていました。死んでからそのボタンが見つかったんですね。
ブランコといういわば物語の脇にいた人物の心情を、短い時間で鮮やかに表現したことで、他の人物たちもにわかに生き生きと見え始めました。でも、彼らの声はいつも大きな音(波、風、声、騒音など)でかき消されていきます。たしか最後のセリフはこちら↓
オカダ(チートイ?)「むごたらしいほどの人の数だ。こんなところにいたら踏み潰されるぜ!」
最後もまた、誰も居ないステージで、祭りの声や騒音がどんどん大きくなっていきました。大多数に塗りつぶされていく、人間一人ひとりの命を想像しました。
“くわえタバコの裸の女”“一糸乱れず飛ぶカモメの群れ”などの、意外性をもってピカっと光るような存在感を示しておきながら、あっという間に通り過ぎていくものの存在もいとおしい。銃が出てきたのですぐにチェーホフの「かもめ」を連想しました。いつも死の影を感じさせるのも岩松作品らしさですよね。
歌の中では「確信犯♪」という歌詞が何度も出てきた曲が、自分からノって行けたので楽しかったですね。
レンファ「愛を育てるより、憎しみを育てる方がいい。愛するとき、人は愚かになる。でも愚かなとき、人は幸せ」
≪東京、大阪≫
出演:一青窈(レンファ:新進デザイナー)、柏原収史(ロク:荷降ろし作業員)、水橋研二(ブランコ:レンファが愛する男の弟)、山中聡(チートイ:料理人?)、村杉蝉之介(ヤン:バーの店長)、杉本哲太(オカダ:密輸業者。奥さんが整形して奥二重)
脚本・演出:岩松了 音楽監督・作曲:小林武史 作詞:一青窈 美術:磯沼陽子 照明:沢田祐二 音響:井上正弘 衣裳:飯嶋久美子 振付:井手茂太 演出助手:豊田めぐみ 舞台監督:加藤高 宣伝美術:gooddesigncompany 宣伝写真:鈴木心 宣伝衣裳::タケダトシオ 飯嶋久美子 宣伝ヘアメイク:津田雅世 奥平正芳 制作進行:熊谷由子 プロデューサー:村田裕子 黒川博章
【発売日】2008/10/11 S¥9,000 A¥7,000 コクーンシート¥5,000※未就学児童のご入場はご遠慮下さい。
http://www.umegei.com/s2008/hako.html
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/08_hako/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月09日
パルコ『グッドナイト スリイプタイト』11/18-12/28パルコ劇場
中井貴一さんと戸田恵子さんを主演に迎えた、三谷幸喜さんの新作2人芝居。開演前に楽しいアナウンスがあるので、どうぞ遅刻はなさらないように。
上演時間は約2時間10分(休憩なし)。
⇒CoRich舞台芸術!『グッドナイト スリイプタイト』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
出演者は、男と女。
舞台は、ベッドルーム。
限られた俳優と、限られた空間で綴る、
三十年間に渡る夫婦の物語。
≪ここまで≫
中井さんはあの手この手で愛嬌たっぷり、魅力を伝えてくださいました。戸田さんは若返ったり年を取ったり、クルクル着替えてキュートでした。
でも、私は「あの有名俳優の2人が、こんなことも、あんなこともやっちゃうYO!」という視点から離れられず、それほど面白みは感じられなかったです。決めるところをバッチリ決める安定感はあるかもしれませんが、私にはその安定が少々退屈に。
生演奏の音楽家4人もお芝居に楽しく参加されてるのが微笑ましかったです。リコーダーが良かったな~。
上演中に携帯のバイブレーションの音が鳴ったり、携帯を開いて時間確認する人がいたり、座席が不運でしたね・・・。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
子供がいない夫婦の三十年間を過去と現在を行ったりきたりしつつ描きます。女は振付師、ダンサー・女優、ペットシッター、英会話教師、英会話教室経営(?)、日本画専門画廊オーナー(?)など、どんどん職業を変えていきますが、男は浮き沈みはあるものの作曲家一点ばり。
子供をつくるかつくらないかを考えた結婚5年目のエピソードが、一番ぐっと来ました。その後数年経って、男の方から「子供をつくろう」と言うのですが(しかも自分の仕事がいきづまったからという理由で)、女が怒るのは無理ないですね。男の「高齢出産なんて今はどうってことない」という発言もキツイ。すれ違いにもほどがある。悲しいですね、人間って。
『グッドナイト スリイプタイト』は英語だと"Good Night, Sleep Tight"。"Sleep Tight"は「ぐっすりとおやすみなさい」という意味だそうです(開演前の三谷さんのアナウンスより)。「ぐっすり」と"Good Sleep"の発音が似てるという指摘は面白いですね。
巨大カメのタロウくんはラジコンなのかな~。可愛かったな~。
≪東京、大阪≫
出演:中井貴一 戸田恵子 演奏:管鍵”樂団!?(高桑英世(Fl.) 庄司和史(Ob.) 山根公男(Cl.) 荻野清子(Pf.)) ⇒http://www.kangengakudan.com/
脚本・演出:三谷幸喜 音楽:荻野清子 美術:堀尾幸男 照明:服部基 音響:井上正弘 衣裳:黒須はな子 ヘアメイク:河村陽子 舞台監督/松坂哲生 製作:山﨑浩一 企画:佐藤玄 プロデューサー:毛利美咲 企画協力:(株)コードリー 企画製作:(株)パルコ
【発売日】2008/10/18 全席指定9000円 【プレビュー公演(11/18-22)】全席指定7500円
http://www.parco-play.com/web/page/information/gnst/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【オーディション】彩の国さいたま芸術劇場「若手俳優オーディション」2009年1/10郵送必着
彩の国さいたま芸術劇場が、芸術監督の蜷川幸雄さんとともに舞台を創る若手俳優を募集します。合格者は来年8月から稽古が始まる公演に出演することになります。※演劇経験、プロアマ不問。
応募資格:18歳から30歳までの男女(2009年10月1日現在)
応募期間:2008年12月24日(水)~2009年1月10日(土)郵送必着
詳細は公式サイトでご確認ください。下記にも転載します。
■彩の国さいたま芸術劇場・若手俳優オーディション開催のお知らせ■
これからの演劇界に必要な若いチカラ-。
彩の国さいたま芸術劇場、芸術監督・蜷川幸雄が新たな活動に着手します。
それは、若い演劇人との刺激的な舞台創造。
55歳以上の団員から成る<さいたまゴールド・シアター>の旗揚げ。若き主演女優二人のオーディションを経て舞台化した『ガラスの仮面』。
今後すべき仕事、今やりたい舞台、これからの演劇に求められる姿について考えた蜷川幸雄は、今、若手俳優との出逢いを求めています。
蜷川幸雄と一緒に、舞台を創りませんか?
■応募要項■
応募資格:
・18歳から30歳までの男女(2009年10月1日現在)
・公演スケジュールを最優先できる人
※演劇経験、プロアマ不問
応募期間:
2008年12月24日(水)~2009年1月10日(土)必着
応募方法:
以下を同封の上、郵送(持込不可)
(1)履歴書(市販のもの)
(2)志望動機、自己PR(合わせて400字程度)
(3)L版カラー写真2点(3ヶ月以内に撮影した全身、バストアップ各1点/裏面に氏名を明記)
(4)返信用A4封筒(郵便番号、住所、氏名を明記の上、120円切手を貼付)
選考:
第1次選考=書類選考(合否に関わらず書面にて通知)
第2次選考=面接または実技(2009年1月中旬)
第3次選考=実技(2009年1月下旬)
応募先:
〒338-8506 埼玉県さいたま市中央区上峰3-15-1
彩の国さいたま芸術劇場「演劇オーディション」係
合格後:
2009年8月からの稽古、11月初旬までの公演に出演
備考:
・応募書類は返却いたしません。
・第2次選考以降の会場は彩の国さいたま芸術劇場を予定しています。
・選考に関わる交通費は自己負担となります。
・第2次選考以降、マスコミの取材が入る可能性があります。
・選考、公演スケジュールは変更の可能性があります。
お問合せ:
彩の国さいたま芸術劇場「演劇オーディション」係
TEL 048-858-5631(火曜~金曜13:00~18:00/12月29日~1月3日は除く)
主催:財団法人埼玉県芸術文化振興財団
http://www.saf.or.jp/info_archive/info_audition001.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月08日
【宣伝】「まぐまぐ大賞2008」投票は本日12/8(月)18:00まで!
