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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年04月16日

新国立劇場演劇『最後の炎』4/15、4/18、4/22新国立劇場小劇場

 『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』に続いて、無料リーディング公演『最後の炎』を拝見しました。上演時間は約1時間45分。
 すっごく刺激的で面白い戯曲でした。朗読の王道でありつつ演出も雄弁で良かった~♪ぜひ本格的な上演を観たいです。どなたか上演してくださ~い!大変そうだけどっ!(笑)

 番外連続リーディングは、新国立劇場のシリーズ・同時代【海外編】のスペシャルイベントの1つで、3演目(『昔の女』(⇒レビュー)『シュート・ザ・クロウ』(⇒レビュー)『タトゥー』)のいずれかのチケットがあれば入場可(無料)。チケット1枚で複数作品が観られます。
 5月の『タロットカードによる五重奏のモノローグ』には、新国立劇場演劇研修所第4期生が出演されるそうです。

 今は『シュート・ザ・クロウ』が上演中で、金曜日の夜の終演後は誰でも入れるパブも開店しています。凄いな~新国立劇場。印象が変わってきました。

 ⇒CoRich舞台芸術!『最後の炎

 ≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより
 人間の深層を静かに見つめ、詩的なリアリズムで語る作風が高い評価を得ている女性劇作家デーア・ローアー。08年に発表された『最後の炎』では、交通事故をきっかけに偶然知り合った男女の愛のゆくえが、コロスを駆使した斬新な文体で鮮烈に描かれている。ミュールハイム戯曲賞など多くの賞を受賞。
 ≪ここまで≫

 幕開けがいきなり凄くて、頭がくらくら。先が読めないストーリーに、長い独白。「私たちは」と語り始めるコロスのセリフも大量です。
 リーディング公演で泣くとは思わなかった・・・・いえ、それも感動じゃなくて、衝撃で。恐ろしくて、色っぽくて。劇作はデーア・ローアーさん。5月に上演される『タトゥー』もローアーさんの作品です。ものすごく楽しみになりました。

 出演者は『アテンプツ・オン・ハー・ライフ』と同じく新国立劇場演劇研修所の3期生です。透き通るような存在感で、明晰な日本語を語ってくれました。役者独自のくせが少ないので、色んな役ができそうだな~と思います。
 14人中8人が出演されているので、おそらくオーディションがあったのですよね。そういうシビアな環境は研修生にとっては良いことなのではないでしょうか。それが俳優という職業の現実ですものね。
 ルートヴィヒを演じた若菜大輔さんの声がとてもきれいで(私の個人的な好みかもしれませんが)、もっとしゃべって欲しいと思っちゃいました(笑)。

 ここからネタバレします。

 交通事故で8歳の息子を失ったルートヴィヒ(若菜大輔)とズザンネ(鈴木良苗)。ルートヴィヒの愛人カロリーネ(熊坂理恵)を通じて、事故の一部始終を目撃した元兵士ラーベ(金成均)とズザンネが出会います。

 「光(ひかり)」というセリフで何度かショックを受けました。「光」と言われた瞬間に、それまで語られていた物語が“光”へと凝縮されて輝いたように感じました。私の命だって一瞬の光に過ぎないという実感もありました。

 最後はもともとの配役にしばられず、全員が色んな役のセリフを次々と語っていきました。壮絶で、悲しくも美しいこの物語の登場人物は、世界中の誰か(私)であると感じられました。

新国立劇場2008/2009シーズン
出演:新国立劇場演劇研修所研修生3期生 【登場人物・配役】ズザンネ(妻):鈴木良苗 ルートヴィヒ(夫):若菜大輔 ローズマリー(祖母):辻村優子 エドウナ(女性警官):渡邉樹里 カロリーネ(元教師):熊坂理恵 オーラフ(殺人者):長元洋 ペーター(オーラフの友人):竹田桂 ラーベ(元兵士):金成均 その他の登場人物:私たち(語り手)/エドガー(死んだ子供)/ヴュルガー・フンボルト(犬)
作:デーア・ローアー 翻訳:新野守広 演出:森新太郎 衣裳アドバイザー:田中光子 舞台・照明・音響操作:新国立劇場技術部 シアターコミュニケーションシステムズ レンズ 芸術監督:鵜山仁 主催:新国立劇場
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000180_play.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年04月16日 12:50 | TrackBack (0)