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REVIEW

2009年08月07日

Quaras『見知らぬ乗客』07/18-08/11東京グローブ座

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「見知らぬ乗客」ポスター

 ジャニーズ事務所のスターが出演する東京グローブ座の演劇。脚本・演出などのスタッフと舞台関係の出演者が豪華なので、よく伺います。

 今回の主演は嵐の二宮和也さん。演出はロバート・アラン・アッカーマンさんです。『見知らぬ乗客』は1950年に発表されたパトリシア・ハイスミスさん(映画「太陽がいっぱい」の原作で有名)の処女長編小説。1995年にクレイグ・ワーナーさんによって戯曲化されて、2004年にはイギリスでラジオドラマ化されたそうです(パンフレットより)。

 ⇒CoRich舞台芸術!『見知らぬ乗客

 ≪あらすじ≫
 偶然に同じ電車に乗り合わせて、隣の席に座った2人の若い男。初対面同士の2人は酒の力を借りつつ、互いに誰にも言ったことのなかった本音をぶちまける。大金持ちの放蕩息子ブルーノ(二宮和也)は母を溺愛し、父を憎んでいた。仕事が順調に進みかけている建築士のガイ(内田滋)は、浮気性の妻と離婚したがっていた。ブルーノが提案した。「僕が君の奥さんを殺してあげる。その代わり、君は僕の親父を殺してよ。」
 ≪ここまで≫

 白、黒、グレーのモノトーンにこだわった美術。衣裳も同じくモノトーンでそろえており、おしゃれで豪華。回り舞台で次々にめまぐるしくシーンが変わっていきます。シーン数が膨大で、場面転換は全てがスムーズとは言い難いですが、家具や小道具がどんどん入れ替わっていくのは見ごたえあり。
 主要登場人物5人以外に大勢の役があるのですが、着替えて数役演じているアンサンブルは6人。たった6人しかいないなんて、ちょっとびっくり。

 前半はサスペンス・タッチのストーリーを追っていく面白みはあったももの、空気のうねりなどには物足りなさもあり。でも後半に入ってからは、悲劇が加速するスピードに乗って、ぐっと盛り上がりました。

 二宮和也さん演じるアル中の若者ブルーノと、内田滋さん演じる建築士ガイは、数奇な出会いののち、愛憎が深く混じり合う因縁の間柄となります。いわゆる犯罪ものでありながら、複雑な感情が入り組んだ恋愛物語になっていくのが面白かったです。
 主演男優のお2人は難しい関係(感情)を力を尽くして演じられていたと思います。ただ、アメリカ人っぽく演じている(ように見える)ところは、少々無理を感じました。

 ここからネタバレします。

 ブルーノが邪魔な妻を絞殺してくれたおかげで、ガイはフロリダでの大きな建築の仕事を成功させ、晴れて新しい恋人アン(宮光真理子)と再婚します。しかし幸せはつかの間。ブルーノからの執拗な脅しといやがらせに遭い、とうとうブルーノの言うとおり彼の父親を銃で殺してしまいます。
 ブルーノの父親が殺害され、まっさきにブルーノを疑ったのは筋肉質なジェラート警部(パクソヒ)。ブルーノの不用意な行動・発言から、ガイにつながる手掛かりをすぐに見つけ出します。

 警察に追い詰められ、母親に見放され、とうとう帰る場所がなくなったブルーノは、ふらふら・よれよれ・ぐちゃぐちゃになって、泣きながら情けなく「ママぁ!」と叫びます。二宮さんはやっぱりただのアイドルじゃないですね。あまりの情けなさに魅せられました。

 2人にしかわからない秘密と苦悩を共有したブルーノとガイの、憎しみと愛情の混ぜ合わさった関係は、明らかに矛盾した感情なのに(だからこそ?)、人間らしいし愛らしいとも思えました。

"Strangers on a train" by Patricia Highsmith
出演:二宮和也 内田滋 秋吉久美子 パクソヒ 宮光真理子 巌大介 岡田あがさ 岡田さやか 川辺邦弘 倉本朋幸 深貝大輔
原作:パトリシア・ハイスミス 脚本:クレイグ・ワーナー 演出:ロバート・アラン・アッカーマン 衣裳:ドナ・グラナータ 翻訳:広田敦郎 美術:今村力 美術補:斎藤浩樹 照明:沢田祐二 音響:高橋巌 映像:荒川ヒロキ ヘアメイク:謙田直樹 野村博史 舞台監督:小林清隆 舛田勝敏 通訳:山根ミッシェル 山岸彩 演出助手:三砂博 堀内立誉 アクション協力:清水順二 振付協力:岸田有子 音楽協力:宮﨑誠 協力:薛珠麗 衣裳部:坂巻絢子 懸樋抄織 ヘアメイク:赤坂街子 大道具製作:東宝舞台/延鳥泰彦 盆製作:美鈴工業/鎌倉正 小道具:高津装飾/中村エリト ラッキーワイド 電飾:イルミカ東京/小田桐秀一 特効:糸田正志 衣裳製作:柿木愛千(MORI'S inc) 前田千佳子(MORI'S inc) 制作:杉田靜生(Planning Office GS) 梅木直美(Planning Office GS) 宣伝:吉田絵里(る・ひまわり) 柴沼有希(る・ひまわり) 井上悦子(る・ひまわり) 票券:荻野こず恵(Quaras) デスク:和田佳子(Quaras)キャスティング・プロデューサー:大川泰(D:COMPLEX) アソシエイト・プロデューサー:川名康浩(Kawana Entertainment lnc.) プロデューサー:堂本奈緒美(東京グローブ座) 麻田幹犬(Quaras)外見習宏(Quaras) 企画・製作:Quaras 主催:東京グローブ座
【発売日】2009/06/21 S席:8,500円 A席:7,500円 B席:5,500円 (全席指定・税込)※営利目的の転売禁止 ※未就学児童の入場不可
http://www.tglobe.net/lineup/new_mishiranu.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年08月07日 21:46 | TrackBack (0)