先日もご報告いたしましたが、メルマガ『今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪』が、「まぐまぐ大賞2008」エンターテイメント部門(約3,170本)の中から、ノミネートメルマガ(15本)に選ばれました!
本日が投票〆切日です。投票締め切り:12月8日(月)18:00まで
よかったらぜひご投票をよろしくお願いいたします♪
⇒「まぐまぐ大賞2008」の投票はこちらです!
【投票方法】部門賞の右上「エンターテイメント部門」のコンボボックスから『今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪』を選択して、投票してください(推薦理由とメールアドレスが必須入力)。
【稽古場レポート】Habanera『ロゼット』12/05都内某所
早船聡さん
サスペンデッズ(過去レビュー⇒1、2、3)の早船聡さんを作・演出に迎えた、Habaneraプロデュース『ロゼット』の稽古場に伺いました。
早船さんは今年6月の新国立劇場演劇『鳥瞰図』の脚本を手がけた、注目の若手劇作家・演出家です。座付き作家・演出家をつとめる劇団サスペンデッズは、シアター・トラム『ネクスト・ジェネレーション vol.1』の3団体に選出されました(来年1月に『片手の鳴る音』を再演)。
【公演情報】
Habaneraプロデュース『ロゼット』
期間:2008年12/11(木)~12/14(日)
会場:シアターグリーン BASE THEATER
⇒CoRich舞台芸術!『ロゼット』
≪『ロゼット』あらすじ≫
会社員だった典子(田口朋子)は、植木の通信販売を手がけるベンチャー企業を立ち上げた。気のいい植木職人の加賀(各務立基)と、幼なじみの主婦・真樹(中島佳子)を雇い、やりたい仕事に全力で取り組んでいる。しかし事業はいつも順風満帆に進むものではなく、幼い息子を持つ真樹との考え方の相違もあり、明るいオフィスで意見がぶつかり合うこともしばしば。そこに真樹と同じく高校の同級生だった祐二(芹沢秀明)がやってくる。
≪ここまで≫
イス、机などのセットが揃った状態で、1幕から順番に細かく止めて確認するお稽古が始まりました。稽古場のムードはとても穏やかで、早船さんは言葉少なに、ともすると遠慮がちに演出をつけていきます。
早船「体にちょっとだけ距離感を加味してもらってもいいですか」
早船「誰にも言えないことを言える嬉しさで、気持ちのスピードをつけてもらってもいいですか」
↓田口朋子さん(左)と各務立基さん
早船さんの演技についての演出は、「ある感情を持った体になっていれば、言葉が何であろうとそれは伝わる」という考えが基になっているようです。一方で、体の形を決めることで感情がついてくるという、いわば逆方向の指示もされていました。体に注目する演出というと、チェルフィッチュの岡田利規さんが思い浮かびます。
早船「指先が1本ずつ独立しているように動かしてもらえますか。意識的に、時間が細かくなっているように。時間を長くとってスローにするのではなく、ちゃんとコマ割りになった時間があるように。」
『ロゼット』はごく普通の日本人の日常生活の風景を、自然な演技で見せる現代口語劇です。衣裳はほぼ普段着ですし、ダイナミックな場面転換などもありません。でも役者さんのささいな動きや立ち位置の違いで、セリフの意味やその場の空気感ががらりと変わり、モノトーンのように見えた景色がカラフルに変わっていきます。
↓芹沢秀明さん(左)、中島佳子さん
タイトルの『ロゼット』とは、雑草が冬を越す時の姿の名称。地面に這いつくばるように葉を広げ、必死で日光を浴びて冬を越すたんぽぽやオオバコがそうですね。登場人物たちはそれぞれに問題を抱えながら、いつか来る春を信じて懸命に生きています。切実な思いがぶつかり、絡み合い、すり抜けていくのを、優しさから生まれる笑いが包みました。
過去作品でも感じたことですが、早船さんの脚本はセリフに無駄がありません。私たちが慣れ親しんでいる日常会話の一見平凡に思える言葉から、うねるように変化し続ける感情がよどみなく流れて出てきます。
↓加古みなみさん(左)、芹沢秀明さん(中央)、中島佳子さん(右)
早船さんは時おり「すぐに出来なくてもいいですから」「毎回違ってもいいんですけど」と付け足されていました。それは出演者への気遣いでもありますが、「演技をある形に決めると、そこで終わってしまう」という考えから来た、慎重を期した言葉でした。無理じいをせず、役者の持ち味をそのままに生かし、大切に抱きしめるようにつむぎだすお芝居『ロゼット』。コミュニケーションがとても良く取れている出演者たちの、揺れ動く感情の調和も楽しめそうです。
Habaneraプロデユース[女優のための芝居企画①]『ロゼット』
出演:中島佳子 加古みなみ 田口朋子 各務立基(花組芝居) 芹沢秀明
作・演出:早船聡 演出助手:佐藤亜美 美術:近藤麗子 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 音響:平井隆史(末広寿司) 舞台監督:大友圭一郎 チラシイラスト:鹿又広佑 企画製作]:Habanera
[チケット発売日] 11月10日 [チケット] (全席自由/整理番号付) 前売 ¥2800 当日¥2500 ※ 平日マチネ¥2500(前売・当日共)
[チケット取扱い]Habanera 電話 03-5489-3740(平日11:00~18:00)
http://www.habanera-pr.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2008年12月07日
チェリーブロッサムハイスクール『アキストゼネコ』12/04-09ウエストエンドスタジオ
チェリーブロッサムハイスクールは小栗剛さんが脚本、柴田雄平さんが演出を手がける劇団です。友人の勧めで観に行きました。
込み入ったストーリーを、身体表現などを交えて演出するのが面白かったです。脚本と演出を別の人が担当し、同じ劇団の仲間として活動しているのが良いな~と思いました。上演時間は約1時間50分。
⇒CoRich舞台芸術!『アキストゼネコ』
あらすじは公式サイトに詳しいです。
黒板、木の柱、白い壁、黒光りする鏡面の床、舞台奥には白いスクリーン。素材がばらばらで面白いし、黒板と木の柱、格子の壁の角度が交差するように斜めになっていて、丸い穴の開いた天井板もいいアクセントになっていました。クールな舞台装置に開演前からムービング照明が当たっており、期待も高まりました。
30代になった元・若者たちが、17年前の仲間と会う少々複雑なストーリーでした。ホラーとも言えるかもしれません。思い切り入り込めた人はすごく怖かったみたいです。チラシと内容がしっかりリンクしているのが良いですね。
役者さんがコミュニケーションをしていないように見えて残念。型どおり、予定どおりの演技をしているようで退屈でした。あと、頭を叩いたりするのはあまり観たくないですね。特に女性への暴力は目に嬉しいものではないです。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
オープニングは赤い照明の中、白い吹雪が黒いぴかぴかの床に落ちるのがきれいでした。場面転換の時間に身体表現でいろんな意味を付加していたのが面白かったです。
天才児ばかり集めた学校のクラスメートたちが、大人になって再び校舎に集まり、17年前に起こった事件を思い出していきます。当時14歳(現在31歳)だった彼らは「ガーデン」という深層心理を呼び出すゲームに興じていました。それが「アキストゼネコ」などの恋愛占いと違うのは、「絶対に当たる」こと。
双子、白子、ウーパールーパーなど、散らばったキーワードを回収していく凝った脚本だと思いました。でも、人物の出ハケに必然性が感じられないことがしばしば。また、記憶を入れ替えるとか、「予感は意志じゃない」といった、体と頭(脳)を別に考える視点は、私にはあまり親しめませんでした。私が体と頭は切り離せないものだな~と考えるタイプだからでしょうね。
「世界は5年前に作られた。これは誰も否定できない」というのには納得でした。誰か有名な方の言葉だそうです(誰なのかは失念)。
子供の死体と木の皮で学校を作り、その学校が子供を食べていくオープニング映像(アニメーション)が面白かったです。
