2009年04月10日
KAKUTA『帰れない夜』04/04-12ザ・スズナリ
桑原裕子さんが作・演出(出演も)される劇団KAKUTA(カクタ)の、朗読と演劇の2作品同時上演です。私は朗読「帰れない夜」を拝見。「さとがえり」は残念ながらスケジュールが合わず観にいけません(涙)。
朗読といってもリーディング公演ではないんですね。小説を読む人が舞台にいますが、演劇だと言っていいほど作りこまれた作品でした。SF、ホラー、ファンタジー色の短編を5つ楽しみました。
ポスト・パフォーマンス・トークショーに出演された、小説家の朱川湊人さんのお話がとても面白かったです。気さくでユーモアのセンスがあって、もちろん知的で、素敵な方でした。
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レビューは後ほどアップ予定。
■井上夢人『あなたをはなさない』
■小池真理子『生きがい』
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■田口ランディ『縁切り神社』
■朱川湊人『昨日公園』
≪ポスト・パフォーマンス・トークショー≫
出演(舞台向かって左から):成清正紀、桑原裕子、朱川湊人(小説家・『昨日公園』原作者)、矢作勝義(世田谷パブリックシアター)
KAKUTA Sound Play Series 朗読の夜#5/蔵出し公演二作同時上演
出演:成清正紀 若狭勝也 高山奈央子 原扶貴子 野澤爽子 馬場恒行 吉見一豊(演劇集団円) 内田健介 後藤飛鳥(五反田団) 大見遥 久保貫太郎(クロムモリブデン
脚本・構成・演出/桑原裕子 照明/西本彩(青年団) 音響/島貫聡 舞台監督/ 安田美知子 舞台美術/袴田長武(ハカマ団) 選曲/真生 演出助手/田村友佳 衣装/山崎留里子 アンダースタディ/大見遥 宣伝写真/相川博昭 宣伝美術/川本裕之 映像/メリケンサック 制作助手/宮崎由 制作/前川裕作 眞覚香那子 堀口剛 企画・製作/K.K.T.
【発売日】2009/02/28 前売:3200円 当日:3500円 サービス公演:2800円 ※「帰れない夜」「さとがえり」同時購入の場合400円割引
http://www.kakuta.tv/gohome/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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テレビ朝日・ニッポン放送・シーエイティプロデュース『キサラギ』04/09-19世田谷パブリックシアター
映画もヒットした『キサラギ』を人気男優を迎えて舞台化。もともと戯曲だったんですよね。映画をDVDで観てとっても面白かったので、観に行くことにしました。
ストーリーがわかっていてもクスクス笑ったり、ちょっとドキドキしたり。わかりやすい王道のエンターテインメントでした。上演時間は約2時間。
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≪あらすじ・作品紹介≫ 公式サイトより。改行を変更。
これぞオリジナル完全密室劇の決定版!!大ヒット映画『キサラギ』。
元々は脚本家・古沢良太が密室舞台劇に憧れ、ある劇団のために書き下ろした作品。
そのハートフル・ワンシチュエーション・サスペンスが2009年、再び舞台へ!!
D級アイドル如月ミキの謎の死から一年――。
彼女をこよなく愛する5人の男達はその一周忌に、とある建物の一室に集まった。インターネットのファンサイトの中だけでやり取りしている彼らが実際に顔を合わせるのは今日が初めて。思い出の品を持ち寄り楽しくひと時を過ごすはずだったが、
―「彼女は殺されたんだ・・・」
誰かが言い出したその言葉をキッカケに、展開は目まぐるしく変わっていく。お互いに疑いの目を向けながらも、アイドル★如月ミキを想う気持ちは皆同じ!!そんな5人の5つのストーリーが重なり合った時、思いもかけない一つの結論に辿り着く――。
≪ここまで≫
公演はいわゆる“イケメン芝居”の種類に入るのでしょうが、次々と予想外の展開が待っているので、役者さんのファンでなくてもストーリーは楽しめると思います。
役者さんの特技(松岡充さんなら歌、今村ねずみさんならダンス)をかっこ悪い方向に生かしてるのが良かったです。ただ、セリフの間が開き過ぎているのは気になりました。
如月ミキのコレクションなら自分が一番だと思っていた家元(松岡充)が、どんどん自信をなくしていく様子が可愛いかったです。
ここからネタバレします。
最後はミキのために、全員で彼女の曲を歌います(ミキは当然出てきませんが)。またそれがかっこ悪い衣裳だし、ヘンな歌でヘンな振付で、イイ(笑)。ただ、晴れやかな大団円になる前が長すぎたかも。畳み掛けるようにラストにたどりついて欲しかったですね。
最後の大きな転換で、白いアーチの下に茶色の柱が出てきて、公民館の舞台らしくなりました。凝ってていいな~と思いました。
≪東京、福岡県、鹿児島、岡山、新潟、宮城、福島、北海道、石川、愛知、大阪、東京≫
ニッポン放送開局55周年記念公演
出演:松岡充(家元) 今井ゆうぞう(スネーク) 佐藤智仁(安男) 中山祐一朗(いちご娘) 今村ねずみ(オダ・ユージ)
