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しのぶの演劇レビュー
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2009年05月05日

Conclave『父と暮せば-朗読劇-』05/05-08アレイホール

 井上ひさしさんの傑作2人芝居『父と暮せば』(過去レビュー⇒)を、中嶋しゅうさんと岡野真那美さんが演じるとのことで、初日に伺ってきました。上演時間は約1時間15分ほど。

 台本は手から離されていましたので、朗読ではなく本格的なお芝居でしたね。2人の役者さんはお互いを受け入れ、刺激して、豊かに反応し合って、舞台上でのびのびと自分の役を生きていらっしゃいました。

 アレイホールには初めて行きました。フラットな客席なので前方の席でご覧になるのがいいと思います。全席自由ですので会場へはお早めにどうぞ。

父と暮せば (新潮文庫)
井上 ひさし
新潮社
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 ⇒CoRich舞台芸術!『父と暮せば-朗読劇-

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 1945年8月6日午前8時15分、ほんのわずかな違いが父と娘の生死を分けた。
 舞台は原子爆弾が投下された三年後の広島。
 福吉美津江は父・竹造と二人で暮している。あの日、生き残ってしまった事への強い罪悪感に苛まれる娘・美津江を想う竹造。ときに励まし、ときに叱咤し、美津江の心を慰めつづける。ある時、美津江は原爆資料を集める青年木下と想いを寄せ合う。その恋を後押しする竹造。しかしピカの記憶はいつまでも美津江の胸に重くのしかかる。
 美津江は木下への気持ちを胸の内に隠したまま、遠い地へ姿をくらますと竹造に告げるが、竹造は怒り、そして静かに言葉を紡ぐ。
 「気持はようわかる。じゃが、おまいは生きとる、これからも生きにゃいけん」――と。
 その言葉を聞いた美津江は、遂に心の奥底に押し込めていたあの日の記憶を辿り始める。あの日、あの時、父の死を目の当たりにした自分の姿を……。
 ≪ここまで≫

 イスが4客だけのごくシンプルなステージ。2人の会話と生演奏の効果音だけで見せていきます。
 最初っから泣いてしまって大変でした・・・。私はこの作品にはめっぽう弱いのです。原爆が落ちてきた、その真下にいた人たちの言葉は、何度聞いてもショックを受けて、涙が流れてしまいます。

 ここからネタバレします。

 「生き残ったのが間違いだった」「自分は幸せになってはいけない」と強く自分に言い聞かせる美津江を見て、太陽2個分の熱さを持ったあの爆弾が残した、傷の深さを再度確認します。

 美津江は木下さんの原爆資料をあずかって、彼とはラブラブ状態になったというのに、やはりその幸せから離れようとします。それは、あの地獄よりもひどい火の海の中で、自分が父・竹造を見捨てたからでした。
 竹造の必死の説得で、美津江は、自分が死んだ人によって生かされているということに気づきます。このシーンが素晴らしかったですね。

出演:中嶋しゅう(竹造) 岡野真那美(美津江) 和太鼓・鳴り物の生演奏:金刺敬大(8日のみ横山亮介)
脚本:井上ひさし 演出:池内美奈子 尺八・作曲:藤原道山 舞台監督・照明オペ・音響オペ:野口俊丞 方言指導:大原穣子 美術協力:中村公一 制作協力:シーエイティプロデュース(CATプロデュース) コンクラーベ主宰:中嶋しゅう
自由席 前売券3,000円 当日券3,500円
http://www.stagegate.jp/performance/2007/chichito/index.html
http://members.jcom.home.ne.jp/conclave/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年05月05日 22:54 | TrackBack (0)