ライターの土佐有明さんが演劇人とトークをする企画の第二弾(⇒第一弾)。5/6に終幕したばかりの『キレなかった14才・りたーんず』(以下、りたーんず。レビュー⇒1、2、3、4、5、6)について、りたーんず企画者の3人の演出家(後で2名増加)が語ってくれました。
19:40頃(10分押し)に開始して終わったのが22:45頃(途中休憩10分を含む)。ものすごい長丁場でしたが、終盤になるにしたがってトークの内容が濃密になり、へとへとになりながらも充実した気持ちで会場を後にできました。
⇒土佐有明のPlaylist「劇談第二幕、終了。」(2009/05/17リンク追加)
まず初めに新作パフォーマンス「ひっくりカエル」(柴幸男、篠田千明、中屋敷法仁の共同製作)が上演されました。ひとことで言ってしまうと、りたーんず企画全体を振り返る内容。
私はクラブやライブのノリが苦手な、いわゆる劇場大好き派なので、前半は完全にアウェイの気分。場違いなところに来てしまった・・・とオロオロしましたが、後半になって話し合いの密度が上がってきた頃には、私の“場違い感覚”もまたこの場を構成する大事な要素だったんだと思えました。
音楽ライターを10年やってこられた土佐さんは、数年前に演劇に興味を持たれたそうで、今では雑誌で演劇について連載されたり、ウェブ上で「ほぼ初日劇評」を立ち上げたりされています。「CDの売り上げとライブ来場者の数は反比例。つまりCDは売れなくなっているが、ライブの観客は増加している」というデータには興味津々。
「りたーんず企画そのものが“内輪ウケ”なムードをかもし出していたのではないか」という議題については、色んな角度から長く話してくださって嬉しかったです。私は神里さんが主張していらした「りたーんずについて全く知らない人にとっても、居心地のいいトークになるべきだ」というご意見に賛同します。でも、「内輪の“輪”を広げればいい(広げるしかない)。ただし(輪に入ってもらう人への)敬意を持って。」という篠田さんのお考えにも納得でした。
私は6作品コンプリートしながらも、“内輪っぽい盛り上がり”をそれほど快くは感じていなかった観客の1人でした。でも、「特に意図していなかったのに、いつの間にか“祭り”のようになっていった」という分析は、外から眺めていた私にもそう見えましたし、この企画が生んだ素晴らしい成果の1つだと思います。中屋敷さんがおっしゃってましたけど、“奇跡”と呼ばれてもいいことですよね。
りたーんず作品を1つも観たことがないし、演劇も観たことがないという人が、最後にされた質問がとっても良かったです(「10年後はどうしていたいですか?」など)。こうやって、快も不快も賛否も含めて、しっかりと肌で実感したことが広がっていくのは幸せなことだな~と思います。
土佐有明「(コンサートでも演劇でも)観る前と観た後で何かが変わるような、観た後で何かがしたくなるようなライブが良い」
藤原ちから「目の前に居る人の言葉を聴きたい。(これは自分がりたーんずを経験して変わったこと。)」
神里雄大「反省がいっぱい、です。」(場内爆笑)
【『キレなかった14才・りたーんず』とはなんだったのか!?】―若手演出家6人による連続上演企画を総括し、彼らの今後を探る
5/14(木)19:00~
出演:柴幸男(青年団演出部) 篠田千明(快快) 中屋敷法仁(柿喰う客) 神里雄大(岡崎藝術座) ヨークからウェブ中継出演:白神ももこ(モモンガ・コンプレックス)、他
聞き手:土佐有明(ライター)、 藤原ちから(編集者)
日時:5/14(木)19:00開場/19:30開演 料金:¥1,800(1ドリンク付き)
http://www.uplink.co.jp/factory/log/003019.php
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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