メタリック農家は葛木英(くずき・あきら)さんが作・演出される劇団です。伊藤ヨタロウさんを初め、気になる役者さんたちが出演されるので観に行きました。
ストーリーや演出については、私には意図がわからないことが多かったのですが、最後の最後に「あぁ、そっか~・・・」と納得(共感)するところがありました。装置が豪華!上演時間は約1時間40分。
⇒CoRich舞台芸術!『針』
≪あらすじ≫
ある王国で、人民の幸福のために「憎まないこと」「独占しないこと」「実際以上の理想を求めないこと」という3つの法律が制定された。その国の王女(内田亜希子)は仕立て屋(オレノグラフィティ)と相思相愛なのだが、父である国王(伊藤ヨタロウ)の命令で、他の誰かとの婚約させられそうになっている。王女は自分の望むハッピーエンドを迎えたいと強く願うが、彼女の気持ちはいつも3つの法律に触れてしまうのだ。
≪ここまで≫
徹底してメルヘンチックに作りこんだファンタジーなのか、そう見せかけて実はシュールさを漂わせる現代劇なのか、どこに視座をあわせたらいいのかな~と迷っている時間が長かったですね。前半は、役者さんがもっと思い切ってやりきってくれたらなぁと思うシーンもチラホラ。
個人的には王女(内田亜希子)と仕立て屋(オレノグラフィティ)のラブシーンが好き。内田さんは、立ち姿だけでちゃんと“王女”に見えるシーンがあって良かったです。
宣伝美術と作品内容がぴったり合っているのは嬉しいです。衣裳は宣伝写真の撮影時点で既に作られていたんですね。小劇場の規模では珍しいことだと思います。
ここからネタバレします。
王女は仕立て屋とは結ばれないと思い込み、彼を裁ちバサミで殺してしまいます。そこから100年の眠りに堕ちて再び目覚めると、オープニングのシーンに戻ります(装置は未来の景色になってます)。
100年後もまた愛する仕立て屋が目の前に。王女は「今度こそ、ハッピーエンドを」とまた気を取り直して頑張るかと思いきや、彼を腕で抱きしめながら、手にはハサミが握られていました。
誰かを心から好きになり、その人を自分のものにしたいという気持ちから、邪魔になる他人を徹底的に嫌ったり、または相手自身を恨んだりするのって、ごく普通の恋愛によくあることですよね。つまり誰かを愛する行為そのものが、誰かを傷つけることになるのです。
その必然は悲しいけれど美しいと思います。人間のそんな矛盾が愛らしいとも思います。でも、そのまま受け入れたらいつも悲劇ばかりになってしまうので、どうやったらハッピーエンドを手に入れることができるのかを考えなきゃね。やっぱりその答えは「見返りを求めない愛(いわゆる無償の愛)」なのかな。そんなの理想ですけど。
葛木さんのコメント付きの脚本を読ませていただきました(物販されていました)。自分の女子力(ジョシリョク)の低下を再確認(苦笑)。がんばらにゃな~。
出演:内田亜希子/オレノグラフィティ(劇団鹿殺し)/羽鳥名美子(毛皮族)/近藤智行(ペンギンプルペイルパイルズ)/岸潤一郎(NAィKI)/宮本愛美(7%竹)/古市海見子(メタリック農家)/福田高徳(メタリック農家)/伊藤ヨタロウ
【脚本・演出】葛木英 【舞台監督】川除学+至福団 【舞台美術】 田長武+鴉屋 【照明】工藤雅弘(Fantasista?ish) 【音響】中村嘉宏 【映像】浦島啓(PURE DUST) 【衣裳協力】さっちゃん(風みどり@新中野) 【演出助手】今城文恵 【イラスト】リタ・ジェイ 【宣伝美術】two minute warning 【WEB制作】小林タクシー(ZOKKY) 【制作協力】Karte、ハイレグタワー 【制作補】丸山立 【企画・製作】 メタリック農家
【発売日】2009/04/05 前売¥3300、当日¥3500(全席指定) *早期割引:6日と7日14時の回のみ、前売¥2800、当日¥3000
http://www.metanou.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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