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REVIEW

2010年01月16日

三条会『S高原から』01/15-18ザ・スズナリ

 平田オリザさんが1991年に書かれた戯曲『S高原から』を、千葉の劇団三条会が上演。青年団の“静かな演劇”を予想して観に行くと完全に裏切られます(笑)。

 2005年の『ニセS高原から』とは全く違う演出でした。飴屋法水さん演出『転校生』と重なったり。強烈~!上演時間は約1時間40分だったと思います。

 三条会はふだんは千葉県で、劇団アトリエ公演や野外公演などを行っています。下北沢のザ・スズナリで観られる機会にぜひ。

 ⇒CoRich舞台芸術!『S高原から

 ≪あらすじ≫
 2010年の夏。高原のサナトリウムのロビー(喫茶室?)。患者、医者、看護師、そして面会人らが行き交う。
 ≪ここまで≫

 舞台はサナトリウムのはずなんですが、並べられているのは学校の机とイス。床は空と花の模様でカラフル。最初の音楽が流れた時点でイヒヒと笑ってしまいました(笑)。何を書いてもネタバレになりそうなので控えます。

 セリフはおそらく戯曲どおりですが、ト書きにはないであろう演出が山盛り。関美能留さんの演出にはいつも驚かされ、意外なところで笑わせられます。でも『S高原から』のエッセンスが忠実に伝わってきたように思いました。

 三条会の役者さんとそれ以外の役者さんとでは、やはり差があるように思います。三条会の方々は身体の存在の仕方が、とても確かなんですよね。でも色んな劇団の役者さんがごった煮になった状態も、それはそれで面白かったです。
 
 ここからネタバレします。

 最初の音楽はミュージカル「レ・ミゼラブル」の劇中歌「夢やぶれて」。スーザン・ボイルさんが紅白で歌った曲です。詳しい方によると岩崎宏美さんバージョンではないかとのこと。

 サナトリウムが学校になり、患者の衣裳はガクランか喪服。ト書きに書かれている上手と下手が、上手舞台奥と上手手前になっているのが面白い!

 『転校生』と重なるのは、次の出番がなくなった登場人物(面会人)が、教室の外(舞台裏)で鎌を振り回す看護人(大倉マヤ)に殺されること。そして飛び降り。

 医者(江戸川卍丸)が脚立の上にのぼって神様みたい。看護人の男(工藤真之介)は背中に羽があるので天使で、女(大倉マヤ)は鎌を持ってるので悪魔ですよね。

出演:大川潤子、榊原毅、立崎真紀子、橋口久男、中村岳人、渡部友一郎(以上、三条会)、江戸川卍丸(劇団上田)、桜内結う、山田裕子(第七劇場)、浅倉洋介(風琴工房)、大倉マヤ、小田さやか(Ort-d.d)、工藤真之介、近藤佑子、鈴木智香子(青年団)、永栄正顕
脚本:平田オリザ 演出:関美能留 舞台美術:石原敬 照明:岩城保 宣伝美術:京(kyo designworks) 制作:久我晴子 主催:三条会
【発売日】2009/12/01 2,500円 ~ 3,500円
http://homepage2.nifty.com/sanjokai/02.html

※クレジットはわかる範囲で載せています。正確な情報は公式サイト等でご確認ください。
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Posted by shinobu at 2010年01月16日 16:35 | TrackBack (0)