三浦直之さんの戯曲『家族のこと、その他のたくさんのこと』は、王子小劇場の【「筆に覚えあり」新作戯曲選考制度】入選作品です(⇒関連レビュー)。
入選した作品が王子小劇場で本格的に上演されるのは、今作が初めてですね。ロロ(ろろ)は三浦さんの作品を上演するために結成された劇団です。
初日の昼公演(つまり一番初めのステージ)のポスト・パフォーマンス・トークに出演させていただきました。上演時間は約1時間45分。満席でした。
⇒CoRich舞台芸術!『家族のこと、その他のたくさんのこと』
≪あらすじ≫
ある日、僕は道端でオヤジを拾ってきた。妹は素直に受け入れ、オヤジを家に招き入れるが、母親は「この人、違うよ」と言って家出する。
≪ここまで≫
装置・衣裳がポップで、ギャグがシュール。いまどきの若者言葉で書かれた現代口語劇でありつつ、登場人物が作品の外側に出て観客に話しかける独白などもあり。役者さんが1人で数役を演じたり、照明の変化だけで舞台が色んな場所に飛んだり、いきなりダンスや歌が始まったり。独特の世界観が感じられる作品でした。
当日パンフレットに配役名がないのは残念。どの役者さんが何役を演じたのかがわかりません。
ここからネタバレします。
冒頭の前説でパンツ一丁の三浦さんが登場し、“僕”と作者が重なるのが良かったです。
雨が溜まりつづけるステージ。いつでも水に濡れてしまう役者たち。“僕”の友人の“晴れ間がささない男”には、常にジョウロで水がかけられます。
猿が大勢でてきて踊るシーンが面白かった。
衣裳の色使いがとても好きです。快快の藤谷香子さんのデザインですね。そういえば振付も快快の野上絹代さんだ。
妙な衣裳を着てアスファルトに水をやりつづける生き物(中村早香さんじゃなくて、両角葉さんだったようです・2009/05/10加筆)が、「ここからクライマックスです」と言った後が長過ぎました。すぐクライマックスが来て終幕して欲しかったです。
突然病死してしまった夫に「死んで欲しくない」と伝えられなかったことが、母親の大きな心残りだった・・・というのがキーになっていたようですが、私にはあまり重要なメッセージだとは感じられず。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:三浦直之(ロロ主宰)×玉山悟(王子小劇場代表)×高野しのぶ(しのぶの演劇レビュー)
『家族のこと、その他のたくさんのこと』は三浦さんの処女戯曲で、演出するのも生まれて初めてだったそうです。王子小劇場は太っ腹というか勇気があるというか(笑)。
初めてとは思えない、色んな工夫と広がりが感じられる演出でした。若い人は凄いな~。作・演出の三浦さんの今後が楽しみです。
出演:板橋駿谷(劇団堀出者) 亀島一徳 北川麗 多賀麻美 中村早香(ひょっとこ乱舞) 三浦直之 森本華 両角葉
脚本・演出/三浦直之 照明/中能良 舞台美術/松本謙一郎(王子小劇場) 音響・映像/池田野歩 衣裳/藤谷香子(快快) 振付/野上絹代(快快) 舞台監督/鳥養友美 WEB/望月綾乃 制作/篠崎大悟 モコ 幡野萌 企画アドバイザー/玉山悟(王子小劇場) 協力/王子小劇場 六尺堂 劇団掘出者 ひょっとこ乱舞 快快
【発売日】2009/04/01 前売り・当日 2300円(全席自由席)
http://llo88oll.web.fc2.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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