こまばアゴラ劇場にも来てくれている京都の木ノ下歌舞伎。「F/T09秋」の“演劇/大学”のラインアップに選ばれ、今回初めて拝見できました。F/T09秋はこれで8本目(⇒1、2、3、4、5、6、7 ⇒制作発表)。
シンプルな抽象舞台に衣裳は現代の平服で、セリフはおそらく歌舞伎の脚本どおり。シャープな演出で、わかりやすくてきれいでした。上演時間は約1時間15分。
⇒CoRich舞台芸術!『演劇/大学09秋 京都造形芸術大学 『木ノ下歌舞伎─伊達娘恋緋鹿子』』
≪作品紹介≫ 当日配布のパンフレットより。
大火に類焼した八百屋の一家は吉祥院に避難していた。そのうち、一家の娘・お七はその寺の小姓・吉三郎と恋仲になってしまう。武兵衛の援助で店の再建がなって別れた後も思いはつのるばかり。
一方、江戸の町では相次ぐ火災を警戒し、次々と火の見やぐらが建てられ、夜間は全ての木戸を閉め、通行が禁じるられることになった。同時にそれは、火事ではない時に火の見やぐらの半鐘を鳴らせば、いかなる理由があろうとも火あぶりの刑に処すという法であった…。
≪ここまで≫
劇場の黒い壁を上手に生かした美術でした。四角い灰色のステージの中央には、長い長い鎖に片足をつながれたお七。じゃらじゃら、ゴトゴトと鳴る鎖の音が効果的。短い時間に大事な要素をきれいに凝縮させて、スマートな演出でした。“八百屋お七”ってこんなお話だったんですねー。面白かったです。
歌舞伎のセリフに関西弁のアクセントが色っぽいです。この作品でも感じましたが、役者さんの体・声に地域の特徴が出てくるのが素敵ですよね。
役者さんの演技の技術については、演出がもとめるレベルには追いついていない印象。大学生なのでまだ10~20代前半ですよね。そう考えたら不満はありません。
ここからネタバレします。
四角い蛍光灯の枠がお七の頭上から降りてきて、彼女が櫓にのぼるのを表現したのがとてもかっこよかったです。
※レビューは短めです。
【出演】お七/伊藤彩里 吉三郎/眞栄田貴豊(子供鉅人) 母/cossi(chikin) お杉/三鬼春奈 おひな/濱名綾子 武兵衛/諸江翔大朗
演出:木ノ下裕一(京都造形芸術大学大学院芸術研究科修士課程2年) 作=菅専助 松田和吉 若竹笛躬 美術:杉原邦生 照明:川島玲子 音響:斎藤学 衣裳:山本容子 メイク:富松悠 舞台監督:米谷有理子 制作:木村悠介 本郷麻衣(以上、舞台芸術学科/大学院芸術研究科在校生および卒業生) 【F/Tスタッフ】技術監督:寅川英司+鴉屋 舞台監督:鈴木康郎+鴉屋 舞台監督助手:木村光晴 照明:㈱ファクター 音響:小早川保隆(サウンドウィーズ) 制作:武田知也 板橋薗恵 制作補佐:坂田厚子 菅原渚 インターン:荒川真由子 【F/Tクルー】青柳未央 川村美幸 小林寛斉 土屋絢子 野中さやか 主催:フェスティバル/トーキョー 共催:東京芸術劇場(財団法人東京都歴史文化財団) 協力:桜美林大学 京都造形芸術大学 近畿大学 多摩美術大学
自由席(整理番号付き)一般・学生共通 1演目1,000円
http://festival-tokyo.jp/program/university/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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