SPAC「Shizuoka春の芸術祭2009」記者発表と同会場で行われた、青年団『鳥の飛ぶ高さ』記者発表の写真レポートです。
青年団は平田オリザさんが作・演出を手がける、国際的な活躍が目覚しい劇団です。
『鳥の飛ぶ高さ』は30年前に書かれたフランス戯曲をもとに、平田オリザさんが舞台を現代日本に置き換えて翻案した“ドロ沼企業買収劇”。平田作品とは縁の深い、若手フランス人演出家アルノー・ムニエさんが演出されます。
●青年団国際演劇交流プロジェクト2009・日仏交流企画
『鳥の飛ぶ高さ』
【京都公演】 2009年6/12(金)~14(日)@京都芸術センター・フリースペース
【東京公演】 2009年6/20(土)~28(日)@シアタートラム
※京都、東京公演の後にはフランス公演が控えています。
※日本語・フランス語上演/日本語・フランス語字幕付き
⇒CoRich舞台芸術!『鳥の飛ぶ高さ』
≪作品紹介≫ 公式サイトより
フランスを代表する現代劇作家ミシェル・ヴィナヴェール作"Par-dessus bord"の舞台を、現代の日本に置き換え、平田オリザがお届けするドロ沼企業買収劇。
超高性能便器を開発した日本の家族経営メーカーが、世界最大手のフランス資本便器会社に狙われる。
日仏合作の新型経済演劇をフランスの次世代を担うアルノー・ムニエが演出する。
≪ここまで≫
ムニエ「『鳥の飛ぶ高さ』は現代のグローバル化を形にしたコメディーです。原作はそのまま上演すると8~9時間になる大作で、登場人物は40人、舞台となる場所は20ヶ所にも及びます。それらが同時進行で描かれる、ばらばらのコラージュ作劇と申しましょうか、常軌を逸した良作です。
2時間の短縮版をもとに翻案された今作は、登場人物17人のうち、14人が日本人、3人がフランス人です。近代資本主義の叙事詩ともいえるべき戯曲を、オーケストラの指揮者になったつもりで演出したい。」
原作者のヴィナヴェールさんは長年ジレット社の社長をされてきて、ビジネスの最前線にいながら劇作を続けてこられました。今は80代にして演出も手がけられています。平田さん曰く“フランスの堤清二”(Wikipedia)とも言える方だそうです。
平田「“Par-dessus bord”は30年前に書かれた戯曲で、アメリカ資本に買収されようとしているフランス企業を描いています。最初に藤井慎太郎さんの翻訳を読んだ時、まさに今の日本そのものだと思いました。原作ではトイレットペーパーの会社なのですが、日本のハイテク温水洗浄機器の会社に置き換えました。
原作者と一緒に翻案できたのは大変幸運なこと。ヴィナヴェールさんには『全く新しい作品なのに、確かに僕の作品だ』と言っていただきました。」
10年前にフランスに進出した青年団は、今ではヨーロッパで最も有名な日本のシアター・カンパニーのひとつです。今シーズンは平田オリザ戯曲の4つのプロダクションが、フランス国内を巡演中。『鳥の飛ぶ高さ』も来年にはフランスで上演されます。
青年団が日本演劇界に新提案する“経済演劇”(小説において、1つのジャンルとして確立してる経済小説にならった平田オリザの造語)は、作品そのものもグローバルに展開していきます。経済にどっぷり浸かった日本に暮らす者として、ぜひとも目撃したい新作です。
★タイトル『鳥の飛ぶ高さ』について平田「原題の“Par-dessus bord”は日本語で“船から投げ出されて”“鍋から吹き出して”といった意味になり、直訳するのは難しかった。なので、日本公演のためだけに新しく日本語タイトルを作りました。外資系企業のことを“ハゲタカ”を呼ぶことがあります。そのイメージから『鳥の飛ぶ高さ』となりました。」
青年団国際演劇交流プロジェクト2009 日仏交流企画『鳥の飛ぶ高さ』
Projet de Collaboration Internationale de Seinendan 2009 Spectacle franco-japonais
出演:山内健司、ひらたよーこ、松田弘子、志賀廣太郎、永井秀樹、天明留理子、太田宏、大塚洋、田原礼子、石橋亜希子、大竹直、畑中友仁 高橋広司(文学座) フィリップ・デュラン(Philippe Durand)、エルザ・アンベール(Elsa Imbert)、ナタリー・マテール(Nathalie Matter)、モアンダ・ダディ・カモノ(Moanda Daddy Kamono)
原作:ミシェル・ヴィナヴェール(texte original:Michel Vinaver"Par-dessus bord") 演出:アルノー・ムニエ(Arnaud Meunier) 翻案・演出協力:平田オリザ 原作戯曲邦訳:藤井慎太郎 翻案戯曲仏訳:ローズマリー・マキノ・ファイヨール(Rose-Marie Makino-Fayolle) 通訳:原真理子 ドラマトゥルグ:シモン・シェママ(Simon Shemama) 演出助手:西村和宏 舞台監督:中西隆雄 舞台美術デザイン:カミーユ・デュシュマン(Camille Duchemin) 舞台装置:鈴木健介 照明デザイン:フレデリック・グルダン(Frédéric Gourdin) 照明・字幕:西本彩 音響デザイン:バンジャマン・ジョソー(Benjamin Jaussaud) 音響:泉田雄太 衣裳:有賀千鶴 宣伝美術:京 宣伝写真:山本尚明 制作:西尾祥子(システマ) 西山葉子、横山優 カリーヌ・ブランシュロ(Karine Branchelot) 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
チケット発売日:4月18日(土) 全席指定席 前売・予約・当日券共 一般=3,500円/学生・シニア=2,500円/高校生以下=1,500円 世田谷区民=3,300円/劇場友の会=3,200円
http://www.seinendan.org/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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