出演:渡部ラム(スケッチブックを持った女チーコ。左手が動かない) 荒川修寺(メガネの男ススム) 野田政虎(息子ショウタロウを失い、キクと離婚した男ユウスケ) 雪森しずく(イソガイに17年間好かれていた女ウエノ) 山咲広美(ユウスケと離婚した女キク。ヒステリー) 池上武蔵(ノノと結婚する男オーヤ。記憶が続かない) 如月モエ(大阪弁の女レコバ) 椎名豊丸(ゲイの男ミナミ。ススムの弟) 宮本奈津美(オーヤと結婚する女ノノ。黒幕。死んだ妹ネネの記憶をユウスケに移植する) 中川香果(用務員のような格好をした男ハチスカ。事件のことを知っている) 佐藤健士(ウエノを17年愛し続けていた男イソガイ) 小栗剛(音楽家。ビデオを回していた男サダオ) 柴田雄平(音楽家。サダオと同じバンドメンバーの男カヲル)
作:小栗剛 演出:柴田雄平 振付:荒川修寺 舞台監督:渡辺了(ダイ・レクト) 照明:関定己 音響:UC-WORKER 舞台美術:福田暢秀 (F.A.T STUDIO) 映像:荒船泰廣 宣伝美術:藤本征史郎 (Raredrop/くねくねし) 舞台写真:シンヤケイタ (ROLLUP studio) 演出助手:林笑子、佐藤圭 制作助手:大橋真琴 制作:井上朋子+CBHS制作部
前売りチケット:3000円 当日チケット:3300円 ※ 未就学児童はご入場になれません。
http://www.cbhs.jp
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【スナップ】パパブブレ(papabubble)@新井薬師

窓の外から
パパブブレ(papabubble)は、ウエストエンドスタジオに行く時にぜひ寄りたいキャンディー専門店です。⇒公式サイト(音が鳴ります) 関連ページ⇒1、2
クリスマス用のキャンディーが超かわい~♪しかも美味しいから幸せになりますよ~。
2008年12月06日
ギンギラ太陽's『BORN TO RUN さよなら初代0系新幹線』11/28-12/07あうるすぽっと
大塚ムネトさんが作・演出、そしてかぶりモノ造型も手がける福岡の劇団ギンギラ太陽'sが、また東京に来てくれました(過去レビュー⇒1、2)。
老若男女問わず笑って泣ける、街を題材にしたかぶりモノ演劇です。上演時間は約1時間15分と短めですが、腹八分目でちょうど気持ち良い観劇になりました。何しろほとんど涙が流れっぱなしだったので(苦笑)。
⇒CoRich舞台芸術!『BORN TO RUN』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
「夢の超特急」として誕生した初代 0系新幹線は、子ども達のあこがれの的でした。しかし次々と新型が誕生し、今ではすっかり脇役になっています。たまに走ることがあっても、広島までの各駅停車「こだま号」として使われるのみ。もう彼らが「ひかり号」として走ることはありません。そして、ついに今年の11 月で全ての初代 0 系新幹線が引退することになりました・・・。
最後の日を前に、初代 0系新幹線達は「ある計画」を実行します。果たして「走るために生まれた彼ら」が取った行動とは!
≪あらすじ≫
新幹線や駅のかぶりモノを被った俳優さんが、乗り物、建物などになりきって元気いっぱいに演じてくれます。ほぼ素舞台ですが、そんなことすっかり忘れるほどの厚みと迫力。
私がヘンな客なのだと思いますが、始めから最後までほぼ止むことなく、涙を流しっぱなしでした。笑うこともありましたが、しみじみ感じ入って、ずーっとほろほろと・・・。
役者さんが連れてくる風が、東京では味わえないものな気がします。だから、ニカっと笑って観客に語りかける冒頭のシーンから、胸に熱いものがこみ上げてきてしまう。福岡という土地がはぐくんだ空気なのか、ギンギラ太陽'sオリジナルのものなのかはわかりませんが、優しさ、大らかさがてらいなく放射されていて、足の裏から温まってくるような幸せな時間でした。
ここからネタバレします。
小学1年生のとき、小学館の「小学一年生」という月刊誌を買ってもらってたんですが、新幹線はその中で主役級のアイドルでした。リニアモーターカーの想像図も載ってたな~。「びゅわーん びゅわーん はしる 青いひかりの超特急♪」という歌が流れただけで涙が出てきちゃう。よく歌ってました。歌といえば、ブルース・スプリングスティーン。「BORN TO RUN」(YouTube)の調べに乗って、文字通り走る0系新幹線たちにも落涙。
私は大阪出身ですが、福岡に親戚がいたし東京にも行ったので、新幹線にはよく乗りました。食堂車でも食べたな~。名菓ひよ子も我が家では定番のおみやげ物でした(もらう方でした)。
おまけとして上演されるのは贅沢すぎた『女ビルの一生』。福岡のビル事情に明るくなくても存分に楽しめました。東京にも当てはまることですよね。東京は毎日どこかでビルが壊されて、新しいビルが建てられて、どこに何があったかなんて全く覚えていられない寂しい街です。でも、自分が暮らしてる街なんだよな~。ギンギラの人たちのように、自分で自分の街を愛することが必要な気がします。
博多座のことをピシャリと言ってたのが痛快でした(笑)。
「あんた、借り物のキャデラックって呼ばれてるわよ!東京や大阪で流行ったものを上演しているだけで、博多を名乗れるの?!」(セリフは正確ではありません)
≪福岡、東京≫
出演:大塚ムネト、立石義江、杉山英美、上田裕子、中村卓二、古賀今日子、中島荘太 、林雄大、吉田淳、石丸明裕、新田玄
作・演出・かぶりモノ造型・宣伝美術:大塚ムネト 舞台監督:松本幸一 照明:荒巻久登(シーニック) 音響:インテグラル・サウンド・デザイン 宣伝イラスト:庄子智湖 宣伝写真:藤本彦 制作:立石義江 永渕瑛美 プロデューサー:堀英明、石川鉄也 主催:ギンギラ太陽’s 、企画・製作アンミックスエンタテインメント、ピクニック 運営協力:ゴーチ・ブラザーズ
【発売日】2008/09/27 料金 4,500円 ※未就学児童のご入場はお断りいたします
http://www.gingira.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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燐光群『戦争と市民』11/21-12/07ザ・スズナリ
坂手洋二さんが作・演出される燐光群の新作は、主演に渡辺美佐子さんを迎えた約2時間半(休憩なし)の大作です。でも、長いとは思いませんでした。
観ている時も観た後(今)も、私自身の今の生活と関連づけて考え続けました。
12/7(日)14時の回は前売り完売。当日券あり(立ち見の可能性あり)。
⇒劇評:朝日新聞、毎日新聞、読売新聞
⇒CoRich舞台芸術!『戦争と市民』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
第二次世界大戦のさい、空襲を受けた街に残っていた防空壕跡。土地開発のための工事の過程で、戦時中に崩れていたと思われていたその場所が発見されました。戦時中、そこで過ごしたことのある女性が、その防空壕跡に居着くようになります。彼女は自分自身の「使命」に目覚めます。その場所を拠点に、活動を始めようと決意します。彼女は次の市長選に出馬することを決めたのです。
≪ここまで≫
私は、勝手に戦争とかけ離れた人生を送ってきました。どんなに戦争に関する映画やお芝居を観ても、「あぁ当時は大変だったんだな、戦争はいけないな」と他人事のように受け取り、あつかましい同情の涙を流していたと思います。でもここ数年でやっと、自分のことだと思えるようになってきました。
そのように私が自分自身から部外者であったのは、私が受けたわが国の教育のメカニズムのせいなんじゃないかと、赤坂真理著「モテたい理由」を読んでからはっきりと考えるようになりました。子供は学校で教えてもらうことを始めから嘘だとは疑いません。何らかのきっかけがなければ、その洗脳に気づくことは難しいと思います。
例えば私の場合、『花よりタンゴ』(再演)を観た時にやっと、国に私有財産を取り上げられることが不当だと感じました。それまでは「みんなそうなんだから仕方ない」などとぼやかしていました。「みんな」という実は恐ろしい言葉については、多田淳之介さんの12/1のブログに丁寧に書かれています。
