昨年末の「事業仕分けへの意見募集」について(⇒1、2、3、4、5、6)、文部科学省に届いた意見の具体的な数字が報道されました。
ニュース(⇒1、2)によると、文部科学省に寄せられた「事業仕分けに対する意見」は14万3971件。内訳は科学技術・文化関係が13万4596件、教育・スポーツ関係が9375件。
文部科学省平成22年度予算ページに公開されている「事業仕分け結果・国民から寄せられた意見と平成22年度予算(案)における対応状況(平成21年12月25日)」(PDF)の34ページによると、「文化関係①・芸術創造・地域文化振興事業等」に対して約11万件の意見が寄せられたと記載されています。
つまり14万件強のうち、11万件が文化関係のものだったんですね!昨年11/25の時点では意見総数・約1万2000通のほとんどが科学関係。文化関係はたった1000通ほどだった(←こちらのブログより)と考えると・・・100倍以上になってる!
11万件の内容は『「事業を民間に任せるべき」といった極少数の意見のほかは、ほぼすべて事業仕分けの結果に反対するもの。オーケストラ、舞踊、演劇など幅広い分野から、例えば「文化振興は国の責務であり、費用対効果で考えるものではない」といった意見。』とまとめられています(同34ページより)。
そんな国民の声が届いたからなのかどうかはわかりませんが、事業仕分けで「圧倒的に予算を縮減」などと言われていたにも関わらず、結果的に文化予算は昨年と比較すると約5億円増(前年度0.5%増)となりました(予算ページ「平成22年度文部科学省予算(案)のポイント」(PDF)の3ページより)。
「不況時であっても文化にはお金を投入するのだ」という国の意志表明だと受け取り、私は素直に喜んでおきたいと思います。ありがとうございます!
ただ、全ての文化事業が昨年同様の予算を得られるわけではありません。縮減されたものも、他の事業と統合されたものもあります。そして新規事業(同3ページより)なども増えていますので、これからの文化芸術活動が大きく変わっていくことが予想されます。こちら↓にまとめ記事があります。
⇒朝日新聞<文化政策はどこへ・下〉「新たな公共」への胎動(2ページ)
例えば新規事業の「優れた劇場・音楽堂からの創造発信事業」は、芸団協も提言している劇場法(仮称)につながるもののようです。劇場法については内閣参謀参与の平田オリザさんも言及されています(⇒wonderlandロングインタビュー)。芸術家個人や芸術団体への支援を、劇場というハードへの支援に切り替えていくことになるのでしょうか。そうすると、おのずと観客の動線も変わってきますよね。今後も鳩山政権の文化政策を注視していきたいと思います。
事業仕分けが一般公開して行われたおかげで、勝手に怒りに震えたり、悶々と考え続けたりして、昨年末はずいぶんと消耗しました(苦笑)。でも私にとっては非常に良い転機になりました。今までずいぶん、のんびりと甘えていたのだなぁと反省。
残念ながら私は参加できませんでしたが、昨年12/23にアートNPO緊急フォーラム『日本に芸術文化は必要だ! そのために我々は何をすべきなのか』が開催されました。いいタイトルですよね。今回の事業仕分けをきっかけに、多くの人から「芸術文化は必要だ」という言葉が届けられたことは喜ぶべきことだと思います。芸術文化(私の場合は特に舞台芸術)をとりまく環境に積極的に興味を持ち、芸術文化がなぜ、どのように必要なのかを具体的に自分の言葉で伝えられる、能動的な観客になりたいと思います。
カテゴリー:【演劇教育】
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