2009年09月30日
【オーディション】ハイバイ「2010年5月公演『ヒッキー・カンクーントルネード』劇団員&キャストオーディション参加者募集」※11/29郵送必着
岩井秀人さんが作・演出されるハイバイが、2010年5月公演の出演者および劇団員を募集します。演目は劇団代表作の『ヒッキー・カンクーントルネード』(過去レビュー⇒1、2)。
ハイバイは劇団としても芸劇eyesに選抜されるなどして注目されていますが、岩井さんは映画『曲がれ!スプーン』に続き、Bunkamura『東京月光魔曲』、AGAPEstore『残念なお知らせ』といった大手プロデュース公演への出演も決まっている役者さんでもあります。ご興味のある方は是非。下記は折り込みチラシの情報です。
ただいま『て』が10/12(月・祝)まで上演中!メルマガ号外を出しました!
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■ハイバイ『ヒッキー・カンクーントルネード』2010/オーディションしちゃう。
2010年5月下旬@都内劇場&西鉄ホール(福岡)
福岡演劇フェスティバル参加作品
作・演出:岩井秀人
劇団員&キャストオーディション参加者募集
<募集要項>
応募条件:健康な16歳~35歳までの男女
オーディション、および稽古、公演期間に全て参加できる方。
公演日時:東京 2010年5月21日(金)~23日(日)(仕込み19日)
九州 2010年5月29日(土)(移動日27日)
稽古日程:5月1日より(13:00~22:00 都内にて)
一次審査:書類審査 12月11日までに合否は郵送でお知らせします。
※12月11日までに連絡がない場合は恐れ入りますがご連絡下さい
二次審査:12月22日24日28日のいずれか1回、都内で実技審査を行います。
1月末日までに合否を連絡の上、必要があれば三次審査を行います。
※二次審査参加料として2,000円を頂戴します。
応募方法:11月29日までに応募書類を郵送してください。
(メール・持参での提出はご遠慮下さい)
★申込用紙は公式サイトでダウンロードできます(⇒PDF)。
提出先: 〒151-0051 渋谷区千駄ケ谷5-16-4-402 有限会社quinada三好宛
問合せ: 090-8059-6479(ハイバイ)
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月27日
メルマガ号外 ハイバイ『て』
ハイバイ『て』
09/25-10/12東京芸術劇場 小ホール1
※公演詳細はこちら。
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“しのぶの演劇レビュー” 号外 Vol.42 2009.9.27 1,408部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
★★ 号 外 ★★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ハイバイ『て』
09/25-10/12東京芸術劇場 小ホール1
☆出演:菅原永二 金子岳憲 永井若葉 坂口辰平 吉田亮
青山麻紀子 上田遥 町田水城 平原テツ 用松亮
大塚秀記 猪股俊明
脚本・演出:岩井秀人
http://hi-bye.net
◎観劇後のコメント◎
父親の理不尽な暴力を受けてきた4人兄妹とその母親。
認知症の祖母の家に、久しぶりに家族全員で集合するが・・・。
作・演出の岩井秀人さんの自伝的悲喜劇です。
血のつながった家族なのに、それぞれの思惑は絶望的にバラバラ。
やり場のない怒りや悲しみが舞台に立ちのぼってぶつかり合います。
善意から起こした行動がことごとく裏目に出る様は、
あまりに滑稽で思わず笑いがこぼれてしまいます。
1つの出来事を異なる複数の視点から描き、全く違う風景を見せる構成が見事。
演出も役者さんの演技も、初演↓より緻密で研ぎ澄まされたように思います。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0618235951.html
私は大笑いしながら、涙もだだ漏れの状態でした(苦笑)。
この公演は野田秀樹芸術監督が率いる東京芸術劇場の“芸劇eyes”↓です。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0703234935.html
初日終演後のトークで野田さんはこんなことをおっしゃっていました。
野田「緻密に出来ていて素晴らしかった。」
「ひとつの家族を描いた作品だが、そこに日本の共同体が見えてくる。」
お友達と、恋人と、ご家族と一緒にご覧いただきたいです。
終演後にトークがある回がお薦めです。
※上演時間は約1時間40分。
【休演日】10月7日(水)
【ポスト・パフォーマンス・トーク】
10月1日 ゲスト:岩井通子さん(岩井さんの実母)
10月2日 ゲスト:本広克行さん(映画監督)
10月6日 ゲスト:千葉雅子さん(猫のホテル主宰)
【チケット情報】
整理番号付き自由席
前売:3300円 当日:3500円
※受付開始・当日券販売は開演の40分前、開場は20分前。
※予約は開演5分前でキャンセル扱いになる場合あり。
※未就学児童の入場不可。
【お問い合わせ】
チケット専用電話 090-8059-6479(10:00-20:00)
ハイバイ http://hi-bye.net
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◆ 【編集後記】
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今号で5本目となりました。今年は豊作なのかも~。
◎「まぐまぐ大賞2008」にて、当メルマガが
エンタメ部門約3000本中の15本に選ばれました!
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それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に進んで行きたいと思っております。
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2009年09月26日
【稽古場レポート】avex live creative『赤と黒』09/23都内某所
赤澤ムックさん
現在TVドラマ「オトメン(乙男)」に出演中の木村了さん(過去レビュー⇒1、2)を主演に迎え、スタンダールの長編小説『赤と黒』が舞台化されます。
会場は客席数173席の“大人の小劇場”赤坂レッドシアター。テレビや映画で人気のスターが出演する作品、舞台通が注目する先鋭的な小劇団作品、または古典・文芸作品などが上演されているおしゃれな小劇場です(例えば⇒1、2、3、4、5、6、7)
演出はネオ・アングラの作風で知られる女流劇作・演出家の赤澤ムックさん(黒色綺譚カナリア派)。開幕直前の稽古場に伺いました。
■エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ『赤と黒』⇒公式サイト
2009年10/01-11赤坂RED/THEATER
⇒「『赤と黒』を知ろう!コラム」その1、その2、その3
⇒インタビュー、コメント動画:1、2、3、4、5、6 ※6はすぐ音が出ます
⇒終演後のトーク出演者決定!
⇒CoRich舞台芸術!『赤と黒』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
19世紀フランス。ナポレオンの時代が過ぎ去り、貴族社会が戻ってきた頃の物語。
貧しくとも野心に満ちた“ジュリアン・ソレル”は、司祭として出世を目指していたが、
美貌と才知を買われ、住み込みの家庭教師として町長レナール氏に雇われる。
貴族への憎しみから貞淑なレナール夫人を誘惑するも、二人の関係は明るみに出て、ジュリアンは町を追われてしまう。
更なる野望を胸にパリへ渡ったジュリアンは、再び貴族の庇護を得て、社交界の華と謳われるラ・モール侯爵令嬢マチルドの愛をも勝ち取るが……
≪ここまで≫
午後から始まったお稽古は第二幕から進んで行きました。稽古場にはたくさんの衣裳が舞台の図面どおりに並べられ、夜には通し稽古が予定されています。まさに佳境といったところ。
赤澤「小説『赤と黒』の舞台化というより、『赤と黒』という名のファッション・ショーと言った方がいいかもしれません。」
赤澤さんはご自身が役者さんなのもあってか、自分からどんどん動いて俳優に指示をしていきます。登場人物の感情のヒントとなる言葉を次々と出して、身ぶりも加えて俳優に接します。ダンスや集団演技などの振付も、自分から新たな変更を加えていらっしゃいました。舞台を見つめる目力がとても強い!
【写真左から↓富田麻帆/赤澤ムック/佐藤晴彦】
ジュリアン(木村了)と2幕のヒロイン・マチルド(富田麻帆)の愛憎のせめぎ合いを表す、無言のシーンが刺激的でした。恋人同士がきつく抱き合ったと思いきや、すぐにパっと離れて威嚇し合うなど、瞬時に気持ちが変化していくのを激しい動きと表情で作り上げて行きます。
木村さんは瞬発力があって、表情がとても繊細。富田さんは大規模ミュージカルのメインキャストとしての出演歴もある女優さんで、自らシーンを動かす大胆な行動が冴えています。
【写真左から↓木村了/富田麻帆/赤澤ムック】
豪華にショーアップする派手な演出だけでなく、赤澤さんは会話劇の掘り下げにも力を注がれていました。ジュリアンとマチルド、そしてマチルドの父親(池下重大)の3人の場面は、なんと5回も繰り返されました。決して短いシーンではないので役者さんの消耗も激しそう。赤澤さんは恋人、親子、男対男といった3人の人間関係を深く、分厚くしていくことに真剣です。
赤澤「人生の一大事だと思ってください。キャラとか声とかどうでもいいい。自分を制限しないで。自分で自分をコントロールしようと思わないで。」
【写真左から↓赤澤ムック/木村了/富田麻帆】
夕方までの繰り返し稽古では出番のなかったナポレオン役の上山竜司さんは、セリフの確認や原作の再読などを黙々と続けていらっしゃいました。上山さんはStudio Life『フルーツバスケット』で初めて拝見し、また舞台でお会いしたいなと思っていた方です。
【写真↓マントさばきを練習中の上山さん】
オリジナリティーを前面に押し出してインディペンデントの小劇場界で活動してきた赤澤さんが、出自も経験も全く異なる役者さんとのプロデュース公演で何を見せてくれるのか。稽古場で堂々とリーダーシップを取る姿を見て、自身の世界観を大切にしながら新たな一歩を踏み出されているように感じました。レッドシアターの緊密な空間でその成果を確かめたいと思います。
出演:木村了 上野なつひ 富田麻帆 本間ひとし 池下重大 眞藤ヒロシ 佐藤晴彦 上山竜司(RUN&GUN) 坂東亀三郎
原作:スタンダール 脚色・演出:赤澤ムック 脚本協力:清末浩平 美術:吉野章弘 照明:奥田賢太(オフィスダミアン)音響:中村嘉宏 衣裳:木村猛志(衣匠也) ヘアメイク:臼井寛子 演出助手:城野健 舞台監督:村岡晋 宣伝写真:引地信彦 宣伝美術:冨田中理(SelfimageProdukts) 提携:赤坂RED/THEATER 撮影協力:渋谷キリストンカフェ 主催:avex live creative/サンライズプロモーション東京 後援:フジテレビジョン 企画製作:エイベックス・ライヴ・クリエイティヴ
前売・当日¥6,000(全席指定)*未就学児のご入場はご遠慮頂いております
http://www.avexlive.jp/akatokuro/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月25日
ホリプロ『ネジと紙幣』09/17-27天王洲 銀河劇場
ペンギンプルペイルパイルズの倉持裕さんが近松門左衛門の『女殺油地獄』を翻案・演出されます。主演は森山未來さんとともさかりえさん。森山さんはストレート・プレイでの主演は初めてなんですね。
キャッチコピーどおり「なぜ男は女を殺さなくてはならなかったか?」が描かれます。自分で自分を追い詰め不幸になっていく人々の姿がとことん哀しいです。そうでありながらトボけた笑いもいっぱい。具象美術を動的に使う演出が素晴らしい!「S席8000円の演劇を観せてもらった!」という充実感を得られました。上演時間は約2時間15分(休憩なし)。
⇒CoRich舞台芸術!『ネジと紙幣』
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。改行を変更。
常に何かにいらつき、家業を手伝わずに遊んでばかりいる行人(森山未來)。家族にも愛想を尽かされているが、幼馴染で姉のような存在の桃子(ともさかりえ)だけは行人を見捨てることなく、面倒がおこる度に叱ったりなだめたりしてくれる。桃子は傍目には幸せな主婦そのものだが、実は夫(小林高鹿)と子供との関係に悩み、なにか満たされない気持ちを抱えていた。
花火大会の夜。行人は入れあげているキャバ嬢(江口のりこ)が、自分以外の男・赤地(長谷川朝晴)と花火を見に来ると知るや激怒し、男を蹴散らしてやろうと襲撃の計画をたてる。軽い威嚇のつもりが、悶着の末、誤って半殺しにしてしまう。
奇跡的に怪我から回復した赤地は、件の暴力沙汰をきれいさっぱり忘れてしまったように、行人に儲け話を持ちかけてくる。不穏な空気を感じつつも、これまでとは次元の違う悪事に引き寄せられていく行人・・・。
なぜ行人は、桃子を殺さなくてはならなかったのか?
≪ここまで≫
コミュニケーション能力と問題解決能力の無さが、さく裂!!不用意な言葉がそのまま暴力と入れ替わり、心が代替え可能なお金(紙幣)へと変換されていきます。そして「今しかない」と思い込むことがさらに不幸に拍車をかけて行きます。「あぁ、もう、バカバカ!行人!!」「お母さん、黙って!」「お兄ちゃん、そういう言い方はダメだってば!!」などと心の中で叫びまくってました(苦笑)。
原作どおりの悲劇でありながら、演劇ならではの仕掛けも面白く、とっつきやすい笑いもふんだんに盛り込んだ娯楽作になっています。倉持さんが作り上げた会話劇を贅沢に味わえたことが、私にとっては何よりの収穫でした。
私の席はQ列だったんですが、横に照明だか音響だかのブースがあるんですね。オペレーションをするための照明(手元明かりなど)がずっと点いた状態だったので、お芝居に集中しづらかったです。銀河劇場には何度も通ってますが、私がこの列に座ったのは初めてだったのかも。苦情は出てないのかしら・・・。できれば座りたくない列です。
ここからネタバレします。
工場の上手にある居間がスライドして出てきたり、装置を反転させてお向かい同士の町工場を表すのが見事です。あえて転換の仕掛けを見せることで、観客に柔軟な想像力を喚起していると思います。行人が桃子を刺し殺してしまうところで、洗濯物が血に染まるのが凄い。桃子の死体が舞台中央面にずっとあるのも良かったです。
行人が勘当されることになる家族会議(?)のシーンは、本当に帰りたくなるほど観ていてつらかったです(演出家の思うツボですね)。でもその後の桃子と夫のシーンで折れかけた気持ちが復活。お互いをおもんぱかりながらも自分の望みを通そうとして、夫婦はすれ違い続けます。選んだ言葉が次々と誤解を生み、その誤解をもとにして出た次の言葉と行動が、また2人を遠ざけます。倉持さんの書かれた会話劇の緻密さ、奥の深さが凝縮されたシーンだったように思いました。
≪東京、宮城、富山、愛知、大阪≫
森山未來 ともさかりえ 田口浩正 根岸季衣 長谷川朝晴 江口のりこ 細見大輔 野間口徹 満島ひかり 小林高鹿 近藤智行 吉川純広
作・演出:倉持裕 舞台美術:島次郎 音楽:粟津裕介(locolo code) 照明:吉枝康幸 音響:中島正人 衣裳:宮本まさ江 ヘアメイク:宮内宏明 アクション:諸鍛冶裕太 演出助手:長町多寿 舞台監督:足立充章
S席8,000円 A席6,000円【休演日】9月22日【発売日】2009/06/06
http://www.neji.ne.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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燐光群『BUG』09/18-30ザ・スズナリ
『BUG(バグ)』は、『八月のオーセージ郡で』で昨年ピューリッツァー賞・トニー賞の主要5部門を受賞した劇作家トレイシー・レッツさんの戯曲です。演出の坂手洋二さんは2004年にニューヨークで観劇して以来、日本での上演を計画されていたそうです(パンフレットより)。
美保純さんが病気で降板され、代役を西山水木さんがつとめています。主役変更に伴いチラシ、DM、ポスターを全て新しく作られたんでせすね。すごいスタッフワークだと思います。上演時間は約2時間弱。
⇒CoRich舞台芸術!『BUG』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
アメリカ郊外オクラホマ。息子を失い心に傷を負ったアグネス(西山水木)は、仮釈放された元夫の暴力(猪熊恒和)から逃れるため、一人モーテル暮らしをしていた。彼女は、やはり過去を背負う元兵士のピーター(大西孝洋)と出会い心を通わせる。彼らは部屋に小さな「虫(バグ)」が存在することに気づく。閉ざされた空間で次第に二人は追い詰められてゆく。ハイパーな現実か、辛い日常から逃れるための幻想か? 濃厚な関係を結ぶ彼らは、やがて圧倒的な高揚感の中で、厳しい決断を迫られる。
≪ここまで≫
舞台は田舎の小さなモーテル。戯曲に今のアメリカのムードが描かれているように感じました。日本とアメリカとの関係および日本人が抱くアメリカについてのイメージは、私が学生の頃とは大きく変化しているように思います。いえ、ここ数年でも激変していますよね。だからアメリカの現在の演劇を観られて良かったです。
ピーターとアグネスは小さな部屋で、彼らにだけ見える虫(バグ)に悩まされるようになります。登場人物が誰を信じたらいいのかわからなくなるのと同様に、観客も劇中では何が本当なのか、どういう方向に話が進もうとしているのかがわからなくなってきます。これがとてもスリリング。
人間は会ったばかりの人を信じたり(恋に落ちたり)するし、長年付き合っていた人を突然死ぬほど嫌いになったりします。自分が作りだした妄想の世界に入り込んで、にわかに裸の王様になり、その自覚すらないこともしばしば。すごく自分勝手で愚かです。そんな姿が極端であればあるほど滑稽に、時には可愛らしく見えるものですが、実は私の日常生活だって、ひどい誤解と思いこみだけで成り立っているのかもしれません。そんな風に考えた帰り道でした。
息がぎゅっと詰まったままになるような、張りつめた空気が持続します。途中でほんの少し休憩があって助かりました。
ここからネタバレします。
少人数の登場人物の会話から読み取れるテーマは貧困、家庭内暴力、同性愛、コカイン中毒、戦争(軍隊・警察権力)など。今のアメリカの社会問題が凝縮されているのだと思います。私は特に、ピーターが湾岸戦争のことを今もずっと引きずっているのが印象に残りました。アメリカは数年ごとに必ず戦争をしてきた国なんですよね。
アグネスは44歳。職業はおそらくバーのウェイトレス。10年前に6歳の息子ロイドが行方不明になり、2年前にとうとう探すのを諦めました。彼女の夫(猪熊恒和)は暴力をふるうならず者で牢屋に入っていましたが、2年で仮出所してきて、再び彼女にたかります。次々と不幸が降りかかってくる女性です。西山水木さんの演技から、子供を失った母親の悲しみがずっしりと伝わってきました。
アグネスのレズビアンの友達(宮島千栄)がアグネスのために男を拾ってきました。名前はピーター(大西孝洋)。彼は湾岸戦争の時に軍によって人体実験のモルモットにされたと、アグネスに告白します。血の中に虫(バグ)を入れられたのだと。
主要登場人物が皆コカイン中毒なので、彼らが言ってることをどこまで信じていいのかがわかりません。ピーターを追ってきた軍医(?)のスウィート博士(川中健次郎)も、アグネスを嘘で釣ろうとする悪人ですから、彼の言うことだって信じられません。でもピーターとアグネスの体は確実に傷ついて血まみれになっていきます。血液を食べて育った虫たちが、酸素を求めて体を食い破って出て来るんだとピーターは言うのですが・・・。
2人が虫の妄想に取りつかれて奇妙な行動を取るシーンは、もっと笑いを起こす方向にしても良かったんじゃないかと思いました。特に終盤は怖いんだか可笑しいんだかわからないような、常軌を逸した空気がさらに増して欲しいなとも思いました。ゲラゲラ笑った末に2人がガソリンで一瞬にして焼身自殺してしまえば、より鮮烈なエンディングになったのではないかしら。お互いに「愛してるわ」と言い残すので、美しさも際立ちますよね。な~んて、素人考えですが。
≪東京、大阪、名古屋≫ "BUG by Tracy Letts"
出演:西山水木 大西孝洋 猪熊恒和 川中健次郎 宮島千栄 ※美保純がメニエール病悪化で主役舞台降板。代役は西山水木。
脚本:トレイシー・レッツ 上演台本・演出:坂手洋二 美術:島次郎 照明:竹林功(龍前正夫舞台照明研究所) 音響:島猛(ステージオフィス) 衣裳:宮本宣子 舞台監督:高橋淳一 下訳:秋葉ヨリエ 演出助手:清水弥生 宣伝写真:Yurizo 宣伝意匠:高崎勝也 文芸助手:久保志乃ぶ 制作:古元道広・近藤順子・永坂悠
【発売日】2009/08/16 全席指定 前売3,600円 当日4,000円 ペア6,600円(前売・予約のみ) 大学・専門学校生3,000円 高校生以下2,000円 (学生券は前売・当日共通料金 劇団扱いのみ 受付で要学生証提示)
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/bug.html
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2009年09月22日
青年団+南河内万歳一座共同企画:青年団プロジェクト公演『青木さん家の奥さん』09/11-27こまばアゴラ劇場
青年団と南河内万歳一座という、作風からすると“水と油”のように思われる2団体の共同企画です(笑)。残念ながら南河内万歳一座による『S高原から』は見逃しました。⇒作品概要
キャッチコピーどおりに“世界一静かな『青木さん家の奥さん』”になるかと想像もしたのですが、静かではなかったです。いかにも青年団らしいお芝居だったと思います。上演時間は約1時間40分。
⇒CoRich舞台芸術!『青木さん家の奥さん』
≪あらすじ≫
酒屋の倉庫。配達のアルバイトの若者たちが集まる。今日からやってきた新入り(山本雅幸)は、皆がなぜ“青木さん”の家に配達をしたがるのか見当もつかない。
≪ここまで≫
ビール瓶がぎっしり入ったビールケースが積み上げられている舞台(⇒舞台写真)。
若い血気盛んな男たちが、大声で叫んでケンカ腰で話して、取っ組みあって倒れて、でもまたすぐに談笑が始まって。
騒いだ後でシーンと静まり返る演出が多く、それが段取りに見えてしまう上に沈黙が長いので、せっかく盛り上がった空気がへしゃげてしまうように感じました。そうすると、次に怒ったり叫んだりしても、自動的に段取りに見えてくるんですよね(舞台の段取りは当然決まっているものですが)。
あまり暴れたり大声を出したりしない青年団の役者さんが、今回は珍しいことをしているな~とは思いましたが、演技の方法は“静かな演劇”と変わらないので、何か新しいものを期待していた私にはちょっと残念。
ここからネタバレします。
結局、誰も配達には行きません。青木さん家の美人の奥さんのところに配達に行くシミュレーションを、ひたすらわいわい繰り返して終幕します。そういう無駄は大好きなんですけどね。
ニセ美人姉妹(田原礼子&村井まどか)がペアルックで踊って歌ってくれるのは、それだけで華やかで可愛いのですが、“振付通り、段取り通りにやってます”という印象。どんなシーンにせよグルーブ感が得られなかったのが私には残念でした。グルーブ感なんて最初から全く意図していない演出かもしれませんが。
≪大阪、東京≫
世界一静かな「青木さんちの奥さん」と世界一やかましい「S高原から」東西異種格闘技
出演:申瑞季 田原礼子 村井まどか 山本雅幸 海津忠 木引優子 桜町元 畑中友仁
脚本:内藤裕敬(南河内万歳一座) 演出:平田オリザ 舞台美術:杉山至 照明:岩城保 衣裳:有賀千鶴 宣伝美術:工藤規雄+村上和子 太田裕子 宣伝写真:工藤規雄 制作:服部悦子 協力:(株)アレス 企画制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画 こまばアゴラ劇場
【休演日】9月16日(水)、24日(木)【発売日】2009/06/12 日時指定・全席自由・整理番号付 前売・予約・当日共=3,500円 学生・シニア(65歳以上)=2,500円 高校生以下=1,500円
≪各会場20組≫セットチケット=6,000円(青年団『青木さん家の奥さん』と南河内万歳一座『S高原から』の2公演をご観劇いただけます)※セットチケットは、青年団電話予約のみの取り扱いです。予約時に観劇日時をご指定ください。※学生・シニアの方は、当日受付にて年齢・学籍を確認できる証明書をご提示下さい。※未就学児童はご入場いただけません。
http://www.seinendan.org/jpn/info/info090528.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月21日
パルコ『中国の不思議な役人』09/12-10/04パルコ劇場
『中国の不思議な役人』の初演は1977年。寺山修司さんがパルコ劇場(当時は西武劇場)に書き下ろした作品です。今回は演出に白井晃さんを迎え、全く新しい形になって32年ぶりに再びパルコ劇場に復活したんですね。
オリジナル音楽全20曲は三宅純さんの書き下ろし(こちらで試聴できます)。振付は小野寺修二さんです(出演もされています)。アングラが苦手な私が、全く問題なく幻想世界を楽しむことができました。
⇒イープラスの得チケで8,400円のところ4,500円!超お得!
