チェリーブロッサムハイスクールは小栗剛さんが脚本、柴田雄平さんが演出を手がける劇団です。友人の勧めで観に行きました。
込み入ったストーリーを、身体表現などを交えて演出するのが面白かったです。脚本と演出を別の人が担当し、同じ劇団の仲間として活動しているのが良いな~と思いました。上演時間は約1時間50分。
⇒CoRich舞台芸術!『アキストゼネコ』
あらすじは公式サイトに詳しいです。
黒板、木の柱、白い壁、黒光りする鏡面の床、舞台奥には白いスクリーン。素材がばらばらで面白いし、黒板と木の柱、格子の壁の角度が交差するように斜めになっていて、丸い穴の開いた天井板もいいアクセントになっていました。クールな舞台装置に開演前からムービング照明が当たっており、期待も高まりました。
30代になった元・若者たちが、17年前の仲間と会う少々複雑なストーリーでした。ホラーとも言えるかもしれません。思い切り入り込めた人はすごく怖かったみたいです。チラシと内容がしっかりリンクしているのが良いですね。
役者さんがコミュニケーションをしていないように見えて残念。型どおり、予定どおりの演技をしているようで退屈でした。あと、頭を叩いたりするのはあまり観たくないですね。特に女性への暴力は目に嬉しいものではないです。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
オープニングは赤い照明の中、白い吹雪が黒いぴかぴかの床に落ちるのがきれいでした。場面転換の時間に身体表現でいろんな意味を付加していたのが面白かったです。
天才児ばかり集めた学校のクラスメートたちが、大人になって再び校舎に集まり、17年前に起こった事件を思い出していきます。当時14歳(現在31歳)だった彼らは「ガーデン」という深層心理を呼び出すゲームに興じていました。それが「アキストゼネコ」などの恋愛占いと違うのは、「絶対に当たる」こと。
双子、白子、ウーパールーパーなど、散らばったキーワードを回収していく凝った脚本だと思いました。でも、人物の出ハケに必然性が感じられないことがしばしば。また、記憶を入れ替えるとか、「予感は意志じゃない」といった、体と頭(脳)を別に考える視点は、私にはあまり親しめませんでした。私が体と頭は切り離せないものだな~と考えるタイプだからでしょうね。
「世界は5年前に作られた。これは誰も否定できない」というのには納得でした。誰か有名な方の言葉だそうです(誰なのかは失念)。
子供の死体と木の皮で学校を作り、その学校が子供を食べていくオープニング映像(アニメーション)が面白かったです。
出演:渡部ラム(スケッチブックを持った女チーコ。左手が動かない) 荒川修寺(メガネの男ススム) 野田政虎(息子ショウタロウを失い、キクと離婚した男ユウスケ) 雪森しずく(イソガイに17年間好かれていた女ウエノ) 山咲広美(ユウスケと離婚した女キク。ヒステリー) 池上武蔵(ノノと結婚する男オーヤ。記憶が続かない) 如月モエ(大阪弁の女レコバ) 椎名豊丸(ゲイの男ミナミ。ススムの弟) 宮本奈津美(オーヤと結婚する女ノノ。黒幕。死んだ妹ネネの記憶をユウスケに移植する) 中川香果(用務員のような格好をした男ハチスカ。事件のことを知っている) 佐藤健士(ウエノを17年愛し続けていた男イソガイ) 小栗剛(音楽家。ビデオを回していた男サダオ) 柴田雄平(音楽家。サダオと同じバンドメンバーの男カヲル)
作:小栗剛 演出:柴田雄平 振付:荒川修寺 舞台監督:渡辺了(ダイ・レクト) 照明:関定己 音響:UC-WORKER 舞台美術:福田暢秀 (F.A.T STUDIO) 映像:荒船泰廣 宣伝美術:藤本征史郎 (Raredrop/くねくねし) 舞台写真:シンヤケイタ (ROLLUP studio) 演出助手:林笑子、佐藤圭 制作助手:大橋真琴 制作:井上朋子+CBHS制作部
前売りチケット:3000円 当日チケット:3300円 ※ 未就学児童はご入場になれません。
http://www.cbhs.jp
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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