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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年01月16日

キューブ/ブリーゼアーツ『冬の絵空』01/12-02/01世田谷パブリックシアター

 サンケイホールブリーゼのこけら落とし公演です。劇団そとばこまちの1987年初演の戯曲を、鈴木勝秀さんが演出されます。

 小劇場から育った有名俳優が、豪華な装置の中を伸び伸びと走り、飛び回り、軽い笑いとドラマを見せてくれました。上演時間は約2時間50分(休憩15分を含む)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『冬の絵空

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
 時は元禄。人気役者・沢村宗十郎(藤木直人)は豪商・天野屋利兵衛(生瀬勝久)に、娘のおかる(中越典子)を嫁にしたいと嘆願するが、まったく相手にされない。大石内蔵助(橋本じゅん)は城主・浅野(中村まこと)の切腹、お家取り潰しが決まった後も、討ち入りにはやる家臣たちを抑え、まだ討ち入りの機は熟していないこと、そして各々の身の振り方を考えるよう説く。天野屋は赤穂の家臣たちが討ち入りすることを期待していた。しかし、大石にその意志がなく赤穂浪士の評判も落ちていることを嘆いた天野屋は、一計を案じ、宗十郎に、あることを条件におかるを嫁にやると持ちかける。
 それは、宗十郎扮する偽の大石内蔵助に悪者退治をさせ、赤穂浪士たちの評判を回復させるとともに、討ち入りへの機運を盛り上げることであった・・・。
 ≪ここまで≫

 前半はギャグなどを含めて少々長く感じたのですが、終盤の展開にはなるほど~と唸るほどに引き込まれました。

 ごうつくばりの恐ろしい商人・天野屋を演じた生瀬勝久さんに、何がどう転んでも、目が釘付け。
 琵琶法師のように語りをする尼を演じられていたのが、中越典子さんだと後から気付いてびっくり。重みのある存在感が良かったです。

 ここからネタバレします。

 切腹したはずの殿が生きて帰ってくるという発想が面白いですね。身代わりになって死んだのは殿の影武者でした。役者の宗十郎が武士・大石のニセモノを演じるのもまた、誰かのフリをして自分を偽り、人を騙すという行為です。次々と嘘VS嘘となる構図が面白い。

 殿が生きていたとわかっても、気持ちの高まりを抑えられずに仇討ちをしてしまう浪士たち(内田滋ら)。嘘を本当に変え、真実が迷宮入りすれば、そのまま史実となって後世へと残ります。「本当とは何か?その証ができるのか?」という宗十郎の問いかけが胸に響きました。

 最後の桜吹雪がきれいでした。装置の効果を実感。

≪大阪、愛知、広島、福岡、東京≫
出演:藤木直人、橋本じゅん、中越典子、中村まこと、片桐仁、伊達暁 新谷真弓、六角慎司、内田滋、小松利昌、前田悟、武田浩二、安田桃太郎、八十田勇一、松尾貴史*、粟根まこと*、加藤貴子、生瀬勝久 (*)ダブルキャスト ※私は粟根まことさんの回を拝見。
脚本:小松純也 演出・上演台本:鈴木勝秀 美術:二村周作 音楽:横川理彦 照明:原田 保 音響:井上正弘 衣裳:前田文子 ステージング:前田清実 殺陣指導:田尻茂一 川原正嗣 前田悟 武田浩二 へアメイク:宮内宏明 犬兜造形:片桐仁 演出助手:長町多寿子 舞台監督:瀧原寿子 宣伝美術:東學 宣伝写真:須佐一心 宣伝衣裳:前田文子 宣伝ヘアタイク:宮内宏明 主催:株式会社サンケイビル/株式会社キューブ/関西テレビ放送株式会社 制作協力:リコモーション 企画・製作:株式会社会社キューブ/株式会社ブリーゼアーツ
一般S席9,000円/A席8,000円/プレミアムシート11,000円
http://www.sankeihallbreeze.com/kouen_fuyu.html
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2009/01/post_134.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年01月16日 18:31 | TrackBack (0)