⇒CoRich舞台芸術!『中国の不思議な役人』
ビデオアーツ・ミュージック (2009-10-21)
売り上げランキング: 213355
≪あらすじ≫ 公式サイトより。(役者名)を追加。
舞台は上海。
この街を支配する中国の不思議な役人(平幹二朗)は、不死なる存在と噂されていた。
しかし中国の不思議な役人には唯一「死」を迎えられる方法があった。
それはまことの「愛」を知ること。
何人も愛さない、愛せない役人はすでに死を忘れて数百年が立つ。
少女花姚(かちょう:夏未エレナ)は兄・麦(田島優成)とはぐれたところを人攫いにさらわれて、娼婦館に売られる。
男を知らない花姚は西瓜男(岩松了)に娼婦訓を叩き込まれている。
そこで出会った中国の不思議な役人と花姚。役人は花姚を求めるが、少女の愛を験すために花姚を人形のように弄ぶ。だから花姚を救いにきた兄の麦が首を刎ねても死なない。しかし、次第に花姚が役人を無垢な心で愛しはじめる。
死ぬために愛を求め続けた中国の不思議な役人。しかし、愛を知った瞬間に生きることに目覚めるのだが、それが自分の死の瞬間なのであった・・・。
≪ここまで≫
エロティックでグロテスクな演出も無論ありますし、物語もしっかり理解できたとは言えないですが、過激で美しくて、声を上げて笑っていてもどこか悲しくなるようなイメージの連続を、見つめているだけでも満足でした。
木製(と思われる)複数の山車(だし)のような大道具を、どんどん移動させて場面転換します。袖幕はなく、劇場の機構がだいぶん見えている状態です。物があふれて混沌としたり、がらんと何もない空間に広がる時もあります。黒い空間に、照明はピンクに緑、赤に青など原色系で鮮やか。⇒舞台写真
音楽と踊り、そして歌が大きなウェイトを占めており、もちろんストーリーはあるのですが、場面ごとのイメージのひとつひとつをレビュー(revue:Wikipedia)のように味わっている自分がいました。
タイトルロールの平幹二朗さんは、京劇のような派手で大きな衣装も完ぺきに着こなしていらっしゃいました。絵になるしハマってる。「わーはっはっはっ」と笑うのが面白すぎ(笑)。75歳だなんて・・・尊敬します。
女将校役の秋山菜津子さんはスタイルももちろん抜群だし、演技も歌も踊りもかっこ良くて素敵すぎ。マントみたいな軍服もいいな~。
ヒロイン花姚役の夏未エレナさんは15歳とは思えないスタイルの良さ。長澤まさみさんのような清楚な美人とお見受けしました。ものすごく堂々としてますね。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
オープニングは等身大の花姚の人形が出てきました。人形を支える男優さんたちが、その場で擦ったマッチの炎で人形を照らします。演劇実験室万有引力のお芝居を思い出しました。人形の手足胴がバラバラになるのはアングラっぽい。きれいでした。
女将校が舞踏会(?)のシーンで、中国の役人の登場をやりなおさせるのに爆笑。大真面目に繰り返すのもまた可笑しいんですよね。「世界は修繕できる時計」って凄い。
男たちが仮面を被ったり誰かに被せたりしていく“引力の仮面”の踊りがとっても良かった。小野寺さんならではの振付ですよね。男優さんたちが踊っている時に、秋山菜津子さんが1人で踊っていたのもすごくかっこ良かった!息苦しそうな不思議な踊りだったなー。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演(下手から):毛利美咲(司会)/小野寺修二/三宅純/白井晃
白井「これは寺山さんがバルトーク作曲の『中国の不思議な役人』(Wikipedia)にインスパイアされて書いた戯曲。」
白井「麦が寺山さんだと思っていたが、肝硬変ではじめて入院された時期に書かれたと知り、寺山さんは中国の役人の方だと思った。」
この秋、PARCOで新たなテラヤマの幕が開く!
出演:平幹二朗/秋山菜津子/岩松了/夏未エレナ/田島優成/小野寺修二/春海四方/吉田メタル/内田淳子/町田マリー/エミ・エレオノーラ/初音映莉子/高山のえみ/佐藤ひでひろ/河内大和/田村一行(大駱駝鑑)/奥山ばらば(大駱駝鑑)/吉村華織(ソプラノ歌手)/岡田あがさ/宮原美文
ミュージシャン:宮本大路(sax)/スティーヴ・エトウ(perc)
脚本:寺山修司 演出:白井晃 音楽:三宅純 振付:小野寺修二 舞台美術:小竹信節 衣裳・ヘアメイク:太田雅公 照明:沢田祐二 音響:矢野二朗 演出助手:豊田めぐみ 舞台監督:藤崎遊 宣伝:る・ひまわり 協力:九條今日子、テラヤマ・ワールド、ポスターハリス・カンパニー 製作:山崎浩一 プロデューサー:毛利美咲 企画製作:株式会社パルコ
【発売日】2009/07/11 8,400円(全席指定・税込)
http://www.parco-play.com/web/page/information/fushigi/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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新国立劇場演劇研修所『朗読劇 少年口伝隊一九四五』09/18-20新国立劇場 小劇場
2008年2月の初演より、新国立劇場演劇研修所のレパートリーとなった『朗読劇 少年口伝隊一九四五』(過去レビュー⇒1、2)。2期生に代わって3期生がヒロシマの人々の心を伝えてくれました。“花江さん”が登場するまではやはり涙が流れっぱなし。
上演時間は約1時間。短いですが緊密かつ重厚です。A席2,000円/B席1,500円というお値段も嬉しい。来年(7月下旬に公演予定)は4期生にバトンタッチです。ご家族とぜひ。
⇒CoRich舞台芸術!『朗読劇 少年口伝隊一九四五』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
昭和20年8月6日、一発の原子爆弾が広島の上空で炸裂した。一瞬にして広島は壊滅、そして多くの孤児が生まれた。かろうじて生き延びた英彦・正夫・勝利の三人の少年は、やはり運よく助かった花江の口利きで中國新聞社に口伝隊として雇われる。新聞社も原爆で何もかも失ったため、ニュースは口頭で伝える外なかったからだ。三人の少年は、人々にニュースを伝えながら、大人たちの身勝手な論理とこの世界の矛盾に気がついていく。やがて敗戦。しばらくすると正夫が原爆症を発症、ひょんなことから手榴弾を手にした勝利はある決意をする。そこへ戦後最大級の台風が広島を襲うことになる。
≪ここまで≫
井上ひさしさんの戯曲が素晴らしいのはもちろん、栗山民也さん演出も見事です。台本を持ってセリフを語るという点では“朗読劇”ですが、俳優の動きや照明、音響などのスタッフワークはストレートプレイと変わらぬ緻密さです。朗読とギターの生演奏(宮下祥子)と朗読とのコンビネーション、照明の色や切り替わるタイミング、おさえた色使いで舞台を染める映像など、何度も観ている演目なのにハっとさせられます。
2期生と比べると3期生は大人しい印象。静かに心を合わせて、全員で1つのものを生み出している感覚がありました。声もどちらかというと小さめですが、聞こえないということはなく、感情を抑えた語り口で正確に言葉を伝えてくれます。群読部分も息が合っていました。
中國新聞社の花江さんを演じた辻村優子さんは、第一声からはつらつと輝いていました。健康的な身体から晴れ晴れとした陽気が感じられます。
3人の少年たちもとても良かったです(下手から勝利:米川貴久/英彦:長元洋/正夫:宇髙海渡)。終盤に近づくに従って感情表現がより豊かに、激しくなり、3人の少年の憤り、悲しみ、悔しさが迫って来て胸が痛みました。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
原爆が落とされてすぐに枕崎台風(Wikipedia)がヒロシマの地を襲います。2000人以上が亡くなったそうです(セリフより)。“悪魔に魅入られ、神様に見捨てられた町が水たまりになった”なんて、悲しすぎる。
今回もっとも心に刺さったのは空のこと。空から恐ろしいものが降ってくる、それが戦争なんですね。狭い東京の空を見上げ、広い青森の空(写真↓三内丸山遺跡)を思い出し、戦時中を生きた人々の気持ちを想像しました。
出演:岸田茜、熊坂理恵、鈴木良苗、辻村優子(花江さん)、野村真理、吉田紗和子、渡邉樹里、宇髙海渡(正夫:原爆症で亡くなる少年)、金成均(哲学じーたん)、香原俊彦(手榴弾を持っていた日本兵)、竹田桂、長元洋(英彦:20代まで生存する少年)、米川貴久(勝利:手榴弾を握りしめたまま台風で亡くなってしまう少年)、若菜大輔
※今回は3月に修了した2期生に変わって3期生が出演し、気持ちも新たに取り組みます。 どうぞこの機会にご覧ください。
作:井上ひさし 演出:栗山民也 ギター:宮下祥子 音楽監督:後藤浩明 模型作製:尼川ゆら 照明:服部基 衣裳:中村洋一 音響:秦大介 映像製作:小林倫和 方言指導:大原穣子 ヘアメイク:林節子 演出補:田中麻衣子 舞台監督:田中伸幸 米倉幸雄 舞台・照明・音響操作:新国立劇場技術部シアターコミュニケーションシステムズレンズ(舞台:小林正人 照明:塩沢しのぶ 音響:黒野尚 映像:鈴木大介 調整:久村泰代 大道具:古矢晃) 宣伝画:徳永明美 宣伝美術:松吉太郎 撮影:落合高仁 制作:新国立劇場 研修所長:栗山民也
【発売日】2009/07/29 A席2,000円 B席1,500円 *料金は税込みです。*各種割引のご利用はできません。*Z席の販売はございません。
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000261_play.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月20日
spacenoid『哀愁の町に霧がほにゃらら』09/16-21王子小劇場
spacenoid(スペースノイド)は御笠ノ忠次さんが作・演出される劇団です。御笠ノさんは外部のプロデュース公演で演出をされることも多くなってきました。今はこちらの稽古中なんですね。
今作は『石神井ハウス日記』(2006年)の改訂版再演。実話をもとにした・・・ってことはコレ実話なの?!(笑) 上演時間は約2時間。
⇒CoRich舞台芸術!『哀愁の町に霧がほにゃらら』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
作家、椎名誠とその仲間たちの共同生活が描かれた『哀愁の町に霧が降るのだ』に憧れていたスペースノイドの面々。
石神井公園駅徒歩7分、6SK、家賃8万円の奇妙な物件を見つけたところから物語は始まる。
「俺たちも共同生活してみようぜ」とミカサノは言う。
しかしながら「地権者と言い張る人が嫌がらせをするかもしれません!」という不動産屋の謎のひとこと。
当然契約するスペースノイド。
漢ばかり6人。喜怒哀楽が全力で詰まった共同生活に起こった実話にもとづいたお話。
2006年の『石神井ハウス日記』が装いも新たに登場です!!
≪ここまで≫
激弾SPACENOIDのメンバー6人が共同生活をする一軒家。ほぼ全員が本人役として登場する、半・劇中劇のような構成でした。20代中盤の貧乏男子たちの青春群像劇ではあるものの、本編には直接関係のない笑いのネタが頻発されます。スペースノイドは私好みのギャグが多いのが嬉しい(笑)。
演技なのかアドリブなのかの境い目が曖昧で、役者さんがその場で何かを考え出して披露する場面もあります。おそらくライブ感覚を大事にされているんだと思います。ただ、計算された間(ま)なのか、意図せずしてグダっとなってしまったのかも曖昧なのはもったいないですね。もっと戦略的に、緻密に組み立てる方向性もありなんじゃないかと思います。
ここからネタバレします。
石神井ハウスの出来事をそのまま次回公演の脚本にしようということになり、脚本家のミカサノ(清水洋介)はノートパソコン(ワープロ?)にその日に起きたことを記録していきます。机に向かって書きながら日記を読み上げるのですが、そのシーンが完全に独立してしまっているのが少々退屈に感じることもあり。1日経った、日記を書く、次の日が過ぎた、また日記を書く・・というサイクルが繰り返されるからでしょうね。
彼が執筆するのが決まって深夜だからか、周囲は真っ暗で彼にだけ小さく照明が当たるようになっています。たまには日常と執筆シーンを同時進行させるなり、変化を加えてもいいんじゃないかと思いました。
池袋で路上パフォーマンスをしていた時に出会った家出少年キク(船生光)を、拾って帰って同居することになるんですが、実話だとしたら本当に勇気あるっていうか、考えナシっていうか(笑)、ワイルドですね。でもそのキクっていう人はその期間、救われたでしょうね。
日替わりゲスト(村上ロック)が家に訪れて、大喜利大会が始まりました。楽しめなかったわけではないですが、物語をもっと味わいたかったので、コーナー自体をもう少し縮小して欲しいなと思いました。食パンをもっと大事にしてね!
