俳優4人の劇団ハイリンドが、事実を元に書かれたカナダ戯曲を重厚な演技・演出で紹介してくれました。
上演時間は約1時間50分。全席自由席・受付順入場ですので、お早めに劇場に行かれることをお勧めします。
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≪あらすじ≫ 公式サイトより。
手斧の乱打による頭蓋粉砕、即死。全世界を震撼させたこの事件は、未解決のまま迷宮入り。
疑惑がかけられた被害者の次女、リッツィー・ボーデンも証拠不十分で不起訴。
1981年度カナダ総監賞(最優秀創作戯曲)に輝いた珠玉のサスペンス・ドラマ。
息をつかせぬ展開、鋭い人物描写をハイリンドが再現する。
≪ここまで≫
無罪判決から10年後、リッツィー(はざまみゆき)のもとを訪れた女優(枝元萌)が、リッツィーの立場になって事件を振り返っていきます。役が入れ替わる劇中劇として、演劇的な演出も見どころですが、何より戯曲の内容の濃さがとっても私好み。一筋縄ではいかないカナダ戯曲の魅力を味わえました。
ただ、ゆがんだ家族の関係を息苦しくなるぐらいの張りつめた緊張感をもって描きますので、お好みに合わない方は少し疲れを感じるかもしれないですね。私は好きなんですが。
ここからネタバレします。
リッツィーが繊細すぎる性格でありながら、進歩的な考え方をする気が強い女性であるため、周囲の人々は彼女の扱いに手を焼いています。
義理の母アビゲイル(松永麻里)とその弟ハリー(伊原農)、実の父親アンドリュー(池田ヒトシ)から経済的な面で追い詰められ、父との口論の末に可愛がっていた鳩を殺されたリッツィーは、恋人(といっても散歩して話すだけ)の医師(多根周作)の言葉を自分の都合のいいように解釈して、邪魔なアビゲイルを惨殺してしまいます。続いて、予想よりも早く帰宅してしまった父を殺害。
小さな出来事の積み重ねによって、気持ちの揺らぎが大胆な行動へと人間を駆り立てていきます。残忍な殺人者が、たった数日間で、どのように生み出されてしまったのかを丁寧な心理描写で見せて下さいました。舞台下手にハトの小屋を作り、ハトを小さな木のイスに見立てて、殺されたど同時にドサっとイスを落とす演出は、わかりやすいし良かったと思います。
リッツィーが生まれた時に実の母親が死亡しており、父親にとってリッツィーは、可愛い娘であると同時に妻の命を奪った仇でもあるんですよね。なんと皮肉な設定。
姉エンマ(江間直子)は義理の母にも忠義を尽くす出来のいい長女ですが、リッツィーの育ての親でありながら、妹を最後まで守ってあげるほどの愛情は持ち合わせていませんでした。事件から10年後の最後のシーンでリッツィーが、「あなた(姉)は私。あなたがやりたいことを、私がやっていた」と言います。これは・・・戦慄でしたね。
誰でもリッツィーになる可能性があるということを、2人のリッツィー(はざまみゆき&枝元萌)で表現しているのも良かったです。
ハイリンドvol.7
出演:多根周作、はざまみゆき、伊原農、枝元萌、池田ヒトシ、江間直子(無名塾)、松永麻里(The30's)
【脚本】シャロン・ポーロック 【翻訳】吉原豊司 【演出】藤本剛 【舞台監督】井関景太(るうと工房) 【照明】石島奈津子(東京舞台照明) 【音響】高橋秀雄(SoundCube) 【舞台美術】向井登子 【衣裳】山本亜季 【宣伝美術】西山昭彦 【スチール】夏生かれん 【撮影ヘアメイク】田沢麻利子 【Webデザイン】藪地健司・夏子 【ハイ友】鍋谷ナナオ 【制作】石川はるか 【制作補佐】竹内佐枝
【発売日】2008/12/07 前売/当日3,500円 ハイリンド賛助会員2,500円(全ステージ共通) 平日マチネ(15日14時の回)前売/当日3,000円
http://www.hylind.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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