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REVIEW

2009年06月16日

Bunkamura『桜姫 ー現代劇』06/07-30シアターコクーン

 シアターコクーンで鶴屋南北の『桜姫東文章』(解説・公演記録など⇒)が2ヶ月連続で上演されます。6月はただいま英国留学中の長塚圭史さんが、現代劇に翻案した新作『桜姫 ー現代劇』です。7月はコクーン歌舞伎第十弾として、原作そのままの『桜姫』が上演されます。

 可動式ベンチシートでの観劇になりまして・・・参りました(笑)。イヤじゃなかったですが、やっぱり恥ずかしい・・・。どうせ誰も気づかないと思っていたのですが、偶然同じ回を観てた友達に、終演後に声をかけられてしまいました(汗)。上演時間は約3時間(途中休憩15分を含む)。

 ⇒舞台写真
 ⇒CoRich舞台芸術!『桜姫 ー現代劇

 ≪あらすじ≫ 間違っていたらすみません。役名はうろおぼえです。
 16歳の少女マリア(大竹しのぶ)は十字架を背負った聖人セルゲイ(白井晃)に、生まれつき開かなかった左手を祈祷で治してもらう。手に握られていたのは、16年前にセルゲイを残して死んでしまったジョゼが持っていた青い石。セルゲイはマリアがかつての恋人ジョゼの生まれ変わりだと信じ込む。マリアは金持ちの紳士(佐藤誓)のもとに嫁ぐ前日に、1年前に自分を犯した男・ゴンザレス(中村勘三郎)と再会し、一夜をともにする。マリアはゴンザレスと同じいれずみを自分の足に施すほどに彼を慕い、彼の子供も生んでいたのだ。翌朝、マリアが男と密通していたことがバレて、その相手がセルゲイだと誤解される。マリアとセルゲイは乳飲み子を抱えて谷底(?)へと追いやられる。
 ≪ここまで≫

 舞台は南米のどこか。乾いたピンクと緑の色合いが鮮やかな床。でも乾いていて寂しげでもある、シンプルな装置だったように思います。俳優による楽隊がにぎやかで、様々な人物たちのロードムービーのような、白昼夢のような・・・不思議な感覚の作品でした。南米つながりだからかもしれませんが、舞台『エレンディラ』(ガルシア・マルケス作)にも似ている気がしました。

 可動式ベンチシートは・・・最初はビクビクしました(笑)。普段どおりの観劇体験じゃなかったですね。装置と照明の競演を眺めるのではなく、自分が装置の中で照明を浴びている感覚でしたし(笑)。座席の位置によって見えるシーン・見えないシーンがある演出でしたが、敢えてそうしていることが明白だったので不満はありませんでした。それに役者さんがものすごく近い!

 素敵だな~と思った役者さんは、佐藤誓さん。派手なストライプのスーツに黒サングラスで笑うシーンがかっこ良かった。

 ここからネタバレします。

 登場人物の事実認識が甘い上に、時間も空間も混濁していきますので、何が本当で何が嘘なのかわからなくなっていきます。生きてるのか死んでるのか、本当にマリア(桜姫)がそこにいたのかさえも。

 セルゲイ(清玄)とゴンザレス(権助)の「生きたい」という思いに集約されていくエンディングにはびっくり。ついていけるようになるまでに時間がかかりましたが、生者も死者も含めたすべての人間の命が出会う瞬間を迎えたように感じられた時に、ぐぐっと芝居のうねりの中に入ることができました。それは古典『桜姫』と現代劇『桜姫』が重なった時でもあったと思います。私たちは時を超えて、幸せと不幸を互いに分け合いながら(結局、両方を経験しているのだと思いますが)、今という瞬間に同時に存在しているように感じました。

 秋山菜津子さんの人間マングース(だっけ?)は、背後から見ていてもすごく面白かった(笑)。ココ(古田新太)の肉襦袢もキュート。小さな電車や家具を使う演出が可愛いかったです。

 ※可動式ベンチシートは最初は舞台側面にありますが、プロローグが終わるやいなや90度動いて、舞台背面に来ます。

Bunkamura20周年記念企画「桜姫~清玄阿闍梨改始於南米版」
出演:秋山菜津子、大竹しのぶ、笹野高史、白井晃、中村勘三郎、古田新太 井之上隆志 内田紳一郎 片岡正二郎 小西康久 斉藤悠 佐藤誓 豊永伸一郎 三松明人 パーカッション:熊谷太輔
原作:四世 鶴屋南北 脚本:長塚圭史 演出:串田和美 音楽:伊藤ヨタロウ 美術:松井るみ 照明:斎藤茂男 音響:市来邦比古 衣裳:太田雅公 ヘアメイク:宮内宏明 演出助手:山田美紀 舞台監督:福澤諭志 技術監督:堀内真人 企画・製作:Bunkamura 制作協力:松竹株式会社
【発売日】2009/04/29 S席12,000円 A席9,000円 コクーンシート5,000円 (税込)※小学生未満のお子様はご入場いただけません。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_sakura_gendai.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年06月16日 10:57 | TrackBack (0)