平田オリザさんが27歳の頃に書かれた男2人芝居を、約20年経った今、27歳の柴幸男さんが演出されます。出演者は初演と同じ土井通肇さんと龍昇さん。
冷戦が終わり失業した東西のスパイ(初演)の20年後を描いた作品で、こうなるとほとんど新作なのではないかしら。上演時間は約1時間。
⇒公演直前 緊急企画「チャイニーズスープのレシピ」
⇒インタビュー「柴幸男が考えるスープ」
⇒CoRich舞台芸術!『チャイニーズスープ』
≪作品紹介・あらすじ≫ 劇場サイトより
「チャイニーズスープ」は、1990年6月に平田オリザが青年団以外に書いた初めての戯曲ですが、その後再演されることなく、「幻の作品」となっていました。今回、平田オリザがあらたに書き直し、初演時の俳優で19年ぶりに、柴幸男の演出で上演します。 ベルリンの壁崩壊し冷戦が終わってで失業した東西のスパイ(初演)が、20年後イスタンブールで再会。老後を迎えたふたりのスパイには現在の〈世界〉はどう映っているのか・・。
≪ここまで≫
舞台中央に木製の2階建てデッキ(のような高い台)があり、そこにテーブルクロスがかかった小さなテーブルとイスが2脚。渋い老紳士が座っています。リゾートの休憩所みたい。舞台面側には白い砂が敷かれていて、なぜか野菜や調理器具が転がって(埋まって)います。舞台額縁と2人の後方にある世界地図の額縁が対になってるのが面白いです。
東西冷戦かー・・・ベルリンの壁が壊れた時、私は10代の学生でした。歴史の教科書で何度も詳しく習って、試験のために覚えさせられたことが、ガラリと変わってしまったんだなぁと、ちょっと肩すかしをくらったような気持ちだったように記憶しています。もちろん世界は変わるという実感が得られたおかげで、視野が広がったのもありました。
そして、今。なんて、世界は変わったんだろう。そして、なんて変わってないんだろう。
そんな風に頭の中で自分の経験と照らし合わせながら、2人の役者さん(土井さんは70代で、龍さんは50代)を眺めていました。けっこう激しく言い合ったりするんだけど、のんびりしてるし、おどけたような素振りがとっても可愛いです。
ただ、セリフが予定通り(演出通り)にやりとりされているのかどうかが曖昧に感じた時は、失敗したのかな~とか、セリフを忘れたのかな~とか、余計な想像が働いてしまって集中できませんでした。
ここからネタバレします。
前説に演出の柴さんが登場して、このお芝居の成り立ちについて説明してから開幕。わかりやすいし、20年の年月を実体(役者さん2人と柴さんの体)とともに感じ取ることができて楽しいです。
東側・共産主義国のスパイが土井通肇さんで、西側・自由主義国のスパイが龍昇さん。年金の心配をするのが面白いですね。過去の女性経験の裏話が明かされるのはスパイならでは。
2人は頑丈そうなテーブルで野菜を切り、大きな鍋を火にかけて、スープを作りながら会話をします。人参、じゃがいも、たまねぎ等はちゃんと刻んで入れていたのですが、しまいには皮も包丁もまな板も、フライパンまで鍋の中に入れてしまいます。ぐちゃぐちゃだよ。何でもかんでもごちゃ混ぜだよ。あー平成(平たく成る)だし、21世紀だな~なんて考えました。
オリジナルキャストによる19年ぶりの再演
出演:土井通肇(元祖演劇乃素いき座) 龍昇(龍昇企画)
脚本:平田オリザ 演出:柴幸男 照明:岩城保 美術:濱崎賢二 舞台監督:小田史一 宣伝美術:吉村麻衣子 記録:金子由郎 web製作:佐藤誠 照明操作:松田弘子 製作運営:宮永琢生(ZnQnZ) プロデュース:小口宏 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 企画制作:元祖演劇乃素いき座+龍昇企画/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 技術協力:鈴木健介(アゴラ企画) 制作協力:林有布子(アゴラ企画) 芸術監督:平田オリザ
【発売日】2009/10/01 日時指定・全席自由 前売り・予約:3,000円 当日:3,200円 前売り・当日共 学生:2,000円(要学生証提示)
http://www.chinesesoup.info/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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