原作脚本:古沢良太 企画:野間清恵(『キサラギ』プロジェクト総合プロデューサー) 演出:板垣恭一 舞台脚本:三枝玄樹 美術:伊藤雅子 照明:鶴田美鈴 音響:堀江潤 衣裳:関けいこ 演出助手:福原麻衣 舞台監督:安田武司 舞台製作:加賀谷吉之輔 主催・製作:テレビ朝日 ニッポン放送 シーエイティプロデュース
【発売日】2009/01/25 ・チケット料金 7,800円
http://www.kisaragi-stage.com/
※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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【インタビュー】栗山民也ロングインタビュー『ミュージカル「マリー・アントワネット」』ドイツ・ブレーメン公演①
栗山民也さん
ドイツのブレーメンで現在ロングラン中のミュージカル『マリー・アントワネット』の演出を手がけられた、栗山民也さんにインタビューをさせていただきました。
⇒〔このページ〕〔2〕〔3〕〔4〕
『マリー・アントワネット』は、小説「王妃マリー・アントワネット」(遠藤周作著)をもとに、ミヒャエル・クンツェさんが脚本・作詞、シルヴェスター・リーヴァイさんが作曲をした東宝のオリジナル・ミュージカルです。2006年初演関連記事⇒1、2、3、
⇒日本演劇史上初!東宝ミュージカル、初の本格的海外進出!(東宝)
⇒現地からのご報告(東宝)
⇒劇場公式サイト(音が鳴ります)
⇒公演公式サイト(※Musikをクリックすれば、曲を視聴可能)
日本初の快挙となった記念すべき公演の創作現場や、ドイツのミュージカル俳優について、そして、栗山さんのこれからについて語っていただきました。
栗山「ドイツの話をすると、2日間ぐらいしゃべりっぱなしになるかもしれない(笑)。今でも目をつぶると、一瞬の内にあのブレーメンの稽古場の中に居るような気持ちになる。それぐらい、僕にとって熱い振動だったんですよ。強烈な体験でした。」
■ミュージカル『マリー・アントワネット』について ※少々ネタバレあり。
―『マリー・アントワネット』世界初演は、2006年11月に帝国劇場で幕を開けました。東京、福岡、大阪をまわって再び東京凱旋公演もあった、大きなプロダクションでした。
栗山「この作品は小説の忠実なる舞台化ではありません。タイトルロールのマリー・アントワネットだけでなく、マルグリッド・アルノーという、マリーとは全く違うタイプの女性も主軸になります。最高位の女と最底辺の女をもうけて、最後には2人が同じ地平に並ぶという。原作からいかにインスピレーションを拾い、広げるかが重要でした。」
―最後は「自由!」という言葉で終幕しました。私はとても感動したのですが、同時に意外でもありました。ミュージカルによくある大団円ではなかったし、たしか音楽も不協和音でしたよね。⇒「ハイライト・ライヴ録音盤CD」は購入可能
栗山「これに関してはクンツェさんともかなり議論しました。フランス革命とは、人間がいかに自由を獲得するかという歴史だった。だから最終的に“自由”という言葉で終わろうと決めたんです。人間の歴史の中で繰り返される普遍的なるものとしての、いわゆる“自由”なんですよね。それはイラク戦争であってもいいし、アメリカの貿易センタービルの崩壊であってもいい。ある歴史において人間が獲得するのは、人間としての権利、つまり自由である、と。だからそんなにハッピーに終わるわけはなくって。いろんな問題を山積みにしたままの、その中での“自由”ですから。」
■ドイツ版と日本版との違い
―ドイツ公演が実現することになった、最初のきっかけを教えてください。
栗山「東京初演の初日に、テアター・ブレーメン(ドイツ・ブレーメンの公立劇場)の総芸術監督ハンス・ヨアヒム・フライさんがいらしていたんです。終演後のパーティーで、彼がクンツェさんと一緒に僕の方に寄ってきて、勢いよく話しかけてきたんですよ。英語で『やるからね、これ、ヨーロッパで!』と。初日が開いたばかりだったし、最初は『本当なの?』と半信半疑だったんですが(笑)、ドイツではしっかりと準備が進められていた。その後、東宝からどんどんと進捗状況の連絡が届きました。」
―ドイツでの上演に向けて、脚本や演出などは変更されたのでしょうか。
栗山「この2年の間に、僕は日本での仕事の合間を縫ってドイツのクンツェさんの家にも行って、台本の直しをしました。だから大きく変わりましたよ。たとえばボンマルシェはほとんど出てこない。カリオストロはもっとひょうきんな男になって(笑)、狂言回しも1人でがんばってもらっています。マリーの歌も2曲ぐらい増えたかな。脚本変更にともなう音楽の変更ももちろんあるし、新しいスタッフ(美術、衣裳、照明など)ですからね、全てに手が入っていますよ。」
■初日翌日には54もの劇評が出た
―多数の劇評が出たそうですね。
栗山「ええ、その量と早さには驚きました。初日だけ観て日本に帰ってきたら、クンツェさんからメールが届いていて、件名に『勝利』って書いてあったんです(笑)。『とにかくメディアの反応がものすごくいい』と。初日翌日に54の劇評が出て、『自分の今までの演劇体験でもこんなことはなかった。ほとんどが絶賛である』と。」
―初日の翌日に、そんなに沢山の劇評が出たんですか?