「真矢みき」連発とか、意味分かんないけどめっちゃ可笑しい。「空にそびえる松本明子」(マジンガーZ)が一番笑ったかも。長年一緒にやってきた劇団員だからこその、あ・うんの呼吸がいいですね。
2階部分まで建てこんだ装置には私物であろう生活用品がいっぱい。電気炊飯器はなぜか3つあるよね?『ハイライフ』のチラシや『スタンレーの魔女』のポスターもチラっと。
出演:魚住和伸(ダンサー) 清水洋介(脚本家) 清水嘉邦(坊主頭) 鈴木啓文(9割セクハラ) 藤枝直之(バイトばっくれ) 船生光(キク) 矢崎進(短気・お金取られる)
20日(日)昼のゲスト:村上ロック 恩田かおり
脚本・演出:御笠ノ忠次 照明:たなか一絵(あかりやん) 音響:前田真宏 舞台美術・監督:魚往和伸 音楽:あらいふとしバ(one cake size feathers) 映像:ワタナベカズキ 宣伝美術:加藤朝彦 舞台撮影:鈴木拓実 WEB:岡崎龍夫 制作:清水嘉邦/伊藤蔵人 制作協力:佐々木康志/ささき友美(フルメタル中学) 企画製作:SPACENOID
【発売日】2009/08/17 前売2800円/当日3300円※18日昼公演は800円キャッシュバック※学生証提示で800円キャッシュバック(18日昼は除く)
http://s-noid.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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TBS『ミュージカル「UMOJA(ウモジャ)」』09/19-23赤坂ACTシアター
作品紹介文を書かせていただいた『UMOJA(ウモジャ)』初日に伺いました。⇒2004年版メルマガ号外 ⇒2004年版レビュー
・・・やっぱり凄かった!!“身体”と“声”がこんなにも美しいなんて。こんなにも喜びを生み出してくれるなんて。自分が人間に生まれてきたことを感謝したい気持ちになりました。上演時間は約2時間30分(休憩1回を含む)。字幕解説付き。
なんとイープラスでチケット代が半額!9,500円が4,750円!超破格!!(公演後半はまだ間に合います)
⇒イープラス「ウモジャ」特集ページ
⇒CoRich舞台芸術!『ミュージカル「UMOJA(ウモジャ)」』
ミュージカルというよりはレビュー(Revue⇒Yahoo!辞書)に近い構成の作品ですね。筋肉の美しさ、声の力強さに魅せられます。もともと人間にそなわっている贈り物なんだと思うと、感動して泣けてきます。そして日本人には決して真似できない、アフリカ人だからこそできる表現であることがはっきりとわかります。種も仕掛けもない、身体そのもの。最初の30分ぐらいは涙が出っぱなしだったな~。
衣裳は褐色の肌に映える極彩色です。プリミティブな民族衣装とそれが似合う肉体に惚れぼれ。
演奏も踊りも、とにかくすごい迫力です。筋肉のバネが私の想像を超えるしなやかさなんですよね。そんなに叩いたら破れないのか太鼓!?そんなに打ちつけたら折れないのかマリンバ?!リフトするのにそんなスピードで女性が男性に飛びついたら、男性が後ろに転倒するんじゃないか!?・・・と心配になるぐらい。もちろん破れないし折れないし倒れないけど(笑)。
ACTシアター1階席は大いに盛り上がりました。カーテンコールがもう1回は欲しかったな~。
演出・構成は私が観た時とは変わっているようです。前回観たという方もよかったらぜひ♪
ペア券の特典だった南アフリカ産オリジナルワインをいただきました。1本あたり50円が、南アフリカの子供の教育支援として寄付されます。これがとっても美味しかった!!一緒に観に行った友人と感想を話しながら、軽~く1本空けてしまいました♪
ここからネタバレします。
HIP HOPやラップなど、アメリカで大ヒットしたブラック・ミュージックのシーンがなかったんです。音楽で黒人の歴史をたどるというよりは、年老いた案内人の思い出を再現していく構成になっているように感じました。どちらかというと前者の方が私好み。
ゴスペルが4曲ぐらいあったんですが、残念ながら私には肌が合わなかったです。いきなりキリスト教の賛美歌が出てくることに違和感がありました。歌は英語よりも現地の言葉の方がずっと好き。
世界の音楽が生まれたアフリカ発の壮大でパワフルなステージ「UMOJA~THE SPIRIT OF TOGETHERNESS~」
製作:トッド・トワラ&テンビ・ニヤンデニ 振付:トッド・トワラ 衣装:テンビ・ニヤンデニ
プロデューサー:ジョー・テロン 主催:TBS/朝日新聞社/光藍社/イープラス 上演時間:約150分
【発売日】2009/05/29 全席指定 9,500円 ペア券19,000円 ※6/12(金)18:00までにペア券(19,000円)を購入された方には、南アフリカ産オリジナルワインが付いてきます。
http://eplus.jp/umoja/
http://www.tbs.co.jp/act/event/umoja/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月19日
【演劇教育】参議院議員・鈴木寛さんが文部科学省の副大臣に!
マニフェストに「演劇・コミュニケーション(ドラマ授業)の必修化」を明記されている鈴木寛さんが、文部科学省の副大臣になられました。
「ワークショップデザイナー育成プログラム」が既にスタートしているのが心強いですね。
2009年09月18日
【ワークショップ】JOKO演劇学校「サンクトペテルブルク演劇アカデミー・特別一般ワークショップ」10/10-11みらい館大明※9/30〆切
JOKO演劇学校がロシアのサンクトペテルブルク演劇アカデミーの教授を迎えた、プロの俳優向けのワークショップを開催します。
講師のセルゲイ・チェルカスキーさん、ガリーナ・コンドラショーワさんとは2007年にお会いしました(⇒ワークショップレポート、講演レポートー⇒1、2)。ワークショップの内容はとても充実したものだと思います。
2日間で9800円というのは少々高い目に感じるかもしれませんが、本場のスタニスラフスキー・メソッドにご興味あるプロの俳優さんはぜひ。申込締切は9月30日(水)。以下はJOKO演劇学校からの情報です。※申込はメール、FAX、郵送で可能。
★10/5に開催されるシンポジウムの情報を追加しました(2009/09/22加筆)。
■「ロシア サンクトペテルブルク演劇アカデミー 特別一般ワークショップ」
伝統あるロシアの演劇大学の三講師による特別ワークショップへのお誘い
2009年 10月10日(土)&11日(日)
1779年創立の5年制演劇大学として優秀な俳優を輩出しているサンクトペテルブルク国立演劇アカデミー。この大学から毎年三人の講師を招聘しているJOKO演劇学校が、今回、プロの俳優のための特別一般ワークショプを開催いたします。
◇サンクトペテルブルク国立演劇アカデミー
1779年創立の五年制演劇大学。ロシアでは、大学課程の演劇教育を修了した者だけがプロとして舞台に立つことを許されますが、その中にあって毎年、優秀な生徒を輩出するロシアの代表的な演劇大学です。主眼店はスタニスラフスキー・システムと、同後期演技術(身体行動の方法とアクション分析法)で、西欧米ではあまり知られていない方法です。現在は、演劇学・舞台芸術・舞台美術・人形劇の四学科に970名の学生が在籍し、国際活動も盛んです。
参加資格:プロとして活動をされている俳優。
日時:2009年10月10日(土)・11日(日)
時間:9:30-15:30(途中60分食事休憩をはさむ)
内容:演技・ムーブメント・ヴォイスの三科目。スタニスラフスキー・システムを軸とした基礎訓練。エクササイズ・即興・戯曲を使ってのシーンワークなど。
・10月10日(土)
9:30-12:00:ムーブメント
13:00-15:30:ヴォイス
・10月11日(日)
9:30-12:00:演技
13:00-15:30:演技
講師:セルゲイ・チェルカスキー(Sergei Tcherkasski )【演技】
ガリーナ・コンドラショーワ(Galina Kondrashova 【ムーブメント】
リュボフ・アルフェローワ(Luibov Alferova)【ヴォイス】
※三講師ともサンクトペテルブルク国立演劇アカデミー教授。
・会場:みらい館大明内 現代演劇協会・JOKO演劇学校稽古場
(教室番号は当日、入口に掲示)
住所:豊島区池袋3-30-8 TEL/FAX: 03-5950-3155
・受講料:9,800円
受講料は三クラス分。単独で一クラス、二クラスを受講される方は、一クラス2500円。
演技は二クラス受講していただきます。
・定員:20名
・申込締切:9月30日(水)
・申込方法:メールまたはFAXにて、下記の要綱を記入の上、お申し込みください。
氏名、年齢(自由明記)、舞台歴(~年)、性別、住所、連絡先(携帯番号か自宅電話番号+携帯メールアドレス)、FAX番号、所属、このWSへの参加経験の有無、主な舞台経験(作品・役名)
※公式サイトで申込用紙(PDF)がダウンロードできます。
※メールアドレス:joko(アットマーク)joko-acting.com
下記の宛先への郵送も受け付けます。
JOKO(ジョコ)演劇学校
〒171-0014 豊島区池袋3-30-8 みらい館大明内
FAX:03-5950-3155
■シンポジウム
国立サンクトペテルブルク演劇アカデミー招聘ワークショップに伴い、以下のようにシンポジウムを開催いたします。
「日本に於ける演劇教育の可能性を探るーー日本を含めた海外での演劇教育の体験から」
【パネリスト】
ニコラス・バーター(元RADA[王立演劇アカデミー]校長)
セルゲイ・チェルカスキイ(国立サンクト・ペテルブルク演劇アカデミー教授)
村田元史(JOKO演劇学校校長)
司会 松本永実子(JOKO演劇学校教務主任)
日時:10月5日(月)17時~19時
場所:みらい館大明 JOKO演劇学校教室
参加費用:2000円
お申し込み:メールにて下記までお申し込みください。
JOKO演劇学校 :joko(アットマーク)joko-acting.com
海外での演劇教育の経験豊富な三人が、経験を踏まえて日本に於ける演劇教育の可能性と問題点を話し合い、今後の指針を示唆します。
演劇教育に携わっておられる方、俳優、演出家、演劇に興味のある方、奮ってご参加ください。
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Bunkamura『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ・第三部』09/12-10/04シアターコクーン
第一部、第二部を経てとうとう第三部へ。観客が同じ劇場に3日連続で通うなんて、めったにないことだと思います。シアターコクーンに親近感が湧いてきて、今日で終わっちゃうのが寂しいぐらい。
第三部はゲルツェン(阿部寛)がイギリスに渡ってからの、1853年から1868年までが描かれました。あ~終わっちゃったんだな~。上演時間は約3時間5分(途中休憩15分を含む)。
⇒CoRich舞台芸術!『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
失意の底にあったゲルツェンはロンドンに亡命。自宅をヨーロッパ各地で革命に失敗した亡命者たちの社交場として提供し、新しい人脈を得てロシア・ポーランド自由印刷所を立ち上げる。個人の自由こそ絶対的であるべきだと論じた『向こう岸から』のロシア語版を出版。あきらめていた母国語での自著の記念すべき一冊目を、亡妻ナタリーとの息子に熱い想いと共に手渡す。
やがて、盟友オガリョーフと共に大衆誌『鐘』を創刊する一方、オガリョーフの奔放な妻、ナターシャ(栗山千明)との関係を深めていく。
1861年、ついにロシアは農奴解放を実現する。喜びも束の間、不徹底な改革に落胆するゲルツェンは、流刑地から逃亡し、テロを企てる強硬派のバクーニンと決裂。暴力革命に反対するゲルツェンは、次世代の革命家たちに「死人」であると罵られる。
壮年期を迎えた彼らの胸に去来する、永い間求め続けた、革命の意義、本当の人間の幸福とは・・・。
≪ここまで≫
3回目にしてやっと流れに慣れてきたようで、今回は追いつけなくて困ることはありませんでした。
客席通路で演技をする演出のおかげで舞台がとても近くなり、ゲルツェンらの生きたヨーロッパが今の私の世界のように感じられます。
ロシア語、フランス語、ドイツ語、英語など、普段の生活から多言語が飛び交います。子孫が何語を話すのか、どこに住むのかも、家族の在り方を変えていくんですね。次の世代となる子供の印象が強く残る作品になっていました。
たった30年とはいえ、日本だって70年代と今とでは様変わりです。私が生きてきたこの数十年の間も、歴史はどんどん塗り替えられてきました。お芝居の登場人物と、目の前に居る役者さんと一緒に、時の流れを共有できたような気がします。今の日本も激動まっただ中なんですよね。そういえば今回の選挙で自民党から民主党に政権交代したのは、ひとつの革命だったのかもしれません。
ミハイル(勝村政信)はまたまた変貌(笑)。勝村さんの明るい存在感が心地いいです。
ここからネタバレします。
ゲルツェンとオガリョーフ(石丸幹二)、そしてナターシャ(栗山千明)との共同生活は、第二部と同様に奇妙(笑)。オガーリョフは娼婦(毬谷友子)と一緒に居るのでこちらも四角関係ですね。
石丸幹二さん(元劇団四季)が歌うシーンがあって嬉しかった。
第三部は、父の遺産を受け継いだゲルツェンが、どんなにお金持だったのかを見せつけられた感あり(笑)。毎日のように亡命革命家の人々を泊めていたし、出版を始めることになっても元手に全く困らない。ゲルツェンの子供たちはマンツーマンで家庭教師をつけてもらい、勉強のためいに外国に住むこともできました。でも彼に会いに来る運動家の若者たちは、決して裕福ではないんですよね。それだけ貴族が財産を独占していたってことなのかな。
新しい登場人物としてニヒリストの若者が出てきて、かっこいいな~と思ったら池内博之さんでした。若者と言えば急進主義編集者ニコライ・チェルヌイシェフスキーを演じたのは長谷川博己さん。リアルな世代交代を感じさせました。
大きくなったゲルツェンの子供たちを、第一部に出ていたバクーニン家の四人姉妹を演じた女優さんらが演じます。ぐるりと回転してもとに戻ったようでもあり、新世代へとバトンタッチされたようでもあり。
革命が起こっても農奴は幸福にはなれず、すぐに大量の血が流れます。ユートピアを目指しても、そこにはたどり着けないと思い知らされるばかりの歴史。それでも、何度も失敗しても、自分が信じる何かをやり続けること。
ゲルツェン「前へ進むこと。楽園の岸を上陸することなどないのだと知ること。それでも前へ進むこと。」
Bunkamura20周年記念特別企画
第一部:VOYAGE「船出」 第二部:SHIPWRECK「難破」 第三部:SALVAGE「漂着」
出演:阿部寛、勝村政信、石丸幹二、池内博之、別所哲也、長谷川博己、紺野まひる、京野ことみ、美波、高橋真唯、佐藤江梨子、水野美紀、栗山千明、とよた真帆、大森博史、松尾敏伸、大石継太、横田栄司、銀粉蝶、毬谷友子、瑳川哲朗、麻実れい 塾一久 赤司まり子 冨岡弘 手塚秀彰 妹尾正文 清家栄一 飯田邦博 岡田正 新川將人 星智也 宮田幸輝 嶋田菜美 遠山悠介 三村和敬 桐山和己/坂口淳(Wキャスト) 首藤勇星/鈴木知憲(Wキャスト) 大出菜々子/佐藤日向(Wキャスト) 木村心静/清水詩音(Wキャスト)
脚本:トム・ストッパード 翻訳:広田敦郎 演出:蜷川幸雄 美術:中越司 照明:室伏生大 衣裳:小峰リリー 音楽:朝比奈尚行 音響:鹿野英之 ヘアメイク:鎌田直樹 振付:広崎うらん 演出補:井上尊晶 演出助手:大河内直子 藤田俊太郎 技術監督:小林清隆 舞台監督:濱野貴彦 劇場舞台技術:伊集院正則 野中昭二 営業:加藤雅広 中川未来 票券:岡野昌恵 制作助手:三浦瞳(ゴーチ・ブラザーズ) [Bunkamura]制作:大宮夏子 佐貫こしの 北島由紀子 プロデューサー:加藤真規 松居珠美 [ローソンエンターメディア]制作:藤原友紀 営業:上野尚徳 プロデューサー:宮澤政司 主催:Bunkamura/ローソンエンターメディア 企画・製作:Bunkamura
【発売日】2009/06/27 [通し券(土・日・祝)通し上演]S席29,000円 A席24,000円 コクーンシート15,000円 [セット券(平日)3日にわたり一部ずつ上演]S席29,000円 A席24,000円 コクーンシート15,000円 ※セット券(平日)は3日間( I 部・ II 部・ III 部)とも同じお席番号となります。[各部券(平日 I 部・ II 部・ III 部)]S席10,000円 A席8,000円 コクーンシート5,000 ※平日セット公演に残席があった場合に限り、8月上旬に各部券(一部ごとお求めいただけるチケット)の販売を行います。※通し公演(土・日・祝)の各部券の販売はなし。※本公演は客席で舞台を挟むセンターステージ形状。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_coast.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月16日
Bunkamura『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ・第二部』09/12-10/04シアターコクーン
第一部に続いて第二部を拝見。セット券で同じ席に座りますので、1日経っていても完全に“続編”の印象。1日で全部観る人と同じですね。上演時間は約3時間(休憩15分を含む)。
第二部では1846年から1852年までが描かれます。中心人物はゲルツェン(阿部寛)とその妻ナタリー(水野美紀)。ん~ヨーロッパの歴史に詳しくないせいか、前半は追いつけなかったですね~。私のようなタイプは人物相関図だけでなく、あらすじも頭に入れておいた方が良かったかも。
⇒CoRich舞台芸術!『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
ユートピア社会実現の夢に燃え、祖国ロシアから西欧各地へと旅立つ―。
パリに移住したゲルツェン一家の元に集まる仲間たちは、パリから広がった王政打倒の1848年革命に期待を高めたが、その挫折を目の当たりにする。希望を喪失したゲルツェンは、友人であるドイツ人詩人、ヘルヴェーク(松尾敏伸)とその妻エマ(とよた真帆)を迎え、ニースで奇妙な共同生活を始めるが、流行するロマン主義に影響を受けたゲルツェンの妻・ナタリー(水野美紀)は、ヘルヴェークとの情事に走る。
青春の時代が過ぎ去り、生活者となった彼らの理想と現実、そして愛する者との別れ―。全てを失ったゲルツェンは、イギリスへ向かう船上で、無政府主義者となり投獄中のバクーニンの幻を見る。破壊と革命への情熱を説くバクーニンに、「現在の幸福も手配できない我々が、未来の幸福を手配しようというのは思いあがりだ」と語る。
愛と人生を模索しながら、母国・ロシアの迷走を見つめ続ける姿が克明に浮かび上がる。
≪ここまで≫
第一部のメインだった名門貴族バクーニン家の、長男ミハイル(勝村政信)の風体がひどく変貌しています。人間も時代も、ほんの数年でこうも変わるものなんですよね。
舞台がロシアからフランスなどに移るので、華やかさも変化のスピードも増しているように感じます。バクーニン家の領地プレムーヒノがもう懐かしい。
ゲルツェン(阿部寛)の妻ナタリー役の水野美紀さんは、翻訳劇も蜷川さんの演出も初めてとのことで、今までになく感情の動きが激しい、体当たりの演技を見せてくださいました。迫力。
ヘルヴェークの妻エマ役のとよた真帆さんがきれい。心の動きが表情にあざやかにあらわれていました。
それにしても家具や装飾品の転換が凄い。いったい舞台裏はどうなってるんでしょうか(汗)。想像すらできません。
ここからネタバレします。
ゲルツェン一家はパスポートを入手してロシアから出ると、フランス、イタリア、イギリスなど、いろんな国に移っていくんですね。耳の聞こえないコーリャもジュネーブに留学させていたような(話せるようになるため)。ヨーロッパの国々は陸続きなんだってことを今さら再認識。
ドイツの温泉で療養したのに、ベリンスキー(池内博之)が死んでしまって哀しい。
フランス王政を倒したパリの革命に胸躍らせたのに、新しく出来た共和政府は武力で人民を弾圧してしまいます。このあたりの流れに全然ついていけず(涙)。不勉強ですみません。
オガリョーフ(石丸幹二)の妻マリア(麻実れい)のアトリエで、ナタリー(水野美紀)はマリアと芸術や人生について語り合い、対立します。マリアがあまりに奔放だったから、ナタリーはそれに影響されたのかしら。オガーリョフの新しい恋人で、ナタリーも恋に落ちたというナターシャ(栗山千明)ってどういう女性なのかしら。第二部だけではよくわかりませんでした。
森の中でナタリーは、上半身(観客に見えるのは背中だけ)をあらわにしてヘルヴェーク(松尾敏伸)に迫ります。ちょうどマネの『草上の昼食』が幕に大きく映写されて、イメージにぴったり。第一幕で出てきた赤毛の猫もそうでしたが、こういった大胆な演出にわくわくします。
ナタリーの不貞を知ったゲルツェンは彼女を責めて、2人はこれ以上ないほどの大げんか。迫力がありました。それにしても変な四角関係だ・・・。
息子コーリャと祖母(銀粉蝶)、そしてナタリーを失ったゲルツェンは、イギリスに向かう船でミハイルと出会い、語り合いますが、あれは幻想なんでしょうね。
冒頭のピクニックのシーンが最後に再び出てきて、幸せだったひとときが繰り返されるのが切ないです。本当に人生はあっという間。ストップモーションは少々ぎこちなく感じました。
Bunkamura20周年記念特別企画
第一部:VOYAGE「船出」 第二部:SHIPWRECK「難破」 第三部:SALVAGE「漂着」
出演:阿部寛、勝村政信、石丸幹二、池内博之、別所哲也、長谷川博己、紺野まひる、京野ことみ、美波、高橋真唯、佐藤江梨子、水野美紀、栗山千明、とよた真帆、大森博史、松尾敏伸、大石継太、横田栄司、銀粉蝶、毬谷友子、瑳川哲朗、麻実れい 塾一久 赤司まり子 冨岡弘 手塚秀彰 妹尾正文 清家栄一 飯田邦博 岡田正 新川將人 星智也 宮田幸輝 嶋田菜美 遠山悠介 三村和敬 桐山和己/坂口淳(Wキャスト) 首藤勇星/鈴木知憲(Wキャスト) 大出菜々子/佐藤日向(Wキャスト) 木村心静/清水詩音(Wキャスト)