「モテたい理由」にも書かれているように、私たちはまず先の戦争を知らなければ、今、私たちが実は関わらせられている戦争について考えられないし、日常で当たり前のように享受していることの本当の意味が、ずっとわからないままだと思います。この作品の主人公ヒサコ(渡辺美佐子)が自分が取って食べる鯨のことを考えたように、私たち個人々々が目の前にある食べ物のことを考えなければ。
タイトル中の『市民』とは私たち一人ひとりのことで、個人が自分の力に気づき、行動を始める姿が描かれていました。永井愛さん、野田秀樹さんが出演されたシンポジウム「殺人社会と演劇」でも、個人の文化力を養うことが、幸せな人生をつかむ方法ではないかと提案されていました(永井さんの発言より)。
“余剰”がもたらす傲慢とそれが生む悲劇について、はっきりと理解することができました。住みたい街に住み、食べたいものを食べ、したいことをして、好きな人と暮らす。でも身の丈にあった範囲で。これはアニメ映画『河童のクゥと夏休み』のメッセージでもあったと思います。
言葉巧みにルールを変えることで、事実がどんどんゆがめられ、金がどこかに流れていく。スポーツのルールみたいだと思いました。
カットアウトの暗転と大音量の音楽がスピード感を増してくれて、長い上演時間もリズムに乗って拝見することが出来ました。大量の情報を浴びるように頭に入れながら、舞台で起こることがまとまって私と同化していくように感じ、圧倒されました。
ここからネタバレします。
舞台は黒い木造の防空壕。捕鯨船の形もしています。私も同じ船に乗っているのだと思いました。
冒頭、ヒサコとその妹(田岡美也子)、漁師(田岡美也子)の3人は、発見された防空壕におそるおそる入っていきます。ヒサコが防空頭巾にもんぺ姿の少女(=昔の自分)と出会ったところで、心をわしづかみにされました。実際に防空壕で空襲の夜を過ごした経験のある渡辺さんが、当時の彼女に出会ったとも受け取りましたので、まさに63年の月日がぎゅっと縮まり、重なりました。
1945年3月の東京大空襲の様子を、大勢の役者さんが全身で表現してくださって、舞台ならではの臨場感と迫力がありました。つらかった。
チラシに書かれていることでもありますが、人間は「殺されることを拒否する権利」を有しており、それを主張することは恥ずかしくないし、むしろ堂々と主張していいんだなと思いました。
≪東京、宮城、岩手、愛知、福岡、兵庫≫
出演:渡辺美佐子 田岡美也子 児玉泰次 吉村直 河野しずか 佐古真弓 中山マリ 鴨川てんし 川中健次郎 猪熊恒和 大西孝洋 樋尾麻衣子 杉山英之 小金井篤 安仁屋美峰 阿諏訪麻子 伊勢谷能宣 いずかしゆうすけ 秋葉ヨリエ 桐畑理佳 西川大輔 吉成淳一 武山尚史 鈴木陽介
脚本・演出:坂手洋二 美術:加藤ちか 照明:竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) 音響:島猛(ステージオフィス) 衣裳:小原敏博 音楽協力:PANTA 舞台監督:森下紀彦 演出助手:城田美樹 進行助手:清水弥生 文芸助手:久保志乃ぶ 題字・イラスト:石坂啓 宣伝意匠:高崎勝也 制作:古元道広・近藤順子
【発売日】2008/10/11 全席指定 前売3,600円 ペア6,600円(前売・予約のみ) 当日4,000円 大学・専門学校生3,000円 高校生以下2,000円 (学生券は前売・当日共通料金 劇団扱いのみ 要学生証提示)
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/sensoutoshimin.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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映画「河童のクゥと夏休み」
ロードショーの時の評判が良かったので、今年5月にDVDで観ました。評判どおり良い映画で、さすがは映画「クレヨンしんちゃん」の原恵一監督(Wikipedia)だと思いました。
CGアニメは苦手なのですが、水がものすごくきれいで見入りました。⇒公式サイト
売り上げランキング: 7444
2008年12月03日
新国立劇場演劇『舞台は夢 イリュージョン・コミック』12/03-23新国立劇場 中劇場
17世紀のフランスの劇作家コルネイユの喜劇を、新国立劇場・演劇部門芸術監督の鵜山仁さんが演出。堤真一さん、秋山菜津子さんら豪華キャストの中劇場公演です。
中劇場全体を使った演出にワクワクし、のびのびと舞台で遊ぶ役者さんにアッハッハと笑わせていただきました。上演時間は約2時間10分。
私はA席で鑑賞。ほぼ円形舞台の裏側でイスは背もたれ付きベンチなのですが、役者さんに近いし舞台裏に近いものが観られてオトクかも♪
※価格設定→S席:7,350円 A席:5,250円 B席:3,150円 Z席(当日券):1,500円
⇒CoRich舞台芸術!『舞台は夢 イリュージョン・コミック』
観ている時、なぜか懐かしい気持ちがしてきたんです。私は2000年から新国立劇場のお芝居を観はじめたんですが、その頃の感覚がよみがえってきたような心地でした。
何も知らない一観客だった私は、新国立劇場で上演される海外戯曲や日本の近代戯曲など、いわば少々堅苦しいジャンルの演劇に触れることで、演劇の何もかもを教えてもらうつもりでいました(←あつかましいですよね~。いくら観ても片鱗に過ぎないのですが)。無知だったのもあり、実際に全身に浴びるように教わることができていたと思います。今思えば、すごく幸せな生徒でしたね(生徒という意味では今もそうですが)。
今日は舞台を愛するプロの演劇人に優しく、温かくもてなされて、あの時のような初心者の気持ちになって、古典戯曲のふところに飛び込むことができたのかもしれません。子供みたいに無邪気になって、若返ったような感覚もありました。あら、オトク(笑)。
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。★少々ネタバレしていますが、読んでから観ても問題ない程度かと。
フランスはトゥーレーヌ地方。行方のわからぬ息子(堤真一)の安否を気に病む父親プリダマン(金内喜久夫)は友人ドラント(磯部勉)とともに洞窟に棲む魔術師アルカンドル(段田安則)のもとを訪れる。二人は「ご子息がいかに偉大な人物となったかを見せて差し上げよう」という魔術師にいざなわれ、息子の人生の有為転変に、まるで「観客」のように立ち会うこととなった。次々と息子の身の上に起こる波瀾万丈の果てに最後に行き着いたのは、愛しい息子の非業の死という悲劇的結末。絶望し、自らの命を絶つと口走る父親に、魔術師アルカンドルが明かしてみせた秘密……。幾重にも重なった複雑な「劇」のその先に、思いもかけない世界が立ち現れる。
≪ここまで≫
あの大きな中劇場の中央にまん丸の黒いステージがあり、ぐるりと客席が囲みます。完全ではありませんが、円形舞台だと思ってもいいぐらいですね。劇場全体は暗い闇ですが、衣裳がカラフルで物語には笑いがいっぱいですので、作品全体はとても明るいイメージ。
衣裳がすっごく良かった~♪布地はプリントなのかしら、それともペイントされてるのかしら。抽象絵画のような模様で大胆な配色、形はおとぎ話風でロマンティックです。
行方不明の息子を探す父親がある高名な魔術師を訪ねたところ、魔術師が魔法で亡霊を呼び出し、亡霊たちが息子の人生を演劇にして見せてくれます。初めから劇中劇の形式だとわかって観るので、役者さんが舞台袖から出てきたり、大道具を移動させたりするのも演技として観られました。S席から見て舞台奥から役者さんが登場する時、A席だとすごく近くを歩いて行くんです。無防備な後ろ姿を観るのが楽しかったですね。
古典戯曲ですからセリフはちょっと聞きづらい感覚もありますけど、役者さんがのびのびと語ってらしたので難しくは感じませんでした。マイクの音が響いて少々聞こえにくいこともありましたが、私はあまり気にならず。それより、長い説明的なセリフが、工夫を凝らして面白くなっているのが良かったです。
初日らしいちょっとしたミスもアドリブで楽しく見せてくださって、さすがはプロの舞台俳優さんっ。もー愛してる!