栗山「そうです。新聞や、その他のさまざまな小冊子などを含めて計54個。その内のある劇評を、200ほどの地域に配信したみたいです。あの初日にはベルリン、ハンブルク、ミュンヘンなどの多くの地域から、大勢の劇評家が観に来ていたんだと、その時に知りました。劇評のことなんて全く頭になかったですからね。前日のプレビューでも大変なことが起こったし・・・(苦笑)。」
栗山民也ロングインタビュー②につづく!
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★インタビュー実施日:2009年3月1日 写真撮影日:2009年3月2日
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青年団若手自主企画・西村企画『桜の園』04/09-15アトリエ春風舎
青年団演出部の西村和宏さんがチェーホフの『桜の園』を演出されます。FUKAIPRODUCE羽衣の糸井幸之介さんが楽曲提供し、振付も担当されています。
意外な組み合わせでどんな音楽劇(?)になるのかを楽しみに、初日に伺いました。上演時間は約2時間5分。
⇒CoRich舞台芸術!『桜の園』
客席と地続きの状態のシンプルな舞台。ゆるやかな階段が舞台を丸く囲むように設置されています。奥には白いカーテン。
『桜の園』を1幕から4幕まで。ノっていける部分はあったけれど、全体はバラバラな印象。激しい歌とダンスで盛り上がっても、その次の静かな演技のシーンで流れが途切れてしまうように感じました。シーンごとに何を見せたいのかはある程度汲み取れるのですが、全体でどんな作品にしようとしているのかが、私にはわかりませんでした。
第3幕が面白かった。糸井さんの楽曲、振付はとても楽しいです。エロが入ってなくても問題なく素敵じゃないですか!(笑)
おおげさではない日常会話のシーンでは、自然な状態でいる“振り”をしているように見えました。歌のシーンと会話のシーンの差が激しいので、どういうバランスにするのかがまだ決まっていないのか、つかめていないのか。役者さんは大変そうでした。
先日のトークで銀粉蝶さんがおっしゃっていたことを思い出しました。尋常じゃない歌、踊り、セリフ、演技方法には、尋常じゃない身体で挑まないと成立しづらいんじゃないかと思います。青年団の役者さんは演出部にさまざまな演出家がいるので、いわゆる“静かな演劇”ではない演劇に出演する機会が増えているんでしょうね。その境を越えている人と、越えていない人との差が、自ずと見えてきてしまいます。
ラネーフスカヤを演じた石村みかさん、ラネーフスカヤの兄ガーエフ、その他を演じた髙橋智子さん、大学生トロフィーモフ、その他を演じた堀夏子さんに目が行きました。
青年団若手自主企画vol.41
出演:島田曜蔵 鈴木智香子 髙橋智子 長野海 堀夏子 村田牧子(以上青年団) 石村みか(ノックアウト)
脚本:チェーホフ 演出:西村和宏 音楽・振付:糸井幸之介(FUKAIPRODUCE羽衣) 照明:岩城保 舞台美術:濱崎賢二 衣装:兼松光 制作:木元太郎 音響協力:泉田雄太 映像:深田晃司 演出助手:伊達紀行 ドラムス録音:日髙啓介 芸術監督:平田オリザ企画 制作:青年団/(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場 主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
【発売日】2009/01/29 一般:2300円 学生:2000円(予約・当日共)
http://www.komaba-agora.com/line_up/2009_04/nishimura.html
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