脚本:トム・ストッパード 翻訳:広田敦郎 演出:蜷川幸雄 美術:中越司 照明:室伏生大 衣裳:小峰リリー 音楽:朝比奈尚行 音響:鹿野英之 ヘアメイク:鎌田直樹 振付:広崎うらん 演出補:井上尊晶 演出助手:大河内直子 藤田俊太郎 技術監督:小林清隆 舞台監督:濱野貴彦 劇場舞台技術:伊集院正則 野中昭二 営業:加藤雅広 中川未来 票券:岡野昌恵 制作助手:三浦瞳(ゴーチ・ブラザーズ) [Bunkamura]制作:大宮夏子 佐貫こしの 北島由紀子 プロデューサー:加藤真規 松居珠美 [ローソンエンターメディア]制作:藤原友紀 営業:上野尚徳 プロデューサー:宮澤政司 主催:Bunkamura/ローソンエンターメディア 企画・製作:Bunkamura
【発売日】2009/06/27 [通し券(土・日・祝)通し上演]S席29,000円 A席24,000円 コクーンシート15,000円 [セット券(平日)3日にわたり一部ずつ上演]S席29,000円 A席24,000円 コクーンシート15,000円 ※セット券(平日)は3日間( I 部・ II 部・ III 部)とも同じお席番号となります。[各部券(平日 I 部・ II 部・ III 部)]S席10,000円 A席8,000円 コクーンシート5,000 ※平日セット公演に残席があった場合に限り、8月上旬に各部券(一部ごとお求めいただけるチケット)の販売を行います。※通し公演(土・日・祝)の各部券の販売はなし。※本公演は客席で舞台を挟むセンターステージ形状。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_coast.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Bunkamura『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ・第一部』09/12-10/04シアターコクーン
『The Coast of Utopia』は2002年にロンドンで初演されたトム・ストッパードさんの戯曲。19世紀ロシアを30年以上に渡って描く壮大な歴史ロマンだそうです。演出は蜷川幸雄さん。
第一部、第二部、第三部が各3時間あり、全部で約9時間の大作です。蜷川さんは2000年に同じくシアターコクーンで、三部作『グリークス』を演出されています。
3日連続で観ることにした私は、昨日夜に第一部(1883年~1844年)を拝見。最初は展開が早すぎて「えー!ついていけない!どうしよ~!(汗)」とあせったんですが、その心配は徐々になくなりました。面白~い、楽し~い♪ これは1日で一気に観る方がわかりやすいかも?(←『Angels in America』の時もそう言ってたな~) 人物相関図を頭に入れておくとスムーズに理解できると思います。
セット券は完売ですが、バラ売り券は残席ある日もあるようです。
⇒CoRich舞台芸術!『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
前近代的な農奴制が根強く続いている19世紀ロシア。舞台の中心は名門貴族バクーニン一家の領地。家長のアレクサンドル(瑳川哲朗)と妻ヴァルヴァーラ(麻実れい)の四人の娘たち(リュボーフィ・紺野まひる、ヴァレンカ・京野ことみ、タチヤーナ・美波、アレクサンドラ・高橋真唯)は、長男・ミハイル(勝村政信)の突然の帰還に大喜びする。しかし、仕官学校を勝手に退校したミハイルに両親は怒りを隠せず、深まる親子の断絶。姉妹の自立への憧れが強まると共に、一家はゆるやかに離散へと向かっていく。
一方、新しい思想や哲学に触れた若い知識人たちがミハイルの元に集まってくる。思想家・ゲルツェン(阿部寛)、詩人・オガリョーフ(石丸幹二)、文芸批評家・ベリンスキー(池内博之)、作家志望のツルゲーネフ(別所哲也)、哲学者・スタンケーヴィチ(長谷川博己)・・・。
母国を愛するが故にやがて革命に向かって進む彼らの友情、そして四姉妹や進歩的な考え方を持つバイエル夫人(銀粉蝶)の娘ナタリー(佐藤江梨子)らとの報われない恋の数々が鮮やかに喜劇的に描かれる。
≪ここまで≫
2方向から客席に挟まれた長方形の舞台。床と壁は灰色一色。客席と舞台との間には白く透き通った幕(合計2枚)。カーテン状に開けたり閉めたりすることで転換します。家具や木などを設置・移動させることで場面が変わります。客席通路も花道のように使われますので、劇場全体が舞台だとも感じられます。
美術は一見シンプルですが、衣裳が豪華ですし家具もどんどん出てくるので、十分に満足できる贅沢さ。登場人物も多いです。衣裳の色で主要人物の違いがわかるようになっています。
シーンごとにふさわしい衣裳を着た大勢のスタッフが、一気に家具や道具を入れ替えてくれるので、人が動くのを見ている内にサっと次の場面が始まります。ざわざわした人の流れとスピード感が、容赦なく過ぎていく時間を表しているようです。
場面転換が多いのを退屈させない演出もさすがだと思いますが、私の心は脚本にすっかり持っていかれた感があります。会話の中に知らない人の名前が出てきて、詳しい説明がないままに次へと進んでしまっても、後から演じられる全く違うエピソードでその人のことがわかったりします。手掛かりだけが巧妙に残され、その解決編(というか裏話)が後で明かされるのは、とっても楽しい♪ 次から次に色々考えさせられ、仕掛けに気づいた時は「なるほど~、そうだったのね!」とすっきりするものですから、群像劇の中にどんどんと引っ張りこまれていくんです。
文芸批評家ベリンスキーを演じた池内博之さんが良かったです。言葉がはっきりしていて、熱くて、彼の思いの切実さが伝わってきました。ただ、最初の長ゼリフの時の動線が規則的に見えたのは残念。あんなに動かなくても聴き入ることができたと思います。
地主の妻(4人姉妹とミハイルの母)を演じた麻美れいさん。富豪夫人ならではの世間知らずな発言がいいですね。
石丸幹二さんを初めて舞台で拝見したんですが、きれいな方ですね。第二部はもっと活躍してくれそうで楽しみ。
阿部寛さんは最初何を言ってるのかわからず・・・。でも後半は大丈夫でした。第二部に期待します。
ここからネタバレします。
劇場に着くと、舞台には既に役者さんが大勢いました。皆さん稽古着(Tシャツにパンツなど)なので、舞台は役者控室のよう。それぞれに談笑してリラックスしたムードです。開演の合図でパっと動きだすと、舞台上でかつらをつけたりドレスに着替えたり、テーブルとイスをどんどこと移動させたり。あっという間に19世紀のロシアの地主の家へと変わりました。転換中は車の騒音や民主党代表の鳩山さんの演説の声が響いており、現代日本の街の喧騒や政治状況を音であらわしているようでした。
その後の転換をすべて客に見せていることも含め、19世紀ロシアの人々と今を生きる観客とを、同じ場に存在させる意図があるように思います。
イスにぶつかって転びまくるベリンスキー(池内博之)に、タチアーナ(美波)が一目で恋に落ちる瞬間が良かった。
ベリンスキーの家で、地下から登場する人の影が、向かいの壁に映るのがすっごくかっこいい!
赤いタキシードの猫の着ぐるみが登場。“赤毛の猫”サイコー。
Bunkamura20周年記念特別企画
第一部:VOYAGE「船出」 第二部:SHIPWRECK「難破」 第三部:SALVAGE「漂着」
出演:阿部寛、勝村政信、石丸幹二、池内博之、別所哲也、長谷川博己、紺野まひる、京野ことみ、美波、高橋真唯、佐藤江梨子、水野美紀、栗山千明、とよた真帆、大森博史、松尾敏伸、大石継太、横田栄司、銀粉蝶、毬谷友子、瑳川哲朗、麻実れい 塾一久 赤司まり子 冨岡弘 手塚秀彰 妹尾正文 清家栄一 飯田邦博 岡田正 新川將人 星智也 宮田幸輝 嶋田菜美 遠山悠介 三村和敬 桐山和己/坂口淳(Wキャスト) 首藤勇星/鈴木知憲(Wキャスト) 大出菜々子/佐藤日向(Wキャスト) 木村心静/清水詩音(Wキャスト)
脚本:トム・ストッパード 翻訳:広田敦郎 演出:蜷川幸雄 美術:中越司 照明:室伏生大 衣裳:小峰リリー 音楽:朝比奈尚行 音響:鹿野英之 ヘアメイク:鎌田直樹 振付:広崎うらん 演出補:井上尊晶 演出助手:大河内直子 藤田俊太郎 技術監督:小林清隆 舞台監督:濱野貴彦 劇場舞台技術:伊集院正則 野中昭二 営業:加藤雅広 中川未来 票券:岡野昌恵 制作助手:三浦瞳(ゴーチ・ブラザーズ) [Bunkamura]制作:大宮夏子 佐貫こしの 北島由紀子 プロデューサー:加藤真規 松居珠美 [ローソンエンターメディア]制作:藤原友紀 営業:上野尚徳 プロデューサー:宮澤政司 主催:Bunkamura/ローソンエンターメディア 企画・製作:Bunkamura
【発売日】2009/06/27 [通し券(土・日・祝)通し上演]S席29,000円 A席24,000円 コクーンシート15,000円 [セット券(平日)3日にわたり一部ずつ上演]S席29,000円 A席24,000円 コクーンシート15,000円 ※セット券(平日)は3日間( I 部・ II 部・ III 部)とも同じお席番号となります。[各部券(平日 I 部・ II 部・ III 部)]S席10,000円 A席8,000円 コクーンシート5,000 ※平日セット公演に残席があった場合に限り、8月上旬に各部券(一部ごとお求めいただけるチケット)の販売を行います。※通し公演(土・日・祝)の各部券の販売はなし。※本公演は客席で舞台を挟むセンターステージ形状。
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_coast.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月15日
吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会『吾妻橋ダンスクロッシング』09/11-13アサヒ・アートスクエア
『吾妻橋ダンスクロッシング』は何度か観たつもりだったのですが、どうやらこれで2度目かも(⇒2006年10月)。いつも大人気で今回も早々に完売だったようです。上演時間は約3時間(途中25分の休憩を含む)。
似た顔ぶれだな~とも思いつつも、どれも見どころがあって濃い3時間。でも最後に上演された飴屋法水さん演出のパフォーマンス『顔に味噌』に感動して、しばらく放心状態。私にとっては、この1本がそれまでの作品の印象を上書きしてしまうほどでした。
⇒CoRich舞台芸術!『吾妻橋ダンスクロッシング』
【1】ハイテク・ボクデス『無機LAND』
構成・演出:小浜正寛 構成・技術協力:秋山想、松本英明、山本圭祐、小林ともえ、業務用菩薩、ニせ生物、上村聡
出演:介護用ベッド、扇風機、こいのぼり、ダッチワイフ等
身近な道具で、動くインスタレーションみたいな。
【2】contact Gonzo『(non title)』
出演:出演:加藤至、三ケ尻敬信、塚原悠也、キャナイ
不良っぽいストリート・ファッションの若い男性4人が殴り合ってました。私はこういうの苦手なはずなんだけど、アイコンタクトとか呼吸を合わせる感じが面白くて不快感なし。2人取っ組みあったと思ったら、その上にさらに2人とも跳んで乗っかっていくんだもの。そりゃ怖いけど面白いですよ(笑)。
小さなペットボトルに入れた青い照明がPCを介して壁に映ったり、使い捨てカメラでフラッシュを焚いたり。私は初めてだったんですが、「2年前と同じだからあんまり・・・」という人もいたり。
【3】チェルフィッチュ『ホットペッパー』
振付:岡田利規
出演:伊東沙保、武田力、横尾文恵
3人の派遣社員。「送別会の幹事をまかされたんだけど、それって社員の仕事じゃね?」
あーもーばかばかしくって、でも社会風刺にもなっていて。
飴屋法水作品にも出演していた武田力さんの表情が面白い。伊東沙保さんが団扇で仰ぐのが可笑しい。
【4】ほうほう堂『あ、犬』
出演:振付・出演:新鋪美佳、福留麻里
和風で牧歌的な感じ。歌だとハンバート・ハンバートみたいな。後半は面白くなりました。
【5】快快[faifai]『ジャークチキン~それはジャマイカの食べ物』
出演:天野史朗、佐々木文美、大遠寺梨乃、加藤和也、野上絹代、藤谷秀子、山崎皓司
「2001年宇宙の旅」のテーマがかかる中、ただ、料理。もーほんと馬鹿!楽しい!素敵!
ボブ・マーリーの顔型風船サイコー。ひげの先からチキンの香り(笑)。ジャークチキンサンドは大売れだったようです。
【休憩25分】
快快の篠田千明さんの映像作品『Guten Tag, AZUMABASHI!!!』(出演:篠田千明、ベルリンの人々)が流れていました。爆破された教会の前でのダンスが素晴らしい。軽快にインターナショナル。
【6】鉄割アルバトロスケット『馬鹿舞伎』『園まなぶ』『どやらっぷ』『焼鳥の串』『おれの母ちゃん何処行った?』
作:戌井昭人 演出:牛嶋みさを
出演:内倉憲二 奥村勲 中島朋人 村上陽一 中島教汁 伊藤麻美子
鉄割流の歌舞伎、シャンソン、ラップなどなど。
1人で立っていて絵になるのが凄い。レバーの串を腕に差すのとか(笑)。
【7】Line京急『吉行和子(ダブバージョン)』
作・演出・振付・出演:山縣太一、大谷能生、松村翔子
音楽:大谷能生 作詞:山縣太一、松村翔子
もう25歳だしロックを控えて水割りにしたってことで。
【8】いとうせいこうfeat.康本雅子『VOICES』
ポエトリー・リーディング:いとうせいこう ダンス:康本雅子 音楽:Dub Master X ギター:森雅樹(EGO-WRAPPIN'/ 12日のみ)
いとうせいこうさんがあんなに怒鳴るとは予想外。メッセージには共感しました。康本さんのダンスはやっぱり素晴らしい。人間1人の価値を表す説得力強大。ギターのある日は全然違う雰囲気だったみたい(観た人からの情報より)。
【9】飴屋法水『顔に味噌』
作・演出:飴屋法水
出演:秋葉賢人、安ハンセム、石川夕子、小駒豪、大井けんじ、上村梓、キムウンジン クジェ・タルク、香本正樹、桜木彩佳、武田力、立川貴-、マチナ・シモーネ、丸瀬顕太郎、村民麗薫、藤原みかん、モンジュ、エビーよだ、高内絵里
フェンシングの試合。防具をつけているので顔が全く見えない。試合が終わってから防具を取って初めて顔を見つめあう2人。少々驚いた様子。戦争ってそういうことだよね。
テキストは宮沢賢治の『よだかの星』、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』など。名前って何なのか。私は誰なのか、何なのか。
日本語を話す中国人、韓国人、イタリア人、ブラジル人ら。ドレスを脱いでヘアメイクも落としていく女。顔にみそを塗って踊る女。住んでる場所や話す言語、親につけられた名前がその人を表すわけじゃない。服を脱いでメイクを取っても、顔がみそだらけになっても、そこに確かに居る体だけが、その人なんだ。
防具を被った飴屋さん。防具の中で爆竹がいくつも弾けた。防具からもうもうと立つ煙。顔がなくなったら人じゃないのか?
最後にマイクで朗読するのは、英語と日本語が話せる年配の男。その人がそこに居ること、それを私たちが見ていることは、確かなもの。
【10】Chim↑Pom
インスタレーションがあったそうですが、私は認識せず。どうやらトイレの中を中継したらしい。
ダンスやパフォーマンスを観ると落ち込みます。今回も漏れなく。面白かったのに落ち込むって変なんですけど(苦笑)。見たことのない折り込みチラシの多さに、舞台芸術界の広さを見せつけられて愕然とするんですよね。そしてこういう音楽系というか、ダンス系・パフォーマンス系の客席の雰囲気についていけない自分を再確認して、自分の度量の狭さにがっかりもするし。
出演:飴屋法水 いとうせいこう contactGonzo チェルフィッチュ Chim↑Pom 鉄割アルバトロスケット ハイテク・ボクデス 快快(faifai) 康本雅子 Line京急 ほうほう堂
【発売日】2009/07/25 一般3500円/学生3000円(プリコグのみ取扱)/当日4000円※全席自由、チケット記載の整理番号順に入場
http://azumabashi-dx.net/
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【オーディション】サスペンデッズ「第8回公演(2010年5月@芸劇)出演者募集」※11/30〆切(メールor郵送)
早船聡さんが作・演出(たまに出演も)されるサスペンデッズが、来年5月の公演の出演者を募集しています。公演会場は野田秀樹さんが芸術監督を務める東京芸術劇場小ホール2です。
早船さんは劇団活動以外にも新国立劇場に新作戯曲を描き下ろすなど、今注目を集める若手劇作家でもあります。⇒『ロゼット』稽古場レポート
男女とも年齢制限なし。経験問わず。早船作品の感想必須(⇒ただいま新作が9/20まで上演中)。ご興味のある方は下記をどうぞ。
■サスペンデッズ出演者オーディション開催!(折り込みチラシより) ⇒劇団ブログ
2010年5月に上演するサスペンデッズ第8回公演の出演者を募集します。
◎募集内容◎
1.公演日程
2010年5月22日~30日(全8回公演予定)
東京芸術劇場小ホール2
2.稽古日程
2010年4月中旬~5月21日
都内稽古墳にて
3.募集人数
男女3~4名
*チケットノルマ・出演料はありません。
◎オーディション概要◎
第一次審査 書類選考 2009年11月30日必着
*結果は12月末までにメールにてご連絡いたします。
第二次審査 オーディション(受験料1000円)
2010年1月都内にて
1.応募資格
稽古、本番に全日参加できる方
2.申し込み方法
以下のものを下記までお送り下さい。(eメール可)
○氏名・生年月日・年齢
○住所・電話番号・メールアドレス
○身長・体重
○写真(バストアップと全身写真各一枚)
○経歴(芸歴含む)
○今まで観たサスペンデッズもしくは早船作品についての簡単な感想
3.申し込み締切
2009年11月30日必着
4.お申し込み・お問い合わせ先
〒194-0013 町田市原町田4-19-17グリーンコート301
オフィス・ムベ サスペンデッズオーディション係
info(アットマーク)suspendeds.net
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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サスペンデッズ『夜と森のミュンヒハウゼン』09/11-20三鷹市芸術文化センター星のホール
早船聡さん(⇒新国立劇場に書き下ろし、稽古場レポート、メルマガ号外)が作・演出(たまに出演も)されるサスペンデッズの新作は、三鷹市芸術文化センターのMitaka"Next"Selection 10th.参加作品。チラシのイラストがいつも素敵。
劇場入口からびっくり、の美術です。これは気持ちいい!これまでとは作風がガラっと違った、大人のダーク・ファンタジーでした。上演時間は約1時間45分。
⇒詩森ろばさんのブログ
⇒CoRich舞台芸術!『夜と森のミュンヒハウゼン』
レビューをアップしました(2009/09/17)。
≪あらすじ≫
深い森の中に棲まうものたち。病気の妹と2人暮らしの兄。仲間はずれの帽子男。さびしんぼのバニー。フレンドリーな無差別殺人犯。旅行鞄を持った女が迷い込んできて・・・。
≪ここまで≫
星のホールは変幻自在ですね。開演前からとても心地よくて胸躍りました。
会話をする人物の背後にある森が深層心理の世界のようで、その深みと広がりが美しかった。
夢と現実が交差し、幻想的な空間に様々なイメージが浮かび上がります。看護師(石村みか)の物語には『ザ・ダイバー』と重なるところもありました。
ここからネタバレします。
劇場が森になっていました。入口側に大きな木が何本も立っていて、その林を抜けるとステージが広がります。客席はその奥に設置されていました。つまりいつも舞台になっている側に客席があります。奥行も幅も大きくとった贅沢な舞台空間でした。木は白く塗られている(?)ので、照明の色が映えます。
動物たちの幻想世界と看護師(石村みか)の現実が交互に描かれ、意外なところに接点が見つかり、重なっていきます。まさか早船さんの作品でウサギが登場するとは全く予想していませんでした(笑)。もうちょっと早くに全てが分かっても良かった気がしました
妹サキ(高畑こと美)は幼い頃に暴漢らに殺され、遺体となって森の中に捨てられていた少女でした。少女のかつての飼い犬クロ(佐藤銀平)が遺体を発見し、少女は何もかも忘れてしまった魂としてよみがえります。犬は少女を自分の妹として、森の中で十年暮らしてきました。
不倫相手の男(伊藤総)にひどい仕打ちをされて、お腹の子供も失って(堕胎か流産かは不明)、深く傷ついた看護師の魂と、少女の魂が共鳴したのでしょうか。2人は森で出会い、そして一緒に森を旅立っていきます。
得体のしれない無差別な暴力は時代のキーワードですよね。殺人犯(=ホワイトソックス)と不倫男を伊藤総さんが演じているのが怖いところ。また、ホワイトソックスは誰かに依頼されて殺人(動物殺し)を行っているのも、現代を暗示するものがあると思います。
最後は犬たちが火をつけて森が真っ赤に染まって終幕。問題が起こって、行き詰って袋小路に入ってしまったら、何もかもすべて壊して新しくやり直そうとする今を表しているようでした。
第7回公演 Mitaka"Next"Selection 10th.参加
出演:伊藤総(ホワイトソックス)/佐藤銀平(犬)/佐野陽一(一角獣)/富沢たかし(金田・マスター)/冠野智美(うさぎ)/高畑こと美(妹)/石村みか(看護士)
脚本・演出:早船聡 美術:袴田長武+鴉屋 舞台監督:大友圭一郎 照明:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 音響:平井隆史(末広寿司) 衣裳:大野典子 イラストレーション:木村タカヒロ 宣伝美術:野島敏光 制作:石川はるか(ハイリンド) 上田郁子(オフィス・ムベ)
【休演日】9/14(月)前売2,500円 当日3,000円 全席自由 お問い合わせ:info@suspendeds.net TEL&FAX:042-727-8640 オフィス・ムベ
http://www.suspendeds.net
http://mitaka.jpn.org/ticket/0909110/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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箱庭円舞曲『極めて美しいお世辞』09/11-22 OFF OFFシアター
古川貴義さんが作・演出・前説を担当する箱庭円舞曲の第13回目の本公演。古川さんが演出されたプロデュース公演(2009年6月)の、稽古場レポートを書かせていただきました。
ヘアサロンの控室で本音と建前がうずまきます。上演時間は約2時間。
⇒CoRich舞台芸術!『極めて美しいお世辞』
≪あらすじ≫
ヘアサロンの美容師控室。数年前に姿を消した美容師(小野哲史)が突然帰ってきた。腕が良くて芸能界でも仕事をしていた彼は、売上が伸び悩んでいるところに投入された助っ人なのか?
