アニメ映画の監督として有名な押井守さんが『鉄人28号』を舞台化されました。押井さんが作る舞台に興味を持って観に行ったのですが、自称演劇オタクの私にとってはほぼ拷問・・・。上演時間は約1時間40分。
でも、終盤になってからメッセージが伝わってきたので(私の勘違いかもしれませんが)、それを受け取れたのは良かったです。押井さんのファンなら楽しめるのかしら・・・。
⇒舞台写真(毎日新聞・ネタバレしています)
⇒南果歩さんインタビュー(毎日新聞)
⇒CoRich舞台芸術!『鉄人28号』
≪あらすじ≫
昭和39年の東京。オリンピック開催を間近に控え、治安維持を目的とした野犬捕獲隊が暗躍していた。詳しい物語はこちら。
≪ここまで≫
なんと音楽劇でした。歌手もキャスティングされているとはいえ、マッチしていたとは思えず。役者さんの配置や出ハケがひどい。演出家ご自身が「変な舞台にしたい」とおっしゃっているので仕方ないのかな。
≪チラシにも掲載されている押井守さんの言葉≫ 公式サイトより
いつ頃からだろう。舞台を演出する機会に遭遇したら、宝塚風にしたいと思っていた。
あの独特のレビューである。いずれにしても「変な舞台」にしたい。――押井守(談)
≪ここまで≫
池田成志さん、田鍋謙一郎さんら舞台俳優の皆さんのがんばりにほだされました。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
「人狼」「立喰師列伝」などの押井さんのアニメのキャラクターが登場したり、パロディーのようになっていることに閉口。特に南果歩さんが演じた女立喰師“けつねコロッケのお銀”はコスプレにしか見えず(映画「立喰師列伝」は拝見しています)。
南果歩さんが鉄人を操縦する正太郎君と女立喰師の2役を演じたのは、正義と悪の間で揺れ動く純情を描くという点では、意味として理解できないわけではありません。でも2人同時に登場するシーンで、代役が白い面を被って無言のまま正太郎を演じ、お銀が正太郎のセリフを想定した一人芝居をするのは・・・観ていられませんでした。そして謎の踊りとお世辞にも上手とは言えない歌が続き・・・もうどうしていいやら。南さんはストレート・プレイでのご活躍をよく拝見していますので、この配役はお気の毒な気がしました。
正太郎君が人狼党のリーダー(ダイアモンド☆ユカイ)と敷島博士(池田成志)の間で揺れ動く様を、2人のテーマソングが混ざっていく様で表現したのが面白かったです。途中で帰りたくなっていたのですが(どちらにしろ休憩がないので出られなかったけど)、このシーンを観て帰るのを止めました。「悪にも正義にも頼らない。自分で自分のやりたいことをする」という決断は現代を表しているとも思います。
開幕からずーっと舞台中央に鎮座している鉄人が、正太郎の操作で動いたときはさすがに興奮しました。目が光るし足が伸びて立ち上がるし。
正太郎が鉄人を飛ばして五輪の雲を描きますが、その形がオリンピックのマークにはなっていなかったのが良かった。付け焼刃でやったって成功しませんよね。
≪東京、大阪≫
出演 南果歩, 池田成志, ダイアモンド☆ユカイ サンプラザ中野くん 田鍋謙一郎 藤木義勝 載寧龍二 永田彬(RUN&GUN) 小野健斗 吉田友一 鈴木雄貴 西田佳づ美(1月15日~17日西田りさ) ※私が拝見したのは西田佳づ美さん。
原作:横山光輝 脚本・演出/押井守 美術/磯見俊裕 黒川通利 鉄人デザイン/末弥純 照明/佐藤啓 音楽/川井憲次 作詞/児島由美 音響効果制作/伊悪道廣 音響/若林和弘 松山典弘 衣装/竹田団吾 振付/竹下宏太郎 ボイスコーディネーター/浦崎直邦 鉄人制作/秋山直樹 光井清陽 道具制作/桜井敏郎 唐崎修 グリーンコーディネーター/櫻井忍 特殊効果/糸田正志 演出助手/高梨由 舞台監督/森下紀彦 キャスティング/オガワシンジ 制作/安積智子 アシスタントプロデューサー/黒田仁子(デイズ) プロデューサー/村上洋志(梅田芸術劇場) 久保淳(デイズ) エグゼクティブプロデューサー/小川友次(梅田芸術劇場) 企画協力/光プロダクション 企画協力制作/デイズ 企画・製作/梅田芸術劇場
【発売日】2008/11/22 S席11,000円 A席8,000円 (全席指定・税込)
※未就学児童のご入場はご遠慮下さい。
http://www.umegei.com/s2009/tetsujin28.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。