チェリーブロッサムハイスクールは、小栗剛さんが脚本、 柴田雄平さんが演出を手がける劇団です。チラシがかっこいいので気になっていました。演出の柴田さんが降板したという情報があって少々心配もあったのですが、池袋まで行ってみました。
私が座った座席は中央ブロック2列目で、1列目との段差がなかったため、残念ながら死角が多かったです(全席指定でした)。でもストーリーは楽しむことができました。上演時間は約1時間45分。
⇒CoRich舞台芸術!『愛妻は荒野を目指す』
≪あらすじ≫ 公式サイトに詳しいです。
大震災で東京が東京でなくなってから1年後。舞台は深夜2時以降の小さなレストラン(名物料理はコーンポタージュスープ)。客は心を病んだ妻と彼女をいたわる夫、命がけで取材を続ける記者たち、制服のように黒いスーツを着込んだ集団など。
≪ここまで≫
設定もセリフも、登場人物の背景もきっととても面白いものなのだろうと思うのですが、ここ最近の私はとにかく役者重視でして、演じる役者さんの体に真実味が感じられないと、話が頭に入ってこないのです。(演じ方に関係なく)役者さん自身に魅力を感じられた時は、そうでもなかったりするんですけどね。勝手な観客ですみません。
選曲が楽しかった~!私は音楽には詳しくないので曲名などはわかりませんが、音量とリズム(呼吸っていうのか)のセンスに気分が高揚しました。ムービング照明のカラフルな配色も良かったですね。
シーンの変わり目(舞台転換時)に役者さんがダンスを踊ります・・・と書くと「もしかしてサム~イ演出だったのでは?」と思われるかもしれませんが、そういうわけではなかったです。ダンスができない人(俳優)が踊ることを前提に、きちんと見栄えを計算した振付で、装置との関係性も面白かったです。積極的に体に触れていくのは冨士山アネットに似てるかも。振付担当は、ぬいぐるみの妻ヨウコを愛するメガネの男・ヒウラ役の荒川修寺さん。
ここからネタバレします。セリフは正しいわけではありません。
レストランはほぼ4つに区切られており、セットを乗せた四角いステージがくるりと回って、それぞれのテーブル席で交わされる会話を見せていきます。正面で演じられた場面の裏側を順に演じていくだけでは単調ですが、それは最初の2場面だけ。3場面目で数十分後へと展開し、最後に空間全体を使ったクライマックスを迎えました。
アングルA、B、Cの後にchapter1(第一章)となったのが素敵。愛妻が荒野を目指す最終場面が、物語の始まり(第一章)というわけなんですね。
震災で壊滅したかつての高度情報化都市・東京が、2つに分裂した自衛隊の対立によって内戦状態にあるという設定は、私にはリアルに感じられました。国が軍隊を持つことは、そういう危険をはらんでいるんですよね。
「覚悟のある人間だけが希望を持つことができる」「希望は運命を変える(力がある)」という会話に納得。
役者さんで印象に残ったのは、先生を辞めたアマガイ先生役の東澤有香さんと、レイプされてもポジティブなカメラマン・イク役を演じた如月モエさん。終盤に“あいつら”の1人である王(ワン)役で登場した、脚本担当の小栗剛さんの存在感も大きかったです。
チェリーブロッサムハイスクール2009.EarlySummer CherryBlossomHighSchool PLAY_⑥
出演:渡部ラム、荒川修寺、山咲広美、野田政虎、雪森しずく、池上武蔵、如月モエ、椎名豊丸、小栗剛、柴田雄平、イチキ游子(B-amiru)、柚木幹斗(ナイロン100℃)、三科喜代(ブルドッキングヘッドロック)、東澤有香(オフィス3◯◯)、酒井和哉、荒木睦代(劇団森)
作:小栗剛 演出:柴田雄平 振付:荒川修寺 照明:関定己 音響:UC-WORKER 舞台監督:幸光順平 (株式会社 ダイ・レクト) 舞台監督補:渡辺了 (株式会社 ダイ・レクト) 舞台美術:福田暢秀 (F.A.T STUDIO) 宣伝美術:藤本征史郎 (Raredrop/くねくねし) 演出助手:佐藤圭 当日制作:阿部美和子 制作:CBHS制作部 企画・製作:チェリーブロッサムハイスクール
【発売日】2009/05/02 日時指定 全席指定席 前売:¥3,000 □ 当日:¥3,300 □ ☆平日昼割引:¥2,500※ 未就学児童はご入場になれません。
http://www.cbhs.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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