≪ここまで≫
美容院の裏側。小道具を丁寧にそろえてらっしゃいます。OFF OFFシアターは舞台上に柱があるのですが、それを感じさせない美術が素敵。ただ、具象で表現しているので、物語の設定や展開について細かいところまで気になったりすることもあり。全体が2時間あるのは少々長く感じました。
自分が絶対だと信じていても、他人には受け入れてもらえなかったり、絶対にバレてないと思っていても、既に誰もが知っていたり。いかに自分の感覚が他人と合っていないか、世間に通用しないかが暴かれていきます。
当然だと思っていたことが他人には全く通じていなかったという事実を突き付けられて、頭から水をかけられたようにショックを受けた瞬間の役者さんの表情と、空気が固まるような感覚が刺激的。
役者さんの中ではスタイリスト役の原田優理子さんがのびのびしていて素敵でした。
ヘアサロンの売上が落ち込んでいるというのは、シャレにならないですね。と言いながら、私もめったに行かないんだけど・・・。
ここからネタバレします。
スタイリスト宇高(原田優理子)は総代表(伊藤新)と不倫していて(といっても宇高さんは総代表が結婚していることを知らなかったみたいだけど)、それが総代表の奥さん(津留崎夏子)にバレバレになります。女同士の笑顔のバトルがいやらしくてイイ(笑)。
「技術と経験に裏打ちされた自分の美的センスは絶対だ(もちろん客にも押し付ける)」という潔癖タイプの富彌(小野哲史)は、女性客をタラすことにしか能がない日當(和知龍範)よりも、自分が人気がないことにショックを受けて泣いてしまいます。「それで泣くのかよ!(笑)」と笑ってしまいました。意外性がいいんですよね~。
総代表(伊藤新)と泣いちゃった富彌(小野哲史)らが、ケンカ腰で本音を語り合うシーンが面白かったです。人間、あまり考えないで、直感やその時の気分で動いてるものですよね。総代表の意見には納得するところがありましたが、彼が一方的にたくさん説明しすぎな気もしました。
≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
出演:古川貴義 赤澤ムック(黒色綺譚カナリア派)
お2人とも偶然に下北沢MINXに通っているとのこと。
奥さん(津留崎夏子)の最後のけん玉は、脚本では「最後まで成功しない」となっているけれど、たとえ成功したとしても誰にも見られていないので、成功とはいえないかもしれない。だから成功してもいいという風に変更したとのこと。
私が観た回は成功でした。私には「人生何が起こるかわからない」「何が起こっても自分の中にしか本当はない(それさえも怪しいんだけど)」という意味に伝わったので、成功で良かったと思いました。
箱庭円舞曲第十三楽章 Thank you for your compliment & sexual desire.
出演:小野哲史、爺隠才蔵、村上直子(ホチキス)、松本寛子、高木充子(LaCompagnieAn), 原田優理子(トリのマーク(通称))、伊藤新(ダミアン)、清水穂奈美、和知龍範、津留崎夏子(ブルドッキングヘッドロック)
脚本・構成・演出・前説:古川貴義 舞台美術:稲田美智子 照明プラン:工藤雅弘(Fantasista?ish.) 音響:岡田悠(One-Space) 小道具:栗山佳代子 衣裳:三木葉子 舞台監督:西村正一 毛髪:山内翔 選曲:古川貴義 演出助手:陶山浩乃(劇団競泳水着) 萩原雄太(かもめマシーン) イラスト:須山奈津希 宣伝美術:Box-Garden House/古川貴義 広報:須貝英 制作:安田有希子 企画製作:箱庭円舞曲
【発売日】2009/07/24 前売:2,500円 / 当日:2,800円 11(金)の19:30の回、14日(月)、17日(木)の14:30の回は初回割引/平日昼公演割引 前売:2,200円 / 当日2,500円
http://www.hakoniwa-e.com/top.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月14日
桜美林大学パフォーミングアーツプログラム・特別企画『別役実講演会「別役実 ―その創作の源―」』桜美林大学プルヌスホール
桜美林大学で別役実さんの講演会がありました。別役さんの戯曲を上演する公演の特別企画なんですね。
第1部は別役実さんがお1人で語る1時間の講演、第2部は対談で、聞き手は文学座の高瀬久男さんでした。
別役さんがご自身のエッセイを朗読されるだけで鳥肌モノ。桜美林大学の学生は早くから実践的な経験を積んでいて凄いですね。
以下、別役さんの言葉でメモできたことの箇条書きです。
⇒CoRich舞台芸術!『別役実講演会「別役実 ―その創作の源―」 』
■嘘について
劇作の他にエッセイを書くことで稼いでいた。例えば『道具づくし』『病気づくし』『虫づくし』などのデタラメなもの。嘘のエッセイを書くことで自分の精神状態がわかる。精神が安定していないと嘘は付けない。
うまく嘘をつくためには、居直った、人を食うような、積極的な精神でなければならない。ポーカーフェイスが必要。
嘘がばれるのには2つの原因があって、1つは悪ふざけが過ぎた時。はしゃぎすぎて嘘をだめにしてしまう。もう1つは真面目に正当化しすぎた場合。そういった場合に創造の精神が沈んでしまう。つまりバランスが重要。
悪ふざけが笑いで浄化されることもある(が、それは創造ではない)。粉飾することはクリエイティブから離れる。嘘の実在感が必要。
例えば『道具づくし』の中の1編「下眉」は成功例。嘘をつき始めた精神が、軽やかに、リズミカルに自己回転をし始める。その結果「下眉」の中に名句がいくつも生まれた。
ヨーロッパのつくり話は歯切れがいい。虚構に実在性があるからだ。ヨーロッパ人は「神のみが創造主である(クリエイションができるのは神だけである)」という考えが強いため、創造すること自体が神への反逆であるという緊張感がある。だから実在感がある。
対して日本のものには実在感が足りない(八百万の神だから?)。ただ、宮沢賢治の童話はフィクションとしての歯切れがいい。虚空に何かが存在する存在感が、日本人の中では優れていると思う。
たとえば日本には「嘘のために言葉を使ってはいけない」といったな言霊(ことだま)信仰がある。(私の書いた)嘘のエッセイを批判して、それをやめさせようとする勢力があった(例:「かわやだんご」「徒然草」)。だから特に日本では(嘘をつくことが)難しい。
「嘘はよくない」とされていても、よくないことにあえて踏みこむこと、自分の魂を試すことが大事。魂が冒険するチャンスは非常に少ない。(嘘をつくことは)魂への挑戦としてのひとつの試みだろう。
嘘は孤独。誰にも頼れない(見事な嘘をつくためには、孤独でなければならない)。自分を独立させること。自分の精神のよりどころをなくすことが重要。
嘘つきの天才が成るのは詐欺師か芸術家のどちらか。詐欺師にならない程度に、魂をおののかせる手段としても嘘が重要。
嘘から嘘を生み出す精神にこそ、軽やかなフィクションを生むための源泉がある。
■笑いについて
笑いには社会風刺や批評性が必要だと言われる。だが私は何の役にも立たない笑い(ナンセンスな笑い等)が、むしろ重要だと思う。魂が自由になって、一つの存在感を確かめるために、笑いは重要。自分自身の魂のおののきを確かめるために、笑いは重要な効用になる。
■学生時代
早稲田大学で先輩にひっぱられて劇団に入った。新入生は100人ぐらい。いつも200人規模で公演をしていた。その頃は「ドラマは階級闘争の中にしかない」といった主張を持つ、陰々滅滅な社会的リアリズムの左翼劇ばかり。
リアリズム演劇の弊害の中で最も大きいもののひとつは、「リアリズム」という名称にも表れているように、虚構性の排除。
福田善之作『真田風雲録』(今年10月にさいたまネクスト・シアターで上演。⇒製作発表)の開放性が凄かった。その作品自体を認めたわけではなかったけれど、60年代の演劇の中で画期的だった。ほとんどミュージカルのような作品で、歌と踊りでショウアップする。「芝居は何をやってもいいんだよ」という試み。演劇を大衆化していた。
■ベケットの空間とアメリカ演劇
空間感覚はベケットの影響を受けた。宇宙を示す垂直の線(電信柱)と、それに対抗する水平軸(舞台床)によって、無限の空間を暗示する。そこに登場人物がわだかまっているという感覚。
ただし役者はそれを意識しない方がいい。宇宙を体感してない方がいい。細部に集中することによって、背後の宇宙が広がるから。
アメリカ演劇が刺激的だった。ヨーロッパの不条理劇よりも華やかでよりシアトリカル。例えば『ガラスの動物園』(←今も好きな戯曲)『欲望という名の電車』『セールスマンの死』など。アメリカ演劇の肌合いに、その頃の演劇人の半分は無意識に影響を受けていたように思う。
■近代劇と現代劇
「近代劇の独立した最小単位は個人である」とされるが、現代劇の最小単位は関係。近代劇と現代劇の違いは、個人ではなく関係が主人公になったこと。
■観客について
観客との対峙の仕方が難しくなってきている。ギリシャでは演劇は神に捧げられるもので、それを客が背後から観るというものだった。今はそれはない。観客のためにとか、観客へのメッセージとしての舞台などはありえない。「観客のためにやる」ことから離脱することが必要。
■質問「今活躍する劇作家で注目しているのは?」
岸田國士戯曲賞の審査員の時は若い人の戯曲も読んでいたが、今はあまり読んでいない。舞台もあまり観ないようにしているので(影響を受けて自分にしみ込んでしまうので)、今の人は知らないのだけれど、知ってる限りでは岩松了君。
■高瀬「135作目となる戯曲『らくだ』がもうすぐ上演されます。」
書いた戯曲の本数で日本一になるのは無理だとわかったので、もう考えていない(菊田一夫さんが200本以上書いている)。今は子供とお母さんが一緒に観て楽しめる劇に興味がある。
9/13(日)14:00~ 第1部 別役実さん講演/第2部 別役実さんと高瀬久男さんの対談
出演:別役実, 高瀬久男
舞台監督:島田佳代子 舞台美術:熊川ふみ 照明:水田歩美 音響:杉山碧 宣伝美術:前山兼徳 票券管理:花房理奈 制作:清水美峰子
【発売日】2009/08/24【予約】一律 1,500円【当日】一律 2,000円
≪セット割引あり≫講演会と演劇公演『天才バカボンのパパなのだ』『マザー・マザー・マザー』の両方をご予約のお客様は、講演会のチケットが1000円引きに!!
※講演会の前日・9/12(土)24時までに、講演会と演劇公演の両方をご予約いただいた方が対象となります。
※セット割引適応者につきましては、演劇公演のチケット代も、講演会の受付で同時精算となります。ただし、演劇公演のチケットは受付取り置きとさせていただきます。
http://www.obirin.ac.jp/ri/pai/opap/betsuyaku.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月12日
【写真レポート】彩の国さいたま芸術劇場「さいたまネクスト・シアター『真田風雲録』製作発表記者会見」09/04彩の国さいたま芸術劇場大ホール舞台上
『真田風雲録』製作発表
演出家・蜷川幸雄さんが芸術監督を務める彩の国さいたま芸術劇場の、若手俳優育成プロジェクト“さいたまネクスト・シアター”が発足しました。
今年1月にオーディションが実施され、応募総数1225名から選ばれたのは平均年齢24.8歳の若手俳優44名。10月15日より開幕する『真田風雲録』が旗揚げ公演になります。
会場は大ホール内のインサイド・シアター。大ホールの舞台上に300席の仮設ステージを新たに設置します。客席が三方からステージを囲む、一体感のある小空間になるそうです。
●彩の国さいたま芸術劇場開館15周年記念公演
さいたまネクスト・シアター『真田風雲録』
2009年10月15日(木)~11月01日(日)
⇒特設サイト(音が鳴ります)
⇒CoRich舞台芸術!