ほら吹きの隊長マタモールを演じる段田安則さん、イザベル(秋山菜津子)の小間使いのリーズを演じる高田聖子さんから目が離せませんでした。
ただ、ラストは私にとっては残念な演出になっていました。もしかしたら初日ならではのアクシデントなのかもしれないですが、拍手が早く起こりすぎていたように思います。あれでは意図がちゃんと伝わらないんじゃないかと思いました。
ここからネタバレします。
息子クランドール(堤真一)はほら吹きの隊長マタモール(段田安則)に仕える従者だが、隊長と隊長が愛するイザベル(秋山菜津子)との仲を取り持つふりをしながら、実はすでにイザベルの愛を勝ち取っている抜け目のない若者だ。後にイザベルの婚約者(坂田聡)を殺してしまった罪で牢屋に入れられるが、クランドールを愛するリーズ(高田聖子)の取り計らいで脱獄に成功。イザベルと幸せな結婚生活を送る、が、数年後、隣の家に住む大公妃ロジーヌ(田島令子)と不倫の恋に落ちて・・・。
大公の怒りにふれ、部下たちに殺されてしまったクランドールと大公妃、リーズの上に、赤い巨大な布がバサーッっと降りる時の、あの美しさっ!わーって言っちゃたヨ!
クランドールの死を嘆く父親に魔術師(段田安則)が語ります。クランドールは今は役者になっており、目の前で上演されていた“亡霊による演劇”は、実はクランドールの一座の演目だったのです。演じていたのは亡霊ではなく、クランドール自身であり、一座の役者たちでした。
立派な役者になった息子と幸せな再会を果たし大喜びした父親でしたが、和気あいあいと演劇の喜びを語っていたら、突然暗転。次に明るくなった時、父親だけがポツンと丸い舞台に取り残されていました。もしかしたら、やっぱり息子も役者たちも亡霊で、父親は魔術師の魔法に化かされていたのかも?!
・・・となるはずだったのでしょうけれど(違ったらすみません)、暗転する前に拍手が始まってしまったのです。
「心配は御無用、今や演劇は、非常に高い地位にあり、人々に愛されている。あなた方の時代には軽蔑されておったが、今では良識ある人たち皆が愛好するものになり、都会の話題、地方の憧れだ。王侯貴族の甘美な慰み、庶民の無上の楽しみ、娯楽のうちでも第一のものになっている。劇場は今や、詩人がすばらしい技を繰り広げる舞台。」(当日パンフレットより)
↑という演劇大讃美のセリフの中で拍手が起こってしまうと、う~ん・・・シラっとしちゃったんですよね・・・。この長いセリフも劇中劇のセリフとなる、入れ子構造だと感じ取りたかったです。
出演:堤真一、秋山菜津子、高田聖子、田島令子、川辺邦弘、松角洋平、窪田壮史、三原秀俊、坂田聡、磯部勉、金内喜久夫、段田安則
脚本:ピエール・コルネイユ 翻訳:伊藤洋 演出:鵜山仁 作:ピエール・コルネイユ 美術:島次郎 照明:勝柴次朗 音響:上田好生 衣裳:太田雅公 ヘアメイク:佐藤裕子 アクション:渥美博 舞台監督:北条孝 芸術監督:鵜山仁 主催:新国立劇場
【発売日】2008/10/05 S席:7,350円 A席:5,250円 B席:3,150円 Z席:1,500円*A席は通常の座席を使用しません。舞台上に仮設いたします。
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000063_play.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Studio Life『パサジェルカ~女船客~』12/02-13天王洲 銀河劇場
男優集団Studio Life(スタジオ・ライフ)の再演2本立て公演です。『パサジェルカ~女船客~』の初日(Siegfriedバージョン)に伺いました。『死の泉』は来週の予定。2作品・各2バージョン公演ですので、お目当ての役者さんがいる方はお早めに予定を立てることをお勧めしま~す。
恒文社
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シアター1010での初演では「つらかったけど、観て本当に良かった」と思いました。今回も同様でしたね。2度目なので初演を思い出して比較したり、違った視点から考えることができました。上演時間は休憩1度を含んで約3時間(←すみません、うろおぼえです)。
⇒CoRich舞台芸術!『パサジェルカ~女船客~』
東京にはイケメン芝居がたくさんありますが、耽美的で重厚な文学作品といえばStudio Life。人気少女漫画の舞台化にも定評があります。私は作・演出の倉田淳さんが選ぶ作品が好きで、小説を脚本に起こして演劇にするという熱意にも打たれます。海外戯曲を翻訳して本邦初演してくださるのもありがたいです。そして、若い役者さんたちが真面目に、真正直に取り組んでいるように感じるから、ついつい再演ものにも通ってしまいます。特に私は漫画や文芸作品の舞台化が好きですね。『パサジェルカ~女船客~』も観られたことに感謝したい気持ちになる作品です。
≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
アウシュヴィッツ体験者が描く現代ポーランド文学における珠玉の名作
残忍で非人間的な収容所を回想する問題作!
