2009年度「芸劇eyes」の3作目は、青木豪さんが作・演出される劇団グリングの活動休止公演です。⇒記者発表 レビュー⇒1、2
「日常のささやかな声に耳を傾ける」作風(パンフレットより)に大いに納得。大人が笑ってしみじみする、年の瀬にぴったりの、上質のストレート・プレイだと思います。どうぞ大人のデートに池袋へ。上演時間は約1時間45分。
※芸劇eyes作品ではスタンプカードを配布しています。「今後、東京芸術劇場によく来られる方にとっては、なにげに嬉しいプレゼント」だそうです!・・・と紹介しておきながら、私、グリングの1枚を持ち帰り忘れました(涙)。次回の『EKKKYO-!』でリベンジ。
⇒CoRich舞台芸術!『jam』
≪あらすじ≫
年末。軽井沢の小さなペンション。市民による「第九」ミュージカル(?)の本番が近付いている。東京から来てもらっていた指揮者(永滝元太郎)の送別会を開くため、ペンションのオーナー夫婦(中野英樹&萩原利映)ら数名がロビーに集合した。
≪ここまで≫
ハイバイ『て(再演)』の時のように、客席が2方向から舞台を挟む形状。初演はザ・スズナリだったそうですので、演出は全然違っているのでしょう。私はロビー側の座席でした。当然ながら席によって見えたり見えなかったりするところはあります(役者さんの表情など)。でも、役者さんの背中を見ているだけでもその人物に何が起こっているのかは伝わってきますし、人と人との間にあるものの密度がとても濃いです。
平凡で、優しくて、そして悲しい、ごくごく身近な大人たちの静かなブレークスルー。横幅が広くて風通しのいいペンションのロビーで、ベートーヴェンの「歓喜の歌」と、グリングの活動休止の意味も重なります。“今、ここ”で味わうライブ芸術である演劇の喜びも、笑いとともに味わえますし、何より、登場人物と同様平凡な人間である私自身が、「変わること」の残酷さを受け入れ、その先にはっきりとした光が見えた(ような気になった)ことを嬉しく思います。ありがとうございました。
ここからネタバレします。
オーナー夫婦は本当は夫婦ではありません。入り婿(中野英樹)の妻がジャムの材料にするブルーベリーを摘みに行って事故死して以来、妻の妹(萩原利映)が、婿とその息子と一緒に暮らしています。
美人ピアニスト(松本紀保)を口説こうとする嫌われ者の指揮者(永滝元太郎)のドタバタや、たった1人の部外者(遠藤隆太)の携帯電話での“ありない相槌”など、わかっていても笑ってしまうコミカルな場面も見事。
※レビューは短めです。
芸劇が注目する才能たち、「芸劇eyes」/グリング第18回活動休止公演
出演:中野英樹、萩原利映、小松和重、佐藤直子、澁谷佳世、永滝元太郎(劇団M.O.P.)、廣川三憲(ナイロン100℃)、松本紀保 遠藤隆太
※出演を予定しておりました杉山文雄は体調不良により降板いたしました。代わって遠藤隆太が出演いたします。
脚本・演出:青木豪 照明:日高勝彦 美術:田中敏恵 舞台監督:筒井昭善 効果:青木タクヘイ 効果オペレーター:吉岡英利子 演出助手:中村純壱郎 衣装・ヘアメイク:栗原由佳 演出部:伊倉真理恵 宣伝美術:高橋歩 宣伝写真:中西隆良 舞台写真:鏡田伸幸 制作:菊池八恵 企画制作・主催:グリング 提携:東京芸術劇場
【休演日】12月14日【発売日】2009/11/07 特割3,500円 前売4,000円 当日4,300円 (全席指定/税込) ※特割チケット:12/9(水)~11(金)は、前売りチケットに限り特別料金<3500円>にてご観劇いただけます。
http://www.gring.info/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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