※チケット発売中!一般3,800円(全席指定)
彩の国さいたま芸術劇場といえば、平均年齢70歳の非職業俳優からなる劇団さいたまゴールド・シアターが大人気(過去レビュー⇒1、2)。年齢の幅がおよそ4世代に渡る、総勢86名の2つの演劇集団を率いることになった蜷川さんが、この企画の狙いと今後の展望を豪快に語ってくださいました。
※大切な言葉ばかりだったので削ることができず、とても長いレポートになっています。お時間のある時に覗いてください。
ポスター
≪作品紹介≫ プレスリリース等より
1962年に千田是也演出によって初演された福田善之の『真田風雲録』。“大坂の陣”を舞台に、真田幸村や真田十勇士の活躍とその死を描いた青春群像劇の傑作だ。また、猿飛佐助が特殊能力を持っていたり、劇中にロックやブルース音楽を大胆に取り込んだりなどの何でもありの自由な作風は、当時の観客を驚嘆させ、それ以降のアングラ演劇全盛期への扉を開いた画期的な作品としても知られる。
※若者が時代を切り開いていこうとした姿を描き、60年安保の時代背景が色濃く反映された群像劇(※は製作発表より)。
≪ここまで≫
■無名の若者に場を提供するのは公共劇場の役割
蜷川幸雄さん
蜷川「ゴールド・シアターを作った時から、若者たちの集団を作りたいという気持ちはありました。ゴールド・シアターが成長していくにつれて、若い世代と高齢者の世代、そのふたつを車の両輪のように持つことが健全な姿なのではないかと考えたんです。
また、テレビやその他のメディアが若者にスター(売れてる存在)としての場を与えることに対し、公共の劇場は、まだ無名で形をなしていない若者に場を提供する必要があります。若者が自由に自分たちの仕事場を獲得し、そこで自分たちの知識となる演劇を作ることができるように。」
蜷川「ゴールド・シアターはさいたまでしか出来ない、職業的な俳優とはまた違った価値を持った演劇集団へと成長しました。それは演劇の幅を広げる作業でもあった。だからネクスト・シアターも何年かの実績の積み重ねを経て、他の集団とは違うユニークな演劇上の主張を持つ、さいたま県民や観客の皆さんに必要とされる集団にしたい。」
■福田善之・作『真田風雲録』について
蜷川「『真田風雲録』は初演も観ています。テーマが対象化され、演劇が大衆化されていた。それまでにない演劇の形態だと思いました。日本でブレヒトをやったらこういう風になるんだなと。あれは日本の演劇における革命的な出来事だった。」
福田善之さん
福田「私が毎週教鞭をとっている桐朋学園で、昔、蜷川さんが大変きめ細やかに生徒を指導されていました。僕はそれに感銘を受けたので、今回も快く(脚本提供を)承諾しました。
『真田風雲録』で特に安保闘争のことを書いたつもりはないんです。ただ当時がそういう時期だったから。その時の現実が素直に(創作に)出る体質なので。また、子供の頃からやってみたかったことを(この戯曲で)やったという実感もある。今の若い世代は、知らないからこそ興味を持ってくれるんじゃないでしょうか。」
■劇と現実を合わせ鏡にして、真摯に考える機会に
蜷川「テレビや多くの流布されてるジャーナリズムを見ると、いつも“笑って”“食べて”いる。芸人が笑ってクイズをやって、ものを食べている。圧倒的に笑いと食物しかない中で、我々はもう少し、色んなことを真摯に考えることを恥ずかしがらなくていいじゃないかと思う。
歴史上の人々がどれだけ色んな事を考え、問い詰め、どういう行動を起こして生きてきたのか。世界中の激動が個人にどんな風に環ってくるのか。そういうことを合わせ鏡のように考えることがあってもいいんじゃないか。
だから60年代に限定して観ていただく必要は全くないと思っています。60年代の政治性にとらわれることなく、もう少し広い目で観ていただけたら。」
■日本の演劇に欠けている歴史の連続性
蜷川「我々は歴史の連続性というものを学んでいいんだと、若い世代に伝えたい。ゴールド・シアターでは若い劇作家が高齢者のために書く。ネクスト・シアターには比較的高齢の劇作家が作品を提供する。その2つを交差させることで、日本の演劇の欠けている部分が埋まっていくんじゃないかと考えています。私もゴールドで若い劇作家と仕事をし、ネクストで先行する世代の戯曲を選び、両世代の衝突を待っているんです。」
■ネクスト・シアターが目指す俳優像
蜷川「テレビを見ていると割と似た俳優が多い。ほとんどの顔が劇画と同じ顔をしている。それに対してノイズの多い身体、ノイズの多い顔がいいと思い、一般の規格や流布されている技術や印象からは少しはずれた、比較的個性的な、美しいばかりではない人を(笑)、集めました。」
蜷川「彼らはプレ稽古として殺陣・所作・歌唱の基礎訓練中です。今は学習塾の優等生のようですが、次第に日常的な課題に立ち戻ることが必要になってくる。なぜ発声が必要なのか、なぜ身体的な動きが必要なのかを、彼らはこれから役をやる中で、体にしみて発見していくでしょう。例えば発声練習の“いえあおう”はちゃんと言えるのに、なぜ欲望をもって語る言葉はきちっと言えないのか。そしてどういう風にして物を作っていくのかということも。」
蜷川「時代の空気をちゃんと身体に宿して、なおかつ古典的な、人間が普遍的に持続している時間の中で学んだものを合わせて演じ得る、そういう俳優が何人生まれるか。まずは3年間を目安に考えています。ゴールド・シアターの俳優は3年目にものすごく面白くなってきたんです。ゴールドの人たちでなければ発見できない演技をしはじめた。ネクストはこれからビシバシやりますので、3年後に何人残るか見ものですよ。どうぞ温かい声援を、そして批判はどんどん投げてきてください(笑)。」
【写真↓ ネクスト・シアターとゴールド・シアターを合わせると、80名以上!】
蜷川「こうやって挟まれると悪夢のよう。本当に、命が吸い取られる。」
■新しい時代の感性を持つ俳優に
蜷川「最近、道を歩いている時に誰かとぶつかりそうになっても平気な若者が多いですよね。ネクスト・シアターの俳優についても、殺陣などの基礎稽古はものすごく一生懸命やるし真面目だけれど、自分と同時に進んでいる自分以外のもの・ことを共有したいという気持ちや、それを勉強しようとする関心がない。素通りしてしまう。僕はそれを馬鹿だなと思うしイライラもする。ところが、一方でそれは、時代を間違いなく象徴しているんです。」
蜷川「パソコン、インターネット、携帯などの機械は、他者と共有することを間接的であっても成り立たせてしまうもの。でも演劇はそうはいかない。面と向かって他者と向き合わなければならない。生身の他者を必要とすることに直面できないのだったら、演劇なんか出来ないんです。
その相反するものを経験することによって、新しい時代の感性を持つ俳優が生まれる可能性がある。時代を反映しうる彼らの身体と精神を慎重に残しながら、他者への関心が不可欠である演劇を成り立たせる。それが僕の任務だと思っています。」
蜷川「もちろん僕は自分を絶対だとは思っていませんから、自分を問うための反対側の軸として、若者を置いているという意味もあります。一種の反射軸ですね。自分もそこで修正したい。彼らとの相互作用を生み出せるだけのエネルギーがあるジジイであればいいなと思っています。」
■若い演劇人が育つ場を確保したい
蜷川「最近の僕の関心は、俳優と戯曲の言葉です。いい俳優が育って劇をリードして、戯曲の言葉と俳優の肉体が前面に出てくるようになればいい。演出家は一種のオルガナイザーと言いますか、アジテーターであり続けられれば一番いいなと思っている。
それと同時に、2つの集団を用意することで、若い演出家や劇作家、スタッフが育つ場を確保したい。文化的にどんどん追い詰められている今の状況の中で、若者たちに場所を確保しておくことは、先行する演劇人の大事な役割。いずれ彼らが僕らに取って代わっていくんです。経済性だけじゃなく様々な問題を抱えながらも、それまでなんとかして場所を削らないようにがんばるというのが、もうひとつの野心と言えば野心かな。」
■新国立劇場演劇研修所の修了生(2期生)が7人参加
さいたまネクスト・シアターには、新国立劇場演劇研修所を修了したばかりの2期生が7人参加しています。
【写真左から:遠山悠介/深谷美歩/熊澤さえか/吉田妙子/美舟ノア/西村壮悟/西原康彰】
吉田妙子「同期の仲間とは研修所での共通言語があるので、わからないことがあった時に話し合うことができています。」
美舟ノア「ネクスト・シアターは今までに出会ったことのない方ばかりで刺激的です。そのおかげで研修所で3年間一緒だったメンバーでも、互いに新たな一面を発見することもあります。」
新国立劇場演劇研修所の生徒といえば、清潔感があって透き通るような存在感の俳優が多いように思います。比較的“プレーン”な印象の彼らとノイズに満ちた俳優との衝突もまた、ネクスト・シアターが生み出す化学反応となり、ごつごつとした手触りで一筋縄ではいかないエネルギーを放射してくれることと期待します。
出演:さいたまネクスト・シアター(浅場万矢/荒川結/池田仁徳/市川夏光/牛込隼/浦野真介/江間みずき/大橋一輝/織部ハル/川口覚/岸田智志/熊澤さえか/小久保寿人/木場允視/小林まり枝/西原康彰/佐々木美奈/下塚恭平/周本えりか/鈴木彰紀/鈴木明日香/鈴木拓朗/鈴之助/手打隆盛/土井睦月子/遠山悠介/中村千里/新澤明日/西村篤/西村壮悟/隼太/春木美香/深谷美歩/藤田美怜/堀源起/松田慎也/美舟ノア/茂手木桜子/本山里夢/矢部功泰/横田透/横山大地/吉田妙子/露敏)
ゲスト出演:横田栄司 原康義 山本道子 妹尾正文 沢竜二 ミュージシャン:鈴木光介 国広和毅 関根真理 中尾果
作:福田善之(ハヤカワ演劇文庫刊) 演出:蜷川幸雄 演出補 :井上尊晶 音楽:朝比奈尚行 美術:安津満美子 照明:岩品武顕 衣裳:小峰リリー 音響:高橋克司 振付:広崎うらん 殺陣:栗原直樹 所作指導:藤間貴雅 歌唱指導:伊藤和美 演出助手:藤田俊太郎 舞台監督:山田潤一 主催・企画・製作:財団法人埼玉県芸術文化振興財団
http://www.saf.or.jp/sanada/index.html
http://www.saf.or.jp/arthall/event/event_detail/2009/p1015.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月10日
ゴジゲン『ハッピーエンドクラッシャー』09/09-15シアターブラッツ
ゴジゲンは松居大悟さんが作・演出(出演も)される劇団です(⇒過去レビュー)。劇団といっても松居さん以外の俳優1人、専属制作1人の合計3人なので、公演ごとに出演者を集めるプロデュース形式の活動をされているんですね。
松居さんは弱冠23歳にしてNHKのドラマ脚本を書いたり映像の監督をしたり、商業ベースのお仕事も始められています。
痛い笑いでつらぬき通す、渋い青春ドラマでした。どちらかというと私はドタバタコメディよりもこちらの作風の方が好みですね。上演時間は約1時間50分。
⇒CoRich舞台芸術!『ハッピーエンドクラッシャー』
≪あらすじ≫
高校時代の仲間と半年ぶりに集まった。夏にみんなと会うのは毎年恒例だったんだけど、今年は1人だけ絶対に会えない奴がいる。
≪ここまで≫
舞台は北九州市のとある民家の縁側。細部まで作りこまれた具象美術です。シアターブラッツを奥行いっぱいまでは使っていないようですが、間口の狭さが気にならない上手な空間作りをされていたように思います。
高校卒業から半年経って再会する18~9歳の若者たち。たった半年とはいえ東京の大学に行っていたり浪人していたり、学生服を着てつるんでいた頃とは変わっています。
幸せな人が妬ましくて、その人の足を引っ張ったり、みんなでふざけながら罠にはめたり。気心知れた親友同士のはずなのに、トラブルの本質に迫る質問を笑ってはぐらかしたり、自分の気持ちをごまかすために、むやみにはしゃいだり暴れたり。若者らしいパワーと人間のみっともなさが炸裂します。
逃げたくても逃げられない。だったらむしろその問題と堂々とぶつかって玉砕し、今のもやもやした気持ちに整理をつけたい。でもそんな考えはただのエゴだともわかっている・・・。未熟で馬鹿だけど心優しい若者の葛藤を、直球で描いているように思い、好感を持ちました。
終演後のトークの様子から想像するに、おそらく作家さんは実体験をもとに書かれたのでしょう。素直で嘘がなくて、それゆえに納得できるドラマが生まれているように思いました。思い入れが強すぎたり、自意識過剰になることはなく、わいわいとバカ騒ぎをして盛り上がるシーンでも、ちゃんと人間を冷静に見つめる視線が感じられました。
ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。
成績優秀だった阿部君が、センター試験でのカンニングがばれて自殺してしまいます。阿部君にカンニングさせてくれと頼んだ5人の男の子たちは、ずっと消えない罪悪感にさいなまれてきました。ゲームにしか手がつかない浪人生になっていたり、大学生にはなったものの記憶障害をわずらっていたり。
紗幕に字幕を映して学生時代の自殺場面を再現した、ストレート・プレイらしいクオリティの高さに安心。
お笑いコンテストに出場するのが毎年の恒例行事だったので、縁側でお笑いの特訓をする元気な場面もあります。でもわざと笑えないようにして、「お笑い」自体の性質を浮き彫りにする演出にもなっていました。例えば面白くないネタでも無理やり大笑いするなど。
人間、一生もやもやした気持ちで生きていけるわけじゃないし(病気になるし)、理路整然とした正しい道をすっきりした気持ちで生き続けられるわけもありません。自分の気持ちをなんとか納得させて、ままならない人生を這いつくばって進んでいくしかない。対立する人間同士は、お互いの気持ちの落とし所が必要です。若者たちがそれを見つけるまでの七転八倒が、最後まできちんと描かれていて立派だなと思いました(えらそうな言い方ですみません)。
「セックスさせて。だって断れないんでしょ。」って、ひど過ぎて笑っちゃう(笑)。迫られた女の子がトンチンカンな返事ばかりするのも面白い。
「去年に戻りてー!」と叫ぶのが良かった。ほんとに去年は幸せだったんだよね。
やっと傷ついた心を開いて、憤りをぶつけてくれた阿部君のお兄さん。女の子が暴れるお兄さんの頭にスイカをぶつけて、「落ち着け!」と叫ぶのも良かった。
細かいことですが、洗濯物を朝まで干しっぱなしでいいのかな。ちょっと気になりました。
第7回公演
出演:出演 大村学 奥村徹也 加賀田浩二(飛ぶ劇場) 田中美希恵 西岡知美(カミナリフラッシュバックス) 貫井りらん(湘南アクターズ) 東迎昴史郎 平岩久資 目次立樹 松居大悟(“阿部正”の写真のみ)
脚本・演出 / 松居大悟 演出補 / 久保大輔 演出助手 / 青木直也 山腰宜正 舞台監督 / 川除学(至福団) 舞台美術 / 袴田長武+鴉屋 照明 / 伊藤孝(ART CORE) 照明操作 / 佐野由希子 音響 / 森優太 音響操作 / 角田里枝 音楽 / GosenfuStudio 映像 / 橋爪知博 衣裳 / 本間圭一 友達 / 北川隆来 宣伝美術 / 今城加奈子 WEB / 飯塚美江 制作協力 / 上野紗代子 北川未来 黒崎勇貴 星賀はるか 横田真理 和田吉孝 制作 / 半田桃子 武藤香織 青木栄介 安部未知子 熊野由香里 企画製作 / ゴジゲン
【発売日】2009/07/25 前売=2500円 当日=2800円 学割=2000円 平日昼割引=2200円 未就学児童の入場はご遠慮いただいております。
http://www.5-jigen.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月09日
【ワークショップ】チェルフィッチュ「ワークショップ参加者募集」※10/10(土)〆切
岡田利規さんが作・演出を手掛けるチェルフィッチュのワークショップが開催されます。出演者募集はなし。
毎週1回・全7回の2ヵ月間にわたるワークショップです。各10名ずつの2クラス開講。全7回で5,000円は格安ではないでしょうか。詳細は下記をどうぞ(公式サイトからの情報です)。
開催期間:10月末~12月中旬まで
応募締切:10月10日(土)
応募方法:メールのみ
■チェルフィッチュワークショップ開催!参加者募集!(公式サイトより)
この度、約2ヶ月間にわたるチェルフィッチュのワークショップを開催いたします。実施概要・応募方法の詳細をご確認の上、メールにてお申し込み下さい。皆様のご応募お待ちしております!
【実施概要】
日程:
①火曜日クラス:11月3日~12月15日 毎週火曜日、全7回
②木曜日クラス:10月29日~12月17日 毎週木曜日、全7回 ※11月19日は休み)
※火曜日クラスおよび木曜日クラスは同内容となります。
時間:火曜日クラス/木曜日クラスともに18:00~21:00
場所:急な坂スタジオ(横浜)
内容:チェルフィッチュのメソッドの実践(基礎からテキストを用いてみるところまで)
対象:表現活動に携わっている方
(初心者向けのワークショップではありません/通しで参加できる方を優先します)
定員:火曜日クラス/木曜日クラス 各10名(応募者多数の場合は書類選考により決定)
参加費:5000円(通し、全7回)をワークショップ初日に現金にてお支払い頂きます。
【応募方法】
以下の内容をinfo(アットマーク)precog-jp.netまで、メールにてご送信下さい
※今回はメールのみでの受付となります。メールでご応募できない方はお電話にてご相談下さい。
・お名前、ご住所、電話番号、携帯電話番号、メールアドレス(PC及び携帯)
・プロフィール/活動履歴 ・志望動機(400字~800字)
・①火曜日クラス/②木曜日クラスのご希望があればご記入下さい
★応募締め切り 10月10日(土)〆切
書類審査の結果は10月19日までにメールでお知らせいたします。
【お問い合わせ先】
プリコグ(担当:中島)
〒150-0001東京都渋谷区神宮前1-10-34-305
Tel&Fax:03-3423-8669
Email:info(アットマーク)precog-jp.net
http://precog-jp.net
主催:チェルフィッチュ O.P.E.N.
助成:文化庁人材育成支援事業 財団法人セゾン文化財団 アサヒビール芸術文化財団
協力:急な坂スタジオ
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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アイサツ『ロミオとハムレットの夢物語』09/08-13ギャラリーLE DECO 5F
アイサツは尾倉ケントさんが作・演出(出演も)される個人ユニットです。私は初見。タイトル通り、シェイクスピアの有名な戯曲数作をコラージュした作品でした。上演時間は約1時間40分。
尾倉さんは2006年からポツドールの演出助手をされており、ポツドール公演その他に出演されているのを何度か拝見していましたが、まだ24歳とお若いんですね。
⇒CoRich舞台芸術!『ロミオとハムレットの夢物語』
普段着に近い衣裳の若い役者さんたちが、「ロミオとジュリエット」「ハムレット」「真夏の夜の夢」「冬物語」の断片を上演していきます。若者らしい現代口語でシュール&コミカルに見せたり、客席に向かって長いセリフをしっかり語ったり。ちょっとしたメタ構造になるのも面白いです。
戯曲に共通する設定を利用して別々の物語をつなげていくのは、強引だったり既視感があったりして、途中で少々退屈に感じる瞬間もありました。でも、ちゃんと戯曲の肝になる部分を引用されていましたし、登場人物の役割や性格などもしっかり読み取られているように思いました。最後に驚かせてくれたのも良かったです。
“三顧の礼シリーズ”と銘打った古典を題材に創作する企画なんですね。1度目はチェーホフ、2度目(今回)はシェイクスピア。3度目は12月に同じ劇場にて「源氏物語」にチャレンジされるようです。
ここからネタバレします。
下手手前にずっとニンテンドーDSで遊んでいる青年がいます。上手奥には開演前の前説をしていた尾倉ケントさんが、音響オペレーターとして座っています。舞台中央でシェイクスピア戯曲が演じられていく中で、下手の現代口語演劇の世界と上手の現実世界から、時々ちょっかいが入ります。
ゲーム青年はシェイクスピアの劇世界に惹かれながらも、なるべく干渉しないように、傍観者の立場をつら抜こうとするのですが、登場人物(ロミオでありパックである男)と仲良くなったり、音響オペの尾倉さんからも話しかけられたりして、とうとう荒野に捨てられた赤ん坊を救ってしまいます(「冬物語」より)。そして赤ん坊ととても楽しい時を過ごします(一緒にDSをやる等)。
大筋は原作に忠実でしたが、最後は登場人物全員がバタバタと死んでしまうアンハッピー・エンドに作り変えられていました。フォーティンブラスがなぜか野球のバッターになっており、デッドボールを受けて倒れてしまうのに爆笑。
ゲーム青年はせっかく仲良くなった登場人物らが、あっけなく死体となって転がっているのを目の前にして、ショックを隠せません。やがて彼は劇を演じていた人たちの仲間に入りたいと言い出し、自分から部屋を出て動き始めます(ここでは野球の素振りを始める)。引きこもりだった若者が、他者および外の世界と関わっていこうと決心し、自分の力で歩き始めたように見えました。
蛇足ですが。開演前に流れていた「さらば恋人」(歌:堺正章)がいやに胸にしみてしまって。自分が年を取ったのは自覚してるつもりですが、なぜこんなにいいな~とか思っちゃうんだろう(汗)。思わずいろいろ検索⇒YouTube。
三顧の礼シリーズ その二※参戦作品「ロミオとジュリエット」「ハムレット」「真夏の夜の夢」「冬物語」
出演:鈴木幸一郎、野口卓磨、緑川陽介、宮崎圭史、宮崎晋太朗(新川崎芸術センター)、善積元、今井理恵、鈴木美穂、山本美緒、マッチョファイター 尾倉ケント
原作:シェイクスピア 脚本・演出:尾倉ケント 舞台監督:土居歩 美術:木下早紀 衣装:飯田裕幸 チラシイラスト:みかんp supervisor:吉村愛子(fantasista?ish.) 制作:安田裕美
前売2000円 当日2300円※受付開始は開演40分前、開場は開演時間の30分前を予定。※「泣いて馬謖を切る割引(早期割引)」…1800円。※「桃園の誓い割引割引(三名割引)」…3名様4500円。
http://aisatu.jp/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月08日
ロハ下ル『わるくち草原の見張り塔【男性編】』09/04-09青山円形劇場
【女性編】に続いて【男性編】を拝見。ほとんど同じ脚本で、特に別バージョンとリンクする要素はありません。おかげで男女が本来持っている性質の差がくっきりと出ていました。私はどちらかというと【女性編】の方がぞくぞくと怖くなるから好みかも。【男性編】を観たおかげで新たにわかったこともありました。
最初はとっつきにくく感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、人間の習性や現代社会を見事に風刺している戯曲だと思います。明日まで。
⇒木俣冬のブログ「紙と波」に感想あり。
⇒CoRich舞台芸術!『わるくち草原の見張り塔【男性編】』
仕事の優先順位の都合で、上演中にレビューを書くまでに進めない状況です・・・。
≪あらすじ≫
アメリカのどこか。米企業スプーン社の日本人社員が、広い草原の中のある施設に無理やり連れてこられた。遠くにそびえる見張り塔に家族や恋人が人質に取られているため、勝手に脱出はできない。また、非常に特殊なルールに従って生活することを強いられており・・・。
≪ここまで≫
ここからネタバレします。
手紙を届ける役割を果たすヒラタ(村上聡-)は、配給がないのに生き延びています(胸の番号も「5」なので、一番長く生き残っている)。実は殺されたオタクの体を食べていたんですね。最後のシーンがはっきりと見えたのでわかりました。座席によって見えなかったりするみたい。
スロウライダー初期の問題作、青山円形劇場で再演!男性編、女性編の2バージョンでお送りするロハ下ル版「蠅の王」
【男性編出演】カトウ(妻を塔に取られている):池田ヒロユキ(リュカ.)/ナカムラ(8歳の娘を塔に取られている):夏目慎也(東京デスロック)/イノウエ(日本語が話せない):數間優一/クロキ(ナカムラとじゃれ合う。ブイヤベースでかまをかける。パーマ。):板倉チヒロ(クロムモリブデン)/シブサワ(ルールを楽しんでいる様子。顔は笑っても目は笑わない。片足だけ白いソックス。):山縣太一(チェルフィッチュ)/ノミヤマ(缶けりの鬼):佐々木光弘(猫☆魂)/ニラザキ(最初に殺されるオタク):山中隆次郎/ヒラタ(手紙を届ける役目):村上聡-(中野成樹+フランケンズ)
作・演出:山中隆次郎 照明:伊藤孝(ART CORE) 照明操作:三浦詩織 音響:加藤温 音楽:佐藤こうじ(Sugar Sound) 映像:須藤崇規 舞台監督:西廣奏 衣装:中西瑞美 演出助手:田中慎一郎 制作補佐:池田智哉(feblabo) 票券管理:スギヤマヨウ(QuarterNote) フライヤーデザイン:仲麻香 DMデザイン:上田大樹(&FICTION!) web管理:栗栖義臣 記録映像:トリックスターフィルム 提携:青山円形劇場 企画・製作:ロハ下ル
【発売日】2009/08/15 前売3000円 当日3500円 男女両編セットチケット5000円(要予約・ロハ下ルのみ取り扱い)
http://www.lohakudaru.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月07日
柿喰う客『悪趣味』09/04-13シアタートラム
中屋敷法仁さんが作・演出・出演される柿喰う客は、活動開始から5周年を迎えた若手人気劇団です。第15回目を迎える本公演は、シアタートラムで10日間以上という長期間。おのずと期待も高まり、前売り券が割引(2500円)になっている初日に伺いました。上演時間は約1時間40分。
具象の装置が非常によく出来ていて、劇場に入るなり驚きました。シアタートラムでここまでギッチリと建てこんだものを観るのは久しぶりな気がします。チケット代が2000円代なのは格安です。物販も充実していて、私は300円の公演パンフレットを購入。
全配役をランダムに入れ替える(シャッフルする)「乱痴気」バージョンもあり(9/7の19:30&9/10の14:00)。私は怖いので行きませんが(笑)、ファンの方にはたまらない企画かも。
⇒CoRich舞台芸術!『悪趣味』←CoRichでカンタン予約!