第二次世界大戦後16年。外交官の夫(ワルター:前田一世)と赴任地ブラジルへ渡る豪華客船で、リーザ(曽世海司)は遥か大陸へと想いをはせていた。しかし、次の瞬間、彼女の微笑みは激しい動揺に変わるー見覚えのあるひとりの女船客(舟見和利)。それは夫にさえ秘したアウシュヴィッツ収容所の過去を甦らせる、女囚の面影だった。
名はマルタ。戦中、ナチス親衛隊員で収容所の看守だったリーザは、どんな狂乱にあっても毅然とふるまう彼女に一目置き、擁護するのだが…予期せぬ再会の船は心の闇へとすべっていく。
≪ここまで≫
初演の時はリーザ(曽世海司)とワルター(前田一世)の関係があまりわかっていなかったのですが、今回は始まって早々にグサっと胸に刺さるほど伝わってきました。リーザ役の曽世さんはさすがの安定感。ワルター役の前田さんは今回の唯一の客演キャスト(青年団映画放送/新国立劇場演劇研修所の修了生)で、最初は劇団の雰囲気と離れているように感じましたが、隠されていたリーザの過去に触れて衝撃を受けるところから、ぐっと物語の回転数を上げてくださいました。
強制収容所の縦ストライプの囚人服を着た人物の影が見え始める頃から、背筋がビクっと震えて、鉄条網が張られた柵が出てきたらもうアウト。それだけで胸が締め付けられて、涙が出そうになります。
リーザに目を掛けられて倉庫の事務をすることになる囚人・マルタ役は、舟見和利さん。細い体に細い足は、凛とした健気な印象をさらに増します。感情をむやみに爆発させない落ち着いた演技が良かったです。
看守のリーザに対して媚びることなく、堂々とした生き様を見せ付けるマルタとタデウシュ(高根研一)。彼らに少なからず感化されてリーザの心が揺れる様は、私自身の善意やプライドの脆弱さを見るようでした。
リーザとワルターの夫婦関係に厚みがあり、彼らの未来、つまり私たちの現在に太くつながる線が感じられて良かったです。そこが初演よりも面白かったですね。
ただ、演出については改善できることが多くある気がしました。例えば暗転になる場面転換が多く、その都度大道具を動かすのは少々退屈です。大道具の移動なし見せるシーンを増やしても良いんじゃないかと思いました(えらそうですみません)。
ここからネタバレします。
初演で良かったと思ったシーンやセリフは、今回もまた心に残りました。マルタの「人間は生きることに執着しすぎると奴隷になります」はやはり凄いですよね。
マルタが白いドレスを着て船から降りるシーンは、下から見つめる青いドレスのリーザとの対比が美しいです。ただ、マルタがナチスの残党を追うグループの一員だった(んですよね?)ことが、伝わりにくかったように思います。マルタがリーザを(仲間に「彼女は戦犯じゃない」と嘘をつくなどして)かばったのを、もっとはっきり伝えるセリフがあってもいいんじゃないかと思いました。※ストーリーについては私の勘違いだったらすみません。
マルタが船から去った後、リーザは船から降りずにワルターに寄り添います。ワルターがあんなに怒って取り乱して、リーザも「私には何も失うものはない。私は自由だ(夫ワルターのことはもう怖くない)」という境地に至ったのに、すぐに2人が仲直りしてハッピー・エンドになってしまった(ように見えた)のは腑に落ちませんでした。これから2人は、お互いに許せないと思うことを許す努力をして、共にいばらの道を歩むことになるのですから、苦しいけれど尊い決断をしたところが観たかったなと思います。
≪東京、兵庫≫
出演(Siegfried・ジークフリート版):曽世海司 前田一世(青年座映画放送) 青木隆敏 舟見和利 高根研一 奥田努 小野健太郎 深山洋貴 倉本徹 藤原啓児 山崎康一 関戸博一 山本芳樹 荒木健太朗 三上俊 仲原裕之 船戸慎士 牧島進一 篠田仁志 大沼亮吉 吉田隆太 ※河内喜一朗休演につき代わって大沼亮吉が出演。
原作:ゾフィア・ポスムイシ 脚本・演出:倉田淳 美術:松野潤 照明:森田三郎・森ll敬子 舞台監督:本田和男[ニケステージワークス] 清水浩志 音響:竹下亮[office my on] 衣裳:竹原典子 ヘアメイク:角田和子 アクション:渥美博 振付:TAKASHI 美術助手:渡辺景子 演出助手:平河夏・荒川真寿恵 宣伝美衛:田代祐子 宣伝写真:申村路人 小道具:高津映画装飾 大道具:俳優座劇場 デスク:大野純也・大谷吉弘・熊田美波・山崎みれい 制作:稲田佳雄・揖斐圭子・麻場優美・小山智子・瀬津丸砂織・若松美香 制作協力:東容子・縄志津絵・小泉裕子・ハ木美穂子 協力:舞台屋・ニケステージワークス 主催:テレビ朝日 Studio Life
【発売日】2008/10/12◇前売 S席¥5,900/A席¥4,900◇当日 S席¥6,300/A席¥5,000◇学割(前売・当日) A席¥3,000(要学生証・劇団取扱いのみ)◇「死の泉」+「パサジェルカ」セット券 (前売S席限定・劇団取扱いのみ) ¥11,200
http://www.studio-life.com/stage/si_pasa/index.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
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2008年12月01日
メルマガ 2008年12月のお薦め舞台

お薦めお芝居をご紹介しています
2008年12月のお薦め舞台9本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 55 2008.12.1 1,329部 発行
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏ http://www.shinobu-review.jp/
今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎12月・・・もう年の瀬なんですね~。まだ実感が湧きません(汗)。
忘年会シーズンでお忙しいことと思いますが、話題の舞台も多いですので、
ぜひこのメルマガでお好みに合う公演を見つけてくださいね♪
★当メルマガが「まぐまぐ大賞2008」にノミネートされました!
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/
舞台には、あなたの心を揺さぶり、
人生の輝きを増してくれる奇跡があります。
“今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪
◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
http://blog.mag2.com/m/log/0000134861
○
○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→俳優座劇場プロデュース『空(ソラ)の定義』
12/11-21俳優座劇場
http://www.haiyuzagekijou.co.jp/produce/
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→世田谷パブリックシアター『友達』
11/11-24シアタートラム
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1112144843.html
◆3【お薦め芝居の前売情報 『フェスティバル/トーキョー2009春』 】
◎東京で舞台芸術の新しい国際フェスティバルが始まります♪
http://festival-tokyo.jp/
◆4【当メルマガが「まぐまぐ大賞2008」にノミネートされました! 】
◎読者の投票で大賞が決まります。よかったら応援をお願いいたします♪
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/
◆5【編集後記】
◎「まぐまぐ大賞2008」へのご推薦をありがとうございました!
