『3人いる!』は東京デスロックの多田淳之介さんの戯曲です(⇒初演、再演)。演出は飴屋法水さん。
8/7(金)昼にやっと1回目を観にいけました。面白い!凄い!もう1回観たい!・・・と思ったら、全席完売でした(涙)。そりゃそーだわな。
12日間で12バージョン上演は嘘じゃなかった(昼夜は同じバージョンの2回公演)。毎日、出演者も脚本も演出も美術も違うそうです。毎日が初日で千秋楽。信じがたい・・・。上演時間は約1時間。
⇒「誰がために舞台は在る?」(小崎哲哉)★私が観た回の舞台写真あり!(2009/09/07加筆)
⇒CoRich舞台芸術!『3人いる!』
≪あらすじ≫
月が輝く夜。一人暮らしの若い女の子・綾(國武綾)の部屋。暇なので、駅の向こう側に住んでいる大学時代からの友達・友香に電話をして、家飲みに誘います。でも残念ながら断られて、仕方ないので1人でノートパソコンとにらめっこ。すると、見知らぬ若い女(佐野友香)が突然部屋に入ってきました。「あなた誰?私の部屋に勝手に入って何してるの?早く出て行って!」
≪ここまで≫
女の子らしいこぎれいな白い壁の部屋。机には可愛らしいアロマキャンドルがあり、化粧台にはマニキュアが並んでいます。下手が玄関、上手にはカーテンがかかった窓。月明かりが入ります。
デコ携帯を持った若いギャル2人の言い争いがリアル。怖さも可笑しさも、演劇的なマジックも豊富。もう1人が登場して、「3人いる!」「3人いるよね?」という会話に爆笑。ややこしい展開に、頭をぎゅるぎゅるフル回転させて、必死で追いつこうと焦ったりするスリルも快感。
「この出演者だったから、このストーリーでこの演出になった」ということが、はっきりとわかる作品でした。一体どうやって稽古した(している)んだっ!?こんな企画を立ち上げて実行されていることに感激します。演出の飴屋さんは、劇場入り口で深々と頭を下げて観客を迎えてくださっていました。どれだけの熱意と愛情がそそがれているのか、はかり知れません。
ここからネタバレします。
綾は貴輝という元カレに今も未練たらたら。彼は今、友香と付き合っているという、ちょっとばかしかわいそうで切ない設定でした。なぜか柴田貴輝さんは額から下あごにかけて血まみれで、シャツまでその血がしたたっています。あれは死者のイメージなのかな。メガネも片方のグラスが割れていました。
2人(?)が出て行った後、1人だけ残ったのは・・・最初に登場した綾。誰かに見てもらわないと自分が存在しているかどうかを確かめられないのは、この芝居における不可思議な現象だけではありません。誰かに「あなたはそこに居る」と言ってもらわないと、存在を認めてもらわないと、私たち人間は不安で、たぶん生きていけないと思います。
下手奥の壁に映写される大きな月明かりが素晴らしかった。失恋して、1人暮らしで、寂しさをかみしめていた女の子が、月の魔法にかかって夢を見た。『3人いる!』がそんな風にパッケージされたように感じました。
12日間、毎日、何かが違ってる。
【出演】日本在住のさまざまな人たち【私が観たのはチーム7:出演/國武綾(おだんご)・佐野友香(ヘアバンド)・柴田貴輝(血まみれのメガネ男子)】
【全出演者名】椿イ 1986生/瀬口タエコ 1976生/高内絵理 1986生/立川貴一 1986生/小川弥生 1991生/安田裕登 1988生/芳賀唯一 1987生/宮本聡 1979生/畑中研人 1988生/紅林大空 1991生/もちづきさやか 1980生/安ハンセム 1982生/グジェ・クルク 1982生/秋場賢人 1976生/マチナ・シモーネ 1978生/佐倉ゆか 1990生/香本正樹 1987生/國武綾 1986生/石川夕子 1975生
構成・演出:飴屋法水 作:多田淳之介 照明:岡野昌代 舞台美術制作:彦坂玲子 演出助手:伊集院もと子 演出助手補:谷合優/村上愛美 制作助手:渡辺治子 音響サポート:浜里堅太郎 舞台・小道具サポート:西沢理恵子 宣伝美術:宮川隆 WEB:五十嵐哲夫 プロデューサー:増井めぐみ 企画制作:リトルモア地下
【休演日】8月6日料金 2,800円 【発売日】2009/06/30
http://www.littlemore.co.jp/chika/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~
★“しのぶの演劇レビュー”TOPページはこちらです。
便利な無料メルマガも発行しております。