≪あらすじ≫ 公式サイトより。
――北東北の山深き寒村、霧田村。
人を食い殺す“化け狐”伝説が残るこの村で
身元不明の惨殺死体が見つかった時
村人たちの運命の歯車は、少しずつ狂い始める―
≪ここまで≫
美術や照明などのスタッフワークがとてもハイレベル。ハードロック調の曲が大音量で鳴るのもイケてる感じ・・・なんだけど、内容はあえてB級。物語はタイトルどおり“悪趣味”な要素が多いです。でも、これまでの柿喰う客の作品に比べるとエロ度ひかえめ。登場人物は出演者26名(劇団員は8名)よりもずっと多くて濃いキャラクターばかりですが、チームごとにしっかり書き分けられているので混乱することはありません。
役者さんは激しく動き、早口でしゃべるものの、演技はストイックに制御されています。若さと勢いで突っ走って、飛んで歌って、観客を置いてきぼりにして勝手に遠くまで行ってしまうのではなく、緻密にこつこつ積み上げた稽古の成果が出ていたように思います。
ただ、志の高さに感心して役者さんの身体をじっくり眺めている内に、セリフを聞き逃したり。笑いどころを逃し続けたり。クオリティーは高いはずなのに、面白かったんだか面白くなかったんだか全然わからない(笑)。
若いからこそ出来る作風なのでしょうし、「乱痴気バージョン」といった豪快な企画を実行するのも、並はずれた遊び心の成せる業というか、向こう見ずというか(笑)。でも、「若さならではの歓迎すべき暴挙」と評するには、すでに実力が付き過ぎている気がします(おこがましいですが、ほめ言葉のつもりです)。
作品を公演へとパッケージ化することにも成功されていると思いますので、個人的には、作品の中身をより深めて行ってもらいたいと思います。例えば、これまた一観客のわがままですが、役者さんにもっと高いハードルを用意して、できるかどうかわからないギリギリのラインを見せてほしい。次の公演に、そして劇団の今後の方向性にも期待します。
ここからネタバレします。
ノンストップ(ちっさな休憩はありますが)の大騒ぎの奥にずっと流れていたテーマは親子の愛憎、恨みの連鎖などでしょうか。化け狐を退治した人間の男に狐ののろいがかかり、男が怪物(狐?)になってしまって村から出て行った後も、彼の妻と子供たちにはのろいがかかったまま。狐の子孫もまた復讐を企てており、怨念が世代を経て受け継がれていきます。
本編と関係ないのに無理やり挿入される河童(須貝英)コントは、とてもよく稽古されているのがわかる完成度。でも、おふざけであるとわかっていながら、全然笑えないんですよねー。役者さんのバッチリ決まったアンサンブルに見入ったり、中屋敷さんのギャグの成り立ちに感心したりしてる内に、通り過ぎてしまって(苦笑)。
いい感じ(なのかどうかはわからないけど)に力が抜けている人が出てくると、そこで観客もフっと息がつけて、笑いにつながることもありました(例えば中屋敷さんのゲイキャラ)。「笑えないのは失敗だ」とは思わないですが、演出意図がよくわからないままなのはもったいない気がします。
柿喰う客第15回公演 1年越しの新作本公演!! 飛び散る鮮血! こだまする悲鳴! 超B級アダルト×オカルト×サスペンス!!
出演:七味まゆ味 コロ 玉置玲央 深谷由梨香 村上誠基 本郷剛史 高木エルム 中屋敷法仁(以上、柿喰う客) 梨澤慧以子 國重直也 片桐はづき 須貝英(箱庭円舞曲) 齋藤陽介(ひょっとこ乱舞) 野元準也(ビビプロ) 出来本泰史(劇団Seven Stars) 高見靖二(チャリT企画) 佐野功 浅見臣樹 永島敬三 佐賀モトキ 伊藤淳二 川口聡 瀬尾卓也 柳沢尚美 熊谷有芳 渡邊安理(演劇集団キャラメルボックス)
脚本・演出:中屋敷法仁 舞台美術:泉真 照明:富山貴之 音響:上野雅 衣装:飯田裕幸 演出助手:伊佐美由紀 舞台監督:棚瀬巧+至福団 宣伝美術:山下浩介 宣伝写真:堀奈津美(DULL-COLORED POP/*rism) モデル:深谷由梨香 制作:赤羽ひろみ 主催・企画製作:柿喰う客
【発売日】2009/07/20 全席指定・税込【一般】前売 2,800円/当日 3,000円【学生】前売 2,000円/当日 2,300円 (※1)【団体】2,500円 (※2)【初日割引】2,500円 (※3)※1 劇団のみ取扱。受付にて要学生証掲示。※2 劇団のみ取扱(要予約)。3名様でご来場のお客様対象(お一人様2,500円)。※3 9/4(金)19:30の回のみ。一般は前売/当日ともに2,500円。
http://kaki-kuu-kyaku.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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青森県立青森中央高校『ともことサマーキャンプ』08/29国立劇場
第55回全国高等学校演劇大会三重大会の上位入賞校4校が、受賞作を国立劇場で上演しました。私は渡辺源四郎商店の畑澤聖悟さんが戯曲を書き下ろした、青森県立青森中央高校の『ともことサマーキャンプ』を拝見。上演時間は約1時間。⇒舞台写真
劇場入り口でマスクが配布されていました。劇場内で付けておいて、帰る時にゴミ箱に捨てるようにとのこと。新型インフルエンザ流行による厳戒態勢なんですね。
≪あらすじ≫ 当日配布のパンフレットより
サマーキャンプ!
夏の目差し。夏の海。さわやかな潮風。ビーチボール。
すいか割り。ビーチパラソル。花火。フォークダンス。くらげ。
海が俺たちを待っていたのになあ!
しょうがないじゃない。 ……あんなことがあったんだから。
≪ここまで≫
『ともこと…』は『親の顔が見たい』の裏側も見せる構成で、いじめ加害者の女子生徒らが登場します。生徒とその親を同じ役者が演じるのが面白いです。8/24までアトリエ・グリーンパークで上演されていた『河童』の出演者も大勢いました。演劇づくしの夏休みですね~!
それにしても国立劇場の舞台は間口が広い!客席も広いですから声も聞こえづらいですし、万全に準備するのはなかなか難しそう。
終演後すぐに高校生司会者による出演者および演出家へのインタビューがありました。観客からの質疑応答は興味深いものがありました。高校生はしっかり返答して立派だったと思います。⇒畑澤さんのブログ
チケット代は無料(ただしチケットがないと入場できません)。全席自由席と思いきや指定席でした。でも舞踊等が終わって演劇が始まる時になぜか指定席が解除。解除されたことを知らないまま、はじっこの指定席に座っていた私って・・・すごく損した気分。
どういう意図と効果があるのかわからないですが、指定席にするなら入れ替え制を徹底するなり、本気で取り組んでいただきたいですね。色んなジャンルの発表会をするので難しいのでしょうけれど。
【出演】イシオカ(学年主任):石岡洋平 ヨコオカ(校長):横岡舞子 シミズ(HRT、新任):清水ちえり ミナ/ミナの母:有馬三菜 カイ/カイの母:坂口海 サトミ/サトミの母:山内さとみ サツキ/サツキの母:櫻田沙月 ナツミ/ナツミの母:大崎捺未 ともこ/ともこの母:木村知子 タクミ/ホソヤ(新聞配達店長):細谷拓弥 その他:對馬宗輝 米村昌史 對馬俊樹 佐藤真琴 算用子夢 中島悠子 坂本有美華 木田彩織 吉田恭兵 岡崎涼太 奥崎愛野 松岡和 堤彩 松野えりか 藤林奈都美 小胆史
作/畑澤聖悟 演出/三田村菖 演出助手/中島悠子 舞台監督/有馬三菜 照明/比内郁里 河本祐美子 柴田顕人 音響/三上奏子 小道具/櫻田沙月 顧問/星村隆 木下和子
http://koenkyo.org/memorial/2009/2009mie/miemieindex.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月06日
【展覧会】チャリティ写真展「TOUCH WOOD」09/04-23パルコファクトリー(渋谷パルコパート1/6F)
お友達が関わっているチャリティ写真展「TOUCH WOOD」に伺いました。坂本龍一さんが発起人の1人であるmoreTreesの企画です。入場料500円は森づくり参加料。
黒い小さな箱入りの↓・・・
間伐材のUSBフラッシュメモリ(4500円)をゲット。さわり心地がいいです。
期間:2009年9月4日(金)~23日(水) 時間:10:00am~9:00pm
森づくり参加料:500円(税込)・小学生以下無料
主催:パルコ 企画・制作:more trees、ライトニング
http://www.more-trees.org/news/touch-wood.html
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Team申『狭き門より入れ』08/17-09/06パルコ劇場
佐々木蔵之介さんご自身のユニットTEAM申(ちーむ・さる)と、パルコのプロデュース公演です。作・演出はイキウメの前川知大さん。東京公演の千秋楽前日にやっと伺いました。上演時間は約2時間。
それぞれに出自の違う6人の役者さん(男ばかり)が個性を生き生きと発揮しながら、息の合った演技で現実と隣り合わせのSF世界を盛り上げてくださいました。前川作品では先月の『奇ッ怪』でメルマガ号外を出したばかり。ハズレがないのが凄い!
⇒CoRich舞台芸術!『狭き門より入れ』
≪あらすじ≫ 公式サイトより
人間は、いつの時代にも何か大きな存在に取捨選択を繰り返されていたら――。
それを知ってしまった人間は、どのように行動するのか――。
舞台は、ある街にあるコンビニエンスストア。
取捨選択される事実を知ってしまった男と、その周辺の人々は、
先にある道を自身たちの意思で選ぼうとする。
それぞれが思う「希望」とは……?
選ばれることが正しいことなのか、
生きる意味を賭けて、自分も人生の行く末を選ぶ、
より良い世界を目指し希望を求めてそれぞれの覚悟を見出すまでを描くSF劇。
≪ここまで≫
舞台はリアルなコンビニ。新国立劇場の『美女で野獣』(2001年)を思い出しました(あの装置は凄かった!)。映像と照明をわかりやすく効果的に使って、ごく身近な日常生活の表と裏を軽やかに実体化してくれます。コントみたいに笑わせてもらいつつ、究極の選択を迫られた登場人物に自分を重ね、私だったらどうなるか、どうするかと考えながら、物語の結末までわくわく楽しく拝見できました。
事情がわかっている人物と、全然わかっていない人物とが話す時のギャップがとても面白いです。一方は真剣に話しているのに、一方は意味がわからずトンチンカンな天然ボケをかましまくり。男ばっかりで遊び尽くして楽しそうっ!!(笑)
そして最後はグっと胸に迫る言葉もあって。充実のエンタメ演劇を堪能しました。
ここからネタバレします。
数十年かけてこっそりと“より良い世界”を作っておいて、あるタイミングで勝手にすり替える「世界の更新」が迫った地球。ただし新世界に移れるのは人類の6割。4割は崩壊する旧世界に残されてしまいます。同じ回を観ていた知人が「アセンション(Wikipedia)が題材になっているのかも」と教えてくれました。映画『FISH STORY』みたい。
『こぶとりじいさん』のたとえ話は少々唐突な気もしたけれど、わかりやすくて良かったです。私は共感しました。「仕方がないから」とか「○○のために」とか「誰かに頼まれたから」ではなく、ただ「好きだから」「楽しいから」「気持ちいいから」こそ起こる行動に、人は(世界は)動かされるのだと思います。もしかするとそんな気持ちこそが、信じるに足る唯一のものかもしれません。
手塚とおるさんがイスに登ってしゃがむのは『DEATH NOTE』のエルかしら(笑)。髪型もちょっと似てるし~。
「世界が欲しいのは願いではない。祈りだ。」
≪東京、岡山、大阪、広島、福岡≫
出演:佐々木蔵之介 市川亀治郎 中尾明慶 有川マコト 手塚とおる 浅野和之
脚本・演出:前川知大 [音楽]向井達也 [美術]土岐研一 [照明]原田保 [音響]原田耕児 [ヘアメイク]西川直子 [演出助手]長町多寿子 [舞台監督]林和宏 [宣伝美術]東學 [宣伝写真]谷敦志 [宣伝PR]ディップス・プラネット [制作協力]ケイファクトリー [製作]山崎浩一 [プロデューサー]松本あき子・尾形真由美 企画:Team 申 企画・製作:株式会社パルコ
【休演日】8/25(火)、9/1(火)【発売日】2009/06/13 7,500円(全席指定・税込)
http://www.parco-play.com/web/page/information/semaki/
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映画『水になった村』9/6(日)13:00モンベル渋谷店
観劇仲間からのお薦めで、ドキュメンタリー映画『水になった村』をモンベル渋谷店サロンで拝見。上映時間は92分。
中西監督ご自身が上映前と後に解説をしてくださり、より理解が深まりました。今後も自主上映が続くようです(⇒上映スケジュールはポレポレタイムス社サイトでも発表)。
ダム建設で集落が水没することは情報として知っていましたが、そのことが人間にどんな影響をおよぼすのかを、本当の意味で、教えてもらえたように思います。
演劇作品やワークショップを通じて徐々に感じとってきたことですが、やはり人間は1人ひとりが大切で、かけがえのない存在です。
「何か(誰か)を好きだということが、世界とつながる唯一の方法だ」と、先日ある演出家が話してくれたんですが、その通りだと思います。この映画でもまた、それを確認しました。
ここからネタバレします。
大西監督にたっぷりの手料理をふるまっていた老人たちが、故郷を去って移転してからは、来客にごちそうできなくなっていたのが悲しい。
朝日をあびて、一日を始めなきゃと思います。
大西暢夫監督作品。2007年/日本/カラー/92分/製作:ポレポレタイムス社/助成:芸術文化振興基金
料金:写真展は無料。上映会は一般1000円、モンベル会員800円
http://polepoletimes.jp/times/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月03日
ロハ下ル『わるくち草原の見張り塔【女性編】』09/03-08青山円形劇場
山中隆次郎さんが作・演出(出演も)されるロハ下ルの第二回公演は、男性編、女性編の2バージョン交互上演。スロウライダーの初期作品の再演です。公演初日の女性編を拝見。
ある隔離されたコミュニティーでエゴをむき出しにせざるを得なくなった女たち。ぶざまで哀れで、でもギラギラ、はらはらする姿が滑稽だったり可愛らしかったり。面白かった~!現代社会の風刺にもなっているように思います。男性版も観たいんだけど、行けても千秋楽かな・・・。上演時間は約2時間弱。
⇒CoRich舞台芸術!『わるくち草原の見張り塔【女性編】』
レビューは途中まで。加筆できるかどうかは未定。
≪あらすじ≫
アメリカのどこか。米企業スプーン社の日本人社員が、広い草原の中のある施設に無理やり連れてこられた。遠くにそびえる見張り塔に家族や恋人が人質に取られているため、勝手に脱出はできない。また、非常に特殊なルールに従って生活することを強いられており・・・。
≪ここまで≫
スロウライダー初期の問題作、青山円形劇場で再演!男性編、女性編の2バージョンでお送りするロハ下ル版「蠅の王」
【女性編出演】ナオミ(夫を塔に取られている):後藤飛鳥(五反田団)/サトノ(8歳の息子を塔に取られている):吉田久代/タカコ(日本語が話せない):岡村泰子(きこり文庫)/ユ力(高い地位の時はいばって、低い地位の時はこびる):光瀬指絵(ニッポンの河川)/アイ(ルールを楽しんでいる様子):山脇唯(ヨーロッパ企画)/キシガミ(缶けりの鬼):川上友里(はえぎわ)/マキノ(最初に殺されるオタク):山口奈緒子(明日図鑑)/チドリ(手紙を届ける役目):尾上紫
作・演出:山中隆次郎 照明:伊藤孝(ART CORE) 照明操作:三浦詩織 音響:加藤温 音楽:佐藤こうじ(Sugar Sound) 映像:須藤崇規 舞台監督:西廣奏 衣装:中西瑞美 演出助手:田中慎一郎 制作補佐:池田智哉(feblabo) 票券管理:スギヤマヨウ(QuarterNote) フライヤーデザイン:仲麻香 DMデザイン:上田大樹(&FICTION!) web管理:栗栖義臣 記録映像:トリックスターフィルム 提携:青山円形劇場 企画・製作:ロハ下ル
【発売日】2009/08/15 前売3000円 当日3500円 男女両編セットチケット5000円(要予約・ロハ下ルのみ取り扱い)
http://www.lohakudaru.net/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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2009年09月01日
メルマガ 2009年09月のお薦め舞台
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2009年9月のお薦め舞台10本+αをご紹介します。
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“しのぶの演劇レビュー” Vol. 64 2009.9.01 1,407部 発行
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今、面白い演劇はコレ! 年200本観劇人のお薦め舞台♪
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◎とうとう夏が終わっちゃいました・・・旅行で散財しちゃったので
9月はチケット代を抑えたいと思ったのですが、なんだか大手の
面白そうな作品がいっぱい!困ったっ!!
舞台には、あなたの心を揺さぶり、
人生の輝きを増してくれる奇跡があります。
“今から観られる面白い演劇”をご紹介します。
お友達、ご家族、恋人と一緒に、どうぞ劇場を訪れてください♪
◎メルマガのバックナンバー↓は全て公開しています。
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
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○○ 今回のもくじ
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◆1【今月のお薦め10本+α】
◎No.1→Bunkamura『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ』
09/12-10/04シアターコクーン
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_coast.html
◆2【先月のベスト3】
◎No.1→渡辺源四郎商店・中学生演劇体験ワークショップ
『ココロとカラダで考える差別といじめ-7日で作る「河童」-』
08/16-23アトリエ・グリーンパーク
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0819125057.html
◆3【「フェスティバル/トーキョー09秋」のチケット発売開始!】
◎いよいよ9/5(土)より前売り開始。ご予約はお早めに!