◎11月は観劇以外でがんばっちゃいました~。
◆6【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め9本+α】
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▽★印がいちおし公演です(3本)。
▽初日の早い順に並べています。
▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・価格・URL
▽座種の記述がない公演は全席指定。
※大手の公演でお薦めしたい作品は9本でした。
11月のお薦め作品が12月も引き続き上演されていますので、
よかったら先月のメルマガ↓をチェックしてみてください。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1101001028.html
1.フジテレビジョン/コマ・スタジアム
『愛と青春の宝塚~恋よりも生命よりも~』
12/02-22新宿コマ劇場
≪東京、ほか全国多地域≫
☆出演:紫吹淳 湖月わたる 彩輝なお 貴城けい 星奈優里 大鳥れい
紫城るい 映美くらら 石井一孝 本間憲一 佐藤アツヒロ 他
作曲:三木たかし 脚本:大石静 演出:鈴木裕美
S席:12,000円 A席:7,000円 B席:3,000円
※未就学児童入場不可 ※12/1(月)にプレビュー公演あり。
http://www.ai-takarazuka.jp/
第二次世界大戦下の宝塚歌劇団を、宝塚OGキャストで描く大作。
劇中劇も舞台裏もある脚本だそうで興味津々♪
ダブル・キャスト公演で4種類の組み合わせあり。
2.新国立劇場演劇『舞台は夢 イリュージョン・コミック』
12/03-23新国立劇場 中劇場
☆出演:堤真一、秋山菜津子、高田聖子、田島令子、坂田聡、磯部勉、
金内喜久夫、段田安則、ほか
脚本:ピエール・コルネイユ 演出:鵜山仁
S席:7,350円 A席:5,250円 B席:3,150円 Z席:1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000063_play.html
フランス古典喜劇を新国立劇場芸術監督・鵜山仁さんが演出。
豪華キャストです。座席の配置がいつもと違うようで楽しみ。
3.TBS『黒猫』
12/03-08新国立劇場 小劇場
☆出演:藤谷文子 戸田昌宏 手塚とおる 町田マリー 岸建太朗 内田春菊 他
原作:エドガー・アラン・ポー 脚本・演出・映像:奥秀太郎
6,800円
http://kuroneko.tv/
映画監督・奥秀太郎さんの脚本・演出作品。キャストが豪華。
奥さんは、舞台映像の分野でも大活躍されている方です。
★4.梅田芸術劇場『箱の中の女』
12/10-25シアターコクーン
≪東京、大阪≫
☆出演:一青窈 柏原収史 水橋研二 山中聡 村杉蝉之介 杉本哲太
脚本・演出:岩松了 音楽監督・作曲:小林武史
S¥9,000 A¥7,000 コクーンシート¥5,000
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/08_hako/index.html
岩松了さんが一青窈さんの未発表曲を織り交ぜて作る音楽劇。
作曲は小林武史さん。一青窈さんは演劇初出演です。
5.文学座・アトリエの会 『日陰者に照る月』
12/11-22吉祥寺シアター
☆出演:加藤武、菅生隆之、岸槌隆至、三上秀樹、富沢亜古
脚本:ユージン・オニール 演出:西川信廣
前売・予約4,000円 当日4,300円 ユースチケット2,500円(25歳以下)
その他劇場会員割引などあり。
http://www.bungakuza.com/hikage08/index.html
文学座がユージン・オニール戯曲を初上演。
アトリエの会の「アメリカ演劇3作品連続上演」の最終作です。
★6.俳優座劇場プロデュース『空(ソラ)の定義』
12/11-21俳優座劇場
☆出演:松永玲子、名取幸政、中嶋しゅう、浅野雅博、杉山文雄
津田真澄、塩屋洋子
脚本:青木豪 演出:黒岩亮
一般5600円 ハーフチケット(11日・12日) 2800円
グリーンチケット(学生) 2800円
http://www.haiyuzagekijou.co.jp/produce/
青木豪さんの書き下ろし新作を青年座の黒岩亮さんが演出。
俳優座劇場プロデュースならではの手堅そうなキャスティングです。
●お薦めポイント●
俳優座劇場プロデュースは、私にとって当たりが多いブランド♪
『東京原子核クラブ』(2006年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0714141424.html
『ハロー・アンド・グッドバイ』(2004年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0715231919.html
『高き彼物(たかきかのもの)』(2000年~2004年)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/0904232855.html
青木さんが新劇の劇団に書き下ろした作品だと、こちら↓も良かったです。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0406175105.html
7.サバダミカンダ『スタンレーの魔女』
12/11-23赤坂RED/THEATER
☆出演:土屋裕一、日比大介、津村知与支、富岡晃一郎、加藤忠可、他
原作:松本零士 脚本・演出:御笠ノ忠次
5,000円
http://www.stanley-no-majo.com/
松本零士さんの短編漫画を舞台化。初演↓が良かったので再演も楽しみ。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/1001010043.html
8.中村ステージプロダクション『竹中直人の匙かげん3「三人の女」』
12/13-28本多劇場
≪東京、大阪、宮城≫
☆出演:竹中直人 中嶋朋子 佐藤直子 井口昇 矢沢幸治 荻野目慶子
脚本:岡田利規 演出:竹中直人
6800円
http://www.stage-mura.jp/archives/category/stage/takenaka/
チェルフィッチュの岡田利規さんが書き下ろした脚本を竹中直人さんが演出。
どんな作品になるのか検討がつきませんが(笑)、見逃せない。
★9.KERA・MAP #005『あれから』
12/13-28世田谷パブリックシアター
☆出演:余貴美子 高橋ひとみ 萩原聖人 岩佐真悠子 柄本佑 金井勇太
赤堀雅秋 村上大樹 三上真史 植木夏十 山西惇 渡辺いっけい 高橋克実
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
S席8,500円 A席6,500円
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2008/12/post_133.html
新作続きのケラさんがまた新作を自ら演出する、豪華キャスト公演。
公式サイトによると「熟年夫婦の倦怠」が描かれるそうです。
★★★――――――――――――――――――――――――――――――
前売3000円台の気になる作品を3本ご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――★★★
【1】結城座『江戸糸あやつり人形芝居・平成のぞきからくり「破れ傘長庵」』
12/10-14シアタートラム
☆出演:結城孫三郎、結城千恵、串田和美、ほか
脚本・演出:山元清多
指定席5000円 自由席3500円
http://www.youkiza.jp/2008_12sp/index.html
糸あやつり人形芝居に串田和美さんが客演。
【2】ブラジル『軋み』
12/10-14 THEATER/TOPS
☆出演:桑原裕子 辰巳智秋 櫻井智也 中川智明 葛木英 他
脚本・演出:ブラジリィー・アン・山田
前売3000円 当日3500円
12日14時は平日マチネ割引 前売・当日共に2500円
http://www.bra-brazil.com/
外部への脚本提供・演出でも活躍されているブラジリィー・アン・山田さんが
率いるブラジルの新作。客演陣にも注目の若手が揃っています。
【3】東京デスロック『その人を知らず』
12/26-01/05こまばアゴラ劇場
☆出演:夏目慎也、佐山和泉、山村崇子、猪股俊明、佐藤誠、村上聡一 他
作:三好十郎 演出:多田淳之介
日時指定・自由席 予約3000円 当日3300円
三好十郎著作公共化記念・特別公演1000円(12月31日23:00開演)
http://deathlock.specters.net/
公演の度に話題を呼ぶ多田淳之介さん率いる東京デスロック。
東京公演休止前・最終東京公演は、三好十郎戯曲への挑戦。
☆☆☆――――――――――――――――――――――――――――――
前売2000円台以下の気になる作品を5本ご紹介します。
――――――――――――――――――――――――――――――☆☆☆
《1》Habanera『ロゼット』
12/11-14シアターグリーン BASE THEATER
☆出演:中島佳子 加古みなみ 田口朋子 芹沢秀明 各務立基(花組芝居)
脚本・演出:早船聡(サスペンデッズ)
前売2800円 当日3000円(全席自由/整理番号付)
12日(金)14:00のみ前売・当日共に2500円
http://www.habanera-pr.com/
サスペンデッズの早船聡さんの作・演出です。
早船さんが女優をメインに書くというのも楽しみ。
《2》五反田団といわきから来た女子高生
『あらわれる、飛んでみる、いなくなる。』
12/11-14アトリエヘリコプター
☆作・出演:福島県立いわき総合高等学校 芸術・表現系列(演劇)第5期生
作・演出:前田司郎
予約・当日ともに1,500円(日時指定・全席ほぼ自由席・整理番号付)
http://gotanndaiwaki.jugem.jp/?eid=2
本物の女子高生が作って出演する公演。前田司郎さん作・演出です。
《3》青年団『サンタクロース会議』
12/13-23こまばアゴラ劇場
☆出演:青年団 脚本・演出:平田オリザ
「アダルト編」一般2,000円 学生1,500円 ※未就学児童の入場不可。
「子ども参加型演劇」 大人席(高校生以上) 2,000円 学生1,500円
子ども席1,000円 親子セット券 (子ども席+大人席) 2,500円
※未就学児童は保護者同伴が必要。
両公演ともに日時指定・整理番号付自由席。
http://www.seinendan.org/
アダルト編と子ども参加型演劇との2本立て公演。お子さまは、
サンタの存在を信じているか否かで観られる作品が異なります。
私はもちろん(?)「子ども参加型演劇」へ♪
《4》エイブル・アート・ジャパン『よろぼし』
12/21-23松陰コモンズ
☆出演:60歳以上の女性と劇団山の手事情社の俳優
原作:三島由紀夫『弱法師』 演出:倉品淳子(劇団山の手事情社)
日時指定・全席自由
一般:前売・予約1,800円 当日2,300円
25歳以下、65歳以上、障害のある方および介助の方:
前売・予約1,000円 当日1,500円
http://www.ableart.org/
倉品淳子さんと年配の女優さんとの『ひかりごけ』↓は素晴らしかったです。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0429222711.html
《5》コロブチカ『proof』
12/25-29王子小劇場
☆出演:コロ、こいけけいこ、鈴木浩司、小谷真一
脚本:デイヴィッド・オーバーン 翻訳:谷賢一 演出:黒澤世莉
日時指定・全席自由
前売2800円 当日3000円 学生券2500円 団体券6900円(3名。要予約)
12/25のクリスマス割引:前売当日共2000円
http://korobuchika.blogspot.com/ CoRich↓でカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=10256
『proof』はピューリッツァー賞、トニー賞を受賞した戯曲。関連レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0528000405.html
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2007/0814235802.html
≪ダンス・パフォーマンスなど≫
○Noism『NINA-物質化する生け贄(ver.black) 』
12/17-21横浜赤レンガ倉庫1号館
≪新潟、東京≫
☆出演: Noism08、永野亮彦(ゲストダンサー)
演出・振付:金森穣
5,500円 未就学児の入場は不可。
http://www.noism.jp/
金森穣さん率いるNoismの再演公演。
海外公演を経て進化したリメイク版『NINA』だそうです。
○カンパニーデラシネラ『ある女の家』
12/18-21シアタートラム
☆出演:浅野和之 河内大和 藤田桃子 小野寺修二
演出・振付:小野寺修二
一般 前売4,000円/当日4,500円 学生前売3,000円
劇場会員割引、世田谷区民割引などあり。
http://www.onoderan.jp/
元・水と油の小野寺修二さんが新カンパニーを旗揚げ。
演劇とダンスの境のないパフォーマンスが観られそう。関連レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0221174012.html
○冨士山アネット『不憫』
12/26-29ザ・スズナリ
☆脚本・演出・振付・出演:長谷川寧
早割2,500円 前売2,800円 当日3,000円
学生2,500円 団体7,800円(3名様・要予約)
http://fanette.fc2web.com/ CoRich↓でカンタン予約!
