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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年08月03日

殿様ランチ『ねずみの夜』07/29-08/04サンモールスタジオ

 殿様ランチは板垣雄亮さんが脚本・演出・出演される劇団です。違う劇団に客演している板垣さんのことは何度か拝見していたのですが、劇団公演は初見。

 お得な平日マチネ2.500円で鑑賞。月曜日のお昼だけどほとんど満席でした。CoRich舞台芸術!で初日から好評だったんですよね~。明日で千秋楽です。

 上演時間は約1時間40分。終演後のトークにゆずの岩沢厚治さんが登場。出演者の同級生だそうです。

 ⇒CoRich舞台芸術!『ねずみの夜

 ≪あらすじ≫ 公式サイトより
 今夜、どこかの誰かが斬られるらしい―
 時は1867年(慶応3年)、幕末の志士が駆け抜けた激動の時代。
 京都にある義賊がいた。
 金のある所から盗み、貧しき者に分け与え、本人たちはつつましく暮らしていた。
 彼らの隠れ家にいきなり迷い込んできた一人の浪人。
 その男は重大な「使命」を遂行するために、ある醤油屋を探していた。
 男は言った。「今までの日本がひっくり返る壮大な計画だ」
 誰もが早く帰りたいと思った。
 面倒くさそうだから早く帰って寝たいと思った。
 結局どうやらこの浪人は、今夜誰かを斬るつもりらしい―。
 ≪ここまで≫

 舞台は坂本龍馬(Wikipedia)が暗殺された近江屋の“隣りの家”。その設定だけでもちょっと面白いです。細かいところまで具象で作り上げた美術でした。

 幕末ものには違いないし、龍馬ゆかりの人物が登場しないわけでもないのですが、幕末・龍馬といったテーマからおのずと浮かぶ印象を、わざとずらしてクスクス笑いを生みだしていきます。
 冒頭のシーンがすごく面白かったので、個人的にはそのアイデア(方向性)がもっと生かされて欲しかった気も。

 役者さんは着物を着て、江戸時代ならではの雰囲気(想像にすぎませんが)を表現しつつ、基本的には現代に通じる笑える会話を続けます。慎重に計算した演技をされているように思いましたが、全員が板垣さんみたいな話し方だったのは残念。面白くないわけではないんですけどね。

 ここからネタバレします。

 実際の舞台は、“近江屋の隣りの家”の内部を再現して展示している施設。近江屋は別の展示室に模型があるだけという、ふざけっぷり(笑)。観光客(板垣雄亮)がその施設の職員と話すシーンから始まります。龍馬が暗殺された日の“近江屋の隣りの家”で起こった出来事を、劇(1時間30分)にして見せるという設定でした。つまり劇中劇になっており、出入り口を開けるとカジュアル・ルックの観光客がいたり、引き戸の窓からは展示の順路を示す「⇒」マークがいつも目に入ります。非常口の緑色の明かりが暗転中に光るのがすっごく良かった。

 「日本をひっくり返すぐらいの計画」とは龍馬暗殺ではなく、ねずみ講という新しいビジネス(苦笑)のこと。タイトル『ねずみの夜』もここから来てたのか(笑)。“動体視力が非常に優れた女”が、いろんな色のドブネズミを売っていたこともつながりますね。泥棒の“ねずみ小僧”もありました。
 ボタンを押すと龍馬の肉声(機械音)が聞こえるという仕掛けが、いい感じにまぬけで可笑しかったです。

出演:杉岡阿希子/平塚正信/南あゆ美/藤堂敦/小久保剛志/板垣雄亮/小笠原佳秀/相樂孝仁/鈴木じゅん/最所裕樹/柳さおり/服部弘敏
脚本・演出/板垣雄亮 舞台監督/吉川悦子 照明/松本大介(enjin-light) 音響/宮崎淳子 (有)サウンドウィーズ 映像/矢作康在 宣伝写真/向井宗敏 宣伝美術/木田一 制作協力/林みく(Karte) 演出助手/小久保剛志 企画・制作/TSL 主催/殿様ランチ 提携/サンモールスタジオ
【発売日】2009/06/21 前売:2.800円 当日:3.300円★平日マチネ:2.500円
http://www.tonosamalunch.com/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年08月03日 23:18 | TrackBack (0)