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0808221325.html
◆4【編集後記】
◎8月は福岡と青森を旅行しました。
◎おすすめ舞台中継 on TV
◆5【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
◎はじめての方はどうぞお読みくださいね♪
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◆1 【今月のお薦め8本+α】
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▽★印がいちおし公演です(3本)。
▽初日の早い順に並べています。
▽掲載内容:主催/冠名・『題名』・日程・会場・価格・URL
▽座種の記述がない公演は全席指定。
1.アトリエ・ダンカン『音楽劇「トリツカレ男」』
09/04-13天王洲 銀河劇場
≪東京、福岡、愛知、大阪≫
☆出演:出演:坂元健児/原田郁子/浦嶋りんこ/小林正寛/他
脚本:倉持裕 演出:土田英生 原作/いしいしんじ 振付/小野寺修二
一般7,000円/カジュアルシート5,000円/学生券4,000円
※未就学児童は入場不可の場合あり。
http://www.duncan.co.jp/web/stage/toritukare/index.html
人気小説を倉持裕さんが戯曲化し、土田英生さんが音楽劇へと演出。
クラムボンの原田郁子さんの歌声が楽しみ!豪華キャスト。
2.青年団+南河内万歳一座共同企画:青年団プロジェクト公演
『青木さん家の奥さん』09/11-27こまばアゴラ劇場
≪大阪、東京≫
☆出演:申瑞季 田原礼子 村井まどか 山本雅幸 海津忠
木引優子 桜町元 畑中友仁
脚本:内藤裕敬(南河内万歳一座) 演出:平田オリザ
日時指定・全席自由・整理番号付 前売・予約・当日共3,500円
学生・シニア(65歳以上)2,500円 高校生以下1,500円
セットチケット6,000円(南河内万歳一座『S高原から』とのセット)
※南河内万歳一座『S高原から』は9/2~8にこまばアゴラ劇場にて上演。
※未就学児童の入場不可。
http://www.seinendan.org/jpn/info/info090528.html
南河内万歳一座(大阪)の即興芝居の名作を、
現代口語の緻密な会話劇を作ってきた青年団(東京)が上演。
対して南河内万歳一座は青年団の代表作『S高原から』を上演するという、
“東西異種格闘技戦”なる企画です(笑)。
両作品概要:http://www.banzai1za.jp/s/sakuhingaiyo.html
★3.Bunkamura『コースト・オブ・ユートピア-ユートピアの岸へ』
09/12-10/04シアターコクーン
第一部:VOYAGE「船出」/第二部:SHIPWRECK「難破」/第三部:SALVAGE「漂着」
☆出演:阿部寛、勝村政信、石丸幹二、池内博之、別所哲也、長谷川博己、
紺野まひる、京野ことみ、美波、高橋真唯、佐藤江梨子、水野美紀、
栗山千明、とよた真帆、大森博史、松尾敏伸、大石継太、横田栄司、
銀粉蝶、毬谷友子、瑳川哲朗、麻実れい 他
脚本:トム・ストッパード 翻訳:広田敦郎 演出:蜷川幸雄
通し券(土・日・祝)およびセット券(平日)↓は取扱終了。
※セット券のみ取扱終了。(2009/09/02訂正。申し訳ございませんでした。)
S29,000円 A24,000円 コクーンシート15,000円
各部券(平日・残席ある場合)は↓
S10,000円 A8,000円 コクーンシート5,000円
http://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/shosai_09_coast.html
Bunkamura20周年記念特別企画は、蜷川幸雄さんが演出する9時間の超大作。
●お薦めポイント●
2002年にロンドンで初演されたトム・ストッパードさんの戯曲は、
19世紀のロシアを30年に渡って旅する、壮大な歴史ロマンだそうです。
超豪華キャストが演じる登場人物は70名以上!
シアターコクーンでは2000年にも三部作『グリークス』↓を上演。
http://www1.linkclub.or.jp/~hyaku/sasabe/next/greeks/index.html
観客も体力をつけて臨みたいものです!!
4.パルコ『中国の不思議な役人』
09/12-10/04パルコ劇場
☆出演:平幹二朗 秋山菜津子 岩松了 小野寺修二 春海四方 吉田メタル
内田淳子 町田マリー エミ・エレオノーラ 初音映莉子 高山のえみ 他
脚本:寺山修司 演出:白井晃 音楽:三宅純 振付:小野寺修二
8,400円
http://www.parco-play.com/web/page/information/fushigi/
1977年初演の寺山修司戯曲を、32年ぶりに白井晃さんが演出。
演劇界の大御所やオペラ歌手、大駱駝艦のメンバーなど、
大胆なキャスティングに目がチカチカしちゃう!渋谷で超アングラ?!
5.流山児★事務所『ワールドツアー2009「ハイライフ」』
09/17-23シアターイワト
≪カナダ、マカオ、台湾、東京≫
☆出演(オリジナル):若杉宏二 小川輝晃 保村大和 塩野谷正幸
出演(アナザー):谷宗和 甲津拓平 里美和彦 イワヲ
作:リー・マクドゥーガル 翻訳:吉原豊司(第9回湯浅芳子賞受賞)
上演台本・演出:流山児祥 音楽:トムソン・ハイウェイ
一般3500円 学生3000円 2バージョン通し券6000円
http://www.ryuzanji.com/
2001年と2003年に戯曲、演出等にて多くの賞を受賞した作品の再演です。
4人のジャンキーを汗だくで演じる役者さんの身体は圧巻。
カナダ戯曲の面白さを鮮烈に届けてくれます。
2003年(再演)のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2003/1213142401.html
6.ホリプロ『ネジと紙幣 based on 女殺油地獄』
09/17-27天王洲 銀河劇場
≪東京、宮城、富山、愛知、大阪≫
☆出演:森山未來 ともさかりえ 長谷川初範 田口浩正 根岸季衣
長谷川朝晴 江口のりこ 細見大輔 野間口徹 満島ひかり 小林高鹿 他
脚本・演出:倉持裕
S席8,000円 A席6,000円
http://www.neji.ne.jp/
倉持裕さんが近松門左衛門作「女殺油地獄」をもとに新作を書き、演出。
華やかな若手キャストと、どんなストレートプレイを生み出してくれるのか。
原作ありとはいえ、『音楽劇「トリツカレ男」』も倉持さんの新作ですね。
7.燐光群『BUG(バグ)』
09/18-30ザ・スズナリ
≪東京、大阪、愛知≫
☆出演:美保純 大西孝洋 猪熊恒和 川中健次郎 宮島千栄
脚本:トレイシー・レッツ 上演台本・演出:坂手洋二
前売3,600円 当日4,000円 ペア6,600円(前売・予約のみ)
大学・専門学校生3,000円 高校生以下2,000円(学生券は前売・当日共通)
http://www.alles.or.jp/~rinkogun/bug.html
ピューリッツアー賞、トニー賞受賞作家の戯曲を坂手洋二さんが演出。
美保純さんを主演に迎えた、少数精鋭の燐光群公演はぜひ観たい。
8.大人計画『サッちゃんの明日』
09/18-10/11シアタートラム
≪東京、大阪、北九州≫
☆出演:鈴木蘭々 宮藤官九郎 猫背椿 皆川猿時 星野源
家納ジュンコ 小松和重 松尾スズキ
脚本・演出:松尾スズキ
前売6,200円 当日6,500円 未就学児童の入場不可。
http://www9.big.or.jp/~otona/nextsachan.html
松尾スズキさんが3年振りに大人計画に書き下ろし、演出する新作。
次々と驚くことをやってくれそうな剛腕キャスト陣ですね。
9.ナイロン100℃『世田谷カフカ』
09/28-10/12本多劇場
☆出演:三宅弘城、中村靖日、横町慶子、ナイロン100℃劇団員、ほか
脚本・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
6800円
http://www.sillywalk.com/nylon/
副題は『フランツ・カフカ「審判」「城」「失踪者」を草案とする』。
ケラさんのお芝居はコンスタントに高品質。
カフカの未完作を題材にした新作となると、これまた必見。
10.松竹・InoueKabuki Shochiku-mix『蛮幽鬼(ばんゆうき)』
09/30-10/27新橋演舞場
≪東京、大阪≫
☆出演:上川隆也 稲森いずみ 早乙女太一 橋本じゅん
高田聖子 粟根まこと 山内圭哉 山本亨 千葉哲也 堺雅人 他
脚本:中島かずき 演出:いのうえひでのり
1等席:12,600円 2等席:7,500円 3階A席:6,300円 3階B席:3,500円
http://banyuki.com/
中島かずきさんの脚本をいのうえひでのりさんが演出。
劇団☆新感線の黄金コンビに、上川隆也さん、堺雅人さんら
豪華キャストが揃いました。新橋演舞場の花道も楽しみ!
★★★──────────────────────────────
前売3000円以下の気になる作品を5本ご紹介します。
──────────────────────────────★★★
【1】ロハ下ル『わるくち草原の見張り塔』
09/03-09青山円形劇場
☆脚本・演出:山中隆次郎
前売り3,000円 当日3,500円 男女両編5000円
http://www.lohakudaru.net/
男性編、女性編の2バージョン公演。またもや垂涎もののキャスティング。
身体性へのアプローチをより先鋭化させる問題作になりそう。
【2】柿喰う客『悪趣味』
09/04-13シアタートラム
☆脚本・演出:中屋敷法仁
【一般】前売2,800円/当日3,000円【学生】前売2,000円/当日2,300円
【団体3名様】2,500円【初日割引】2,500円
http://kaki-kuu-kyaku.com/
飛ぶ鳥落とす勢いが止まらない若手劇団の新作。シアタートラムでの
10日間公演は「超B級アダルト×オカルト×サスペンス」だそうな。
【3】サスペンデッズ『夜と森のミュンヒハウゼン』
09/11-20三鷹市芸術文化センター 星のホール
☆脚本・演出:早船聡
全席自由 前売2,500円 当日3,000円
http://www.suspendeds.net
早船聡さん率いるサスペンデッズの新作。
前回公演でメルマガ号外↓を発行しました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0125021311.html
Mitaka"Next"Selection 10th.参加作品です。
【4】新国立劇場演劇研修所『朗読劇 少年口伝隊一九四五』
09/18-20新国立劇場 小劇場
☆作:井上ひさし 演出:栗山民也 ギター:宮下祥子
出演:新国立劇場演劇研修所3期生
A席2,000円 B席1,500円
http://www.nntt.jac.go.jp/season/updata/20000261_play.html
日本唯一の国立の俳優学校のレパートリーとなった朗読劇です。
今年修了した2期生に変わって、3期生が出演します。
毎夏上演してもらいたい戯曲です。昨年のレビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0917220208.html
★【5】ハイバイ『て』
09/25-10/12東京芸術劇場 小ホール1
☆脚本・演出:岩井秀人
全席整理番号付き自由席一般 前売:3300円 当日:3500円
プレビュー 前売・当日共:2000円(9月25日、26日各回100枚限定)
http://hi-bye.net
岩井秀人さんの自伝的作品の再演。メルマガ2009年8月号の
お薦め前売り情報に掲載しました。2008年初演の記録↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2008/0618235951.html
ハイバイは東京芸術劇場“芸劇eyes”に選ばれています。記者発表↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0703234935.html
爆笑しながら、ひりひりと心が痛くなる、リアルな家族劇です。
初日と2日目は早々に完売。ご予約はお早目に!
≪ダンス、ミュージカル、その他≫
○吾妻橋ダンスクロッシング実行委員会『吾妻橋ダンスクロッシング』
09/11-13アサヒ・アートスクエア
☆出演:飴屋法水 いとうせいこう contactGonzo チェルフィッチュ
Chim↑Pom 鉄割アルバトロスケット ハイテク・ボクデス
快快(faifai) 康本雅子 Line京急 ほうほう堂
一般3500円/学生3000円/当日4000円
全席自由。チケット記載の整理番号順に入場。
http://azumabashi-dx.net/
元祖パフォーマンス・フェス。超豪華出演者!
○パルコ『英国ロイヤル・オペラ・ハウス版
「兵士の物語 The Soldier's Tale」』09/11-16新国立劇場 中劇場
≪東京、大阪≫
☆出演:アダム・クーパー ウィル・ケンプ マシュー・ハート
ゼナイダ・ヤノウスキー
音楽:ストラヴィンスキー 原作:アファナシェフ
脚本:ラミューズ 振付・演出:ウィル・タケット
S席10,500円/A席8,400円/B席6,300円/SS席12,600円
http://www.heishi.jp/
英国ロイヤル・オペラの引っ越し公演。
アダム・クーパーさんというと『危険な関係』↓も素晴らしかった。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0127005203.html
ウィル・ケンプさんは『愛と幻想のシルフィード』↓等で観ています。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0623232954.html
★○TBS『ミュージカル「UMOJA(ウモジャ)」』
09/19-23赤坂ACTシアター
☆製作:トッド・トワラ&テンビ・ニヤンデニ 振付:トッド・トワラ
一般9,500円 ペア券19,000円 上演時間:約150分/字幕解説付き
http://eplus.jp/umoja/
チラシやウェブサイト用の作品紹介文を書かせていただきました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0426182918.html
はじめて観た時にとても感動して、メルマガ号外↓を出したんです♪
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2004/1023020150.html
席種の差はなく一律9,500円なので、ご予約はお早めに!
○桜美林大学パフォーミングアーツプログラム
別役実講演会「別役実 ―その創作の源―」
9/13(日)14:00~@PRUNUS HALL(桜美林大学内)
☆出演:別役実 高瀬久男
予約1,500円 当日2,000円
講演会と演劇公演のセット割引あり。
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=15663
別役実さんの講演です。学生の企画なのが素晴らしいですね。
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◆2 【先月のベスト3】
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1.渡辺源四郎商店・中学生演劇体験ワークショップ
『ココロとカラダで考える差別といじめ-7日で作る「河童」-』
08/16-23アトリエ・グリーンパーク
☆現役中学生が差別といじめをテーマにした芝居を7日間で創作&発表。
中学生の目覚ましい進化に毎日驚かされ、幸せでした。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0819125057.html
2.東京芸術劇場『ザ・ダイバー 日本バージョン』
08/20-09/20東京芸術劇場小ホール1
☆成熟した大人が満足できる、芸術性も娯楽性も兼ね備えた高品質のお芝居。
完売でなければメルマガ号外を出すところ。9/20(日)まで上演中!
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0828232929.html
3.CASTAYA PROJECT『"Are You Experienced?"』
08/10-11, 24-25こまばアゴラ劇場
☆“演劇”の実体を目で見て、手にとって、体に浴びたような体験。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0827113555.html
飴屋法水演出『3人いる!』は数バージョン観たくなりました。
木山事務所『出番を待ちながら』では笑いの場面で何度も落涙。
◎メルマガのバックナンバーはこちら↓で全て公開中!
http://archive.mag2.com/0000134861/index.html
メルマガ号外は誰が観ても楽しめそうなものを選んで発行しています。
2009年8月(観劇数20作品・24本)は残念ながら発行しませんでした。
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◆3 【「フェスティバル/トーキョー09秋」のチケット発売開始!】
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◎のべ6万人を集客した「フェスティバル/トーキョー09春」↓に続き、
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0330111410.html
10月から「フェスティバル/トーキョー09秋」が開幕します。記者発表↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0808221325.html
●「フェスティバル/トーキョー09秋(F/T09秋)」
http://festival-tokyo.jp/
開催期間:2009年10/23(金)~12/21(月)
メイン会場:東京芸術劇場、にしすがも創造舎、あうるすぽっと、
シアターグリーン、世田谷パブリックシアター
【チケット情報】
2009年9/5(土)より一般前売り開始。
F/Tオンラインチケット↓では9/1(火)から先行予約開始!
http://festival-tokyo.jp/ticket/
3演目、5演目、10演目のお得な回数券は、
今回も売り切れ必至でしょう。ご予約はお早めに!
◎チケット一般発売日にプレトーク・イベントが催されます。
http://festival-tokyo.jp/event/pretalk/
F/T09秋プレトーク『リアルは進化する―検証!F/Tラインナップ』
日時:2009年9/5(土)19:30~21:00(開場19:00~)
会場:自由学園明日館 講堂
司会:佐々木敦(批評家、エクス・ポ編集長)
出演:松井周(サンプル主宰・演出家)
相馬千秋(F/Tプログラム・ディレクター)
参加申し込みはこちら↓ 現地でチケット予約もできます。入場無料。
http://festival-tokyo.jp/event/pretalk/form.html
世界最先鋭の話題作をはじめ、注目のアーティストによる新作も多数。
「絶対観たい!」と思った演目を数えたら、すでに10本以上(笑)。
またもや東京にF/Tの嵐が吹き荒れそうです!
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◆4 【編集後記】
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◎8月は福岡と青森を旅行しました。飛行機の国内線にも慣れたかも♪
福岡では『漂流画祭』というイベントを拝見。元気をもらいました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0805220958.html
青森には長期滞在して、休暇と旅行の効用を実感できました。
めざせ!心にゆとりのある生活!!
◎今月のNo.1、No.2だった中学生WS『河童』と『ザ・ダイバー』は
数日間で作った素人中学生の発表会と、一流のプロが練り上げた
高品質の作品ですので、いわば演劇の両極端。
同列には並べられませんが、両方素晴らしかったんです。
なんとかわかりやすいジャンル分けができないものかしらね~。
◎前川知大さんが原作を手掛ける漫画・連載中!
9/3(木)発売号で一旦お休みのようです。
週刊モーニング『リヴィングストン~LIVINGSTONE』
原作:前川知大(劇団イキウメ)
漫画:片岡人生(「交響詩篇エウレカセブン」他)
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0820101007.html
◎おすすめ舞台中継 on TV
【NHK BS2】 9/12(土)午前0:45~(11日深夜)
ラッパ屋『ブラジル』(2009年)
http://www.nhk.or.jp/bs/mdstage/
トークのゲストは演出家の鈴木聡さん。
【NHK BS2】9/19(土)午前0:45~2:49(18日深夜)
子供のためのシェイクスピアカンパニー『リチャード三世』(2006年)
http://www.nhk.or.jp/bs/mdstage/ レビュー↓
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2006/0715181006.html
◎新国立劇場演劇『ヘンリー六世』10/27-11/23新国立劇場中劇場
http://www.atre.jp/henry/ ↓制作発表の写真レポート
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2009/0722140105.html
シェイクスピア戯曲の3部作連続9時間上演という日本演劇界の大イベント。
チケット発売中!
◎地方新聞に掲載される新作邦画DVDの紹介記事を書いています。
2009年8月は下記の5作品を拝見しました。
・「プライド」←演出は変だけどストーリーは面白い。満島ひかりさんが素敵!
http://www.movies.co.jp/pride/
・「罪とか罰とか」←ケラさん脚本・監督作品。2度目でも面白かった!
http://www.tsumi-batsu.com/dvd/
・「少年メリケンサック」←ん~色々やり過ぎであんまり。
http://www.meriken-movie.jp/
・「ハルフウェイ」←可愛い高校生たち。それだけでいいッス。
http://halfway-movie.jp/
・「フィッシュストーリー」←最後に感動。でも『アヒルと鴨…』の方が好き。
http://fishstory-movie.jp/
◎新聞・雑誌などに執筆する仕事をしています。
お仕事のご依頼はこちらへ↓お気軽にどうぞ♪
http://www.shinobu-review.jp/contact/
◎「CoRich(こりっち)舞台芸術!」で
いつ、どこで、何が上演されているのかを簡単検索!
感想も書き込めますよ♪
http://stage.corich.jp/
メンバー登録はこちら↓
http://www.corich.jp/stage/user_register.php
携帯サイトもあります⇒ http://corich.jp/m/s
◎「劇場に足を運ぶことが、日本人の習慣になって欲しい」
それが私の望みです。
これからもこつこつ、地道に続けて行きたいと思っております。
皆様、どうぞよろしくお願いいたします♪
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◆5 【このメルマガについての注意事項(毎月同じ内容です)】
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このメルマガは、高野しのぶの演劇への情熱で書かれています。
沢山の人に演劇に触れてもらいたい! ので、クチコミ・転送 大歓迎です♪
☆ご友人、お知り合いにどうぞこのメルマガをご紹介ください!
【面白い演劇を紹介してるメルマガはコレ!】
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