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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年10月11日

劇団劇作家『劇読み! vol.3「短編連続上演」』10/07-12 Taccs1179

 劇団劇作家はその名のとおり劇作家の劇団です。『劇読み!』シリーズでは複数の戯曲を朗読形式で上演します(過去レビュー⇒)。今回は合計7作品です。

 朗読と言っても照明、音響がありますし(簡単だけど衣裳も)、役者さんは本を持ちながら動いて演技もしますから、演出も見どころの1つだと思います。

 劇団員の中には戯曲執筆の依頼を受け、実際に上演されることも増えてきているようです。“継続は力なり”ですね。今回は“短編3本”を拝見。演出は関根信一さん。上演時間は約1時間半。

 ⇒CoRich舞台芸術!『劇読み! vol.3

 vol.1、vol.2にも伺ったので、私の中でこの企画についての前知識があるせいだと思いますが、今回は、物足りなさを強く感じてしまいました。短編集だったからかもしれませんが。
 達者な役者さんが揃っているので「戯曲を読む」ことについてはそれほど問題は感じないのですが、やはり演出および作品の完成度はいま一歩のところ。

 一公演中にたくさんの戯曲を上演するので、それぞれの作品について十分な稽古をするのが難しいのかもしれません。役者さんは数作品に出演し、多くの役を演じるので、準備も大変でしょう。でも観客に不満を感じさせてしまうのは良くないと思います。今後改善されて欲しいです。

 チラシに「戯曲のデパートあらわる!」と書かれていますから、そもそも戯曲を買い取りたい人(作り手)向けの企画だと思った方がいいのかもしれませんけど。

 ここからネタバレします。

・「ムラサメ」作=坂本鈴
 ≪キャッチコピー:血を浴びる程切れ味を増す妖刀のように、女を抱く程モテる男。≫

 女をモノにすることをノルマにした男(はなたろう)と、男にコクらせて振ることをノルマにした女(小泉真希)の対決。
 漫画みたいなエンタメとして楽しく拝見。効果音も音響もサービス満点。エビマヨちゃん(小泉真希)が可愛かったです。


・「どっきり地獄」作=黒川陽子
 ≪キャッチコピー:漫才コンビを襲った解散危機は怒涛のミザナビームの幕開け!≫

 漫才コンビ(はなたろう&高橋義和)が“どっきり”に引っかかる話から、登場人物は実は漫才コンビではなく、素人だった、いや動物だった、いや太陽だった!、と奇想天外な方向に進みます。
 やっぱり黒川陽子さん(『ハルメリ』で第13回劇作家協会新人戯曲賞)の戯曲は面白いなー。


・「幕切れ」作=相馬杜宇
 ≪キャッチコピー:離婚届を出しに行く車内。赤子、カルピス、ポテトチップス。≫

 岸田國士『紙風船』をモチーフにしたとのこと。場面がずっと車内なのを退屈に感じてしまったのは、セリフで『紙風船』と言ってしまったからじゃないかしら(『紙風船』は空想の中でいろんな場所に移動します)。登場人物(夫婦:三原玄也&河合杏奈)が2人とも舞台俳優であるというのも、内輪ウケに感じちゃいました。

 かたくなに夫を拒絶していた妻ですが、最後の最後に「このまま東京に出て再出発しようか」という気が一瞬だけよぎったんだと思います。なのに、夫の「携帯忘れた」という情けない一言で“幕切れ”。ストンと落ちなくて残念。たぶん妻の気持ちがゆらいだのが伝わらなかったんじゃないかなー。

 夫役の三原玄也さんの演技がとても良かったです。三原さんは3作品とも、演じる役について深いところまで作り込んでいる印象。「どっきり地獄」の居酒屋の店員役も面白かったな~。

 ≪ポスト・パフォーマンス・トーク≫
 【司会】篠原久美子 【ゲスト下手から】関根信一(演出家、劇作家、俳優)、小泉真希(俳優)、玉塚充(プロデューサー)、相馬杜宇(劇作家)、黒川陽子(劇作家)、坂本鈴(劇作家)

 この企画および劇団員(劇作家)の宣伝トークになってしまっていたんじゃないでしょうか。
 ゲストの玉塚充さんの切り口が面白かったです。

出演=及川陽葉 河合杏奈 小泉真希 高橋義和 はなたろう 三原玄也
総合演出:篠原久美子 演出=関根信一(劇団フライングステージ) 藤井ごう(R-vive) 山本健翔 舞台監督:木村篤(SEVENTH FIELD) 照明:瀬戸あずさ 音響:青木タクヘイ((株)ステージオフィス) 方言指導:根本豊 宣伝デザイン:atelierKINOco inc. 予約管理システム:シバイエンジン 企画・製作:劇団劇作家 協賛:TACCS1179 主催:劇団劇作家
【発売日】2009/08/07各ステージ券(自由席)/2,000円 シンポジウム/1,000円 全日程フリーパス/5,000円
http://www.gekisakka.net/

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年10月11日 00:57 | TrackBack (0)