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Shinobu's theatre review
しのぶの演劇レビュー
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REVIEW

2009年10月25日

五反田団『生きてるものか』10/18-11/01東京芸術劇場小ホール1

 五反田団は前田司郎さんが作・演出・出演される劇団です。前田さんは小説家としても有名で、今年、三島由紀夫賞を受賞されました。

 この公演は岸田國士戯曲賞受賞作『生きてるものはいないのか』(⇒初演レビュー)と、新作『生きてるものか』の2作を同時に上演する企画。ハイバイ『』に続く、野田秀樹芸術監督が率いる東京芸術劇場の“芸劇eyes”です(⇒記者発表)。

 『生きてるものか』の上演時間は約1時間20分。スケジュールの都合で『生きてるものはいないのか』は観られなさそう・・・。

 ⇒CoRich舞台芸術!『生きてるものか

 ≪あらすじ≫
 舞台上に眠る人々。どうやら原因不明の病で死んでいる?死体が次々と生き返っていく。
 ≪ここまで≫

 しばらく観ていれば演技の法則も、どういう流れで劇が進んでいくのかもわかってきます。でもワン・アイデアでは終わらないし、じわじわと伝わってくるものがあるから素敵。役者さん1人ひとりの個性も楽しめました。

 死んでいる(死んでいく)人を見つめることで、少なくとも自分が生きていることは実感できます。そして自分の命の意味や意義、目の前にいる誰か(役者さんでも自分の友人でも)との関係についても、今までとは違った感覚でとらえ直す機会になると思います。いや、単に生きてて良かったな、とか、私って幸せだな、とかなんですけどね、私の場合(笑)。

 ここからネタバレします。セリフは正確ではありません。

 死体が累々と転がっている場面から幕開け。徐々に時間をさかのぼっていきます。役者さんの中では前田司郎さん、菅原直樹さんが特に印象に残りました。

 女流画家と美術関連雑誌の編集者(菅原直樹)との、ひとめぼれの場面にうっとり。紅葉した木の葉がぱらぱらと落ちてくる景色が目に浮かびました。彼らに間もなく死が訪れるのを知っているので、ちょっぴり切ない。

 革命家を自称する男・小石川(前田司郎)こそが、殺人ガスをバラ巻いた犯人だろうと匂わせますが、小石川が発明したのは新種の漬物だったことが終盤でわかります。背が高くて坊主頭の、大原と名乗る学生風の男(枡野浩一)が漬物屋の息子で、彼と共同開発したんですね。大原役の枡野さんは詩人で、今回が初舞台とのこと。声の出し方や全体の風貌が可笑しかったです。

 身重の妻とその夫(飯田一期)がお腹の中にいる子供のことを話しながら終幕。夫「この小さな命は、ここ(胎内)に来るまでどこにいたんだろう」 妻「死んでたんじゃない?」 暗転が優しい。五反田団の公演は、いつも最後の暗転で夢を見せてくれます。

・芸劇が注目する才能たち、~「芸劇eyes」・F/T09秋〔参加作品〕 
出演:飯田一期、石澤彩美、久保亜津子(向陽舎)、佐藤誠(青年団)、島田桃衣、菅原直樹、瀬尾遠子、飛谷映里、野津あおい、枡野浩一、前田司郎
作・演出:前田司郎 舞台美術:池田ともゆき 舞台監督:榎戸源胤 技術監督:松本謙一郎 特殊装置:岩城保 照明:山口久隆(S-B-S) 演出助手:上松頼子(風花水月) 宣伝美術:木村敦子 制作:尾原綾 三橋由佳 清水建志 字幕翻訳:門田美和 字幕操作:尾原綾 主催:五反田団
【発売日】2009/09/15<全席自由席・整理番号付き> 前売2,500円/当日2,800円 二演目セット券4500円(前売りのみ・枚数限定販売) *未就学児の入場は原則として不可
http://www.uranus.dti.ne.jp/~gotannda/
http://ikiteruikiteru.sblo.jp/article/31383060.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2009年10月25日 22:53 | TrackBack (0)