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=9616
こちらも演劇とダンスが融合した作品だと思います。
今、勢いに乗っている長谷川寧さんに注目。
チラシに野田秀樹さん、舞踊評論家の乗越たかおさんの推薦コメントあり。
◎しのぶの今月の全予定はSCHEDULEに掲載しています。
http://www.shinobu-review.jp/schedule.html
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◆2 【先月のベスト3】
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1.世田谷パブリックシアター『友達』
11/11-24シアタートラム
☆何もかもが洗練。キレのあるドイツ演劇を観ているようでした。
異種格闘技戦のようなキャスト陣も、みんなセクシーで目が離せない。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1112144843.html
2.tpt『広い世界のほとりに』
10/29-11/09ベニサン・ピット
☆イギリスの現代家族を描くストレート・プレイの大作を、
命の通った演技で軽快に見せてくださいました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1108005908.html
3.中野成樹+フランケンズ『多田淳之介+フランケンズ 「トランス」』
11/05-06江古田ストアハウス
☆『トランス』という戯曲の凄さを初めて理解できた気がします。
100年後には20世紀の古典戯曲として上演されるのかも!?
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1106164400.html
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://backno.mag2.com/reader/Back?id=0000134861
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
2008年11月(観劇数26作品)は残念ながら発行しませんでした。
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◆3 【お薦め芝居の前売情報 『フェスティバル/トーキョー』 】
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◎東京で新しい舞台芸術の国際フェスティバルが始まります。
その名も「フェスティバル/トーキョー」。愛称は「F/T 09春」。
http://festival-tokyo.jp/
記者発表の写真レポート↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1126162834.html
約1ヶ月の間に上演されるのはなんと19演目!(内、外部参加は5作品)
海外の話題作や、日本で昨年大好評だった作品もそろった、
とても贅沢なラインナップです。
【開催期間】2009年2月26日~3月29日
【メイン会場】東京芸術劇場、あうるすぽっと、にしすがも創造舎
【チケット情報】 http://festival-tokyo.jp/ticket/
発売開始:2008年12月18日(木)より
一般:3000円~4500円 ←回数券、ペア券など多彩です。
学生:全演目3000円
高校生以下:全演目1000円 ←破格ですね!
○オープニングを飾るリミニ・プロトコル(ドイツ)の新作は、
本物の経済学者、革命家、労働者らが登場するドキュメンタリー演劇です。
『カール・マルクス:資本論、第一巻』2/26-3/1にしすがも創造舎
http://festival-tokyo.jp/program/capital/index.html
今年2月の『ムネモパーク』↓も大好評だったんですよ♪
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0314232550.html
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◆4 【当メルマガが「まぐまぐ大賞2008」にノミネートされました! 】
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◎『今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪』が、
「まぐまぐ大賞2008」エンターテイメント部門(約3,170本)の中から、
ノミネートメルマガ(15本)に選ばれました!ありがとうございます!
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/ent.html
「まぐまぐ大賞2008」とは、さまざまな部門において
今年“最も輝いていた☆メールマガジン”を選ぶ企画です。
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/
ノミネートされただけでも光栄なことだと思っております。
主催者が選んだノミネートの中から読者投票で大賞が決まるので、
「ちょっと読売演劇大賞↓に似てるわ♪」なんて妄想しています(笑)。
http://info.yomiuri.co.jp/prize/engeki/
読者の皆様にご投票いただけたら、さらに大きな励みになります。
よかったらぜひ応援をよろしくお願いいたします♪
★「まぐまぐ大賞2008」の投票はこちら↓
http://www.mag2.com/events/mag2year/2008/
※部門賞の右上「エンターテイメント部門」のコンボボックスから、
『今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪』を
選択して、投票してください(推薦理由とメールアドレスが必須入力)。
どうぞよろしくお願いいたします!
※投票締め切り:12月8日(月)18:00まで
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆5 【編集後記】
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◎メルマガ発行5年目に入り、まぐまぐから嬉しいお知らせが届きました。
『まぐまぐ大賞2008』にノミネートされたとのこと!
「推薦投票のお願い」をブログに書いたのが〆切当日でしたので↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/1118143845.html
まさかノミネートされるとは予想しておりませんでした・・・♪
推薦してくださった皆様、本当にありがとうございました!
◎11月は演劇発表会4回、シンポジウム4回、取材3回など、
観劇以外の活動をがんばってみました~。
人と会って話をするのは、ものすごい情報量になりますね。
演劇教育と俳優養成にますます興味が集中していきそうです。
◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
2008年11月は下記の4作品を拝見しました。
・「アフタースクール」←舞台好きならお約束のキャスト。
http://www.after-school.jp/
・「神様のパズル 」←予想より面白かった。ラストの演出は残念。
http://www.kami-puzzle.com/
・「西の魔女が死んだ」←原作はきっと良いんだろうな~。
http://nishimajo.com/
・「かぞくのひけつ」←テントさんの歌が忘れられない(笑)。
http://kazokunohiketsu.com/
◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
http://www.shinobu-review.jp/contact/
◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
感想も書き込めますよ♪
http://stage.corich.jp/
メンバー登録はこちら↓
http://www.corich.jp/stage/user_register.php
携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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◆5 【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
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このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい! ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
☆ご友人、お知り合いにどうぞこのメルマガをご紹介ください!
【面白い演劇を紹介してるメルマガはコレ!】
⇒ http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
☆もしこのメルマガを観てお芝居に行かれたら、劇場でのアンケート用紙に
「高野しのぶのメルマガで知った」等、書いていただけると嬉しいです♪
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
◎東京および関東近郊の情報に限らせていただいております。
◎掲載内容には細心の注意を払っておりますが、
間違いがあることもあります。情報は主催者URLでご確認ください。
◎お薦めを観に行って面白くなかったら・・・ごめんなさいっ。
◎私の好みはこちらです。
→ http://stage.corich.jp/my_troupe.php?member_id=57
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